猫の体重減少で疑われる病気と受診の目安、対処法などを解説!

猫の体重減少で疑われる病気と受診の目安、対処法などを解説!

「最近、抱き上げたときに軽くなった?」その小さな違和感は、病気のサインの始まりかもしれません。加齢での変化と病的な体重減少は見分けが難しく、月1回の計測と記録が早期発見の鍵。1カ月で5%以上は要注意、特に10%以上の減少は深刻です。食欲はあるのに痩せる、飲水や排尿が増える、嘔吐や下痢、毛づやの低下など、背景に甲状腺機能亢進症、腎臓病、糖尿病、消化器疾患、ストレスが隠れていることも。気付いた今こそ、いつもの体重と生活の手がかりをたぐり寄せましょう。

猫の体重減少の原因

猫の体重減少の原因

まずは体重が減る仕組みを食べない・吸収不良・消耗の主要三点で整理し、丁寧に見分け方を整理していきます。

猫の体重が減少する原因を教えてください
猫の体重減少は次の三つの仕組みで起こります。
①食べない
②吸収できない
③消耗が増える

食べない要因には口内炎・歯周病、痛みや吐き気、環境の変化、フードの不一致やストレスなどがあります。
吸収できない例としては炎症性腸疾患、寄生虫、膵外分泌不全、慢性膵炎などがあり、消耗が増える疾患には甲状腺機能亢進症、糖尿病、慢性腎臓病、心疾患、腫瘍、感染症などが含まれます。
また、高齢による筋肉量の低下(サルコペニア)や多頭飼育のストレスも一因です。明らかな体重減少が続くときは、早めに相談することが大切です。
病気以外で猫の体重が減ることはありますか?
病気以外でも猫の体重が減ることがあります。
例えば加齢に伴う筋肉量の低下、運動量の増加、季節や室温の変化、環境ストレス(多頭飼育・来客・引っ越しなど)、フード内容や量の変更、好みの変化、授乳による消耗などが挙げられます。
また、毛刈りや換毛期による見た目の変化や、測定時刻や機器による誤差で一時的に軽く感じることもあります。
1〜2週間の体重推移、食事量、飲水・排泄の様子を記録して、減少傾向が一過性かどうかを見極めましょう。
急激な体重減少と緩やかな体重減少では原因が異なりますか?
急激な体重減少は、食事が摂れない状態や消化吸収の障害、代謝の異常亢進などが背景にあり、糖尿病の悪化やケトアシドーシス、急性腎障害、膵炎、腸閉塞、重度の感染症、出血、強いストレスによる拒食などが疑われます。
一方、緩やかな減少では慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症、腫瘍、消化酵素の不足、口腔の痛み、サルコペニア、環境変化やカロリー不足などが考えられます。
数日で目に見えて痩せる、元気がない、多飲や嘔吐・下痢を伴う場合は早めに受診を検討しましょう。

体重減少で考えられる病気

体重減少に隠れやすい主な疾患を系統別に示し、受診の目安を把握できるようにしていきます。

猫の体重が減少した際に考えられる病気は何ですか?
体重減少で考えられる病気には次のようなものが挙げられます。
・甲状腺機能亢進症
・慢性腎臓病、糖尿病
・炎症性腸疾患(IBD)
・膵炎
・膵外分泌不全
・腫瘍(リンパ腫など)
・寄生虫やFIV/FeLVなどの感染症
・歯や口内の慢性痛
・肝臓や心臓の異常


多飲多尿や多食、嘔吐・下痢、毛づやの低下、しこり、口臭、飲水や排尿の変化が手がかりになります。
そのほか、貧血、ホルモンの異常、副腎や胆管の病気、膵炎後の食欲低下などが背景にあることもあります。
食欲があるのに体重が減る場合はどのような病気が考えられますか?
食欲がある、または増えているのに体重が減るときは、代謝の亢進や吸収不良が疑われます。代表は甲状腺機能亢進症、糖尿病の初期、炎症性腸疾患、膵外分泌不全、腸内寄生虫、リンパ腫などです。
多飲多尿、そわそわした行動、心拍が速い、軟便や脂っぽい便(脂肪便)、嘔吐、毛づやの低下、お腹の音が目立つなどがヒントになります。
数週間で明らかに痩せる、脱水や元気の低下が見られるときは早めに受診し、血液・甲状腺・尿・便などの検査計画を立てましょう。食事やおやつの記録も役立ちます。
高齢猫の体重減少で注意すべき点があれば教えてください
高齢猫の体重減少は、病気と加齢性サルコペニア(筋肉の衰え)の両面から見ます。慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病、歯や口の痛み、腫瘍などの病気も多くみられます。
毎月、同じ条件で体重・体格(BCS)・筋肉量(MCS)を記録し、食欲・飲水・排尿の変化も追います。
急な減少や嘔吐・下痢、脱水、元気の低下があれば受診が目安です。
食事は嗜好性と消化性を両立し、ぬるま湯で香りを立てて少量頻回で与えます。急なフード切替は避け、痛みや吐き気の緩和、必要に応じた皮下補液についても獣医師と相談しましょう。

