年末年始は旅行や帰省などで家を空ける機会が増え、多くのペットオーナーがペットホテルの利用を検討する時期です。しかし、この季節ならではの注意点や準備すべきことが存在します。本記事では、年末年始にペットホテルを安心して利用するためのポイントを、予約前の確認事項から預けている間の注意点、事前準備、さらにはお迎え後のケアまで解説します。
年末年始のペットホテル予約は注意が必要な理由

年末年始にペットホテルを予約する際は、通常時とは異なる混雑状況やサービス体制となっていないか確認が必要です。この章では、なぜ年末年始の予約に特別な配慮が求められるのか、その主な理由を解説します。
家を留守にする方の需要が増える
年末年始は家族旅行や帰省でペットを預けざるをえない家庭が多く、ペットホテルの需要が急増します。年末年始という繁忙期にはペットホテルの利用希望者が普段より増えるためか、希望の日程で預けられる場所を確保すること自体が難しいです。需要の増加に伴い競争率も高くなるため、この時期は普段以上に計画的な予約が求められるのです。
年末年始は休業しているペットホテルがある
年末年始はペットホテルによっては特定の休日を設けている場合があります。お正月に完全休業とする施設や、預かり自体は行っていても新規予約の受付や引き渡しを特定の日に制限するケースもあります。例えば、「○月○日はお預かり・お迎えの受付不可」とするお知らせを出すペットホテルもあるため、予約前に希望期間中の営業状況を必ず確認しましょう。休業日に重なる場合は日程を調整するかほかの施設を検討する必要があります。
予約が早く埋まりやすい
需要が高まる年末年始は、予約枠が平常時より早く埋まってしまう傾向にあります。特に、人気のペットホテルや収容数の少ない小規模施設では、数週間から数ヶ月前に満室となることも珍しくありません。そのため、年末年始に預ける予定が少しでもある場合はできるだけ早めに予約することが鉄則です。早めに動くことでキャンセル規定や追加サービスの確認など、事前準備の時間も十分に確保できます。
通常期とサービス内容が異なる可能性がある
年末年始などの繁忙期には、ペットホテル側のサービス内容や受け入れ体制が通常時と異なる場合があります。例えば、以下のような変更が行われるケースがあります。
- 散歩やケア回数の変更
- 新規利用の制限
- 時間外対応や短期預かりの停止
- 料金の割増
以上のように、年末年始はペットホテル側も特別体制となることが多いため、普段利用しているホテルであってもサービス内容や利用条件を必ず再確認することが重要です。
【年末年始のペットホテル】預かり中に起こり得るトラブル

大切なペットを預けている間、飼い主さんとしては無事に過ごせているか心配がつきものです。年末年始のペットホテル利用中には、料金面からペットの体調面までさまざまなトラブルが起こりえます。ここでは代表的なトラブルについて解説します。
利用料金や時間外対応でのトラブル
料金に関するトラブルは繁忙期によくみられます。年末年始は特別料金が設定されていることが多く、通常期より宿泊費用が割高になったり、深夜・早朝の受け渡しに追加料金が発生したりすることがあります。事前にこれらを確認していないと、お迎え時に想定外の高額請求を受けて驚いたり不満を感じたりといったトラブルに発展しかねません。
また、予約のキャンセル料もよく確認しましょう。繁忙期はキャンセル規定が厳しく設定されている場合があり、直前のキャンセルでは宿泊料金の全額が請求されるケースもあります。年末年始は予定が変わりやすい時期ですが、キャンセルや延泊の可能性がある場合は予約時にキャンセルポリシーを確認し、柔軟に対応してもらえるかチェックしておきましょう。
預かり中のペットの体調変化やケガ、病気
環境の変化によるストレスでペットの体調が崩れるケースは珍しくありません。例えば、普段と違う狭いケージやほかの動物の存在によって強い不安を感じ、ずっと鳴き続けたりご飯を食べなくなってしまったりするペットもいます。ストレスが溜まると下痢や嘔吐、体調不良を起こすことがあり、実際にストレスが原因で下痢や血便が出てしまうかもしれません。
さらに、感染症やケガのリスクも考えられます。多数の動物が集まる環境では、ケンネルコフなど呼吸器感染症や皮膚感染症が伝染する可能性があります。例えば、「ホテルから帰ったら咳をし始めた」「皮膚に異常が出た」といった場合、預かり中にほかの動物から病気をもらった可能性があります。また、預けている間に持病が悪化したり、事故で命を落としたりすることもないとはいえません。
予定の変更時などの連絡手段
年末年始は天候不良や交通機関の乱れ、急な予定変更が起こりがちな時期です。飼い主さん側の予定変更が発生した場合、ペットホテルとの連絡をスムーズに行えるよう準備しておく必要があります。旅行先や帰省先で連絡が取れる電話番号、またはメールを預ける際に伝達し、常に連絡が取れる状態を保つことが大切です。お互いに迅速に連絡が取れる体制を整えておけば、予定変更時や緊急時でも慌てず対応できます。
【年末年始のペットホテル】予約前のチェックポイント

