ポメラニアンは、犬のなかでも警戒心や縄張り意識を強く持つ性格の子がいることから、しつけがむずかしいとの声が寄せられています。ただし、学習能力と記憶力に優れているため、時間をかけて信頼関係を築くことで素直で優しい子に成長します。
こちらの記事では、しつけ教室で学べる内容をお伝えしたうえで、ポメラニアンがしつけ教室に通うメリットや選び方などを解説します。家族に迎え入れたポメラニアンのしつけで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
しつけ教室で学べる内容

しつけ教室とは、愛犬が飼い主さん家族と穏やかに愛情深く生活するために必要なマナーやコミュニケーションを学ぶための学校のような場所です。「わざわざしつけ教室に通わせる必要があるのだろうか」「家でのしつけと何が違うの?」と気になっている飼い主さんもいるでしょう。
ここでは、犬のしつけ教室で学べる内容について解説します。
基本的なコマンドトレーニング
コマンドトレーニングとは、『おすわり』『まて』『よし』など基本的な指示を出して、それに対して特定の行動をとらせるトレーニングです。愛犬と飼い主さんの信頼関係を構築するために必要なコミュニケーション方法の一種です。基本的な3つのコマンドのほかにも、以下のようなものがあります。
- トイレ
- ハウス
- おいで
- ちょうだい
- ふせ
- ごろん
- バック など
ポメラニアンは学習能力と記憶力の高い犬種なため、根気よくしつけをすることでたくさんのコマンドを覚えてくれるでしょう。ただ、複雑すぎると理解できないため、必要なものを選択してしつけてもらうことが重要です。コマンドは統一する必要があるため、しつけ教室で習った言葉とハンドサインをそのまま引き継いで自宅でもトレーニングしてみてください。
問題行動の改善方法
ポメラニアンは警戒心が強い性格ゆえに、大きな声で吠えたり突然噛みついたりなどの問題行動を起こす子がいる犬種として知られています。子犬のときからしつけをしながら信頼関係を構築することで問題行動を予防できますが、成犬後も問題行動が目立つようであればしつけ教室に頼る選択もあります。
問題行動を改善するためのしつけ教室では、犬をよく観察して「なぜ噛み付くのか」「何に吠えているのか」を突き止めて、その原因に適したトレーニングを行います。散歩の時間、運動量、生活環境、お留守番の時間など、問題行動を起こす原因はさまざまです。また、保護犬の場合は、前の飼い主さんとの関係性によって自己防衛のために攻撃性が強くなっている事例もあります。
知識と経験が豊富な専門家が原因を突き止めてトレーニングすることで、飼い主さんとの信頼関係を構築するきっかけを作り出し、問題行動の改善を目指します。
飼い主さんとのコミュニケーション強化方法
しつけ教室では、犬のコマンドトレーニングや問題行動の改善のほかにも飼い主さんが愛犬に対してどのように接するべきかを学ぶ機会があります。
愛犬との信頼関係を構築するために、ただコマンドの言葉を発するだけでは十分とはいえません。ボディランゲージやハンドサイン、指示を出す声のトーンまで含めて意識することがポイントです。特にポメラニアンのように学習能力が高く賢い犬種は、声のトーンや表情を敏感に察知します。問題行動を起こしたときにどのように叱るべきか、よいことをしたときにどのように褒めるべきかを学べます。
愛犬と一緒に過ごすなかで飼い主さんが学んでいくことも可能ですが、しつけ教室ではプロが監修するため効率よくコミュニケーション強化を計れます。これにより、短期間で信頼関係を構築し、コマンド習得率の向上と問題行動の改善効果が期待できるでしょう。
ポメラニアンのしつけでしつけ教室に通うメリット

