24時間対応の動物病院とは?受診を検討すべき状況や探し方、費用の目安も解説

24時間対応の動物病院とは?受診を検討すべき状況や探し方、費用の目安も解説

深夜や早朝、かかりつけの動物病院が開いていない時間に愛するペットが突然体調を崩してしまったら、飼い主さんは心配になりますよね。「今すぐ病院に連れて行くべき?」「朝まで待っても大丈夫?」そんな判断に迷うとき、頼りになるのが24時間対応の動物病院です。本記事では、24時間対応の動物病院の種類や受診が必要なケース、探し方から費用の目安まで、いざというときに役立つ情報を詳しく解説します。

24時間対応の動物病院の種類

24時間対応の動物病院の種類

24時間対応の動物病院といっても、実はその体制にも種類があります。それぞれの特徴を理解しておくことで、緊急時により適切な選択ができるようになります。また、24時間体制ではないものの、多くのホームドクターの動物病院が開いていない夜間のみを専門とする病院も存在し、そのような病院の場合は、ホームドクターと組み合わせて実質的な24時間対応の体制でペットを診てもらうこともできます。

おそらく多くの方がこの体制でペットのことを診てもらってると思います。以下では、1つの動物病院で24時間対応できる体制を整えている動物病院の特徴を解説します。

獣医師が常駐している

最も充実した体制なのが、24時間365日獣医師が常駐している動物病院です。このタイプの病院では、深夜や早朝でも通常の診療時間と同じように、複数の獣医師や動物看護師がシフト制で勤務しています。

常駐型の利点は、いつ来院しても迅速な対応が可能なことです。緊急手術が必要な場合でも、すぐに準備を整えて処置に入ることができます。また、入院中のペットの容態が急変した場合も、即座に対応できる体制が整っています。夜間の救急対応をしていることが多く、X線やCTなどの検査機器も整備されていて、検査もその場で実施可能な場合が多いです。
ただし、このような充実した体制を維持するには多くの人員と設備が必要なため、施設の数に限りがあります。また、遠方から受診に来る方も多く、待ち時間が長い傾向にあります。しかし、ペットの様子が普段と大きく異なり、今すぐ診てもらいたいときには大変ありがたい動物病院です。

オンコールの獣医師がいる

もう一つの形態が、オンコール体制を取っている動物病院です。日中は通常診療を行い、夜間や休日は獣医師が自宅待機し、緊急の連絡があれば病院に駆けつけるシステムです。この体制のメリットは、地域の動物病院でもこの体制を取っている病院があり、24時間獣医師が常駐する体制の病院と比較して、多くの地域で利用できることです。普段から通い慣れたかかりつけ医が夜間も対応してくれる場合もあり、ペットの既往歴を把握した獣医師に診てもらえる安心感があります。

一方で、獣医師が病院に常駐しているわけではありませんので、到着するまでに時間がかかることもあり、超緊急の場合の対応は困難な可能性があります。また、スタッフが少ないため、同時に複数の緊急患者さんに対応することが難しい場合もあります。事前に電話連絡をして、獣医師の到着時間を確認し、上述したような24時間体制の動物病院もしくは夜間専門の動物病院の受診も検討することが大切です。

24時間対応の動物病院をすぐに受診する必要があるケース

24時間対応の動物病院をすぐに受診する必要があるケース

ペットの様子がいつもと違うとき、「様子を見るべきか、すぐに病院へ行くべきか」の判断は難しいものです。この章では、迷わず24時間対応の動物病院を受診すべき緊急性の高い症状を解説します。

命に関わる誤飲や誤食

ペットが人間の食べ物や異物を誤って飲み込んでしまった場合、内容によっては命に関わる緊急事態です。特に注意が必要なのは、チョコレート、ぶどう・レーズン、キシリトール、玉ねぎ類、人間の薬などです。これらは少量でも中毒を起こす可能性があります。

また、ボタンやおもちゃの部品、紐、ビニールなどの異物を飲み込んだ場合も、腸閉塞を起こす危険があります。誤飲・誤食してから時間が経つほど症状が重篤化するため、気がついたらすぐに病院へ連絡し、何をどのくらい食べたか、いつ食べたかを正確に伝えましょう。早期に適切な処置を受ければ、催吐処置内視鏡外科手術により対応できることも多いです。

下痢や嘔吐が止まらないとき

単発の下痢や嘔吐であれば様子を見ることもできますが、何度も繰り返す場合は緊急受診が必要です。特に、血便血を吐いている場合、ぐったりして元気がない場合は、重篤な疾患のサインかもしれません。
子犬や子猫、高齢のペットでは、激しい下痢や嘔吐により急速に脱水症状が進行します。脱水は命に関わることもあるため、早めの受診が大切です。また、胃拡張や胃捻転など、緊急手術が必要な病気の可能性もあります。受診時は、嘔吐物や便の写真を撮っておくと診断の助けになります。

