犬や猫のしつけ教室とは?しつけ教室のメリット・デメリットや選び方を解説!

犬や猫のしつけ教室とは?しつけ教室のメリット・デメリットや選び方を解説!

犬や猫のしつけに悩んでいる飼い主さんは多いのではないでしょうか?「吠え癖を直したい」「トイレの失敗を減らしたい」「愛猫に適切な行動を身につけさせたい」など、ペットとの生活をより快適にするために、しつけはとても重要です。

本記事では犬や猫のしつけ教室について以下の点を中心にご紹介します。

  • しつけ教室とは
  • しつけ教室を行っている場所
  • しつけ教室・トレーナーの選び方

犬や猫のしつけ教室について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

しつけ教室について

しつけ教室とはどのようなものなのでしょうか。以下で詳しく解説します。

しつけ教室とは

犬のしつけ教室は「犬のための学校」であると同時に「飼い主が正しいしつけ方を学ぶ場」でもあります。子犬の時期から通い、基本的なしつけを身につけさせるケースもあれば、成犬になってからトイレトレーニングや無駄吠えの改善、散歩時のマナーなどの問題行動を修正する目的で利用する場合もあります。

また、しつけ教室にはさまざまな種類があり、日常的なマナーを教えるものから、アジリティー(障害物競走)やオビディエンス(服従訓練)など、競技会向けのトレーニングを提供する教室もあります。

しつけ教室では、専門のトレーナー(ドッグトレーナー・インストラクター)が指導を担当し、飼い主が適切なしつけ方法を学べるようサポートします。トレーナーにはさまざまな資格や認定制度があり、警察犬の訓練など高度なトレーニングを行う指導者もいれば、家庭犬向けのしつけを専門とする講師もいます。

猫のしつけ教室とは

「猫はしつけができない」と思われがちですが、それは誤解な場合があります。猫も犬と同じように、適切な環境と接し方を通じて、さまざまなことを学ぶことができます。

ただし、猫のしつけに関する問題の多くは、飼い主さんの環境の整え方や接し方の違いによって引き起こされることが少なくありません。例えば、トイレの失敗や家具を引っ掻くといった行動も、猫の本能に配慮した環境を整えることで改善できるケースが多いようです。

そのため、しつけを学ぶのは猫だけでなく、飼い主さん自身も正しい知識を身につけることが大切です。

猫のしつけ教室では、猫とのよりよい関係を築くための方法や、快適に暮らすための環境作りのポイントなどを学ぶことができます。

また、AHA認定こいぬこねこ教育アドバイザー(旧:パピーケアスタッフ)のように、動物病院などで子猫のしつけや健康管理を専門的にサポートする資格を持った専門家もいます。

譲渡後のペットを対象としたしつけ教室とは

譲渡後のペットを対象としたしつけ教室は、動物と飼い主が快適に共生できるようサポートすることを目的としたプログラムです。これはドッグスクールやしつけ教室とは異なり、「服従訓練」や「高度なトレーニング」を行う場ではなく、新しい環境に慣れるための基本的なルールを学び、適切な飼育方法を普及させることが主な目的となります。

行政が開催するしつけ教室では、以下のような目的が重視されています。

  • 動物愛護の意識向上
    動物を家族として迎えた責任を再認識し、適切なケアを学ぶ機会を提供
  • 適正な飼養の確認と指導
    譲渡後のペットが健康的に暮らせているか、適切な飼育環境が整えられているかを確認し、必要に応じたアドバイスを行う
  • トラブルの未然防止
    近隣への迷惑や、吠え癖・トイレトレーニングの問題などを事前に対策し、円滑なペットとの暮らしを支援

しつけ教室を依頼すべき状況やタイミング

愛犬のしつけを外部に依頼するかどうかは、飼い主の間でも意見が分かれることがある問題です。家族のなかで「しつけのプロに頼るべきだ」と考える方もいる一方で「家庭内のしつけで十分」と思う方もいるかもしれません。

しかし、愛犬の行動やしつけの進捗を冷静にチェックし、外部のサポートが必要かどうかを見極めることが大切です。

以下のような行動が見られる場合は、しつけ教室の利用を検討するタイミングといえるでしょう。

1.主従関係が曖昧になっている

犬は本来、群れのなかでの上下関係を意識する動物ですが、飼い主をリーダーとして認識していないと、問題行動につながることがあります。

例えば、以下のような行動が見られる場合は、愛犬が飼い主を自身より下の立場だと誤解している可能性があります。

  • 名前を呼んでも反応しない
  • 指示を無視する
  • 体を触らせない、抱っこを嫌がる
  • お腹を見せない
  • 飼い主の上に乗ってくる
  • 吠えたり唸ったりして要求を通そうとする

