亀は静かに過ごすことが多いため、体調の変化に気付きにくい生き物です。しかし、早期発見と早期治療が大切であることは、ほかのペットと変わりません。それでは、どのようなときに動物病院へ連れて行くべきなのでしょうか。
本記事では動物病院で亀を診てもらう場合について以下の点を中心にご紹介します。
- 亀について
- 亀が注意すべき病気
- 動物病院で亀を診てもらう場合
動物病院で亀を診てもらう場合について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
亀について

- 亀にはどのような特徴がありますか?
- 亀は爬虫類の一種で、世界中の熱帯・温帯地域に生息し、約300種が確認されています。陸棲・水棲・半水棲の3つのタイプに分類され、それぞれの環境に適応しています。多くの水棲種は肺呼吸を行い、水面に顔を出して息継ぎをします。
特徴的なのは甲羅で、これは肋骨が変化した骨甲板と、鱗が変化した角質甲板から成り、陸棲種はドーム状、海棲種は流線形です。また、視力がよく、夜間の視界が良好だとされています。さらに、亀は脱皮をしますが、一度に剥がれるのではなく、鱗の小さな部分から徐々に新しくなります。
食性は雑食性が多く、魚類や昆虫、植物など幅広いものを食べます。ペットとしては、ミシシッピニオイガメやニホンイシガメなどがよく飼育されています。
- ペットにできる亀の種類を教えてください
- ペットとして飼育できる亀には、水棲ガメとリクガメの2種類があります。それぞれの特徴や性格を理解し、適した環境を整えることが大切です。
【水棲ガメ】
・クサガメ(ゼニガメ)
雌は大きくて30cm、雄は15cm程度。人間に懐きやすい。
・ニホンイシガメ
日本固有種で、準絶滅危惧種。環境の変化に敏感で、水質管理が重要。
・ミシシッピニオイガメ
小型で、大きくても15cm程度。温和な性格だが、触りすぎには注意。
・ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)
活発で丈夫だが、大きくなりやすい(大きくて30cmほど)。人間に慣れやすいが、飼育放棄により外来種問題になっている。
【リクガメ】
・ヘルマンリクガメ
小型(大きくて20cmほど)で乾燥に強い。人懐っこく、初心者向け。
・ギリシャリクガメ
甲羅の模様が美しく、寒さに強い。50年以上生きる個体もいる。
・アカアシガメ
赤い斑点が特徴的。臆病な性格なので、隠れ場所が必要。
- 亀はどのような病気に気を付けた方がいいですか?
- 亀を健康に育てるためには、以下のような病気に注意が必要です。
まず、”くる病”は、カルシウム不足や紫外線不足によって発症し、甲羅や骨が変形してしまう病気です。バランスの取れた食事と適切な日光浴が予防に役立ちます。
“水カビ病”は、水質の悪化や傷口から感染しやすく、白いカビ状のものが体表に現れます。清潔な環境を維持することが大切です。
また、亀も口内炎にかかることがあり、口内が腫れて食欲が低下することがあります。硬い餌の与えすぎや、不衛生な水環境が原因となることが多いとされています。
“卵塞”はメス特有の病気で、産卵できずに体内に卵が残る状態です。放置すると衰弱するため、異変に気付いたら早めの受診が必要です。
さらに、甲羅の損傷や骨折は、落下や強い衝撃によって起こることがあります。怪我をすると細菌感染のリスクも高まるため、適切なケアが必要です。
内部寄生虫やダニも見過ごせない問題で、寄生されると食欲不振や貧血を引き起こします。
亀が弱っているときの特徴と対処法

