猫の目やには取ったほうがいい?目やにでわかる健康状態と気を付けたいポイント

猫の目やには取ったほうがいい?目やにでわかる健康状態と気を付けたいポイント

猫の目やにが気になる愛猫家も多いのではないでしょうか。目やには猫の健康観察をする上でも重要なポイントです。人間と同じように、猫にも目やにが出ます。毎朝少しだけ目やにが出る程度であれば、正常の範囲であり心配いりません。

ただし、中には病気やトラブルが潜んでいる場合もあるため、どういった状態なら動物病院を受診すべきかなどを知っておくことが大切です。

猫の目やにの原因と、日頃のケア方法、気を付けるべきポイントを解説します。猫の目やにについて正しく知って、愛猫の健康を守りましょう。

猫の目やにが出る原因

猫の目やにが出る原因

猫の目やにが出るのはどんなときなのでしょうか。朝起きたときに少し付着している程度であれば正常の範囲ですが、いつもと様子が違う場合は注意が必要です。猫の目やにが出る原因と、気を付けた方が良い目やにについて知っていきましょう。

猫の目やにが出ている理由を教えてください。
目やには、目を保護している粘液、古くなった細胞、目に入ったほこりやゴミなどの老廃物が混ざってできたものです。

通常は、人と同じように、代謝による老廃物として目やにが出ます。乳白色や赤褐色で、目のふちに少量ついている場合は特に心配ありません。
猫の目やには病気の可能性がありますか?
病気や傷が原因で目やにが出ている場合もあります。

先述したように、健康でも少量の目やには出るものです。しかし、その量や色が普段と違う場合や、他の症状が見られた場合は、動物病院を受診しましょう。目やにの原因となる病気としては、猫風邪、角膜炎、結膜炎、眼瞼内(外)反、鼻炎、鼻涙管閉塞などが挙げられます。
猫の目やにがいつもと違います。どんな原因が考えられますか?
猫風邪、結膜炎などの目の病気をはじめ、アレルギー、猫クラミジア、眼瞼内(外)反など、様々なケースが考えられます。

必ずしも、目やにが出ている=目の病気とは限りません。病気が違えばその治療法や深刻度も違います。黄色や緑色でねばねばした目やにが大量に出ている場合や、いつもと違う様子が見られたら要注意。目の充血、涙の量の多さ、目を気にする仕草など、目やに以外の症状が出ていないかも確認しておきましょう。
以下に、目やにの原因となる主な病気をご紹介します。

・猫風邪(上部気道感染症)
猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、細菌などの感染により、くしゃみ、鼻水、涙、咳といった風邪の症状が起こり、目やにがでる場合があります。ワクチン接種で感染を予防できるので、子猫のときからしっかり予防しておきましょう。

・角膜炎
黒目の表面を覆っている角膜の炎症が起きる病気です。角膜炎は、ゴミなどの異物が目に入る、目をこする、物が当たるなど、何らかによって目に傷がついてしまうことが原因。目やにのほか、目を痛がる、目をしょぼしょぼさせるなどの症状が見られます。

・結膜炎
結膜炎は、まぶたの裏側から白目の表面を覆っている結膜の炎症のこと。目にかゆみや痛みが出るため、目をこすろうとする、涙や目やにが多い、結膜が赤い、まぶたが腫れるといった症状が出ます。病原体の感染のほか、砂やほこりなどの異物、アレルギー、涙の減少が原因で発症することもあります。
目やにが出やすい猫の種類を教えてください。
鼻の低い猫種は目やにが出やすい傾向にあります。

ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチック・ショートヘアなどの鼻の低い猫種は、目やにが出やすいと言われています。これらの猫種は、鼻へ繋がる涙の通り道である鼻涙管が詰まりやすいのが特徴です。

猫の目やにのケア方法

猫の目やにのケア方法

猫の目やにが出ていたらどのようにケアすれば良いのでしょうか。日頃のケア方法や、目薬のさし方のコツをご紹介します。

猫の目やにの正しい取り方やケア方法を教えてください。
日常のケアとしては、ぬるま湯に浸したコットンで優しく拭きとりましょう。

乾いたティッシュでは目を傷つけてしまう可能性がありますので、ティッシュを使うときには濡らしてから使うようにしてください。
動物病院で目薬が出ました。上手なさし方のコツを教えてください。
猫の体をしっかり固定することが重要です。

