猫の毛並みが悪いときに考えられる病気や確認すべきポイント、受診のタイミングを解説!

猫の毛並みが悪いときに考えられる病気や確認すべきポイント、受診のタイミングを解説!

生活のなかで猫の毛並みが悪いと感じることはないでしょうか。毛並みが悪くなる原因としては、生活環境によるものから、内臓の病気までさまざまなものが考えられます。

猫の毛並みが悪くなったときに考えられる病気や原因について知っておきましょう。また、毛並みが悪いときにあわせて確認しておきたいポイントや動物病院の受診の目安についても解説します。

猫の毛並みが悪いときに考えられる病気

猫の毛並みが悪いときに考えられる病気

病気によって毛並みが悪くなってしまうことがあります。毛並みや毛艶が悪くなる症状が現れる病気をいくつか紹介します。毛並みの悪化以外にも気になる症状が見られた場合は、動物病院を受診しましょう。

皮膚炎や寄生虫

皮膚炎や寄生虫によるアレルギーによって、毛並みの悪化が起こることがあります。

油っぽくべたついている場合は、皮脂の分泌異常が起きている可能性があります。カビやストレスによっても皮膚炎は起こりますので注意の必要な病気です。

ノミやマダニ、回虫などが猫に寄生する寄生虫が原因になることもあります。寄生虫に感染すると、抜け毛やかゆみが現れ、引っかき行動が出ることもあります。かゆがる様子や引っかき傷がある場合には、外部寄生虫がいないか確認しましょう。

体内の寄生虫には、回虫や鉤虫があります。元気がなくなる、嘔吐、下痢、便秘などの症状が見られる場合にはお腹の虫である内部寄生虫が原因の可能性があり注意が必要です。

腎臓病・肝臓病などの内臓疾患

お腹のなかのトラブルや病気によって、毛並みが悪くなっている可能性もあります。

慢性胃腸炎や巨大結腸症は猫の消化器系の病気です。これらの病気によって下痢や便秘、食欲不振が長く続くと、十分に栄養を取ることができずに毛並みや毛艶が悪化することがあります。

猫は腎臓の病気にかかりやすい動物といわれ、糸球体腎炎や慢性腎臓病になると、多飲多尿、嘔吐、下痢といった症状が現れます。これらの脱水症状によって、毛割れが起きることもあります。特に高齢な猫では腎臓病に注意しましょう。

毛並みが悪くなる以外にも、元気がない、食欲がないなど、普段と違う様子が見られた場合は、動物病院で相談することをおすすめします。

甲状腺機能低下症などのホルモン異常

甲状腺などの内分泌系の臓器に異常が起きている場合も、毛並みの悪化が見られることがあります。高齢の猫の場合は、甲状腺機能亢進症を発症することが少なくありません。

甲状腺機能亢進症は高齢の猫に見られます。興奮状態になる、食欲は旺盛だが痩せる、多飲多尿、嘔吐、下痢などの症状のほか、脱毛や毛艶の悪化といった症状が出ることがあります。

猫の毛並みが悪くなる主な原因

猫の毛並みが悪くなる主な原因

病気以外の場合の毛並みが悪くなる主な原因を紹介します。このほかにも換毛期や冬場の乾燥などによって毛並みに変化が起こることもあります。愛猫の身の回りの環境を観察し、原因となるものがないかをチェックしましょう。

栄養不足や偏った食事

猫の被毛は主にたんぱく質によってつくられています。そのため、健康な被毛の育成には、たんぱく質と必須脂肪酸の栄養バランスを取ることが大切です。

猫は肉食動物であるため、キャットフードから肉や魚といった動物性たんぱく質を摂取する必要があります。キャットフードのなかには穀物類をたくさん含むものがあるため、フード選びの際には、品質や含有している栄養素にも注意して選びましょう。

ただし、加齢や病気など、何らかの原因によって消化力や吸収力が低下して、食事から十分に栄養が摂取できず、栄養が行き届かないことが毛並みの悪化の原因となっていることもあります。

