夜中でも動物病院に行くべきサインとは?探し方や受診の準備、費用の目安も解説します

夜中でも動物病院に行くべきサインとは?探し方や受診の準備、費用の目安も解説します

夜中に突然ペットの様子がおかしくなると、飼い主さんは不安になるでしょう。しかし、すぐに受診すべきなのか、どこに連れていけばいいのか、費用はどれくらいかかるのかなど、わからないこともあるかもしれません。

この記事では、夜中でも受診すべき症状や病院の探し方、準備、診療内容、費用の目安までを解説します。

夜中でも動物病院に行くべき緊急サイン

夜中でも動物病院に行くべき緊急サイン

ペットに以下のような症状が見られた場合は、夜中でも迷わず動物病院へ連れて行きましょう。

呼吸の異常、意識がない、発作があるなど命に関わる症状

夜中にペットの呼吸が苦しそうだったり、速く浅い呼吸が続いていたりする場合は注意深く観察をしましょう。以下の症状がみられるときは、心臓や呼吸器、脳神経系に異常が起きている可能性があります。

  • 舌や歯茎が青紫色に変色している(チアノーゼ)
  • けいれんや発作を繰り返している
  • 呼びかけに反応せずぐったりしている

一刻を争うこともあるため、迷わず夜中でも動物病院へ連れて行きましょう。

出血、骨折、誤飲や誤食など処置が必要な外傷

出血がなかなか止まらない、脚が不自然な方向に曲がっている、交通事故や高所からの落下などで明らかな外傷があるなどの場合も、すぐに病院での処置が必要です。

また、チョコレートやネギ類キシリトール入りの製品など、ペットにとって中毒を起こす可能性のあるものを誤って食べてしまったときも、命に関わる可能性があります。こうしたときは、誤飲、誤食したものやパッケージ、成分表示を動物病院に持参すると、診断や処置が迅速に進みます。

ひどい下痢や嘔吐などの消化器症状を繰り返す場合

嘔吐や下痢が何度も続く、血便が出ている、水を飲んでもすぐに吐いてしまう、お腹が張っていて痛がる様子があるなどの症状がみられる場合は、消化器系の異常や感染症などが疑われます。

特に、子犬や子猫、高齢の場合は体力や免疫力が弱く、脱水や低血糖を起こしやすいため、症状が急速に悪化することもあります。少しでも異変を感じたら、できるだけ早めに病院で診てもらうことが大切です。

夜中でも対応している動物病院を探す方法

夜中でも対応している動物病院を探す方法

夜中にペットの体調が急変したときに、受診できる動物病院を探す方法を解説します。

インターネットで検索する

手軽で一般的な方法は、インターネット検索です。『夜中 動物病院 〇〇市』など、自分の住んでいる地域名を入れて検索すると、現在地から近い夜間対応の動物病院が一覧で表示されます。

ただし、検索結果に表示された病院が必ずしも夜中に診療しているとは限りません。曜日や時間帯によっては休診していることもあるため、必ず事前に電話で確認しましょう。受入れ可能かどうか、診療内容や持ち物についても聞いておくと診察までの流れがスムーズになります。

見つからないときは往診医も探す

地域によっては、夜中に診療している動物病院が見つからないこともあります。そんなときは、『夜中 往診 獣医 〇〇市』などのキーワードで検索して、夜間の往診訪問診療を行っている獣医師を探してみましょう。

自宅で診てもらえることで、ペットへのストレスを減らせるというメリットもあります。ただし、夜中の往診は対応できるエリアが限られていたり、時間帯や料金体系が病院ごとに異なったりするため、こちらも事前に電話などで確認をしておきましょう。

夜中に動物病院へ行くべきか迷ったときは?

夜中に動物病院へ行くべきか迷ったときは?

