通い慣れたかかりつけの動物病院があっても、何らかの理由で転院を検討するケースはあるでしょう。とはいえ、いざ転院するとなると、いろいろと気を揉むものです。転院の進め方がわからず、頭を悩ませている飼い主の方もいるかもしれません。今回は動物病院の転院をテーマに、セカンドオピニオンとの違いから、必要な準備まで、具体的な情報をまとめました。転院に際して押さえておくべき注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
動物病院の転院とセカンドオピニオン

転院とセカンドオピニオンというと、思わず混同しそうになりますが、これらは明確に異なるものです。まずは、両者の違いを確認したうえで、転院のメリットとデメリットについても理解を深めましょう。
- 動物病院の転院とセカンドオピニオンとの違いを教えてください
- 動物病院の転院とは、主治医を変えることを意味します。引っ越しなどにより距離的にやむをえないケースや、診療方針に疑問があってほかの動物病院に移りたいケースなど、転院の理由はさまざまですが、それまで診てもらっていた主治医を変更するというのは、少なからず覚悟のいることでしょう。しかしながら、通院時間や治療方針、経済面などを考慮して、通いやすい動物病院に転院することは、大切なペットの健康を守る意味でも重要です。一方のセカンドオピニオンとは、病気の状況や治療の選択肢について、別の獣医師から意見をもらうことです。異なる視点の意見を聞くことで、より納得して治療を受けられるようになります。
- 動物病院を転院するメリットを教えてください
- 近年、動物病院の数は増加傾向にあります。そのため、自宅近くに新しい病院ができた場合などは、そちらに切り替えると、通院時間が短くなり、受診しやすくなるというメリットをえられるでしょう。もちろん、距離だけを見てかかりつけの病院を決めることはできませんが、移動の負担が少なくなれば、ペットのストレスも軽減されます。
- 動物病院を転院するデメリットはありますか?
- 動物病院を転院する場合には、前の病院のカルテや検査結果などの情報がなければ、重複した検査が必要となり、費用がかさむことはもちろん、ペットの心身に負担がかかります。転院がスムーズに進むよう準備を整えておかないと、ペットにとって大きなデメリットになることを覚えておきましょう。また、引っ越しやかかりつけの病院の閉院により、新しい病院を探す必要があるのに、そのまま放置しておくことも、ペットの健康を脅かします。定期検診に空白期間ができると、その間に病気や怪我が進行してしまい、重症化する可能性も否定できません。動物病院を転院するときには、何か起きてから慌てることがないよう、早めに信頼できる転院先を見付けておきましょう。
動物病院の転院に必要な準備
ここでは、動物病院を転院する際に必要となる準備について解説を加えます。転院がスムーズに進まないと、飼い主、ペットの双方に少なからずデメリットがあるので、あらかじめ準備を万全にしておくことが欠かせません。
- ペットの状態に合う転院先の見付け方を教えてください
- 転院先を探す際には、距離が近い動物病院をあたってみるのも一つですが、各病院のホームページに目をとおし、獣医師が所属している学会や、専門医認定を受けている診療科などを確認してみましょう。これらの情報がわかると、その病院の得意分野や専門性を推し量ることができるため、ペットの状態に合った転院先を見付ける一助となります。
- 主治医に紹介状を書いてもらうべきですか?
- 動物病院を転院する際には、可能な限り主治医に紹介状を書いてもらいましょう。紹介状があると、ペットがどのような健康状態なのか、持病や病歴はあるのかといった貴重な情報を把握できるため、転院先での診療がスムーズになります。紹介状がなければ転院できないというわけではないのですが、ペットの負担を軽減するためにも、紹介状を準備することは大切です。なお、どうしても準備できない場合には、それまでに受けた検査結果一式を代わりに使うとよいでしょう。
- 転院にあたって必要となる情報は何ですか?
- 転院にあたっては、それまでの経過や治療の詳細が記載されているカルテのコピー、レントゲンなどの画像検査のデータ、血液検査のデータなどを準備しましょう。転院先での診療をスムーズに進めるために、こうした情報は大変貴重です。
動物病院を転院するときの注意点

終わりに、動物病院を転院するときの注意点についてもまとめます。急な転院が必要となるケースもありますが、あらかじめ留意すべきポイントを押さえておくと、その後の通院もしやすくなります。
- 転院の際は治療費についても考慮すべきですか?
- ペットの治療費は自由診療となるため、その金額は動物病院によって大きく異なります。それまでと同じ治療内容であっても、治療費が高くなるケースがあるので、転院の際には治療費について考慮することが欠かせません。しかしながら、金額のみを見て転院を決めてしまうと、高度な医療に対応できず、結局さらに転院が必要となることも考えられます。治療費の安さだけでなく、どのような診療が受けられるのか、獣医師はわかりやすい説明をしてくれるのかといった点を総合的に鑑みて、ニーズに合った転院先を見付けましょう。
- 転院は飼い主の判断で自由に行ってもよいですか?
- 転院するにあたり、現在受診している動物病院に断りを入れる義務はありません。ただし、転院やセカンドオピニオンを希望する際には、主治医に紹介状を書いてもらうとことが望ましいです。
- 獣医師とコミュニケーションを取るうえで留意すべきことを教えてください
- 動物病院の診療方針に疑問を感じているときに、異なる視点の意見を求めて転院しても、獣医師と適切なコミュニケーションが取れなければ意味がありません。別の獣医師の診断を受ける際には、聞きたいことをメモにまとめるなどして、要点を押さえた説明ができるように準備を整えておきましょう。もちろん、現在の状態をきちんと把握するために、元の病院の獣医師と十分話しておくことも大切です。
- 転院はペットの負担になりますか?
- 転院に際しては、特に情報不足がペットの負担の原因となります。前の動物病院から情報がもらえなかったり、さまざまな事情があって何も告げずに転院する場合もあると思いますが、カルテや検査結果などがないと、同じ検査を重複して受けることになり、ペットが強いストレスを感じる可能性があります。検査に時間がかかることで治療の初動が遅れ、病気が重症化する恐れもあるでしょう。こうした事態を避けるためにも、検査結果や投薬情報はまとめて保管して、万が一のときに提供できるよう備えておきましょう。
編集部まとめ
急に転院せざるをえなくなったときなどは、つい対応が疎かになりがちですが、飼い主が適切な行動を取るか否かで、ペットのストレスがかなり増減します。転院とセカンドオピニオンの違いなど、関連の知識を正しく理解したうえで、各病院の獣医師と円滑にやり取りできるよう心がけてください。スムーズな転院を実現するにあたっては、必要な情報を揃えることも欠かせません。主治医の協力を仰ぐのが理想ですが、普段から検査結果などの書類は大切に保管しておきましょう。