年末年始にペットホテルを利用する場合、事前のリサーチと確認が大切です。早めの準備と情報収集で、ペットに適切な預け先を見つけましょう。
エリアを広げてペットホテルの候補を探しておく
希望の日程に利用できるペットホテルをみつけるため、複数の候補を早めにリストアップしておきましょう。年末年始は近隣のホテルがすべて満室になる可能性もあるため、自宅周辺だけでなくエリアを少し広げて探すこともポイントです。日頃からいくつかの施設を調べておき、スタッフとも顔見知りになっておくと、急なお願いもしやすくなります。
ペットホテルの営業状況を確認
年末年始の特別営業スケジュールを事前に確認することは必須です。前述のとおり、年末年始は通常とは営業時間や休業日が異なる施設があります。予約を検討する段階で、各候補のペットホテルに電話などで年末年始の営業日程を問い合わせましょう。「何日から何日まで休業か」「受け入れや引き渡し可能な日時」などをチェックし、預けたいプランに支障がないか確認します。特に、預け始めやお迎えの日がホテルの定休日にあたらないかを確認しましょう。万一、預け期間中にホテルの完全休業日が含まれる場合は、その日は対応できない可能性があるため、別の日程やほかのホテルを検討しましょう。
事前予約のタイミングや空き状況を確認
予約可能な時期や現在の空き状況も確認するポイントです。ペットホテルによって、どのくらい前から予約を受け付けているかは異なります。3ヶ月前から予約可能なところもあれば、1ヶ月前からしか受け付けないところもあります。また、年末年始の予約は通常期より早く埋まるため、希望日の空き状況を早めに問い合わせることが大切です。
具体的には、希望するホテルに「年末年始の予約はいつから開始しますか?」「現時点で空きはありますか?」と尋ねてみましょう。人気のホテルは秋頃には予約が埋まり始めることもあるため、予定が決まり次第すぐ連絡するのが理想です。もし本命のホテルが満室でも、キャンセル待ち制度がある場合もあります。キャンセル待ち登録が可能かも併せて確認しておくとよいでしょう。
利用料金やキャンセル規定を確認
前述したように、繁忙期の料金体系は通常と異なる場合があります。予約前に料金とキャンセル規定は必ず確認しましょう。以下の点をチェックします。
- 基本料金
- 繁忙期の割増料金
- オプション料金
- 支払いタイミング
- キャンセル料
これらを事前に確認し、少しでも不明点があれば予約前にクリアにしておくことが大切です。料金トラブルは信頼関係を損ないますので、納得したうえで契約するようにしましょう。
ペットの健康状態に関する規定を確認
多くのペットホテルでは、利用条件としてペットの健康状態に関する規定を設けています。具体的なチェックポイントは以下のとおりです。
- ワクチン接種証明書が有効期限内かどうか
- ノミ・ダニの予防を行っているか
- 持病・投薬があるかどうか
- 避妊去勢があるかどうか
- 高齢ペットの対応できるかどうか
以上の健康面の規定を満たしていないと予約できないこともあります。預ける前に必ずペットの健康チェックを行い、予防接種などの条件をクリアしておきましょう。そしてその証明となる書類やかかりつけ医の診断書などが必要かも事前に問い合わせて準備してください。
預ける時間とお迎え時間を確認
年末年始はホテルの営業時間が変則的になりやすいため、ペットを預ける時間とお迎えの時間を事前に確認し計画を立てておきましょう。特に注意したいポイントは以下です。
- チェックインとアウト可能時間
- 時間外の受け渡し、延長対応が可能かどうか
- 何時を過ぎるともう1日料金が加算されるか
これらを踏まえて、預け入れと引き取りの日時を余裕をもって設定することが大切です。お正月は渋滞や交通遅延も起こりやすいので、ギリギリの時間設定にせず少し早め早めの行動を心がけましょう。どうしても間に合わない場合はすぐホテルに連絡し、指示を仰いでください。
緊急時の対応と連絡方法を確認
ペットの急病や災害など緊急事態に備え、ホテルの対応方針と連絡方法を確認しておくことも重要です。
- 急病時の対応方法
- 災害時の対応方法
- 飼い主さんへの連絡方法
以上を確認し、必要であれば自分や家族、かかりつけ医など緊急連絡先リストを紙にまとめて預け時に渡すと親切です。ペットホテル側と緊急時のフローについて共通認識を持っておけば、いざというときに迅速な対応が可能になります。
【年末年始のペットホテル】事前準備のチェックポイント

