動物病院の耳鼻科|診療内容や検査方法、費用の目安などを紹介します

動物病院の耳鼻科|診療内容や検査方法、費用の目安などを紹介します

「動物病院の耳鼻科ってどのような検査や治療をしてくれるの?」と気になっている飼い主さんはいませんか。

動物は、苦しんだり困ったりしている症状があっても、飼い主さんや獣医に直接言葉で説明することができません。

本記事では、動物病院の耳鼻科で行う診療内容や検査方法について詳しく解説します。

大切な動物に気になる症状があるのを飼い主さんが見つけたら、動物病院の受診をおすすめします。まずはこの記事を読んで、動物病院の耳鼻科についての知識を身につけましょう。

動物病院の耳鼻科について

診察を受ける犬

動物病院の耳鼻科ではどのような疾患を診察してもらえますか?
動物病院耳鼻科で診察できる犬や猫の代表的な耳の疾患は、以下のとおりです。
  • 外耳炎
  • 中耳炎
  • 耳血種
  • 犬の耳道腫瘍
  • 猫の中耳ポリープ
  • めまい

耳がかゆい・赤く腫れている・耳垢が多いなどの症状の場合、外耳炎が考えられます。原因は免疫疾患の可能性があり、主な原因は下記のとおりです。

  • 細菌感染
  • 真菌(マラセチア)感染
  • 外部寄生虫(ミミダニ)感染
  • アレルギー性皮膚炎
  • アトピー性皮膚炎

外耳炎が悪化すると、中耳炎になる可能性があります。
中耳炎の主な症状は、耳の聞こえにくさです。そのままにしておくと、斜頸・眼振などの神経症状が表れる、内耳炎を引き起こす恐れがあります。また、外耳炎・中耳炎・内耳炎・腫瘍などによる内耳の炎症が原因で、めまい症状が出る可能性もあります。
主な鼻の疾患は以下のとおりです。

  • 鼻炎
  • 鼻腔内がん
  • 異物
  • 鼻咽頭ポリープ

耳鼻科系の疾患は、飼い主さんが動物の変化に気付きやすいとされています。しかし、犬種や猫種の違いによって、かかりやすい耳鼻科系疾患が異なるため、注意が必要です。
できる限り早めに動物病院を受診し、治療を受けましょう。

動物病院の耳鼻科ではどのような検査を行いますか?
動物病院の耳鼻科では、まず問診として触診・視診・聴診・検温などの身体検査を行います。問診後、必要な検査を行います。
耳鼻科疾患で行う検査は、以下のとおりです。
  • ビデオオトスコープ
  • レントゲン
  • CT
  • MR
  • 耳垢検査
  • 血液検査
  • 病理検査

疾患や症状によって、必要な検査は異なります。
ビデオオトスコープでは、垂直耳道・水平耳道・鼓膜までを硬性鏡カメラで観察することが可能です。
耳垢検査では、顕微鏡で耳垢を確認し、外耳炎や中耳炎の原因となるマラセチアという真菌や細菌感染を確認できます。耳の奥まで観察する必要がある場合は、レントゲン・CT・MRIの画像検査を行います。
画像検査では、中耳炎の有無や腫瘍の可能性が判断可能です。斜頸や眼振などの神経症状が見られる場合は、中耳炎・内耳炎によるのか、その他の頭蓋内疾患によるのかを鑑別できます。

動物病院の耳鼻科ではどのような治療を行いますか?
耳科の初期治療は、以下のとおりです。
  • 点耳
  • 内服
  • 耳道洗浄

初期治療では、まず上記のように内科的治療を行います。
症状の改善がない・重症の場合は、麻酔下でビデオオトスコープを使用し、鼓室胞洗浄や耳垢の除去などの処置を行います。
鼻科の主な治療は、以下のとおりです。

  • 内服
  • 点鼻薬
  • ネブライザー
  • 注射

ネブライザーや注射は、重症の場合に行われる治療です。早期治療を行うことによって、疾患の重症化を防ぐことができます。

手術が行われるケースもありますか?
耳鼻科の手術例は、以下のとおりです。
  • 耳道内腫瘤切除術
  • 耳血種整復術
  • 外耳道切開術
  • 全耳道切除術
  • 腹側鼓室胞骨切り術

上記の手術は、腫瘤や外耳炎悪化により中耳炎・内耳炎・髄膜炎を引き起こす場合に行われます。症状を悪化させてしまうと、場合によっては命に関わります。
気になる症状がある場合は、できる限り早めに動物病院で相談しましょう。疾患の早期発見が重要です。

検査や治療の費用相場

豚の貯金箱と1万円

動物病院で耳鼻科の検査を受けた場合の費用はどのくらいですか?
検査費用の目安は、以下のとおりです。
  • レントゲン検査:3,300~6,600円(税込)
  • CT検査:16,460~27,500円(税込)
  • MRI検査:22,000~44,000円(税込)
  • 麻酔前術前検査:11,000~33,000円(税込)
  • 耳垢検査:1,650円(税込)
  • 耳表面の細胞診:3,300円(税込)
  • 耳介の病理検査:13,200~28,600円(税込)
  • 皮膚掻爬検査:1,320円(税込)
  • 耳道内細胞薬剤感受性検査:片耳13,200円(税込)、両耳16,500円(税込)