夜中にペットの体調に異変が起きたとき、「病院に連れて行った方がいいのかな?」と迷う飼い主さんは少なくありません。

すぐに受診すべきか、それとも少し様子を見るべきかの判断は、症状の内容やペットの年齢、普段の体調によっても異なります。迷ったときは以下のように対応するとよいでしょう。

自己判断せず、まずはかかりつけ医や夜間病院に相談する

診療時間外であっても、まずはかかりつけの動物病院に連絡してみましょう。スタッフがまだ病院に残っていれば折り返しの連絡や留守番電話に夜間対応の案内が録音されていることがあります。

ただし、すべての病院がこのような対応をしているわけでないため、事前に確認しておきましょう。

かかりつけ医が夜中の対応を行っていない、また連絡がつかない場合は、夜間診療を行っている動物病院に直接電話をしましょう。電話口で症状を伝えることで、受診の必要性や自宅でできる応急対応について助言を受けられることがあります。

症状の進行速度やペットの様子を観察する

症状がどのくらいの速さで進行しているか、ペットの様子がどう変化しているかを冷静に観察することも、判断の手がかりになります。例えば、嘔吐を繰り返している、急に歩けなくなった、呼吸が苦しそうになったなど、短時間で症状が悪化している場合は、ためらわず病院へ連れて行きましょう。

一方で、食欲があり、水も飲めていて排泄も普段と変わらなければ、数時間は様子をみて問題ないことがほとんどです。ただし飼い主さんが、いつもとの違いなどで少しでも違和感を覚えたら、迷わず受診しましょう。

かかりつけ医の休診日や夜間対応を確認する

いざというときに慌てないためには、普段からかかりつけ医の休診日や夜中の対応可否を把握しておくことが大切です。

かかりつけ医が夜中の診療に対応していない場合は、緊急時に備えて、夜間診療が可能な動物病院をいくつか確認しておきましょう。その際、連絡先や診療時間、アクセス方法なども一緒にメモしておくと、いざというときも落ち着いて行動できます。

夜中に動物病院に行く前の準備と注意点

夜中に動物病院に行く前の準備と注意点

夜中に動物病院を受診する際に必要な準備と注意点を解説します。スムーズに診察を受けるために、あらかじめ準備しておきましょう。

動物病院に電話をかける

少しでも早く診てもらいたいと焦る気持ちは当然ですが、突然病院へ駆け込んでも、対応できないことがあります。夜中はスタッフが限られていたり、すでに、ほかの緊急対応中であったりするため、必ず事前に電話をかけて確認しましょう。

電話では、ペットの現在の症状や様子をできるだけ詳しく伝え、受診の必要性や持参すべきものについて指示を仰ぐようにしましょう。

診察券やワクチン証明書などを用意する

受診の際には、かかりつけの病院であれば診察券と、狂犬病や混合ワクチンなどの接種証明書を持参しましょう。これらは、ペットの医療情報を把握するうえで重要な資料となり、治療方針の判断や感染症対策にも役立ちます。

また、現在服用している薬やサプリメント、過去の検査結果などがあれば一緒に持って行きましょう。ペット保険に加入している場合は、保険証も忘れずに持参してください。

普段との違いがわかる写真やメモを用意する

動物は体調不良を隠すことが多く、病院では症状がうまく再現できないこともあります。そのため、咳の様子や呼吸の状態、嘔吐物や便の色など、異変が見られたときの動画や写真を撮っておくと、診察を迅速に行えます。

さらに、症状が出始めた時間や経過、異変に気付いたきっかけなどを簡単にメモしておくと、獣医師が状況をより正確に把握できます。

キャリーケースやリード、水を用意する

移動中の安全性を確保するためには、キャリーケースに入れるか、リードとハーネスをしっかり装着しておくことが大切です。体調が悪いときは不安や混乱から暴れてしまうこともあるため、しっかりと固定して落ち着ける環境を整えてあげましょう。

また、診察までの待ち時間が長くなることもあるため、飲めるようであれば水を持参しましょう。ただし、事前に絶食絶水の指示が出ている場合は、なにも与えないように注意が必要です。

