「犬や猫の様子がいつもと違う」「散歩を嫌がるようになった」など、もしかしたら心臓病かも?と不安を抱えていませんか。
大切なペットが心臓の病気かもしれないと考えるだけで、心配は尽きないものです。
本記事では、心臓病に関する情報をわかりやすく解説し、心臓病の種類や症状や早期発見に役立つポイントを詳しくご紹介します。
心臓病と診断されても、適切な治療を受ければ多くのペットは良好な状態を保てます。
愛犬、愛猫を守る第一歩として、ぜひ最後まで目を通してみてください。
犬によくみられる心臓病の種類

犬によくみられる心臓病の種類は、主に3つです。
- 僧帽弁閉鎖不全症
- 犬フィラリア症
- 先天性心疾患
これらの心臓病は、犬の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、早期に発見する必要があります。 以下に、それぞれの病状について詳しく解説していきます。
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は、僧帽弁の異常により血液が左心室から左心房へ逆流し、肺水腫や呼吸困難といった症状を引き起こします。犬によくみられる心臓病で、心臓病全体の75〜80%を占めています。
この病気の原因は、加齢による弁の変性や心臓の弁を支える弁輪の拡張、僧帽弁逸脱症などです。 診断は身体検査やレントゲン、心臓超音波検査を通じて行われ、治療法には内科的治療と外科的治療の2つのアプローチがあります。
内科的治療は症状の緩和を目的とする治療法であり、弁の構造的な異常は治療できません。 したがって、僧帽弁閉鎖不全症を根本的に治すには外科的治療が必要です。
特に僧帽弁修復術は、犬の予後を大きく改善する可能性があり、手術を受けた犬の93%が38ヶ月以上生存したというデータもあります。早期の発見により、悪化する前に治療すると良好な結果が得られるので、心臓病のおそれがある場合は早めに病院を受診しましょう。
犬フィラリア症
犬フィラリア症とは、蚊によって媒介される寄生虫による病気で、主にDirofilaria immitisという線虫によって引き起こされます。犬が蚊に刺されると線虫の幼虫が身体内に侵入し、犬の心臓や肺動脈に寄生して発症するのが一般的です。 感染初期は無症状ですが、感染の進行度に伴って一般的に以下の症状が見られます。
- 咳
- 運動を嫌がる
- 疲れやすい
- 体重減少
- 食欲不振
- 呼吸困難
- お腹に水が貯まる
重症化すると、心不全症状や突然死のリスクが高くなるため、早めの治療が重要です。犬フィラリア症と診断された場合、寄生虫の寿命を短くする薬物療法と直接除去する外科的治療の選択肢があります。
しかし、なにより犬フィラリア症には予防薬による事前の対策が重要です。定期的に予防薬を投与すると、仮にフィラリアに感染しても幼虫の段階で駆除することができ、心臓への寄生を阻めます。 愛犬を守るためにも、予防を徹底しましょう。
先天性心疾患
犬の先天性心疾患は、先天的な構造異常が原因により心臓に過度な負荷をかける病気です。特に多くみられる病名は以下の3つです。
- 動脈管開存症(PDA)
- 大動脈狭窄症(AS)
- 肺動脈狭窄症(PS)
先天的な構造上の問題があると、血液の流れや心臓のポンプ機能に支障が生じ、運動耐性の低下や成長不良などの症状が現れます。種類によっては症状が軽微な場合もありますが、重症の場合は呼吸困難や突然死のリスクを伴うので注意が必要です。
先天性心疾患の診断は、聴診や超音波検査を通じて行われ、治療法は内科的な薬物療法か外科的手術が選択されます。軽度な場合だと、高齢になるまで気付かれないケースもあります。
心雑音を指摘された場合や運動時の咳・呼吸困難などの異常がみられる場合は、できるだけ早く獣医に相談し、必要な検査を受けることが大切です。
適切な治療と定期検診を行い、愛犬ができるだけ健康に過ごせるようサポートしていきましょう。
心臓病を発症した犬によくみられる症状

心臓病を患った犬には、以下の症状がよく見られます。
- 心拍・呼吸が早い・咳が出る
- 動きたがらない・散歩の距離が減る
- 失神する
いずれかの症状がみられる場合は、心臓に異常がある可能性が高いので注意が必要です。一つ一つ詳しく解説しますので、もしものときのために、知っておきましょう。
心拍・呼吸が早い・咳が出る
心臓病を発症した犬によくみられる症状は、心拍数や呼吸数の増加です。特に僧帽弁閉鎖不全症になると、心臓が徐々に大きくなり、血液を全身に送り出せなくなることで咳や呼吸困難を引き起こします。