毛づくろい不足やストレスの影響

猫は自分でグルーミングと呼ばれる毛づくろいを行うことで、整った毛並みを保つことができています。そのため、毛づくろいをしなくなってしまうことで、毛並み悪化につながるケースもあります。

猫が毛づくろいをしなくなるのは、以下の原因が考えられます。

  • 口内炎
  • 肥満
  • 加齢

口内炎によって痛みが生じている場合や、肥満で舌が届かない場合、動くのが億劫な場合などが挙げられるでしょう。

通常、猫はストレスを感じた際に、自分を落ち着かせるために毛づくろいをする習性があります。ただし、ストレスを多く感じたときには過剰に毛づくろいをしてしまうことがあり、その影響で毛並みがかえって悪化してしまうケースも見られます。

加齢や病気による毛並みの変化

加齢は毛並みの悪化にもつながります。猫の個体差はありますが、一般的には7歳以上はシニア期といわれています。人間と同じように、猫も老化によって毛の質が落ちたり毛量が減ったりすることがあります。

猫の毛並みが悪いと感じたときに確認すべきポイント

猫の毛並みが悪いと感じたときに確認すべきポイント

猫の毛並みが悪化する原因のなかには思わぬ病気が潜んでいる場合もあります。毛並みが悪くなったと感じた際には、その他に気になる点がないかをチェックしましょう。具体的に確認しておくべきポイントをご紹介します。

毛のパサつき・抜け毛の増加

食事の栄養バランスが偏っていたり、油分を控えすぎたりすることで、毛のパサつきが見られることがあります。肥満対策のためであっても、栄養の偏りは避けるべきです。

内臓の病気によって脱水症状が起きている場合や、口内炎によってグルーミング不足になっている場合にも、毛のパサつきが見られます。

抜け毛はストレスや病気によって起こる症状のひとつです。換毛期ではないのに大量の毛が抜けるとき、一部分のみ脱毛しているときなどは、別の疾患が疑われます。

皮膚の赤みやフケなどの異常

赤みやフケなどの皮膚の異常が見られた場合には、皮膚炎などにかかっている可能性があります。

  • ノミアレルギー性皮膚炎
  • 食物アレルギー
  • 猫アトピー

これらが、猫の三大皮膚炎といわれています。

皮膚に赤い発疹があると皮膚炎が疑われます。ノミが寄生している場合には、毛に黒いゴマのような形状のノミの糞が付着していることがあります。ブラッシングの際には毛に異物が付いていないかもチェックしましょう。

皮膚のトラブル以外にも、内臓の病気によって皮膚に異常が出ていることもあります。発疹、赤み、フケ、かさぶた、しこり、傷がある場合、猫が特定の場所を舐めたり気にしたりする様子が見られる場合には、動物病院で原因を調べてもらいましょう。

食欲や行動の変化がないか

食欲の低下や元気がない様子が見られる場合には、何らかの病気にかかっている可能性があります。

内臓の病気の場合には、嘔吐や下痢を起こすこともあるでしょう。元気がなかったり、体を気にする様子が見られたりといった、普段と違う行動が目に付く場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

猫の毛並みが悪いときに動物病院を受診すべきタイミング

猫の毛並みが悪いときに動物病院を受診すべきタイミング

猫の毛並みが悪化する背景には、重大な病気にかかっている可能性もあります。それでは、具体的にはどのような場合に動物病院を受診したらよいのでしょうか。受診すべきタイミングについてご紹介します。

体調不良が見られる場合

食欲不振はさまざまな疾患で見られる症状のひとつです。食欲のなさに加えて元気がない場合には、膵炎、腎臓病、糖尿病、がん、心臓病といった重大な病気である可能性もあります。下痢や嘔吐がある場合には、消化器系の内臓にトラブルが起きていることを視野にいれましょう。

ぐったりしている場合や足元がおぼつかなくなっている場合などは、緊急性が高い病気にかかっている恐れがあります。明らかに普段よりも元気がない様子が見られたら、その他の症状の有無を問わず、早めに動物病院を受診してください。