こうした行動が続くと、飼い主との関係が悪化し、しつけがさらに難しくなるため、早めに専門家のアドバイスを受けることが重要です。

2.吠え癖・噛み癖が改善しない

愛犬の無駄吠えや噛み癖がなかなか直らない場合も、しつけ教室を活用するタイミングです。

  • 来客時や散歩中に過剰に吠える
  • 家具や飼い主の手を頻繁に噛む
  • ほかの犬に対して攻撃的な態度を取る

このような行動は、ほかの犬に迷惑をかけるだけでなく、愛犬自身のストレスにもつながることがあります。家庭でのしつけがうまくいかない場合は、獣医師の指導を受けることで、よりよいトレーニング方法を学べるでしょう。

3.危険な行動をする

散歩中に車道へ飛び出そうとする、ほかの犬に向かって急に突進するなど、事故やケガのリスクのある行動を取る場合も、早急なしつけが必要です。

また、強い引っ張り癖がある犬は、散歩中に飼い主がコントロールできなくなることもあります。このような状況では、しつけ教室で適切な歩行トレーニングを学ぶことで、よりよい散歩ができるようになります。

しつけ教室を行っている場所

しつけ教室を行っている場所は以下のとおりです。

動物病院

犬の問題行動の原因は、単なる性格やしつけの問題だけではなく、身体的な疾患が関係している場合もあります。例えば、慢性的な痛み、ホルモンバランスの乱れ、肝機能の異常などが影響し、普段と異なる行動を引き起こすことがあります。

そのため、しつけのアプローチを考える前に、まずは健康状態をしっかりと確認することが大切です。

また、脳内ホルモンの代謝異常が関連しているケースもあり、必要に応じてホルモン調整の薬を用いたトレーニングが有効となることもあります。こうした場合、獣医師がカウンセリングを行うことで、問題行動の根本的な原因を診断し、適切なトレーニング方法や治療の提案が可能になるとされています。

さらに、必要に応じて医療的なサポートや薬の処方が受けられるのも、動物病院ならではの強みです。(※診断や薬剤処方には対面での診察が必要です。)

ペットショップ・ペットホテル

最近では、一部のペットショップでしつけ教室を実施している店舗もあり、子犬向けの「パピーパーティー」やマンツーマンで学べるプライベートレッスンなど、さまざまなプログラムが用意されています。

また、そのペットショップで購入した犬限定で、割引や初回無料の特典が受けられることもあり、しつけを気軽に始められるメリットがあります。飼い主が安心してしつけを学べる環境が整っているため、初めて犬を迎えた方にとって便利な選択肢です。

さらに、ペットホテルを併設し、犬が泊まり込みでしつけを受けられる施設もあります。例えば、合宿形式のしつけトレーニングを実施している施設では、専門のトレーナーが集中的に指導を行い、基本的なルールを身につけるサポートをしています。

個人ドッグトレーナーの訪問・教室

個人のドッグトレーナーは、飼い主の依頼を受けて直接しつけを行うほか、ドッグランや動物病院、イベントなどで定期的にしつけ教室を開催することがあります。また、トレーナーによっては、出張トレーニングを利用し、飼い主の自宅でマンツーマン指導を行うケースもあります。

犬の保育園・幼稚園

犬の保育園や幼稚園では、愛犬が定期的に通ってしつけを学ぶスタイルと、一定期間預けて集中的にトレーニングを受けるスタイルの2つがあります。

こうした施設では、送迎サービスを提供しているため、仕事や家事で忙しい飼い主にとって利便性がよいのも特徴です。また、しつけに加えて、ペットホテルやトリミングなどのサービスを併設している施設もあり、総合的なケアを受けられるのも大きなメリットです。

行政など

自治体の保健所や動物愛護団体が主催するしつけ教室を開催していることもあり、手頃な価格で参加できるのが特徴です。なかには無料や数百円程度で受講できるケースもあるため、費用を抑えてしつけを学びたい方にとって魅力的な選択肢です。

ただし、定員が限られていることがあり、自治体によっては開催されていない場合もあるため、事前にお住まいの地域の自治体に問い合わせて確認することが重要です。

また、警察犬訓練所では、警察犬を育成するだけでなく、一般家庭の犬も訓練を受けることが可能とされています。こうした訓練所では、高度なしつけや服従訓練を受けることができる一方で、費用は1ヵ月あたり数万円、期間は3ヶ月〜半年程度と長期間に及ぶため、利用を検討する際は慎重に考える必要があります。

しつけ教室・トレーナーの選び方

しつけ教室を選ぶ際に大切なのは、愛犬に合った環境やトレーニング方法であるかどうかです。価格や利便性だけを基準に選んでしまうと、思うような結果が得られないこともあるため、細かいポイントまでしっかり確認することが重要です。

以下でトレーナーの選び方をご紹介します。

  • トレーナーの指導方針を確認する
    「しつけ」や「トレーニング」と一言でいっても、トレーナーによって指導方法や考え方は異なります。トレーナーの経験や学んできた手法によって、100人いれば100通りのトレーニングスタイルがあると考えてもよいでしょう。
    例えば「〇〇式トレーニング」や「〇〇を用いたしつけ」など、さまざまな手法が存在します。どの方法も、そのトレーニングで問題行動が改善した犬がいれば間違いではなく、大切なのは、その方法が自身の愛犬に合っているかどうかです。
    また、飼い主自身が納得し、実践できるかどうかも重要なポイントです。愛犬の性格や飼育環境を考慮しながら、適切なしつけ方法を選ぶようにしましょう。