移動手段を確保する

夜中は公共交通機関が使えないこともあるため、車での移動手段を検討しましょう。可能であれば、助手席や後部座席に付き添いの方を乗せて、移動中もペットの様子を見守れるようにします。自家用車がない場合は、動物の同伴が可能なタクシー会社を探しましょう。

夜中の動物病院でできることとできないこと

夜中の動物病院でできることとできないこと

夜中の動物病院は、日中の診療とは異なる体制で運営されているため、対応できることとできないことの違いをあらかじめ理解しておくことが大切です。

夜中の動物病院で対応できる処置や検査

夜中の診察では、命に関わる症状への応急処置や、ペットの全身状態を安定させることが主な目的となります。病院によって対応できる範囲に差はありますが、一般的には次のような処置や検査が可能です。

  • 呼吸困難やけいれんに対する初期対応
  • 点滴、鎮痛薬、抗生剤などの投与
  • 出血や外傷に対する止血処置
  • 誤飲、誤食時の催吐処置や胃洗浄
  • 血液検査
  • X線や超音波検査による画像診断

夜間救急に特化した動物医療センターでは、専門の獣医師が待機しており、設備も整っているため、日中と同じような検査や治療が受けられる場合もあります。

夜中の動物病院では対応できない処置や検査

一方で、夜中の診療には限界もあります。以下のような高度な医療や専門的な検査や治療は、原則として日中の時間帯にて行われます。

  • 緊急手術(一部の救急センターでは対応可能な場合あり)
  • 麻酔を伴う内視鏡検査(一部の救急センターでは対応可能な場合あり)
  • CT検査やMRI検査などの高度画像診断
  • 輸血処置
  • 詳細な病名診断
  • 専門医による処置

夜中はスタッフの人数も限られているため、その場で完治を目指すのではなく、翌日まで状態を安定させるための応急処置が優先されます。

夜中の動物病院での診療の流れ

夜中の動物病院での診療の流れ

夜中に動物病院を受診する際は、日中の診療とは流れが異なることがあるため、事前におおまかな流れを把握しておきましょう。一般的な夜中の診療は以下のような流れです。

診療の流れ内容
① 事前の電話連絡病院に電話して症状を伝える病院が受け入れ準備を整えられるよう、必ず事前に連絡を入れます。持ち物や注意点も併せて確認しておきましょう
② 受付と問診到着後、問診票を記入する症状の写真や動画、投薬情報、既往歴などを持参すると診察が迅速に進むみます
③ 診察と検査獣医師による診察と必要な検査が行われる状況に応じて、血液検査やX線、超音波などの検査が行われます
④ 治療点滴、投薬、止血などの応急処置夜間は状態を安定させることが優先され、必要に応じて翌日の再診がすすめられます
⑤ 会計と説明会計と今後の対応について説明を受ける治療後は、今後の方針や注意点について説明を受け、必要に応じてかかりつけ医での再診を案内されます

夜中の動物病院での診療にかかる費用の目安

夜中の動物病院での診療にかかる費用の目安

動物病院は自由診療のため、費用は病院ごとに異なります。夜中の診療では、以下のように通常の診療時間よりも高めの料金設定がされていることが一般的です。

項目費用の目安内容
夜間診療基本料8,000円~13,000円程度病院により異なるが、夜間対応の特別料金として設定されていることがほとんど
検査、処置、薬代数千円~10,000円程度/各検査・処置血液検査、画像診断、点滴、投薬などの内容によって費用は変動する
緊急手術約50,000円〜数十万円手術の内容や時間帯によって大きく変動、さらに高額になる場合もある

支払方法は、現金以外にもクレジットカード電子マネーに対応している動物病院が増えています。ただし、病院によっては現金のみの場合もあるため、事前に利用できる支払方法も確認しておきましょう。

まとめ

まとめ

夜中にペットの体調が急変すると、受診すべきかどうかと迷うのは当然のことです。この記事では、受診が必要なサインや病院の探し方、判断のポイント、準備や費用の目安までを紹介しました。
少しでも不安を感じたら、まずは夜中に対応している病院に電話で相談しましょう。

参考文献