猫の体重減少への対処法

猫の体重減少への対処法

家庭での記録と食事・水分の整え方、受診準備を、次のQ&Aで順にやさしく確認します。

猫の体重減少に気づいたときはどのように対処すべきですか?
まずは1〜2週間、同じ時間帯・同じ機器で体重を測り、食事・おやつ量、飲水・排尿、嘔吐・下痢、活動量を記録します。食べられる日は、少量頻回で消化のよいフードをぬるま湯で香り立てて与えます。
無理な断食、急なフード切替、脂っこいおやつは避けましょう。
急激な減少、多飲多尿、脱水や嘔吐、食欲の著しい低下がある場合は受診を検討します。
受診時は体重推移表、写真・動画、薬歴、便や尿のサンプルを持参し、測定時は同じ床や抱っこ方法を守ると精度が保てます。
食事の量や内容を変更することで改善できますか?
食事内容の見直しで改善が期待できる場合があります。まず1日の必要カロリーを把握し、消化がよく高エネルギーな総合栄養食や療法食を少量頻回で与えます。ぬるま湯で香りを立て、トッピングは低脂肪で少量に抑えます。3〜7日かけて段階的に切り替え、急な変更は避けます。飲水環境を整え、ウェットフードも活用します。毎食の量と体重を記録し、嘔吐や下痢が出たら中止して獣医師に相談します。腎臓病や糖尿病が疑われる場合は自己判断で増量せず、再診の計画を立てて進めましょう。

動物病院を受診すべき目安と検査

ここでは受診の目安を数値と症状で示し、初診で想定される検査の流れも先に俯瞰できるようにします。

どの程度の体重減少があれば動物病院を受診すべきですか?
1週間で5%以上の体重減少や、ゆっくりでも10%以上の体重減少は受診の目安です。数日で目に見えて痩せる、食欲はあるのに減る、多飲多尿、嘔吐や下痢、元気低下、黄疸、しこり、痛みがある場合も相談してください。水や食事を受け付けない状態が半日以上続く場合や、子猫・高齢・持病がある猫では早めの受診が望ましいです。体重の記録、食事量・飲水・排泄のメモ、便や吐物の写真を持参すると診察がスムーズに進みます。飲水量や被毛の艶、歩き方の変化も見逃さずチェックしましょう。
体重減少以外にどのような症状があれば緊急受診が必要か教えてください
重度の脱水(皮膚の戻りが遅い・反応が鈍い)、意識がもうろうとする、失神、舌や歯茎が紫色になるチアノーゼ、呼吸が苦しい・極端に速い、高熱や低体温、嘔吐や血便が続く、強い腹痛、水も飲めない、半日以上まったく食べられない、黄疸、けいれん、急な麻痺、血尿や排尿困難があれば緊急受診が必要です。雄猫の排尿トラブルは命に関わるため、すぐに受診してください。急な多飲多尿、意識の混濁、よろめき歩行、止まらない出血や強い痛みを訴える様子も見逃さず、早めに対応しましょう。
動物病院では体重減少に対してどのような検査を行いますか?
まず問診で体重減少の期間や食事量、飲水・排泄、嘔吐や下痢、環境変化を確認し、身体検査ではBCS・MCS、口内の痛み、脱水、甲状腺の腫れ、腹部のしこりを観察します。血液検査(CBC・生化学・T4・SDMA(腎数値)・血糖)、尿・便検査、血圧測定、猫白血病ウイルス・猫エイズウイルス(FeLV/FIV)検査、腹部エコーやレントゲンを実施します。必要に応じて、消化器の状態を詳しく調べるために、ビタミンB12や葉酸、膵炎の指標となるfPLI、膵外分泌不全の診断に役立つTLIなどを含む血液検査が追加されることもあります。

編集部まとめ

猫の体重減少には、加齢や食事の変化による一時的なものから、腎臓病・甲状腺疾患・糖尿病・腫瘍など重大な病気まで幅広い原因が考えられます。特に、食欲はあるのに痩せる、急に痩せた、毛づやが悪い、飲水や排尿に変化があるなどの兆候は見逃せません。まずは体重や食事・排泄の記録を整え、変化を早めに察知できるようにしましょう。症状が続くときや急な悪化があれば、迷わず動物病院に相談することが大切です。

【参考文献】