呼吸が苦しそうなとき

呼吸困難は特に緊急性の高い症状の一つです。口を開けて浅い呼吸で苦しそう舌や歯茎が青紫色になっている横たわったまま動かずに呼吸している呼吸音がゼーゼー聞こえるなどの症状は、呼吸困難のサインのことがありますので、すぐに病院へ向かい獣医師の診察を受けましょう。

呼吸困難の原因は、心臓病、肺水腫、気管虚脱、喘息、アナフィラキシーなど多岐にわたります。いずれも迅速な対応が必要で、酸素吸入や緊急処置、薬剤の投与などにより命を救えることがあります。移動中も呼吸を妨げないよう、ペットを無理に抱きしめたりせず、楽な姿勢を保つよう心がけてください。

発作が起きたとき

突然の痙攣や意識消失を伴う発作は、飼い主さんはとても不安になると思います。発作中は無理に抑えつけたりせず、周囲の危険物を取り除いて怪我を防ぎましょう。多くの発作は数分以内に治まりますが、5分以上続く場合や発作が落ち着いたと思えば新たな発作が始まるといった場合は、発作重積やてんかん重積という状態と言われ、脳へとダメージを与える可能性があります。

発作の原因にはてんかん、低血糖、中毒、脳腫瘍などがあり、原因の特定と適切な治療が必要です。いざ発作が起きたときは焦りと不安に襲われると思いますが、痙攣にも種類があり、発作の様子を動画に撮っておくと、獣医師の診断に役立ちます。また、初めての発作でも必ず受診し、今後の対応について相談しましょう。

交通事故などで怪我をしたとき

基本的には交通事故や高所からの落下など、外傷を負った場合、すぐに動物病院に連れて行くことが望ましいです。外観以上に重篤な状態の可能性もあり、内臓損傷や内出血を起こしていることが有り得ます。

交通事故や怪我をしてしまったときは、まず歩けるかどうか、そして目に見えてわかるような目立った外傷がないかを確認してください。歩くことができて、目立った外傷がない場合は少し安心できますが、歩けない場合や、目立った外傷がある場合はすぐに動物病院の受診を推奨します。

また、事故直後は興奮状態で痛みを感じにくい場合もありますが、時間とともに症状が悪化することがあります。骨折が疑われる場合は、無理に動かさず、大きめのタオルなどで固定して運びましょう。出血がある場合は清潔なガーゼやタオルで圧迫止血を行いながら、速やかに動物病院へ向かってください。

意識が消失しているとき

ペットの意識がなく、呼びかけても反応しない場合は意識障害の可能性があり、緊急事態です。原因としては、ショック状態、重度の低血糖、てんかん、中毒や心臓疾患など、さまざまです。

また、一過性の意識消失であれば、倒れた後にすぐに普段どおりケロッとしていることも多く、脳へダメージを残さないこともありますが、意識障害の場合は、速やかに治療をしないと脳へとダメージを残してしまう可能性あります。
一過性の意識消失であっても、原因や今後の対応を把握しておく事が望ましいため、一度動物病院を受診しましょう。

24時間対応の動物病院でできること

24時間対応の動物病院でできること

24時間対応の動物病院では、通常の診療時間外でも幅広い検査や治療が可能です。緊急時にどのような対応ができるのか、具体的に見ていきましょう。

まず、24時間体制の病院で救急患者さんにも対応している動物病院では、基本的な診察と応急処置はもちろん、血液検査やレントゲン検査、超音波検査などの各種検査が実施できます。これらの検査により、見た目だけではわからない体内の異常を迅速に発見できます。多くの24時間対応病院では、検査結果も短時間で出るよう体制を整えています。

また、点滴治療や酸素吸入、輸血など、命を維持するための集中治療も可能です。脱水や呼吸困難、重度の貧血など、緊急性の高い症状に対して即座に対応できます。また、緊急手術にも対応しており、胃捻転や腸閉塞、帝王切開など、一刻を争う手術も実施できます。

入院設備も整っており、24時間体制での経過観察が可能です。重篤な患者さんに対しては、心電図モニターや酸素室での管理など、集中治療室(ICU)レベルのケアを提供する施設もあります。状態が安定するまで、獣医師と動物看護師が交代で見守ります。
さらに、専門的な処置として、内視鏡による異物除去や催吐処置なども行える施設があります。中毒物質を摂取した場合の解毒処置や、けいれん発作のコントロールなど、専門的な知識と技術を要する治療にも対応しています。

