ペットホテルを利用するにあたり、必要なケアが受けられるのかどうかを事前に確認しておくことは欠かせません。持病があるペットの場合はより慎重な対応が求められますが、滞在中に薬を飲ませてもらうことはできるのでしょうか?今回はペットホテルにおける投薬をテーマに、薬の預け方などについて具体的な解説を加えました。あらかじめ飼い主がすべきこともまとめているので、ぜひ参考にしてください。
ペットホテルにおける投薬の可否
まずは、ペットホテルにおける投薬の可否について確認しましょう。チェックインの際に薬さえ渡してしまえばよいなどと簡単に考えていると、思うような対応を受けられない可能性もあるので、事前に正しい情報を押さえておくことが大切です。
- ペットホテル利用時に投薬はしてもらえますか?
- ペットに薬を飲ませるだけであれば特に問題なく対応してもらえるようにも思えますが、無資格者による投薬サービスは法律によって禁止されています。そのため、投薬対応が可能なのは獣医師や愛玩動物看護師が在籍するペットホテルのみであると念頭に置いておきましょう。投薬について明示しているペットホテルもあるものの、対応の可否や体制、料金などは施設ごとに異なります。前もって詳細を確認し、チェックインの段階で焦ることがないように注意してください。
- なぜペットホテルでの投薬は難しいのですか?
- 前述のとおり、ペットホテルにおける投薬に関しては法的な制約が存在することから、対応が難しくなっています。サービスが手厚い施設を選ぶと、投薬の依頼に応じてもらえるというものではありません。すべての施設が投薬できれば利便性は高いですが、医学的知識を有していない者による薬剤の取り扱いがペットの健康に重大な影響を与える恐れもあります。食べ合わせによって副作用が増強されるなどの問題が起きたときも、無資格者しかいない状況では適切な対応が難しいでしょう。大切なペットを守るためにも、ペットホテルでの投薬に一定の制約を設けることは必要といえます。
- 投薬に対応したペットホテルの選び方を教えてください
- まずは、投薬サービスに対応した有資格者が在籍するペットホテルを探しましょう。動物病院併設のペットホテルや、有資格者が常駐する施設がおすすめです。そのうえで、詳細な投薬記録や滞在中の様子を報告してくれる施設を選ぶと、飼い主の不安が軽減されます。加えて、投薬の追加料金やサービス内容が明確であるか確認しておくことも、不要なトラブルを避けるために欠かせません。
薬を預ける際の正しい方法と準備

ここでは、ペットホテルに薬を預けるときの具体的な手順をまとめます。あらかじめ正しい方法で薬剤をまとめておき、必要な情報とともに施設へ託すことで、ペットが適切なケアを受けやすくなるでしょう。
- 薬はどのような形で預ければよいか教えてください
- 薬は薬剤名や1回あたりの投与量、1日の投与回数などがわかる文書とともに、きちんと整理した状態で預けてください。錠剤や粉末、液体など、薬の形状を正確に共有しておくことも大切です。特に複数の薬を服用している場合には、色や大きさ、形状の特徴をわかりやすく伝えて、混同が起きないように工夫します。視覚的に区別しやすいことを意識するとよいでしょう。併せて、冷蔵保存が必要か、直射日光を避けるべきかなど、薬の保存方法についても説明してください。どのように保管すればよいのか明示しておくことは、薬の品質保持に役立ちます。
- 投薬を依頼するときに伝えておくべき情報はありますか?
- 投薬を依頼するときには、どのタイミングで投薬すればよいのかを正確に伝えておくことがとても重要です。薬には食事と一緒に摂取することで吸収がよくなるものや、空腹時の服用が必要なものなどがあり、投薬のタイミングが効果に直結するため、食前・食後・食間のいつ投薬すべきか明示しておきましょう。また、万が一のときに備えて、かかりつけ動物病院の情報や緊急時の連絡先も共有してください。
- 液体の薬やインスリン注射など特殊な投薬が必要な場合の注意点を教えてください
- 液体薬剤の投与を依頼する場合には希釈が必要かなど、正しい投薬方法を丁寧に伝えておきましょう。投薬に際してスポイトやシリンジといった特定の器具を使用するようであれば、その準備について確認しておくこともポイントです。なお、インスリン注射や介護などの特別なケアが必要となると、別途料金が発生する可能性があります。受け入れ自体を断られるケースも見受けられるため、注意してください。
ペットホテルでの投薬に備えて飼い主ができること

飼い主が正しい知識を持って準備を整えておけば、投薬が必要なペットも、よりよい環境下でペットホテルに滞在できるでしょう。終わりに、ペットホテルでの投薬に備えて飼い主ができることをまとめます。
- 投薬が必要なペットを預けるにあたり、確認しておくべきことはありますか?
- 投薬が必要なペットを預ける際には、事前にかかりつけ動物病院へ相談のうえ、投薬の手順や注意点について獣医師からアドバイスを受けておくとよいでしょう。考えられるトラブルを回避する方法についても、しっかり確認しておくことをおすすめします。具体的な指示を受けたら、ペットホテルのスタッフに連携してください。押さえるべきポイントをまとめた指示書などがあれば、施設側もケアを行いやすくなります。
- 自宅で投薬の練習をした方がよいですか?
- 自宅で投薬に慣れるためのしつけを行っておくと、ペットホテル滞在中の投薬がスムーズになります。薬を嫌がらずに飲む練習はもちろん、お口を開けることに慣れる練習なども進めるとよいでしょう。薬をフードに混ぜて飲ませる場合には、効果的な方法を把握して施設側に伝えておくことも有効です。なお、投薬の練習は段階的に行うよう心がけてください。まずはお口の周りに触れられることに慣れさせ、うまくいけばお口を開ける段階に移るといったように、いきなりペットの負担が大きくならないよう工夫して、その後に投薬の練習を実施しましょう。
- スムーズな投薬のために、普段から飼い主ができることを教えてください
- ペットホテルの利用が決まった後に急遽アクションを起こすというのではなく、普段からペットの健康状態を詳細に把握しておくことがとても重要です。直近の食欲や排泄状況、睡眠パターンなどをチェックのうえ、日常の様子を施設側に伝えておけば、投薬に絡んでトラブルが発生したときにも速やかに対応してもらえるでしょう。薬の副作用によって現れるかもしれない症状を調べ、スタッフに共有しておくこともおすすめします。いずれにしろ、ペットの性格や普段の行動パターン、ストレスを感じたときの様子や体調不良の兆候などを理解しておき、ペットホテルに伝えることで、それぞれの個性に応じたより適切なケアが受けられるでしょう。
編集部まとめ
ペットホテルでの投薬が問題なく行われることは、ペットが健やかに過ごすための欠かせない要素です。しかしながら、すべてのペットホテルが投薬サービスを実施してはいないため、施設選びは慎重に行ってください。対応可能なホテルが見付かった場合にも、必要な情報をわかりやすく共有し、投薬がスムーズに進められるよう気を配りましょう。疑問や不安に思う点があれば、事前に獣医師やペットホテルスタッフの判断を仰ぎ、万全な状態でペットを預けることが大切です。