上記の検査費用は目安です。耳鼻科の検査費用は受診する動物病院、犬や猫の種類・疾患・身体の大きさなどによって異なります。
検査費用が気になる方は、動物病院で確認しましょう。

耳鼻科疾患の治療費の目安を教えてください
耳鼻科疾患でかかる治療費は、疾患や犬・猫の種類、身体の大きさによって異なります。
例えば、全身麻酔下でのビデオオートスコープ洗浄治療でかかる費用の目安は、以下のとおりです。
  • 麻酔前術前検査:11,000~33,000円(税込)
  • 基本麻酔管理料:11,000円(税込)
  • ビデオオトスコープ下耳道洗浄基本料:55,000円(税込)
  • ビデオオトスコープ下腫瘤切除:33,000円(税込)
  • 摘出後病理検査費用:16,500円(税込)
  • ビデオオトスコープ下異物摘出:33,000円(税込)
  • 中耳洗浄:27,500円(税込)

上記は、治療でかかる費用の例です。動物病院で治療にかかる費用の詳細は、治療を受ける前に確認しておきましょう。

犬や猫の代表的な耳鼻科の疾患

猫を診察する獣医の手

犬がかかりやすい耳鼻科の疾患を教えてください。
犬がかかりやすい耳鼻科の疾患は、以下のとおりです。
  • 外耳炎
  • 鼻炎

外耳炎にかかりやすい主な犬種は、以下のとおりです。

  • ミニチュア・ダックスフンド
  • トイ・プードル
  • レトリーバー種
  • アメリカン・コッカー・スパニエル

上記のように、耳が垂れている・耳毛が多い犬種が、特に外耳炎にかかりやすいとされています。

犬の耳鼻科の疾患ではどのような症状が出ますか?
犬の耳鼻科の疾患で見られる症状は、以下のとおりです。
  • 頭を振っている
  • 耳を気にする素振りを見せる
  • 耳のなかがグジュグジュしている
  • 耳を床に擦りつける
  • 耳を痒がっている
  • 耳の聞こえが悪い
  • 首が傾いている
  • 眼振している
  • 耳垂れが出ている
  • めまい
  • ふらつき
  • まっすぐ歩けなくなる
  • 嘔吐
  • 鼻水
  • くしゃみ
  • 鼻血

上記のような症状がある場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

猫がかかりやすい耳鼻科の疾患を教えてください
猫がかかりやすい主な耳鼻科の疾患は、以下のとおりです。
  • 外耳炎
  • 猫ウイルス性鼻気管炎
  • 猫カリシウイルス感染症
  • クラミジア感染症

外耳炎にかかりやすい主な猫種は、以下のとおりです。

  • スコティッシュ・ホールド
  • アメリカンカール

上記の猫種は、折れ耳の特徴があります。
外耳炎を発症しやすく、治療が難しい・再発しやすいなど、難治性になる傾向があるため早期発見・治療が重要です。
猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス感染症・クラミジア感染症は、人間の風邪に似た症状で、猫風邪とも呼ばれています。

猫の耳鼻科の疾患ではどのような症状が出ますか?
猫の耳鼻科の疾患の症状は、以下のとおりです。
  • 耳のかゆみ
  • 耳の痛み
  • 耳垢が溜まる
  • 首を振る
  • 頭を傾ける
  • ふらつく
  • 嘔吐
  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 発熱
  • 食欲低下
  • 脱水
  • 口腔内水疱・潰瘍

猫風邪が併発しやすい眼科疾患は以下のとおりです。

  • 結膜
  • 瞬膜の充血・浮腫
  • 角膜混濁・浮腫

上記のように、結膜炎や角膜炎症状など眼科疾患を併発する場合があります。また、仔猫や高齢の猫は、重症化しやすい傾向があります。
免疫力の強化を図ることで予防ができる、ワクチン接種が効果的です。できる限りワクチン接種を受けて、疾患を予防するようにしましょう。

編集部まとめ

猫・ペットを抱く動物病院の男女の獣医師

動物は自分で症状を伝えられないため、飼い主さんが気付いたときには、重い症状になっている可能性があります。痛みやかゆみはストレスがかかり、普段と様子が変わる犬や猫もいることでしょう。

犬や猫がかかりやすい疾患は、外耳炎とされています。しかし犬や猫の種類や体の大きさ、環境によって、異なるため注意しましょう。重症化すると手術が必要になることがあるため、早期発見が重要です。

犬や猫に気になる症状がある場合は、できる限り早めに動物病院を受診し、診察を受けましょう。動物病院によって可能な検査や治療が異なります。

受診するかどうか悩む場合は、まずは問い合わせをおすすめします。大切な家族を守るために、日々の動物の様子をしっかりと確認しましょう。

参考文献