愛犬のしつけは自宅でも可能ですが、わざわざしつけ教室に通わせることでその子の性格や特性に適したトレーニングを受けられます。ポメラニアンは好奇心旺盛な性格ですが気が強い一面もあります。
ここでは、ポメラニアンのしつけ教室に通うメリットについて解説します。
性格を生かせるトレーニング環境
しつけ教室では、愛犬の性格に合わせて成長できるトレーニングメニューを組んでもらえるため、効率よくしつけを習得できます。ポメラニアンは好奇心旺盛な子が見られる犬種とされていますが、実際の性格には個体差があります。
しつけは根気よく続けなければならないトレーニングであり、犬の性格によって正しいしつけと間違っているしつけを見極めることはむずかしいです。自宅でしつけをしようとしたところ、なかなかうまくいかない場合は、根本的にトレーニング方法が間違っている可能性があります。
しつけは、生後2〜3ヶ月の子犬の頃から始めるとよいとされており、この時期にコミュニケーション方法や問題行動の予防を完結するためにも、不安があればしつけ教室を利用する選択を視野に入れてみてください。
小型犬特有の問題行動の改善
「大型犬よりも小型犬の方が攻撃的だ」といわれているのを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。これは、大型犬の方がほかの動物や人に攻撃したときに被害が大きくなることから、しつけを徹底されている傾向にある点が関係しています。一方の小型犬は、見た目のかわいさから多少吠えたり噛んだりしても大事にならないだろうと、しつけを厳しくしない飼い主さんがいて、問題行動が目立っているとの声も寄せられています。
ポメラニアンは警戒心の強さゆえに吠え癖がついてしまう子がいるため、子犬のうちからトレーニングをしてコントロールできるようにしつけなければなりません。しつけ教室では、飼い主さんへのアドバイスや指導も行っているため、小型犬特有の問題行動の改善と予防が同時に可能です。
社会性を身に付けやすい
生後3週間〜3ヶ月頃は、外部の環境やルールを柔軟に受け入れられる社会期に該当します。そのため、犬のしつけは生後3ヶ月までは簡単といわれていますが、それをすぎると警戒心や自我が芽生え始めて問題行動が増える傾向にあります。
一般的には生後8週間までは母親や兄弟など犬のコミュニティで生活することが推奨されていますが、それよりも早く家族に迎え入れることもでてくるでしょう。そこで、しつけ教室に通わせることで、ほかの犬と交流しながら犬同士の社会性やコミュニケーションスキルを身につけられるきっかけとなります。
ポメラニアンは温厚でフレンドリーな性格をしています。子犬の頃から社会性を身につけることで、成犬になってからも散歩やドッグランでほかの犬や人と楽しく過ごせるようになるでしょう。
【ポメラニアンのしつけ】しつけ教室の選び方

しつけ教室に通わせると決めた場合、ポメラニアンの性格をよく理解しているか、愛犬との相性があっているのかを判断することが重要です。
ここでは、ポメラニアンのしつけのためのしつけ教室の選び方について解説します。
しつけの経験豊富なトレーナーがいるか確認する
しつけ教室のトレーナーの質が悪いと、問題行動がまったく改善されないままトレーニングプランが終了してしまい、時間と費用の無駄になります。基本的なしつけをしたいのか、問題行動を改善したいのか、飼い主さんとしてアドバイスを受けたいのか、依頼内容を明確にして適切なアプローチをしてくれるしつけ教室を探しましょう。
しつけ教室のホームページなどをみると、トレーニング内容、理念などがみられるため、公開されている情報を判断材料にしてみてください。また、トレーナーになるための国家資格はありませんが、任意の民間資格が多数あります。
- ドッグトレーニングアドバイザー資格
- 犬のしつけインストラクター資格
- ドッグトレーナーライセンス など
しつけ教室に在籍しているトレーナーの保有資格を確認することで、トレーニングに必要な知識の有無を判断できます。
愛犬の性格に合うトレーナーが在籍しているか
トレーニングスキルや知識が豊富なトレーナーがいたとしても、必ずしも愛犬との相性がよいとは限りません。ポメラニアンは警戒心が強いため、初めて対面したトレーナーに拒絶反応をみせることもあるでしょう。一方で、好奇心の強さを生かして、楽しみながらコマンドを習得したり社会性を身につけられるトレーニングメニューが必要です。
経験豊富なトレーナー程、犬の性格を理解して、警戒心の強さから攻撃的な反応を示したとしても冷静に向き合ってもらいやすいです。特に人見知りの激しい子をしつけ教室に通わせたいと考えている場合は、体験入園からはじめてみることを推奨します。
まずは飼い主さんが愛犬の性格を理解していることは前提のうえで、体験入園に行った愛犬の反応やトレーナーと話した印象を総合的に評価して、判断しましょう。
愛犬の性格に合う教室の形式か
しつけ教室には、大きく分けて3つの形式があります。
メリット | デメリット | |
通いタイプ | 子犬トレーニングや社会適応に特化している体験入園できる基本的なしつけや軽度な問題行動のトレーニングができる | 愛犬の送迎が必要相性の悪い犬がいる可能性がある |
出張タイプ | 自宅でトレーニングするため実践しやすい環境が変わると緊張してしまう犬でも安心できる家庭での問題行動を改善できる | 週1〜3回程のレッスンを受ける必要があるほかの犬との交流がない |
預かりタイプ | 24時間体制で管理・トレーニングを受けられる飼い主さんでは手に負えないレベルの問題行動を改善できる | トレーニング期間中は愛犬に会えない可能性が高いトレーニングが終わってから信頼関係を築くための努力が必要 |
基本的なトレーニングや軽度の問題行動の改善を目指しつつ社会性を身につけさせたいのであれば、通いタイプや出張タイプが向いています。一方で、深刻な問題行動を改善したいのであれば預かりタイプが向いています。また、それぞれの形式のなかにもマンツーマントレーニングとグループトレーニングがあるため、しつけ教室に行く目的や愛犬の性格にあわせて使い分けが必要です。
教室の雰囲気やほかの犬との相性が合うか
はじめてのしつけ教室では、トレーナーやほかの犬とどのようにコミュニケーションを取ればよいかわからずにストレスを蓄積させてしまう子もいます。徐々に教室の雰囲気に馴染めるようになれば、愛犬は楽しめて、飼い主さんも安心できるでしょう。
グループトレーニングの進め方は、しつけ教室によって大きく異なるため、柔軟にカリキュラムを組めるかどうかを確認してみてください。はじめのうちはほかの犬との接触はなしで、徐々に距離を詰めつつ接触トレーニングに移行することも可能です。このように段階を踏みながらトレーニングできれば、警戒心の強いポメラニアンでも、ほかの犬と仲良くコミュニケーションが取れるようになるでしょう。
強制的にほかの犬とのコミュニケーションを強いられてしまうと、警戒心がさらに強くなる恐れがあるため、要注意です。
【ポメラニアンのしつけ】しつけ教室の効果を持続させるポイント

