動物病院の病理検査でなにがわかる?流れや注意点、準備のポイントを解説

動物病院の病理検査でなにがわかる?流れや注意点、準備のポイントを解説

ペットの健康を守るうえで、動物病院の病理検査は重要な役割を果たします。とはいえ、病理検査とは一体どのようなものなのか、よくわからないという飼い主の方も多いのではないでしょうか。今回は動物病院の病理検査をテーマに、概要や具体的な流れ、あらかじめ押さえておくべき注意点などの情報をわかりやすくまとめました。準備のポイントもお伝えするので、実際に病理検査を受けるタイミングで慌てることがないよう、ぜひチェックしてください。

動物病院の病理検査とは

動物病院の病理検査とは

まずは、病理検査とはどのようなものなのか、検査結果からなにがわかるのかといったポイントについて、詳しく解説を加えます。概要を押さえることにより、病理検査の意義を理解しましょう。

動物病院の病理検査とは、どのようなものですか?
動物病院で行われる病理検査とは、ペットの身体から採取した組織や細胞を専門の検査機関や院内ラボにおいて詳しく調べる検査のことです。言葉を交わすことができない動物の体調を正確に把握するうえで欠かせないものであり、よりよい治療方針を決定するのに役立ちます。
病理検査の種類を教えてください
腫瘍や臓器の一部を切り取って悪性・良性の判定や病変の広がりを把握する組織検査、注射針などで細胞を吸引して顕微鏡で観察する細胞診検査、血液中の異常や炎症の有無を調べることで全身の健康状態を把握する臨床病理検査などの種類があります。
病理検査を受けると、なにがわかりますか?
病理検査によってわかることは、多岐にわたります。具体的には、切り取った腫瘍が悪性か良性か、悪性である場合の悪性度(グレード)はどのくらいか、腫瘍は取り切れているか(断端評価)、病気はどれくらい進行しているか、転移はあるか、特定の感染症や炎症反応はあるかといった点を調べることが可能です。加えて、病理検査は治療の経過や効果を判定する際にも役立ちます。
病理検査はどのようなケースで必要ですか?
病理検査が必要とされるタイミングは、ペットにしこりや腫瘍、慢性疾患が認められたときや、症状の進行が速いときなどです。特に、犬の腫瘍は大きくなるのが速いケースがあり、早期の適切な診断がポイントとなるため、病理検査を受けることが推奨されます。猫の場合も、皮膚や内臓の腫瘍発生が増加傾向にあり、病理検査の重要性が高まっています。その他には、原因不明の体重減少や食欲不振が続くとき、出血や分泌物、異常な匂いが確認されるときなどにも、病理検査を行います。
病理検査結果の活用方法を教えてください
動物病院に届く病理検査報告書には、診断名、組織や細胞についての詳細な所見、治療方針や追加検査の提案、結果に基づく今後の対応といった情報が記されています。獣医師はこれらの情報を活用することで、よりよい治療方針を決定します。また、病理検査報告書の内容は今後の生活を適切に管理するうえでも欠かせない情報です。
一般的な病理検査の流れと検査結果が届くまでの日数を教えてください
まずは、動物病院にて獣医師が症状や病気を診察し、必要に応じて組織、細胞、血液といった検体を採取します。採取した検体は専門の検査機関などに送付されて、病理医が標本を作製し、顕微鏡にて診断するというのが一般的な流れです。その後、詳細な診断結果が動物病院に届き、獣医師は飼い主への説明と治療方針の決定を行います。検査結果が届くまでの日数は状況によって異なりますが、3日から7日程度を目安に考えておくとよいでしょう。細胞診検査のほうが、組織検査より速いです。ただし、混雑状況や検査内容によっては、さらに日数を要する可能性もあります。結果を急ぐ場合は迅速報告サービスを提供している検査会社も見られるため、獣医師に相談してみてください。

病理検査を受けるときの注意点

病理検査を受けるときの注意点

病理検査の概要をお伝えしてきましたが、実際に検査を受けるとなると、飼い主はどのような行動を取ればよいのでしょうか。ここでは、病理検査を受けるにあたって、あらかじめ押さえておくべき注意点をまとめます。

病理検査に際して飼い主が準備すべきことはありますか?
病理検査に際しては絶食が必要となるケースがあるため、獣医師の指示にしたがい、食事や水分の摂取を調整してください。検査が終わった後も、獣医師の指示どおりに患部のケアなどを行って、ペットが安静に過ごせるよう配慮します。必要に応じて、再診のスケジュールを確認しておくこともポイントです。また、病理検査の結果を受けて治療や手術を行うことになった場合には、治療期間や手術費用などについて、よく確認しておきましょう。
病理検査の費用目安を教えてください
病理検査の費用は検査内容によって異なりますが、組織検査の場合は1万円から2万円程度、細胞診検査の場合は1万円前後かかるというのが一般的な目安です。腫瘍の種類や検体の数によっても費用は増減するので、疑問に思う点があれば、あらかじめ詳細を尋ねておきましょう。なお、病理検査の結果によっては別途治療費や手術費用も必要となるため、十分に留意してください。
病理検査にペット保険は適用できますか?
適用の可否はペット保険の種類や契約内容によって異なりますが、多くのケースにおいて、治療や入院のために必要となる検査の費用は補償の対象となります。そのため、病理検査を受ける場合はペット保険を適用できる可能性が高いでしょう。ちなみに、あらゆる検査が補償対象になるわけではなく、定期健診や健康診断といった健康体のペットに対して行う検査の費用については、ペット保険を適用できないケースがほとんどです。その他にも、ペット保険の適用に関してはさまざまな条件が設けられているので、後になって慌てることがないよう、前もって保険会社に詳細を確認しておくことが欠かせません。病理検査の費用に限らず、支払いが難しいと感じる場合には、早めに動物病院へ相談することも大切です。
ペットが高齢であっても病理検査を受けることはできますか?
高齢のペットは複数の疾患を抱えているケースが多く、一つひとつの病変を明らかにするうえで、病理検査は重要な役割を果たします。高齢のペットが病理検査を受けるとなると、麻酔の使用に不安を覚える飼い主の方も多いかもしれませんが、獣医師は事前に全身の状態を確認し、必要に応じて麻酔薬の種類や量を調整するので、高齢であっても病理検査を受けることは可能です。例えば細胞診検査は無麻酔や局所麻酔で済むことが多く、特に皮膚やリンパ節の病変であれば短時間で採取できます。全身麻酔が必要となる場合でも、近年は安全性が高く副作用の少ない麻酔管理が確立されているため、ペットが高齢であることを理由に病理検査を諦める必要はありません。いずれにしても、麻酔を使用することに不安があれば、あらかじめ獣医師に相談し、必要な検査やリスク管理について理解を深めておきましょう。

編集部まとめ

身体から採取した組織や細胞を専門の検査機関で詳しく調べる病理検査は、ペットの体調を正確に把握するうえで欠かせないものであり、よりよい治療方針を決定するのに役立ちます。病理検査報告書には専門的な表現が多く見られるため、かかりつけ動物病院の獣医師とうまくコミュニケーションを取って不明点を解消しつつ、検査結果をペットの健康のために活用しましょう。費用面や麻酔の使用に関して疑問がある場合にも、あらかじめ質問しておくことが大切です。

【参考文献】