ペットの健康を守るうえで、フィラリア症を予防することは欠かせませんが、フィラリア予防薬の入手方法について、悩んだことはありませんか? 今回はフィラリア予防薬に焦点を当てて、動物病院で薬だけもらうことはできるのかなど、気になる情報をまとめました。併せて、フィラリア症の基礎知識や投薬時の注意点についても、順を追ってわかりやすく解説を加えるので、ぜひ参考にしてください。
フィラリア症の基礎知識

フィラリア症の予防は重要であると理解しているものの、そもそもどのような病気なのか、詳しくはわかっていないという飼い主の方も多いのではないでしょうか。まずは、フィラリア症の基礎知識を押さえることで、予防の重要性について理解を深めましょう。
- フィラリア症とは、どのような病気ですか?
- フィラリア症はその名のとおり、フィラリアに感染することで引き起こされる病気です。犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)とも呼ばれており、重い肺疾患や心疾患に加えて、腎臓や肝臓などにも影響を及ぼします。一方で、ある程度進行するまでは目立った症状が見られないことから、感染初期にフィラリア症と気付くのは困難です。それだけに、投薬による予防がとても重要になります。
- 特にフィラリア症に注意が必要な地域や季節があれば教えてください
- フィラリアは蚊を媒介して感染を広めるため、蚊の活動期間にあたる暖かい季節には特に注意が必要です。沖縄においては一年中感染する可能性があります。その他の地域についても、温暖化による気候の変化や住宅環境の改善などによって蚊の活動期間が長くなってきているため、対策を怠ることはできません。
- フィラリア症は予防できますか?
- フィラリア症は発症すると命に関わる大変危険な病気ですが、その反面、きちんと投薬すれば、ほぼ100%予防できるといわれています。
- フィラリア予防薬の種類を教えてください
- フィラリア予防薬には、おやつ感覚で口にすることができるチュアブルタイプ、毛をかき分けて薬液を皮膚に塗るスポットオンタイプのほか、錠剤タイプや注射タイプなどがあります。
フィラリア予防薬の入手方法
このパートでは、フィラリア予防薬の入手方法について詳しく説明します。決められた手順を踏んで薬を入手することが、実はペットの命を守ることにもつながるため、正しい入手方法を確認しておきましょう。
- 動物病院に行かなくても、フィラリア予防薬を入手できますか?
- フィラリア予防薬は、獣医師法で投与・処方にあたっては獣医師自らが診察することが義務付けられた、要指示医薬品です。ペットショップやホームセンター、インターネットなどで買い求めることはできないため、動物病院に行って入手しましょう。
- 検査は受けず、薬だけもらうことも可能ですか?
- 動物病院で入手できるのであれば、検査は受けず、薬だけもらいたいと考える飼い主の方もいるでしょう。しかし、フィラリア予防薬を投与する際には、その時点でフィラリアに感染していないことを確認する必要があるため、検査を省くことはできません。フィラリア予防薬は、フィラリアの侵入を防ぐのではなく、血液中に入ったフィラリアの幼虫を駆虫するためのものです。心臓に寄生して害を及ぼす成虫になる前に食い止めようというわけですが、すでにフィラリアに感染していて成虫が体内にいる場合、予防薬によって成虫が産んだ大量の幼虫が一気に死滅すると、ペットはショック状態に陥ります。死に至るケースもあり、大変危険なことから、処方の前に検査を受けることは不可欠です。
- 動物病院で処方されるフィラリア予防薬の費用の目安を教えてください
- フィラリア予防薬の費用は薬の種類やペットの体格などによって大きく異なりますが、チュアブルタイプとスポットオンタイプは月に2,000〜4,000円程度、錠剤タイプは月に900〜2,500円程度、注射タイプは年に7,000〜15,000円程度が費用の目安です。一見すると錠剤タイプがお得な印象ですが、錠剤を飲むのが苦手なペットは少なくありません。一方、注射タイプは特に高いように見えて、年に一度の対応で済むというメリットがあります。それぞれのタイプに長短があるので、金額だけにとらわれることなく、自分とペットに合った予防薬を選びましょう。
フィラリア予防薬を投与する際の注意点

終わりに、フィラリア予防薬を投与する際の注意点をまとめます。うっかり予防薬を飲ませ忘れてしまったときの対応などについても説明しているので、万が一の場合に慌てることがないよう、目をとおしてみてください。
- フィラリア予防薬の投与後に注意すべきことはありますか?
- 予防薬を与えた後にペットが嘔吐する、薬を塗った部分の炎症や脱毛といったトラブルが起きる可能性もあります。投与後はいつも以上にペットの様子を注視して、気にかかる点があれば、速やかに動物病院を受診しましょう。
- フィラリアに感染したときにしっかり治療するのであれば、予防薬は投与しなくてもよいですか?
- フィラリア症を発症してしまった場合には、その進行度合いにより、投薬による内科的治療や、手術で体内のフィラリア虫体を摘出する外科的治療が行われます。いずれの場合もペットの身体的負担は小さくなく、仮に治療がうまくいったとしても、一度ダメージを受けた心臓や肺を元の状態に戻すことはできません。長期間の投薬が必要になれば、飼い主の負担も大きくなるでしょう。何よりもフィラリア症は重症化してしまえば有効な治療法がないため、感染したときに治療すればよいと安易に考えるのではなく、しっかりと予防薬を投与することが大切です。
- 予防は成犬になってから始めても間に合いますか?
- フィラリア予防薬は生後6週齢から投薬できるため、早いうちに予防スケジュールや薬の種類について、獣医師に相談しておきましょう。子犬なので予防は不要ということはありません。
- ほかの病気を治療中の場合、薬の飲み合わせなどで注意することがあれば教えてください
- ほかの薬を服用している状態で、フィラリア予防薬の投与を希望する場合には、自己判断で同時に投与することは絶対に避けて、事前に獣医師の判断を仰ぎましょう。その他にも、ペットに重篤な既往症や持病、アレルギーがある場合や、高齢などの理由で投与に不安を覚えたら、まずは獣医師に相談してください。
- 予防薬を飲ませ忘れた場合、獣医師の指示を仰ぐべきでしょうか?
- 予防薬を飲ませ忘れると、当然ながらフィラリアの感染リスクが高まるため、十分な注意が必要です。万が一忘れてしまったときは、数日程度の場合は気付いた時点で飲ませれば大きな問題になるとは考えづらいですが、1ヶ月以上忘れたときは、獣医師の指示を仰ぎましょう。自己判断で対応を済ませるのは危険です。
編集部まとめ
フィラリア症は一度発症してしまえば治療が難しく、ペットの命にも関わる大変危険な病気ながら、フィラリア予防薬を投与することで、ほぼ100%予防することができます。正しい知識を持ってペットに合った薬を選び、スケジュール管理を徹底して適切に投与することは、飼い主の責務といえるでしょう。投与に関して不安な点があれば、適宜獣医師の判断を仰ぐことも重要です。しっかりとフィラリア症を予防して、大切なペットと長く健やかな日々を送りましょう。