  • 施設の衛生管理
    トレーニングスペースやドッグラン、犬が過ごす環境が清潔に保たれているかどうかも重要です。不衛生な環境では、感染症のリスクが高まり、食糞や体の汚れなどの問題が発生する可能性もあります。
    一部の施設では、防疫対策やほかの犬の興奮を抑えるために見学エリアが制限されていることもありますが、気になる場合は事前にスタッフに相談してみるとよいでしょう。

  • 料金体系を確認する
    トレーニングにかかる費用を事前に明確にしておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。例えば、食事代・シャンプー代・出張費などが料金に含まれているのか、それとも別途費用が発生するのかを確認しておきましょう。
    特にホームステイ型のしつけ教室では、多くの施設が預かり期間を設定しており、3ヵ月程度を想定しておく必要があります。思っていたよりも費用がかかり「満足のいくトレーニングが継続できなかった」とならないよう、計画的に選びましょう。

  • トレーナーと飼い主の相性
    しつけ方法と愛犬の相性が大切なように、トレーナーと飼い主の相性も重要です。最終的には、トレーナーが指導してきた内容を飼い主が引き継ぎ、継続的にしつけを行っていくことが必要になります。
    そのため、トレーナーの考え方に納得し、長期的に実践できる方法であるかどうかを見極めることが大切です。

  • 引き継ぎトレーニングの有無
    愛犬のしつけは、最終的に飼い主が責任を持って継続していくものです。そのため、トレーナーからの引き継ぎトレーニングがあるかどうかも、しつけ教室を選ぶ際の重要なポイントになります。

通い形式のメリット・デメリット

通い形式のメリット・デメリットの例をご紹介します。

メリット

  • パピートレーニングや社会化に特化しており、子犬同士が触れ合いながら学べる環境が整っている
  • 体験入園を実施している施設が多いとされ、入園後のイメージがしやすい
  • 深刻な問題行動が出ているわけではないが、基本的なしつけ(パピートレーニング)を行いたい方に推奨される
  • トイレトレーニングの習得や、軽度な吠え癖などの改善を希望する飼い主にとって有効とされる選択肢

デメリット

  • 通園の手間がかかるが、送迎サービスを提供している教室もある
  • 教室によってはグループレッスンのみ、または1対1の個別レッスンのみの場合があるため、事前に体験入園を利用して情報を集めることが重要

訪問形式のメリット・デメリット

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訪問形式のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット

  • 自宅にトレーナーを招くことで、学んだことが日常生活に反映されやすい
  • 普段過ごしている自宅やその周辺でトレーニングを受けられるため、人見知りや犬見知りが強い犬、環境の変化に敏感な犬に推奨される
  •  家族全員が直接トレーナーと相談できるため、一貫したしつけがしやすい
  • すでに問題行動が見られる場合でも、家族全体で解決に向けて取り組める環境が整うため、しつけを継続しやすい

デメリット

  • 週1〜3回、自宅でレッスンを受ける必要がある
  • ほかの犬と触れ合う機会はなく、犬同士の交流を目的としたトレーニングは行われない

長期預かり・合宿形式のメリット・デメリット

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長期預かり・合宿形式のメリット・デメリットは以下のようなものが挙げられます。

メリット

  • トレーナーが24時間体制で管理し、毎日継続的にレッスンを行うため、問題行動の改善効果が期待できる
  • しつけが難しく、手に負えない程問題行動が深刻化している犬におすすめのトレーニング方法

デメリット

  • 愛犬と離れる期間があり、面会ができない場合もある
  • 預けるためトレーニングの進捗が見えにくいこともあるが、オンライン配信や日々のレポート・写真を提供している施設もある
  • 犬がトレーニング終了後自宅に帰った後、オーナーとの信頼関係・主従関係がしっかり築けていなければ元の状態に戻りやすい

しつけ教室の注意点

しつけ教室の注意点は以下のとおりです。

  • 費用が高額になることもある
  • 飼い主の指示を聞かなくなる可能性
  • トレーナー選びが難しい
  • 効果が出るとは限らない

まとめ

ここまで犬や猫のしつけ教室についてお伝えしてきました。犬や猫のしつけ教室についての要点をまとめると以下のとおりです。

  • 犬のしつけ教室は「犬のための学校」であると同時に「飼い主が正しいしつけ方を学ぶ場」でもある
  • しつけ教室を行っている場所は、動物病院やペットショップなどが挙げられる
  • しつけ教室の選び方には、施設の衛生管理やトレーナーと飼い主の相性などが挙げられる

犬や猫のしつけ教室は、ペットが社会性を身につけ、飼い主との関係をよりよいものにするための大切な場です。しつけ教室を活用することで、問題行動の改善だけでなく、飼い主自身も正しいしつけ方法を学び、日常生活に活かすことができます。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。