ペットホテルの予約を確保したら、実際に預けるまでに飼い主さんが準備すべきことがあります。ペットにとっても飼い主さんにとっても安心して当日を迎えられるよう、預け入れ前のチェックポイントを押さえておきましょう。
ペットの情報を伝えられるようにしておく
スムーズに預けるために、ペットに関する必要情報を整理して伝えられる準備をしましょう。ペットホテルでは受付時にさまざまな事項を確認されます。具体的には、ペットの種類や犬種、体重、年齢、性格、健康状態、持病やアレルギーの有無、日常の生活習慣、さらには好きなおもちゃや苦手なことまで、細かくヒアリングされることもあります。初めて利用する場合は特に詳細なカウンセリングシートへの記入が必要になるでしょう。事前にこれら情報を一覧にまとめておくと、当日のチェックイン手続きがスムーズです。
ペットのストレスを軽減できるよう対策する
慣れない環境で過ごすペットのストレスを可能な限り和らげてあげる工夫も大切です。以下のような対策を事前に行いましょう。
- お気に入りの匂い付きグッズを持参する
- ショートステイや一時預かりなどで事前にホテルの環境に慣らす
- 普段の生活リズムを維持する
- 飼い主さんの不安をみせない
以上の対策により、ペットが感じるストレスを少しでも軽減し、ホテルでの滞在を快適に過ごせるようサポートしてあげてください。ペットにとって「また必ず迎えに来てもらえる」「ここにいれば大丈夫」と思える経験にしてあげることが大切です。
体調チェックと予防接種の証明書を用意する
預ける前にはペットの健康管理もしっかり行いましょう。まず、預ける直前の健康状態を確認します。下痢や咳をしていないか、食欲や元気は普段どおりか確認してください。明らかに体調が悪い場合は無理に預けず、旅行自体の延期も検討すべきです。年末年始直前は動物病院も混雑しがちですので、余裕をもって健康診断や爪切りやシャンプーなど済ませておくとよいでしょう。
次に、予防接種証明書の準備です。多くのホテルで必須提出となる狂犬病予防接種および混合ワクチン接種の証明書は、有効期限内かあらためて確認します。期限切れの場合は追加接種が必要ですので早めに動きましょう。
【年末年始のペットホテル】帰宅後のチェックポイント

ペットホテルからペットを迎えた後も、飼い主さんとして気を配るべきことがあります。環境が変わったペットは自宅に戻ってからも普段と様子が異なる場合がありますので、帰宅後のケアとチェックポイントを確認しましょう。
預かり中のペットの様子を聞いておく
お迎えの際には、ペットがホテル滞在中どのように過ごしていたかをスタッフに確認しましょう。ホテルによっては、お迎え時に滞在中の様子を詳しく報告してくれるところもあります。
また、飼い主さんの方でも気になる点は遠慮なく質問しましょう。「ほかの子と遊びましたか?」「夜はよく眠れていましたか?」など確認することで、ペットの精神状態や体調変化を把握できます。もし滞在中にトラブルや異変があった場合は詳しく聞き取り、今後の対策に役立てましょう。
帰宅後の生活リズムの変化に注意する
自宅に帰ってきた後、ペットの様子に普段との違いがないか注意深く観察しましょう。環境の緊張から解放されてホッとすると、家に戻った途端に疲れが出て、体調を崩す子もいます。
まず、帰宅直後は安静にさせることを心がけます。飼い主さんと再会できてうれしい気持ちはありますが、興奮させすぎず落ち着いた態度で接するようにします。いつもの家に戻った安心感から、一気に眠り込んだり甘えん坊になったりする子もいます。ゆっくり休める静かな環境を用意しましょう。
さらに、生活リズムも普段通りに戻すことが大切です。決まった時間にご飯を与え、散歩の習慣がある犬なら落ち着いてから軽く連れ出します。興奮状態の場合は無理に遊んだり運動させたりせず、いつもどおりのタイミングで日常生活に戻していきます。
まとめ

年末年始のペットホテル利用は普段以上に入念な準備と確認が求められます。需要が高まる時期だからこそ早めの予約が必要ですし、特別料金やサービス体制の変化もしっかり把握しておかなければなりません。大切なのは、飼い主さんが冷静かつ計画的に対応することです。信頼できるペットホテルとコミュニケーションを取りながら、ペットにとってできる限りストレスの少ない環境を用意してあげてください。年末年始という特別な時期を乗り切れるよう、本記事のチェックポイントをぜひ役立ててください。
参考文献