また、血液の循環不全により肺へ水が貯まると、呼吸異常につながるケースがあります。犬の咳はいわゆる「コンコン」だけではなく「ゼーゼー」や「ゲッ、ゲッ」といった吐き気があるような咳の音の場合、心臓病による可能性が高いので要注意です。
普段とは違う呼吸の異常や咳の音がみられる場合は、早めに獣医さんに相談し、適切な検査と診断を受けることが重要となります。
動きたがらない・散歩の距離が減る

心臓病を発症すると、運動量が極端に減ったり、散歩や遊びを嫌がったりするようになります。 心臓のポンプ機能が低下して血液を十分に全身へ送れないため、犬が疲れやすくなり、呼吸が苦しくなる状況を回避しようとするからです。
心臓病の場合は運動の制限が必要なため、運動させるときは無理のない範囲で抑え、散歩のときはこまめな休憩が必要です。 発症した場合は、血管拡張剤や強心薬、利尿を促す薬などを使い、心臓や肺への負担を軽減します。
失神する
心臓の機能が落ちると脳への血流が一時的に不足し、心臓の機能不全や不整脈を引き起こして失神します。 犬の失神の原因で一般的によくみられるのが肺高血圧症です。
肺高血圧症は、 肺の血圧が高くなることで心臓の負担が増し、失神を引き起こします。 特に、心臓病が進行すると運動の後や興奮した後に失神するケースが見られます。
失神した犬は通常数秒から数分で意識が回復しますが、再発する可能性があるため注意が必要です。 犬の心臓病に伴う失神は、心臓の機能低下による血流不足かもしれないので、失神が見られた場合は近くの動物病院ですぐに診てもらいましょう。
猫によくみられる心臓病の種類
猫によくみられる心臓病の種類は、主に3つあります。 肥大型心筋症 拘束型心筋症 拡張型心筋症 猫の心臓病は、早期発見と適切な治療が大切です。
3つの心臓病について、さらに詳しく解説するとともに、飼い主さんが注意すべきポイントを紹介します。
肥大型心筋症
肥大型心筋症(HCM)は、猫の心臓の筋肉が厚くなることで血液をうまく送り出せなくなり、心臓の機能が低下する病気です。 初期の段階では症状がほとんど見られないため、飼い主が気付きにくいのが特徴です。
原因としては、遺伝的要因や甲状腺機能亢進症などが考えられ、治療は主に薬を使って心臓への負担を軽くします。 肥大型心筋症は重篤な状態に進行するリスクがありますが、適切な管理と治療によって猫が負担なく過ごせるようにできます。 日頃から猫の体調を細かく観察し、異常を感じたらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
拘束型心筋症
拘束型心筋症(RCM)とは、左心室や右心室がうまく拡張できずに、心臓の筋肉が硬くなる病気です。 通常、心臓の収縮機能は保たれていますが、猫によっては収縮機能が低下する場合もあります。
拘束型心筋症には、心内膜心筋型と心筋型の2つのタイプがあり、治療は血管拡張薬や利尿薬を使って心筋の負担を減らします。 拘束型心筋症は猫にとって深刻な病気で、早期発見と適切な治療が重要です。
生存期間の中央値は132日と短く予後が悪いため、少しでも異変があれば、すぐに動物病院で獣医に相談しましょう。
拡張型心筋症
拡張型心筋症(DCM)は、心臓の筋肉が薄くなり、心室の収縮する力が弱まることで血液を十分に送り出せなくなる病気です。 猫の拡張型心筋症は多くの場合原因が不明ですが、高血圧やタウリンの欠乏など二次的な要因も考えられます。
しかしタウリンがペットフードに添加されるようになってからは、猫における拡張型心筋症の症例数は減少し、犬に比べて発症数は少ない傾向です。
拡張型心筋症の根治治療はなく、血管拡張薬や強心薬などの投薬治療にて症状をコントロールしていきます。 病気が進行してしまった場合、突然死や心不全による命の危険があるため、早期治療や定期的な検査が重要です。
心臓病を発症した猫によくみられる症状
猫が心臓病を発症すると、呼吸や行動にさまざまな異変が見られます。
- 口を開けて荒い呼吸をする・咳が出る
- 食欲がない・元気がない
- 失神する
いち早く気付いてあげるためにも、代表的な症状をしっかりとチェックしておきましょう。
口を開けて荒い呼吸をする・咳が出る
心臓病の猫が見せる症状には、口を開けて荒い呼吸をしたり、咳が出たりします。猫は通常、鼻で呼吸をするため、口呼吸は危険なサインです。
口呼吸をしている場合、命に関わる病気が隠れている可能性が高く、すぐに動物病院への受診をおすすめします。 心臓病が原因で口呼吸や荒い呼吸がみられる場合、肺に水がたまる肺水腫や胸に水がたまる胸水が原因です。 肺や胸に水がたまると呼吸がしづらく、酸素を十分に取り込めなくなるため、呼吸困難に陥ります。