猫を膝の上にしっかり固定し、猫の背後から手のひらで優しく顔を支えます。目薬をさす方の目の上まぶたを、親指で軽く引き上げましょう。猫の視界に入らない角度から目薬を近づけ、目から約1㎝の高さから、上まぶたと白目の間あたりを狙って点眼します。

猫の目やにで動物病院を受診するときのポイント

猫の目やにで動物病院を受診するときのポイント

猫の目やには正常な範囲の場合もあれば、病院で診てもらった方が良い場合があります。どんな場合に動物病院を受診したら良いのでしょうか。気を付けるべきポイントも押さえておきましょう。

注意が必要な目やにや、病院に連れて行くべき目やにの症状を教えてください。
目やにの量が多い時、色に異常がある時には病院を受診しましょう。

動物病院で受診すべき症状には、以下のようなものがあります。これに限らず目やにの色や形状、量が多い場合など、気になる点があったら早めに動物病院に連れていきましょう。

・目の充血
充血は目にある血管の血流が増えたり、白目の部分に出血が起こったりすることで発生します。充血の主な原因となるのは、角膜炎、結膜炎、異物による刺激、外傷などです。また、眼圧が上がる病気に罹っている場合も、目の充血の症状が見られます。

・涙が大量に出ている
結膜炎や異物混入などによって、涙が増える場合があります。特に、鼻の低い短頭種といわれる猫種は、涙や目やにが出やすいと言われています。涙で目の周りが濡れた状態を放置すると、涙やけを起こしたり、皮膚炎を引き起こしたりしてしまうこともあります。目を気にする仕草をしていないか、あわせて観察しておきましょう。

・黄色や緑色の粘り気のある目やにが出る
正常な目やには乳白色や赤茶色でやや乾燥しています。猫の目やにが黄色や緑色で粘り気がある場合は、細菌の感染が疑われます。

・目やにに血が混ざっている
目やにに血液が混ざっている場合は出血している可能性があります。眼球が傷ついている場合は視力にも影響を与える恐れがあるため、早めの対処が必要となります。傷が確認できたり、かゆがっている仕草が見られたりした場合は、エリザベスカラーなどを付けて悪化を防ぎ、早めに動物病院に連れて行きましょう。

・目やにがゼリー状になっている
猫の目やにがゼリー状になっている場合は、涙などの水分が多くなっている可能性があります。他に何も症状がなく、拭き取ってあげられる程度の量であれば大きな心配はありません。ただし、普段と様子が違う点や、涙の量が増えているといった症状が見られたら動物病院を受診しましょう。
猫の目やにに対してどんな処置を受けられますか?
症状や原因に合わせて点眼、薬の処方をします。
異物や外傷を原因とした非感染性結膜炎の場合は、原因となっている異物の除去と消炎剤などの点眼薬が処方されます。
猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペスウイルス感染症)や猫カリシウイルス感染症、猫風邪などの感染症が原因となっている場合は、抗生剤や消炎剤といった点眼薬のほか、症状が重い場合や目以外にも症状が出ていた場合には内服薬も処方されます。
目やに以外で注意したほうが良い目の症状を教えてください。
涙やけが見られたら、鼻涙管閉塞や流涙症などの疾患の可能性があります。

ゴミが入ったり、一時的に涙の量が増えていたりする場合もありますが、目や鼻に何らかのトラブルが生じている可能性もあります。
目が赤くなっている場合は、眼瞼炎や結膜炎、眼内出血の可能性があります。赤くなっている箇所がまぶたなのか眼球なのか、症状が出ている場所によっても異なります。どの箇所に症状が出ているのか注意して観察しましょう。また、白く濁っている場合は、核硬化症や白内障の可能性があります。できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

まとめ

まとめ

猫の目やには、乳白色や赤褐色で目のふちに少量ついている程度であれば正常の範囲です。ただし、目やにの色や量がいつもと違う場合は、猫風邪や角膜炎、結膜炎などの病気が原因となっている可能性もあります。病気が原因となっている場合は、目やにの異常のほか、目の赤みやかゆがる仕草をするといった症状も見られるでしょう。猫の様子を日頃からよく観察して、いつもと違う様子が見られた場合は、早めに動物病院を受診してください。

参考文献