皮膚に傷や腫れが確認できる場合

皮膚に傷やかさぶたがある場合は、その状態をよく観察しましょう。

  • 黄色や緑色などの膿を伴う傷がある
  • 皮膚が湿っている
  • 患部が増えたり広がったりしている

これらの状態は、単なる怪我ではない可能性があります。赤みや腫れがあり、痛みが出ている場合は炎症性の腫瘍が疑われます。

しこり(腫瘍)がある場合には、特に注意が必要です。

腫瘍には良性と悪性があり、良性の場合には乳頭腫、毛芽腫、脂肪腫などの痛みの症状が出ないことがほとんどです。悪性の場合は、リンパ腫、肥満細胞腫、乳腺腫瘍、扁平上皮癌といった重大な病気の可能性があります。腫瘍や腫れが放っておいても問題ないものなのかは、飼い主が判断するのは難しいでしょう。しこりを見つけた場合には、早急に動物病院を受診してください。

長期間、毛並みの改善が見られない場合

原因がわからないまま長い間毛並みが悪い状態が続く場合には、原因特定のためにも動物病院で検査をしてもらいましょう。

食欲や体に変化が見られなくても、毛並みが悪い状態が続いているときは、何らかの原因や病気が潜んでいる可能性があります。動物病院を受診する際には、普段食べている食事の内容、トイレ、普段の様子などを正確に伝えましょう。

猫の毛並みを改善するための対策とケア方法

猫の毛並みを改善するための対策とケア方法

病気ではない場合に、猫の毛並みを改善するための対策やケア方法にはどのようなものがあるのでしょうか。自宅でできる毛並みの改善方法をご紹介します。

バランスの取れた食事と栄養補給

猫の毛並みを保つには、バランスの取れた食事と適切な栄養補給が肝心です。

被毛は食事から摂取するたんぱく質によって作られます。よい毛並みのためには、動物性たんぱく質を含み、バランスが整ったキャットフードを与えましょう。毛並みの悪化が見られる場合には、フードの内容を見直すこともひとつの方法です。高たんぱく質で、余計な添加物を使用していない良質なキャットフードが望ましいです。栄養成分や内容をよく確認して、きちんとフードを選んであげることが大切です。場合によってはサプリメントで栄養補給することもよいでしょう。

フードやサプリメントは、猫の体に合わない場合もあります。食事内容の見直しを行う場合には、体調や様子を見ながら徐々に切り替えるようにしましょう。

ブラッシングや定期的なグルーミング

猫は自分でグルーミングをする習性がありますが、上手にできる猫ばかりではありません。定期的に飼い主がブラッシングをしてあげることで、整った毛並みを保つことができます。

ブラッシングの際には、猫用のブラシでスキンシップを取りながら行いましょう。猫が嫌がっている場合には、無理やりブラッシングを行うことでストレスを与えてしまいます。

触られるのを嫌がる部位には触れないようにするのがポイントです。猫が気持ちよさを感じられるブラッシングを心がけましょう。

生活環境の見直し

部屋やベッド、トイレなどを清潔に保つことは、美しい毛並みを保つためにも大切です。

毛並みが悪くなっているときには、掃除の頻度を上げるなど、猫の生活環境がきれいになっているかを見直しましょう。

乾燥も猫の毛並みの悪化の原因になってしまいます。加湿器の設置や濡れタオルを部屋干しするなど、加湿することで毛並みの悪化を防げます。特に冬場は乾燥しやすくなるので、生活空間の湿度にも気遣ってあげるとよいでしょう。

ストレスを感じる環境がないかチェックすることもポイントです。運動が足りているか、大きな音や騒音はないか、トイレや爪とぎはリラックスした環境でできているかなど、生活環境のなかのストレス要素を取り除くことで、毛並みの改善が期待できます。

まとめ

猫の毛並みが悪くなる原因としては、加齢、栄養の不足や偏り、毛づくろい不足が考えられます。毛並みを改善するには栄養バランスの整った食事、定期的なブラッシング、生活環境の見直しが有効です。

その他にも、皮膚病や内臓疾患などの何らかの病気によって毛並みが悪くなっている可能性もあります。毛並みの悪化以外に、皮膚や体調、猫の様子に異常を感じた場合には、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

参考文献