また、咳が出ることもありますが心臓病によるものか、猫喘息によるものか区別が必要です。 愛猫に口呼吸や咳の症状が見られた際は安静時の呼吸の数を測定し、肩で息をしていないか、舌の色が正常かの確認が大切です。
食欲がない・元気がない
心臓病の猫が食欲不振や元気がない場合、注意が必要です。 食欲がない、元気がないといった症状は心臓の機能が低下していることが原因で、身体全体のエネルギーや代謝に影響を与えているためです。
例えば心筋症や肥大型心筋症の猫では、ぐったりしている、食欲がないといった症状がよく見られます。 心臓が血液をうまく送り出せなくなると必要な栄養や酸素が不足し、食欲が減り、活動量も減少するためです。
さらに、心臓病が進行すると肺水腫が起こり、呼吸が苦しくなります。呼吸に異常が出ると、猫はぐったりし、食欲を失うことが多くなります。
そのため食欲がない、元気がないといった症状が見られた場合は、早めに獣医の診察を受けることが大切です。
足を引きずって歩く
猫が足を引きずって歩く場合、動脈血栓塞栓症の可能性が高く、特に心臓病を抱える猫では注意が必要です。 動脈血栓塞栓症になると、心臓内で形成された血栓が血流に乗って血管を塞ぎ、急激な痛みや麻痺を引き起こします。
血栓は血管が細くなる部位に詰まるため、多くは足に症状が現れます。 血栓が詰まると血の流れが滞り、うしろ足が冷たくなったり麻痺したりして動かせなくなって、足を引きずるようになるのです。
動脈血栓塞栓症は、肥大型心筋症をもつ猫にみられる合併症であり、多くは心臓病に関連して発生しています。
獣医は痛みの管理や心筋症の治療、血栓の予防を行い、必要に応じて血栓溶解療法や血栓を摘出する手術を検討します。 早めの対応が愛猫の命を救うため、異常を感じたらすぐに獣医に相談しましょう。
失神する
心筋症を抱える猫は、心機能の低下が原因で脳への血流が不足し、失神が引き起こされます。 特に肥大型心筋症の場合、運動によって心拍数があがると、心臓の機能がさらに低下してふらつきや失神することが多い傾向です。
また、不整脈により心臓の拍動リズムが乱れることで一時的に脳への血流が途絶え、意識を失います。 通常の診察では正常な脈が確認されるため、ホルター心電図を用いて24時間心電図を記録すると、心臓の状態を詳細に把握できます。
失神が見られた場合、心臓病の可能性を考慮し、獣医の診察を受けましょう。早期に失神の原因を特定し、適切な治療を行うことが重要です。
動物病院での心臓病の治療方法
犬や猫が心臓病を発症した場合、動物病院での診察と適切な治療が必要です。 心臓病は進行するとさまざまな症状を引き起こし、動物の生活の質を著しく低下させます。
早期発見と適切な治療により、症状の進行を遅らせ、動物の生活の質を維持することが重要です。 治療法は心臓病の種類や進行度、症状などに応じて異なりますが、主に薬物療法・食事療法・外科的治療で進めていきます。
心臓病の治療は、獣医師の診断と指導のもとで行われ、個々の動物の状態に応じた適切な治療計画を立てる必要があります。 早期発見と定期的な検査が心臓病の管理には不可欠です。大事なペットの様子がおかしいと感じたら、速やかに動物病院で診察を受けましょう。
動物病院での心臓病の治療費用
心臓病の治療は長期間になり、定期的な診察や検査が必要なため、治療費は高額になる傾向です。 動物病院での心臓病の治療費は、治療内容や動物の種類、病状の重症度によって大きく異なります。
具体的な治療法は、薬物療法や食事療法、外科的治療です。 費用は、検査や投薬の治療で月に約10,000〜40,000円(税込)、手術の場合は約700,000~1,500,000円(税込)かかります。
詳細な費用については、かかりつけの動物病院に相談し、見積もりを取ることが重要です。 さらにペット保険に加入している場合、治療費の一部が保険でカバーされるため、飼い主の経済的負担が軽減されます。 万が一の事態に備えて、ペット保険への加入を検討するとよいでしょう。
まとめ
犬や猫の心臓病にはさまざまな種類があり、早期発見と適切な治療が重要です。 心臓病は放置すると重症化し、命に関わる深刻な状態になる可能性が高い病気です。
また、症状が進行してからでは治療が難しく、医療費も高額になります。 例えば、咳が続く・呼吸が荒い・食欲がないという状態が続く場合、心臓病の可能性を疑う必要があるでしょう。
心臓病の治療には血管拡張薬や利尿薬による内科治療、手術による外科治療など、さまざまな選択肢があります。 犬の心臓病は一度発症してしまうと完治は困難ですので、予防と早期発見が何よりも重要になります。
定期的な健康診断を受け、異変を感じたらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
参考文献