しつけ教室で学んだことを自宅でも取り入れて、飼い主さんとのコミュニケーションを成立させるためには、いくつかのポイントを押さえて愛犬と向き合う必要があります。
ここでは、しつけ教室の効果を持続させるためのポイントについて解説します。
しつけ教室での学びを日常生活に取り入れる
しつけ教室でトレーニングを受けた後は、自宅でも愛犬と飼い主さんでトレーニングをすることで定着します。犬の扱いに慣れているトレーナーの指示は聞くけれど、いつも甘やかしてくれる飼い主さんの指示は聞かずに楽しくなってしまう愛犬もでてくるでしょう。
しつけの仕方がわからない場合は、愛犬と飼い主さんが一緒に参加できるトレーニングメニューを組む選択もあります。これによって、コマンドトレーニングやほかの動物や人と交流するときのマナーを飼い主さんと一緒に学べます。
最初のうちはうまくいかないこともありますが、過度な期待をせずに常にポジティブな声がけをして成長する姿を見守りましょう。自宅でできるようになったら、次は散歩やドッグランでも取り入れてみることで、どのような場所でもコミュニケーションが取りやすくなります。
家族全員がトレーナーと同じコマンドを出す
犬は、『特定のコマンドワード=特定の行動』と認識しているため、コマンドの指示は全員が統一しなければなりません。
例えば、愛犬を飼い主さんのところに呼びたいとき『おいで』のコマンドを使うとします。しつけ教室で『おいで』と習っていれば自宅トレーニングでも成功する確率は高いです。一方で『come(カム)』や『こっち』など違う言葉で習っていた場合は『おいで』といってもその意味を理解できません。
飼い主さんから何か指示されてるのにその意味が理解できなければ、愛犬も混乱してしまうため、必ずトレーナーの説明をよく聞いてコマンドは統一するようにしてください。もしも、覚えさせたいコマンドがあれば、カウンセリング時に伝えておくと安心です。
一貫性のある対応と継続的な練習を行う
しつけは根気のいるトレーニングであり、ポメラニアンのように好奇心旺盛な子だと、楽しくなって注意散漫になることもあります。最初はトレーナーや飼い主さんの話を聞かなかったとしても、焦らずに時間をかけて向き合うことが大切です。
犬の集中力は5〜15分程度といわれています。ダラダラとトレーニングを長く行うよりは、毎日短い時間で継続的にトレーニングをした方が効果的です。短時間で集中してもらうためにも、トレーニングの時間とそれ以外の時間で声のトーンや表情を分けるなど一貫したコミュニケーションを心がけましょう。
ご褒美や遊びを活用しながら楽しくトレーニングを続ける
コマンドにあわせて特定の行動ができたり、問題行動を起こしたときに合図を出してそれをやめられたときは、全力で褒めてあげましょう。褒める行動によって、愛犬は「やってよいこと」「やったらだめなこと」を判断できるようになります。
コマンドトレーニングではうまくできたときにおやつをあげて、失敗したときにもう一度トライすると決めれば、しつけの成功率が上がります。最初のうちはトレーニングがストレスになる子もいるため、終わった後は撫でたり遊んだりしてあげると、ストレスを溜めずに楽しい時間だと認識できるようになるでしょう。
まとめ

しつけ教室では、基本的なコマンドトレーニングから問題行動の改善、飼い主さんとのコミュニケーション強化などが習得できます。ポメラニアンは学習能力が高くて好奇心旺盛なため、トレーニングの時間を楽しめる子もいます。一方で、警戒心が強いためトレーナーや教室の雰囲気との相性は、慎重に選んであげなければなりません。
愛犬の性格や特性にぴったりのしつけ教室をみつけて、トレーニングを通じて効率よく飼い主さんとの信頼関係を構築していきましょう。