24時間動物病院の探し方

24時間動物病院の探し方

いざというときに慌てないよう、事前に24時間対応の動物病院を把握しておくことが大切です。いくつか探し方を紹介します。

確実といえるのは、かかりつけの動物病院に聞くことです。多くの動物病院では、夜間救急に対応している近隣の病院を把握しており、連携を取っていることもあります。

また、インターネットでの検索も有効です。『地域名 動物病院 24時間』『地域名 動物病院 夜間救急』などのキーワードで検索すると、該当する病院が見つかります。各都道府県の獣医師会のWebサイトでも、夜間救急対応病院のリストを公開していることがあります。

動物病院を紹介するサイトやSNSも参考になります。実際に夜間診療を利用した飼い主さんの体験談から、対応の良さや設備の充実度がわかります。ただし、緊急時はWebを調べている余裕がないので、平常時に確認しておきましょう。

ペット保険会社も有用な情報源です。多くの保険会社では、24時間対応の獣医師による電話相談サービスを提供しており、近隣の夜間救急病院を案内してくれることもあります。保険に加入している場合は、このようなサービスも活用しましょう。見つけた病院については、住所、電話番号、診療時間、休診日などの基本情報をメモしておくことでいざというときにすぐに受診の準備ができます。また、自宅からの経路も事前に確認しておきましょう。

24時間対応の動物病院にかかる費用

24時間対応の動物病院にかかる費用

24時間対応の動物病院では、通常の診療費に加えて時間外料金が発生することが一般的です。緊急時とはいえ、費用面も重要な要素ですので、目安を把握しておきましょう。症状や行った検査、治療によって費用は異なりますので、参考にされてください。

初診料の目安

24時間対応病院の初診料は、通常の動物病院より高めに設定されていることが多いです。平均的な初診料は2,000円から4,000円程度ですが、時間外の診察料は7,000から10,000円程度かかることが多いです。

この初診料には、問診、身体検査、カルテ作成、時間外料金などの基本的な診察が含まれます。ただし、血液検査やレントゲン検査などは別料金となり、検査内容によって数千円から数万円の追加費用が発生します。緊急手術が必要な場合は、手術の内容により10万円以上かかることも珍しくありません。

なお、保険に加入されている方は、保険会社によって、夜間診療費が補償内容に含まれている場合と含まれていない場合がありますので、確認しておきましょう。
また、入院が必要な場合は、1日あたり5,000円から20,000円程度の入院費用がかかります。ICUでの集中治療が必要な場合は、さらに高額になります。点滴や投薬、酸素吸入などの治療費も別途必要です。

深夜・早朝加算料金の目安

時間外診療では、動物病院によっては、初診料が上述よりも安く抑えられ5,000円程度でそこに加えて時間外加算料金が発生します。加算率は病院により異なりますのでお近くの動物病院ではどうなっているかを確認しておきましょう。また、実際には、これに検査費用や治療費も加算され、緊急で手術が必要になるような場合は総額では数万円から十数万円になることもあります。

24時間対応の動物病院を受診する際の注意点

24時間対応の動物病院を受診する際の注意点

緊急時は焦ってしまいがちですが、スムーズな診療のためにいくつか注意すべき点があります。事前に把握しておくことで、いざというときに適切な行動が取れます。

まず、必ず事前に電話連絡をしましょう。症状を正確に伝えることで、来院前のアドバイスももらえます。特にオンコール体制の病院では、連絡なしに行っても対応できない場合があります。

来院時は、これまでの診療記録がわかるものを持参しましょう。お薬手帳、検査結果、ワクチン証明書などがあれば、診断の助けになります。特に持病がある場合や、継続的に服用している薬がある場合は必ず伝えてください。

ペットの状態を正確に伝えるため、「いつから」「どのような症状が」「どの程度の頻度で」起きているかをメモしておきましょう。嘔吐物や便の状態、誤飲した物があれば現物や写真を持参すると診断に役立ちます。

搬送時の注意も重要です。興奮状態のペットは予期せぬ行動を取ることがあるので、キャリーケースやクレートでしっかり管理しましょう。
そして、冷静さを保つことが何より大切です。飼い主さんの不安はペットにも伝わります。深呼吸をして落ち着いて行動し、獣医師の指示に従いましょう。質問があれば遠慮なく聞き、治療方針についてしっかり理解したうえで同意することが大切です。

まとめ

まとめ

ペットの急な体調不良は、飼い主さんにとって大きな不安とストレスになります。しかし、24時間対応の動物病院があることで、いつでも専門的な治療を受けられる安心感があります。
大切なのは、緊急事態が起きる前に備えておくことです。近隣の24時間対応病院を調べ、連絡先を控えておきましょう。また、日頃からペットの様子をよく観察し、異常を早期に発見することも重要です。
24時間対応の動物病院は、ペットと飼い主さんの心強い味方です。この記事が、もしものときの参考になれば幸いです。

参考文献