犬のトリミングは、見た目を整えるだけでなく、犬の健康を保つためにも大切です。トリミングを行わないと、毛が絡まりやすく、皮膚トラブルや感染症の原因になることがあります。
本記事では犬のトリミングをしないとどのようなデメリットがあるのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- 犬のトリミングとは
- 犬のトリミングをしないことによるデメリットとは
- トリミングが必要な犬種と不要な犬種とは
犬のトリミングをしないとどのようなデメリットがあるのかについて、理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
トリミングとは
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トリミングとは犬の毛を整え、見た目を美しく保つために行う毛のカットや刈り取りの作業を指します。トリミングには、ハサミやバリカン、トリミングナイフ、クリッパーなどの道具を使い、毛をカットして整えたり、余分な毛を取り除いたりします。
毛が伸び続ける犬種の場合、定期的なトリミングによって毛玉ができにくくなり、皮膚の健康を守ります。また、トリミングは犬の外見を整えるだけでなく、健康面にも役立ちます。
トリミングの目的と頻度
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トリミングの目的と頻度について以下で詳しく解説します。
トリミングの目的
犬のトリミングには、見た目の美しさだけでなく、健康を守るための重要な役割もあります。以下のような目的で定期的にトリミングを行うことが推奨されています。
- 衛生管理
犬の体に溜まりがちな汚れや余分な毛を取り除くことで、毛が絡まってできる毛玉や、糞尿が付着した部分を防げます。トリミングをすることで、肛門周囲や尿道周辺の清潔さが保たれ、皮膚病や感染症を予防できます。また、傷口周りの毛をカットすることで、傷の治癒を助け、感染を防げます。 - ケガの予防
足裏に伸びた毛をカットすることで、滑り止めの役割を果たし、フローリングなどでの滑りを防げます。高齢犬や活発に動く犬では、怪我をしにくくするためにも足裏のトリミングは大切です。 - 害虫予防
毛のなかに潜んでしまうノミやダニの予防の観点からも、トリミングはおすすめです。毛を定期的にカットすることで、害虫が隠れる場所が減り、ノミやダニのリスクを低減できます。 - 熱中症対策
サマーカットとして毛を短くカットすることで、体温の上昇を抑え、熱中症を防ぐ効果が期待できます。暑い季節には、毛の通気性が良くなり、犬の体温管理に役立ちます。ただし、カットしすぎると皮膚が紫外線にさらされるため、適切なカットが必要です。 - 美容とおしゃれ
トリミングは犬の外見を整えるためにも行われます。個々の犬に似合うカットスタイルやデザインで、見た目をより魅力的にできます。飼い主さんが気に入るスタイルに仕上げることで、犬自身もより快適に過ごせるでしょう。
トリミングとグルーミングの違い
トリミングとグルーミングは、どちらもペットの毛のお手入れをする作業ですが、その方法や目的に明確な違いがあります。以下にトリミングとグルーミングの違いを解説します。
- トリミング
トリミングは、ハサミやバリカンを使用して毛をカットすることで、犬の体毛を整える作業を指します。見た目を整えるだけでなく、毛玉や絡まった毛を取り除くことで皮膚の健康を守り、寄生虫や汚れの蓄積を防ぐ衛生的な役割も果たします。毛の長さを調整することで、犬の体温調節を助けるため、毛が長く伸びる犬種にとっては重要なケアとなります。 - グルーミング
一方グルーミングは、ハサミを使わずブラシや手で行うケアで、主に犬の体毛をブラッシングして健康を保つ作業です。毛のなかに溜まったホコリや抜け毛を取り除き、毛の絡まりを防ぐことが目的です。グルーミングは毛質に関係なく、短毛犬や中毛犬にも有効とされており、皮膚の健康を保ち、ノミやダニの予防にも役立ちます。また、耳掃除や爪切りもグルーミングの一部として、犬の健康管理をサポートします
トリミングの頻度
犬のトリミングの頻度は、犬種や毛質、さらには年齢によって異なります。それぞれの犬に合わせた頻度で行うことで、健康的な被毛を保ち、快適に過ごせます。
以下にて詳しく解説します。
- 犬種と毛質による違い
犬の毛は”オーバーコート”と”アンダーコート”の2種類に分けられ、それぞれの構造によりトリミングの頻度が異なります。毛が伸び続ける犬種、例えばトイプードルやマルチーズは、1ヵ月に1回程度のトリミングが推奨されます。毛玉や絡まりを防ぎ、清潔を保てます。
一方、柴犬やミニチュアダックスフンド、フレンチブルドッグなどの短毛種では、トリミングの頻度は低めで、2ヵ月に1回程度のペースで十分です。短毛種は毛が自然に短く保たれるため、トリミングよりもブラッシングやシャンプーが大切になります。 - 年齢による違い
