猫が遭遇しやすい事故とは?事故に遭ったときの対処方法を解説

猫が遭遇しやすい事故とは?事故に遭ったときの対処方法を解説

好奇心旺盛な猫は、その性質によってさまざまな事故に巻き込まれることがあります。野良猫よりも安全に思える飼い猫の生活のなかにも、思わぬ危険が潜んでいます。大切な愛猫が事故に遭わないために飼い主さんにはどのようなことができるのでしょうか。猫が遭遇しやすい事故原因や対処方法について解説します。

 猫が遭遇しやすい事故の種類

猫が遭遇しやすい事故の種類

猫が遭遇しやすいのはどのような事故でしょうか。ここでは、猫の身近にある危険について解説します。

猫はどのような事故に遭遇しやすいですか?
まず、猫が遭遇しやすいのは車道での交通事故です。殺処分を上回る数の猫たちが毎年交通事故で命を落としています。特にメスを追いかけることに夢中な発情期のオス猫や、車の怖さを知らない子猫などは交通事故に遭うリスクがさらに高くなります。
交通事故のほかに起こりやすい事故は何がありますか?
外での交通事故に加え、家のなかで起こる事故もあります。例えば、お湯を張っている浴槽に猫が落下したり、洗濯機に潜り込んだ猫に飼い主さんが気付かずそのままスイッチを入れてしまったりすることもあります。また、誤飲誤食にも注意が必要です。例えば、ヘアゴムや猫用のおもちゃについた紐を飲み込んで消化器官に詰まってしまう、箸や爪楊枝、ボールペンといった鋭利なものを飲み込んでお口のなかに刺さってしまうといった事故もあります。

さらに、観葉植物も種類によっては、猫の体に有害な影響をもたらす場合があります。例として、ユリ科やサトイモ科、ナス科の植物、多肉植物、ドラセナなどが挙げられます。これらは一部に過ぎず、ほかにも猫にとって危険な植物は多く存在します。猫による火災事故にも注意が必要です。具体的には、猫がガスコンロなどのスイッチや操作ボタンを押してしまう、電気製品に排尿する、電源コードにかみつくといった行動によって引き起こされます。
なぜ猫は交通事故に遭いやすいのか理由を教えてください
猫は当然交通ルールを知らないため、左右の確認をせず道路を渡ってしまいます。また、猫は後ずさりや後ろ歩きも不得意なため、近づいてくる車に気付いてもうまく避けられず、ひかれてしまうのです。さらに、猫は驚くと体が硬直するため走ってくる車に驚いて動けなくなり事故に遭うほか、冬の時期に停車中の車の下で温まっていた猫が車の発車時に事故に遭うといったこともあります。

猫が事故に遭ったときの応急処置

猫が事故に遭ってしまったときにはどのように対処すればよいでしょうか。応急処置の方法を解説します。

猫が事故に遭った場合、どのような処置をまず行うべきですか?
猫が交通事故に遭ってしまったときは、まずさらなる事故を防ぐために路肩に移動させます。タオルなどで包み、優しく抱きかかえるようにしましょう。段ボールやキャリーケースなどに入れて移動すると、猫も人も楽に移動できます。無理に抱きかかえると骨折などが悪化する可能性があるので、慎重に動かしましょう。また、おう吐する可能性もあるため、顔や体が横向きにしてあげることがおすすめです。

そして路肩に移動させたら、まず息をしているか確認しましょう。それから動物病院に連絡してください。確認できるようであれば、呼びかけて反応があるか、出血しているか、足の向きに異常がないかなどを確認します。全身状態を確認する際は、揺さぶることで頭や内臓の損傷がひどくなることもあるので、なるべく動かさないように注意してください。

