猫は、とても繊細な気質を持ち合わせており、気温が高くなる時期は食欲が落ちる時期です。ほかにも、ちょっとした環境の変化や猫の気分次第でも食べなくなることがあるため、この食欲不振が大きな病気のサインなのかどうか見極めたいと思うでしょう。
本記事では、猫の食欲が落ちる時期を解説し、病気の可能性や動物病院を受診する目安についてQ&A形式でわかりやすく解説します。
猫の食欲が落ちる時期

- 猫の食欲が落ちやすい時期はいつですか?
- 一般的に猫の食欲が落ちやすいとされている時期は、春〜夏にかけてです。さほど気温が高くないように感じられても、梅雨時で湿気がありムシムシする、真夏の猛暑日で人間でも暑さでしんどくなるような日は、猫たちの食欲も減退してしまいます。また、猫に食べる意思があっても、身体の調子がよくなかったりいつもと違ったりすればフードを食べません。避妊手術や去勢手術をしていない場合には、繁殖期のホルモンバランスの変化によってフードを食べなくなる場合があります。ストレスを感じている場合でもフードを食べないときがあるため、ストレスによる食欲不振が疑われる場合はたっぷり遊ばせてあげましょう。
- 猫の食欲が落ちることはよくありますか?
- よくあります。猫の食欲不振はよくあることで、決して珍しくありません。例えば大人の猫の場合、1日何も口にしない日があっても、様子に異変がなければ単純に気分の問題で食べていない可能性があります。知ってのとおり、猫には大変気まぐれな一面があるため、毎日おいしそうに食べていたフードをある日いきなり食べなくなるケースはあります。知恵が働く猫だったら、食べなければ飼い主さんから別のフードがもらえると考え、わざと食べない場合もあるようです。食べないことで自分の気分を表現している可能性もあるため、様子を見る必要はありますが、少しの間食べなかったからといって焦る必要はありません。
- 食欲が落ちる子と落ちない子がいるのはなぜですか?
- 猫も生き物である以上、性格や個体差があるため、食欲が落ちる子もいれば落ちない子もいるのは当然です。食欲を左右する要因は、年齢や過去の病歴などがあるでしょう。肝が据わっていて環境適応能力が高い子であれば、どのような状況でも食欲不振に陥る可能性は少ないです。一方、人間と同じで、神経質な子は環境のちょっとした変化にもストレスを感じてフードを食べなくなります。また、どのような性格の猫でも、高齢になれば代謝が低下するため、若い頃よりも食事の量は減っていきます。つまり、食欲不振も個性の一部です。飼い主さんは、猫が食べないとなると心配にもなりますが、まずは慌てずに様子を見てください。
食欲不振から考えられる病気
- 猫の食欲不振が続く場合は、病気の可能性もありますか?
- あります。猫はその日の気分や元々の性格で、ふといつも食べていたはずのフードを食べなくなることがあります。しかしながら、大人の猫の場合、1日食べなかったからといって深刻な病気が疑われるわけではありません。目安は、食べ物を口にしなくなってから24時間経過したかどうかで す。36時間以上経過してしまう場合は受診は必須であると考えてください。また、まったく食べないわけではないが、食べるのを渋っている姿が72時間以上続くようであれば受診した方がよいでしょう。猫の場合、ちょっとした理由はもちろん、気分の問題だけでフードを食べなくなることがあります。高齢である、機嫌が悪いといった理由に心あたりがない場合は、病気にかかっているケースもあるため、様子を見て要因が見つからない場合は病気にかかっている可能性があります。
- 食欲不振が続く場合はどのような病気が考えられますか?