愛犬の年齢に応じて、トリミングの頻度も変化します。子犬はワクチンが終わった1〜2週間後からトリミングが可能とされていますが、成犬になったらその毛の質に合わせて定期的にトリミングを行いましょう。
シニア犬は体力が低下していることが多く、トリミングの際に負担をかけないような調整が必要です。 - 犬種別トリミング頻度
以下は、代表的な犬種におけるトリミングの目安です。犬種や毛質によって必要な頻度は異なるため、愛犬に合ったペースでケアを行いましょう。
・超小型犬(チワワなど)
毛が短いため、基本的にトリミングは不要ですが、長毛のチワワには定期的なブラッシングが推奨されます。
・小型犬(パピヨン、ミニチュアダックスフンドなど)
長毛犬種は月1回のトリミングが必要です。短毛犬種は、ブラッシングとシャンプーでケアを行います。
・中型犬(柴犬、ビーグルなど)
短毛の犬種はトリミングが不要で、ブラッシングとシャンプーを月1回程度行うことが大切です。
・大型犬(ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーなど)
短毛でも抜け毛が多いため、ブラッシングとシャンプーを月に1回行いましょう。トリミングは不要です。
犬のトリミングをしないことによるデメリット
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犬のトリミングをしないことによるデメリットは以下のとおりです。
ケガの危険がある
トイプードルやポメラニアンなど、毛が伸び続ける犬種の場合、足元の毛が長く伸びることでいくつかの問題が発生します。手足や肉球周りの毛が伸びると、犬がフローリングのような滑りやすい床で転倒しやすくなり、脱臼や骨折といった深刻なケガのリスクが高まります。
毛玉ができる
長毛犬種において、ブラッシングは大切なケアの一つです。ポメラニアンやシーズー、トイプードルなどの毛が長く伸びる犬種は、毛玉ができやすいため注意が必要です。ブラッシングを定期的に行わないと、被毛が絡まりやすく、毛玉ができてしまいます。
不衛生の原因になる
犬の被毛は、目やお尻周りなどの敏感な部分で不衛生を引き起こす可能性があります。例えば、目の周りの毛が長くなると、それが目を塞いでしまい、目ヤニが目のなかに入って角膜炎や結膜炎などの目の病気を引き起こす恐れがあります。
皮膚病になりやすくなる
トリミングを怠ると、犬の皮膚が不衛生な状態になり、皮膚病にかかりやすくなります。例えば、ブラッシングやシャンプーをしないことで、フケやホコリ、花粉などが毛に溜まり、空気の通りが悪くなります。これが皮膚に負担をかけ、炎症や感染症を引き起こす原因となります。
抜け毛が増える
トリミングのなかでもブラッシングは大切です。定期的にブラッシングを行わないと、犬の抜け毛が増えて家の中が毛だらけになってしまいます。抜けた毛が部屋の隅や家具の裏に溜まり、掃除が大変になったり、ソファや衣服にも毛がついてしまうことがあります。
さらに、ブラッシングをしないと、抜け毛が体に残り、毛玉ができやすくなります。毛玉ができると、それが皮膚に刺激を与えたり、血行を妨げて皮膚トラブルを引き起こすこともあるため、こまめにブラッシングを行い、抜け毛を取り除くことが大切です。
トリミングが必要な犬種と不要な犬種
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トリミングが必要な犬種と不要な犬種について以下で解説します。
トリミングが必要な犬種
トリミングが必要になるのは、毛が長く、毛質が特徴的な犬種です。この犬種は、毛が絡まりやすく、定期的な手入れをしないと見た目が悪くなるだけでなく、皮膚疾患を引き起こすこともあります。以下の犬種は、定期的なトリミングが欠かせません。
- プードル
プードルはそのサイズによって分類され、トイプードルからスタンダードプードルまで、すべてのサイズでトリミングが必要です。毛が伸び続けるため、毛玉ができやすく、毎日のブラッシングが必須です。夏場は2〜3週間に1回、その他の季節では月に1回程度のトリミングが理想的です。 - シュナウザー
シュナウザーは、その愛らしいまつげが特徴的な犬種です。抜け毛は少ないものの、毛が硬くて早く伸びるため、月に1度のトリミングが必要です。清潔さを保ち、美しい外観を維持できます。 - テリア
テリア種はシルクのような艶やかな被毛が魅力的で、見た目を保つためには定期的な手入れが欠かせません。毛が伸びるのが早く、絡まりやすいため、毛玉ができやすいです。そのため、定期的なトリミングが必要です。
これらの犬種は、毛の成長を健康的に保ち、見た目を美しく保つために定期的なトリミングが求められます。
また、トリミングを行うことで皮膚病を予防し、清潔感を保ちます。
トリミングが不要な犬種
以下の犬種は、トリミングの頻度が低く、特別な手入れをしなくても過ごしやすい犬種です。
- チワワ
チワワは、小柄で活発な犬種で、その可愛らしい外見と元気な性格です。体重はおおよそ1.5〜3kg程度で軽量です。毛は短毛種と長毛種があり、それぞれの毛質に応じてケアが必要ですが、トリミングは頻繁には必要なく、ブラッシング程度で済みます。 - 柴犬