もし出血がある場合は、出血している箇所を清潔なタオルなどで押さえましょう。傷があれば、傷より少し心臓に近い部分を縛ると止血効果があります。
足が変な方向に曲がっている場合、骨折や脱臼の可能性があります。むやみに動かすと、猫にとって強い痛みが伴うため動かさないことが重要になります。
猫が事故に遭った場合はすぐに動物病院に連れて行くべきですか?
猫が交通事故に遭った場合は近くの動物病院に連絡し、獣医師の判断を仰ぎましょう。夜間の事故であれば、夜間対応病院に連絡をします。少しでも早く猫を治療してあげたいところですが、連絡なしに受診するとほかの処置などですぐに対応できない場合もあるので、必ず事前に連絡して、状況を説明したうえで受診しましょう。
事故直後に猫が自分で歩くことができていても、体中で出血している場合は時間が経ってから状態が悪化します。必ず動物病院で診察してもらいましょう。
飼い猫ではない猫が事故に遭った場合はどうするべきですか?
まず、飼い猫ではない猫の体に触れる際は、血液や体液が付着しないようにポリ手袋やビニール袋を装着しましょう。まだ猫が生きている場合は前述の飼い猫が事故に遭った場合と同様の処置を施し、地域の動物愛護相談センターへ直接連絡するか、最寄りの警察署・交番などに相談しましょう。飼い主さんが不明な猫もしくは野良猫を動物病院に連れて行った場合、治療費は自己負担となるので注意してください。

猫がすでに息を引き取っている場合は対応が異なります。まず、亡骸を安全な場所へ移動させましょう。外傷があればガーゼなどで覆って、においや虫を防ぐために箱やビニール袋などで亡骸を密閉します。そして、傷みの進行を遅らせるために、氷やアイスノンなどの保冷剤で頭部・胸・脇の下・お腹の辺りにあてて冷やし、直射日光があたらない 涼しい場所に安置してあげましょう。処置が完了した後は、管轄の機関へ連絡を入れます。発見場所が国道や高速道路であれば国土交通省の道路緊急ダイアル#9910へ、国道以外ならば各自治体の役所へ連絡しましょう。発見した時間帯が夜間であったり、国道・都道府県道などの区別がわからなかったりした場合は、先ほどの国土交通省の道路緊急ダイアル#9910に連絡して、指示を仰いでください。

 猫が事故に遭わないための予防策

猫が事故に遭わないための予防策

猫が事故に遭わないために私たちはどのようなことができるでしょうか。ここでは、予防策について解説します。

猫が交通事故に遭わないためにできることはありますか?
猫の交通事故の予防策としてまず有効なのは、完全室内飼育をすることです。そもそも外に出なければ、交通事故に遭うことはありません。猫が自由に外に出られる環境は交通事故の危険性を高めます。完全室内飼育にし、外に出さないようにしましょう。

次に、猫の脱走を防ぐことが重要です。具体的には、猫が窓を開けられない、玄関に出られない、玄関の扉を開けられないようにするなどの対策が必要です。またベランダから屋根や塀を伝って外に出ることがあるため、猫をベランダに出さないようにしましょう。

ホームセンターやネット通販で脱走防止の対策グッズも販売されています。猫は少しの隙間からでも脱走できてしまうため、サイズをしっかり確認してから購入しましょう。

ほかには、避妊・去勢手術を行うことも事故の予防に有効です。猫は発情期が来ると普段より活動的になり、出会いを求めて遠くまで行動範囲を拡げます。異性を追いかけていると周りが見えなくなり、事故に遭う可能性が高くなります。まだ手術をしていないようであれば、避妊手術をしましょう。
家庭内での事故を防ぐためのポイントを教えてください
まず、水場の事故を防ぐために、日頃からお風呂場や洗面所に立ち入らせない、浴槽に水を張ったままにしないなどの習慣をつけましょう。また、誤飲誤食の予防策として、猫が食べてはいけないものは出しっぱなしにしない、または鍵付きの収納スペースに入れる、猫がいる部屋には観葉植物を置かないようにするなどの対策が有効です。飼い猫による火災事故を防ぐためには、コンロに搭載されたロック機能の活用や、台所に入らせないためのゲートやコンロのスイッチカバーの設置がおすすめです。留守中は電化製品の電源プラグは抜いておき、ケーブルカバーなどのグッズを活用して電源コードを隠すのも効果的です。

編集部まとめ

猫は屋外ではその生態から交通事故に遭いやすい生き物であること、さらに家のなかにも思いもよらない事故の原因が隠れていることがわかりました。普段から予防の習慣を心がけ、予防アイテムを活用することが事故予防のためには大切です。飼い主さんの責任として、愛猫が安全に快適に暮らせる環境を作ってあげましょう。そして、もし事故が起きてしまったときには、大事な家族を助けられるよう、正しい処置の仕方をしっかりと覚えておきましょう。

参考文献