保護猫は動物病院へ連れて行った方がよい?受診の準備や注意点も解説

保護猫は動物病院へ連れて行った方がよい?受診の準備や注意点も解説

野良猫を見かけて保護したものの、どのように対応すればよいのか判断に迷うというケースは少なくないでしょう。特にペットを飼った経験がない人の場合、とりあえず動物病院の受診を検討してみても、何を準備すべきかという段階から頭を悩ませるはずです。今回の記事では保護猫を動物病院へ連れて行くことの必要性を説明したうえで、受診する際の準備や注意点についても情報をまとめました。保護猫の力になりたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

保護猫を動物病院へ連れて行くべき理由

保護猫を動物病院へ連れて行くべき理由

一口に保護猫といっても、その健康状態はさまざまです。拾った猫が元気な様子であれば、動物病院へ連れて行く必要はないのでしょうか。動物病院ではどのような処置が受けられるのかも含めて、解説を加えます。

猫を拾ったら、必ず動物病院へ連れて行くべきですか?
猫を拾ったら、まずは必ず動物病院へ連れて行きましょう。特に、衰弱している子猫の場合は命に関わるため、一刻も早く対応してください。保護猫が怪我をしていたり、ぐったりしているときも、早急な受診が望まれます。あらかじめ動物病院へ電話を入れて、どのような状態なのかを伝えておけば、その後の診察がスムーズです。
保護猫が元気であれば、動物病院へ行かなくてもよいですか?
一見しただけでは怪我や病気の様子がなく、元気そうにしていても、自己判断で受診は不要と決めつけてはいけません。見た目が健康であっても、感染症や寄生虫がいる可能性を否定できないため、必ず動物病院へ連れて行ってください。
動物病院では、どのような検査や処置が受けられますか?
動物病院では月齢や性別の判断、健康診断、体重測定などが実施されるため、保護猫の健康状態をしっかりと把握することができます。加えて、ノミやダニといった寄生虫の駆除、感染予防などの処置も受けられます。
ワクチン接種もした方がよいのか教えてください
動物病院を受診したら、混合ワクチンも接種してもらいましょう。その後、長く健やかな生活を送るためにも、ワクチンを接種しておくことはとても重要です。

 

保護猫を動物病院へ連れて行く際の準備

保護猫を動物病院へ連れて行くことの必要性についてまとめましたが、いざ動物病院を受診しようとしても、どのように準備を進めればよいのかわからない場合もあるでしょう。このパートでは、受診前の対応や留意事項について説明します。

動物病院へ行く前に、とりあえず何か食べさせた方がよいですか?
猫を拾ったら、とりあえず何か食べさせてやりたいと考えがちですが、どれくらいの月齢であるかによって、与えられるものが変わってきます。与えたものによっては下痢を引き起こすなど、体調の悪化につながるため、まずは獣医師の判断を仰いでください。
動物病院への移動時に心がけるべきことを教えてください
月齢が低い子猫の場合、自分で体温調整することが難しいため、身体を温めてあげましょう。ペットボトルにお湯を入れてタオルで巻いたものを活用するなど、子猫の体温より少しだけ高い温度でケアするのがポイントです。その際、低温やけどや時間の経過による温度の低下に注意してください。また、保護猫は動物病院の受診が完了するまで先住猫などと一緒にならないよう気を配り、感染症のリスクを軽減しましょう。病院に連れていく際は、念のため洗濯ネットに入れてからキャリーケース等で移動して下さい。

また、身体の汚れが目立つと移動前に洗ってあげたくなりますが、安易な洗浄も避けるべきです。猫の性格によっては負担が大きいうえに、全身の状態が悪ければ洗うという行為自体が命の危険につながります。良かれと思っての処置が裏目に出る可能性も高いため、まずは動物病院の受診を急ぎましょう。
保護猫の元気がないがすぐに受診できない場合はどのような処置が必要ですか?
やむを得ない事情ですぐに動物病院を受診できないときは、しっかりと身体を温めてあげましょう。併せて、哺乳瓶を使いミルクを飲ませるなど、注意深く食事を与えます。月齢が極端に低いようであれば、子猫用のミルクが必要です。いずれにしても、自己判断でできる応急処置は限られているため、早めに獣医師の指示を仰いでください。
受診にかかる費用の目安を教えてください
初診料は3,000円程度必要となるケースが多いですが、動物病院の方針や診療時間内か否かによっても異なります。その他、一般的な健康診断の費用は5,000円から1万円、猫の3種ワクチンは3,000円~5,000円程度、猫の4種、5種ワクチンは5,000円~7,500円程度、ノミやダニの駆除・予防は2,000〜3,000円程度かかるものと考えておきましょう。合計では1万5,000円から3万円程度の費用が目安となるものの、レントゲンや血液・病理監査などが追加されると、より高額になることもあり得ます。どれくらいの費用が必要となるか、事前に確認しておくとよいでしょう。

保護猫を動物病院へ連れて行く場合の注意点

保護猫を動物病院へ連れて行く場合の注意点

安易に保護するだけでは、猫を救うことはできません。終わりに、保護猫を動物病院へ連れて行くにあたって押さえておきたい注意点や、自分で飼育できない場合の対処方法について、ポイントをまとめます。

元気がない野良猫を見かけたらすぐに保護するべきか教えてください
野良猫と出会ったら、すぐに保護すべきとは限りません。子猫を見かけた場合にはいったん母猫が近くにいないかチェックして、母猫も弱っているようであれば、一緒に保護してあげましょう。子猫だけ引き取らないように注意してください。また、本当に野良猫かどうかという確認も必須です。首輪をしている場合は飼い主のいる猫が迷子になっている可能性が高いため、保健所や保護猫団体、警察などに連絡を入れて、元の場所へ戻れるようにサポートもしましょう。
保護した猫を飼育できない場合、動物病院で相談に乗ってもらえますか?
動物病院に行くと、里親募集のポスターを見かけます。多くの場合は患者さんなどに頼まれてポスターを貼っていますが、なかには主体的に保護猫を預かり、里親を募集している動物病院もあります。保護猫団体と連携している施設も少なくありません。いずれにしても保護した猫を飼育できないときは、動物病院が何らかのアドバイスを与えてくれる可能性が高いため、一度相談に乗ってもらうとよいでしょう。
保護猫専用のクリニックなどもありますか?
所有者不明の猫や、保護した猫専用のクリニックも存在します。そうしたクリニックは一般家庭で飼育されている猫の診察や手術を断り、保護猫の不妊手術などに特化することで、コストの削減を図っています。保護猫カフェやシェルターの運営、譲渡会の開催に尽力している施設も見られます。その他にも野良猫を捕獲するサポートを行うなど、誰もが身寄りのない猫を手助けしやすくなる取組が進められているため、野良猫の保護について気になる点があれば、保護猫専用のクリニックに相談してみるというのも一案です。

編集部まとめ

野良猫を見かけると、すぐに助けてあげたいと感じるものですが、いったん保護してしまえばそれで終わりというわけではありません。動物病院の受診に加え、状況によっては里親探しなども必要になるため、責任ある行動を心がけましょう。やみくもに動いてしまうと、かえって猫の命を危険にさらすことにもつながります。わからないことがあれば動物病院や保護猫団体のアドバイスを受けながら、保護した猫が長く幸せに暮らせるようサポートしてあげましょう。

参考文献