柴犬は、日本原産の中型犬で、その忠実さと独立した性格が魅力的です。体高は30〜40cm程度、体重は8〜12kg程度で、頑強な体型が特徴です。
柴犬は、毛が短くダブルコートですが、換毛期にブラッシングが必要なことがあります。トリミングはあまり必要なく、換毛期に合わせて定期的なブラッシングを行うことで十分です。 - パグ
パグは小型犬で、その独特な顔立ちと愛嬌たっぷりな性格で愛されています。体重は6〜9kg程度、体高は25〜30cm程度で、がっしりとした体型をしています。
パグは短毛種でトリミングが必要なことは少なく、定期的なブラッシングと耳の手入れが主なケアになります。 - ビーグル
ビーグルは、明るく社交的な性格で、優れた嗅覚を持つ中型犬です。体高は33〜41cm程度、体重は9〜11kgで、短毛の被毛が特徴です。
ビーグルは、換毛期に抜け毛が増えるため、ブラッシングが有効とされているようですが、トリミングはほとんど必要ありません。 - ボーダーコリー
ボーダーコリーは、とても賢く活発な犬種で、知能を活かしてさまざまなスポーツに参加します。体高は45〜60cm、体重は12〜20kgで、筋肉質でスリムな体型をしています。
ボーダーコリーの被毛は短毛と長毛の2タイプがあり、短毛タイプはあまり手入れが必要ありません。長毛タイプでも、トリミングの頻度は低く、ブラッシングが重要です。
犬のトリミングはいつから?
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子犬がトリミングを受けるタイミングは、生後何ヵ月というよりも、狂犬病やワクチン接種が完了していることが大切です。ワクチン接種が終わった生後3ヵ月頃からトリミングが可能とされているようです。
また、トリミングサロンによっては、ワクチン接種後1週間が経過していればトリミングを受けられる場合もあります。サロンによっては、狂犬病やワクチン接種証明書を求めることもあるため、事前に確認しておくことが大切です。
トリミングサロンを利用する際の注意点
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トリミングサロンを利用する際の注意点は以下のとおりです。
トリミングサロンを選ぶポイント
トリミングサロンを選ぶときは、衛生管理がしっかりとされている環境であるかが大切です。使用する道具(バリカンやハサミなど)の適切な管理状態を確認することも必要です。
また、においへの配慮がない場合は衛生面に問題があるかもしれません。サロンのホームページで事前に情報を確認するだけでなく、実際に足を運んで愛犬と一緒に雰囲気を見て、オンラインのレビューも参考にしながら、快適で清潔なサロンを選ぶことをおすすめします。
事前に準備するもの
愛犬のトリミングをスムーズに進めるために、以下のようなペットの情報を整理しておくことが重要です。
【ペットの基本情報】
名前(例:タロウ、ハナコなど)
犬種(例:ヨークシャーテリア、プードル、コッカースパニエルなど)
性別(例:男の子、女の子)
生年月日(例:2019年6月10日生まれ、3歳6ヵ月)
好きなこと・苦手なこと(例:抱っこが好き、手足を触るのは苦手など)
現在治療中の病気や持病(例:白内障、脂漏症など)
アレルギーの有無(例:ノミアレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど)
【必要な証明書】
トリミングやグルーミングを受ける際には、ペットが過去1年以内に接種した狂犬病予防接種証明書と混合ワクチンの接種証明書が必要です。これらを必ず持参しましょう。
【かかりつけの動物病院】
グルーミング中に何かが起こった場合に備えて、かかりつけの動物病院の情報を伝えることが求められることがあります。皮膚疾患や心疾患を持っている愛犬の場合は、その情報をサロンに伝えることが重要です。
まとめ
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ここまで犬のトリミングをしないとどのようなデメリットがあるのかについてお伝えしてきました。犬のトリミングをしないとどのようなデメリットがあるのかの要点をまとめると以下のとおりです。
- トリミングとは犬の毛を整え、見た目を美しく保つために行う毛のカットや刈り取りの作業を指す
- トリミングの目的には、見た目の美しさだけでなく、健康を守るために必要である
- トリミングが必要な犬種にはプードルやシュナウザーなどが挙げられ、トリミングが不要な犬種にはチワワや柴犬などが挙げられる
犬のトリミングは、単なるケアだけでなく、健康を守るためにも欠かせないことです。毛のもつれや皮膚のトラブルを防ぎ、犬の快適さを保つためには、適切なトリミングを行いましょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。