- 猫の食欲不振を招く代表的な病気は、口内炎や慢性腎臓病、消化器系の疾患、歯周病などです。特に、歯周病は3歳以上の猫のじつに80%がかかるとされるため、注意してください。ほかにも、胃腸炎や感染症によって下痢や嘔吐の症状がある場合も、猫はフードを食べなくなります。猫が高齢の場合は、頻繁におしっこをしていてよく吐くといった症状がみられるなら慢性腎臓病の可能性があるでしょう。つまり、継続する深刻な食欲不振は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
- 食欲不振の場合の治療方法を教えてください
- 猫が食欲不振に陥った場合には、あらゆる対処方法があります。
まず、歯周病や口内炎のように、口のなかに痛みを感じるためにフードを食べなくなった場合は、その原因をとりのぞいてあげましょう。炎症を抑える働きのある薬を服用したり、深刻な歯周病の場合には抜歯が検討されることもあります。次に、消化器系の疾患で食欲がなくなってしまった場合は、それらの病気について対処しましょう。投薬によって症状を抑えていく場合もあれば、外科手術によって根本原因を取り除く場合もあります。最後に、慢性腎臓病の病気が疑われる場合も治療が必要です。食事療法や投薬、点滴などの治療をすることで食欲の改善を図ります。
食欲が落ちる時期の対処法

- いつもは1日2回与えているご飯を1日に数回にわけても問題ないですか?
- 問題ありません。むしろ、猫が病気以外の理由で食欲不振に陥っている場合はよい対処法といえるでしょう。ちょっとした心境の変化や軽いストレスで食欲不振に陥っている場合、1回あたりの食事量を調整するために、1日2回与えているご飯を数回に分けてもかまいません。トータルの食事量を減らさずに猫にかかる負担を減らせるため、よい方法といえるでしょう。また、1回あたりの量を減らせるため、その都度完食が目指せます。食器のなかにいつまでもフードが残っている状態を防げるため、衛生的です。
- 食欲が落ちているときは、ウエットタイプのフードを使うことも考慮すべきですか?
- はい、考慮すべきです。猫の食欲が減退してしまっているときは、少しフードを温めて香りを引き出してみたり、提供する食器を変えてみたり、食べやすさを追求します。つまり、普段からドライタイプのフードを食べているなら、気分転換にウェットタイプのフードを選ぶのはよい選択肢の一つです。もちろん、食べやすさだけではなく、その子の体調に合った成分を含むフードを選ぶようにするとよいでしょう。また、ドライタイプに比べて開封すると腐敗しやすいため、その点も注意してください。
食欲が落ちている期間と受診の目安
- 何日くらい食べない期間が続いたら動物病院を受診すべきですか?
- 大人の猫でも、完全に食べない状態が1日以上続けば受診を推奨します。また、完全に食べていないわけでもないが、食欲が振るわないと感じられたら数日を目安に病院を受診してください。特に、短期間の食欲不振であっても絶食している場合は肝リピドーシスのような重篤な症状に陥っている可能性もあります。飲まず食わずの状態が36時間以上続く場合は早急に受診してください。
- 食欲が落ちているだけで元気があれば、経過観察でよいですか?
- 元気な状態でも、飲まず食わずの状態が1日以上続くようであれば動物病院を受診すべきです。気分により食べないこともありますが、お水やおやつも体が受け付けない場合には病的な可能性を考えます。見た目は元気そう、いつもどおりの生活を送っているからと放置していたら、体内で病気が進行してしまっているケースも否定できません。早期発見と早期治療は治療の基本です。重症化を防ぐためにも、飼い主さんは、食欲不振を感知したら様子を見て、適宜すみやかに受診させられるように努めましょう。
編集部まとめ
健康な成猫の場合には1日程度食べなくても問題のないケースは多いです。食欲が落ちる時期があり、暑さを感じる季節が到来すれば食べないのはよくある話です。また、フードの種類が変わったり、生活する環境が変わったりした場合でも猫は食べなくなるでしょう。猫は些細な要因が食欲不振につながるのです。ただし1日以上おやつも含めて全く食べられない状態が続く場合には、病気の可能性も考えられます。深刻な病気が隠れている場合もあるため、食欲不振が続くようであればすみやかに受診することをお勧めします。