- 亀が弱っているときにはどのような行動が見られますか?
- 亀が弱っているときには、普段と異なる行動が見られることがあります。
最初に現れる兆候としては、食欲の低下や動きの鈍化が挙げられます。元気なときは活発に動き回る亀も、体調が悪いとじっとして動かなくなることが多くなります。
さらに状態が悪化すると、水中で過ごす時間が減り、陸場に長時間とどまるようになります。これは、体力が極端に落ちて水のなかで溺れてしまう危険があるためです。
また、呼吸が荒くなる、変な鳴き声を発するなどの症状が見られる場合もあります。
これは呼吸器系の異常や重度の体調不良のサインであり、早急な対応が必要とされています。
小動物である亀は体調が悪化すると急変しやすいため、「少し様子を見よう」と判断するのは危険です。異変に気付いたら、早めに病院へ連れて行くことが大切です。
- 亀が弱っている場合にどのような原因が考えられますか?
- 亀が弱る原因は、病気だけでなく環境要因や季節の影響も関係しています。まず考えられるのが、冬眠の失敗による半冬眠状態です。
この場合、体は覚醒しているものの十分に活動できず、エサを食べないまま体力を消耗してしまいます。亀が冬眠から目覚めても元気がない場合は、適切な温度管理が必要です。
次に、単に冬季の寒さで動きが鈍っていることもあります。
この場合は、春になれば自然に回復するため、あまり心配する必要はありません。
しかし、寒さによって免疫力が低下すると、風邪や肺炎を引き起こすこともあります。
風邪の症状としては、くしゃみ、鼻水、口呼吸、呼吸困難などが挙げられ、これらが見られた場合は早急な対応が必要です。
また、飼育環境の悪化や栄養不足も、亀の体調不良の大きな原因となります。水が汚れていたり、適切な食事を与えられていなかったりすると、感染症や消化不良を引き起こす可能性があります。
さらに、極端に弱った亀は水のなかに入ることすらできなくなり、陸場でじっとしていることが多くなります。この状態はすでにかなり危険なレベルであるため、すぐに病院へ連れて行きましょう。
- 亀が弱っているときに自宅でできる対処法を教えてください
- 亀の体調が悪いと気付いたときは、すぐに獣医に相談するのが推奨されますが、夜間やすぐに病院へ行けない場合は、自宅で次のようなケアを行いましょう。
まず有用なのが温浴です。35〜40度程度のぬるま湯に5分ほどつけて体を温めることで、冷えや消化不良の改善が見込めます。ただし、長時間浸けすぎると逆に体力を消耗するため、短時間で切り上げることが大切です。
また、日光浴も体調回復に役立ちます。適度に紫外線を浴びることで、免疫力を高めることができます。ただし、気温が低い場合は、屋内で保温ライトを活用するとよいでしょう。
さらに、飼育環境を清潔に保つことも重要です。体調を崩しているときは免疫力が低下しているため、雑菌が繁殖しやすい環境では病状が悪化する恐れがあります。水槽の水をこまめに交換し、床材や器具の消毒を徹底しましょう。
ほかの亀と同じ水槽で飼育している場合は、病気がうつるのを防ぐために隔離することも検討しましょう。
亀を動物病院へ連れて行く際のポイント

- 亀を動物病院に連れていくときに気をつけることを教えてください
- 亀を動物病院に連れて行く際には、事前の準備が重要です。まず、診察可能な病院かどうかを確認しましょう。亀や爬虫類を診察できる病院は限られており、近くの動物病院が対応していない可能性があります。ネット検索だけでは情報が古いこともあるため、直接電話で確認しましょう。
病院への移動時は、暴れにくいサイズのタッパーのような容器を使用し、発泡スチロールの容器は噛んでしまう可能性があるため避けましょう。移動時の温度管理は寒すぎたり暑すぎたりしないよう、適温(20〜30度)を保つことが理想です。
- 亀を動物病院に連れていくべきタイミングを教えてください
- 食欲不振が続く場合や、いつもと違う行動をしている場合は注意が必要です。例えば、エサをまったく食べない、じっとして動かない、シェルターに引きこもったまま出てこないなどの行動が見られたら、早めに診察を受けましょう。
また、呼吸の異常も病院へ行くべき重要なサインです。呼吸が荒い、鼻水が出る、プキューという異常な音がするなどの症状がある場合、肺炎の可能性も考えられます。風邪のような軽い症状に見えても、悪化すると命に関わるため、軽視せずに診察を受けることが大切です。
さらに、爪や嘴(くちばし)が伸びすぎた場合も病院で処置を受けることが推奨されます。
- 亀はどのように動物病院へ連れて行けばいいですか?
- 亀を病院へ連れて行く際には、タッパーのような容器に入れるのがおすすめです。容器は亀が手足を伸ばせるけれども暴れにくいサイズが推奨され、水は入れません。
また、移動中の温度管理も重要です。理想的な温度は24〜29度で、20度以下や30度以上にならないように注意しましょう。冬場はカイロを使うなどして保温し、夏場は直射日光を避け、通気性を確保することが大切です。
- 近くに亀などの爬虫類を診察してくれる動物病院がない場合はどうすればいいですか?
- 亀を診察できる動物病院が近くにない場合も、まずは問い合わせてみることが大切です。
病院のホームページには犬・猫が対象と書かれている場合でも、実際にはリクガメなどの爬虫類を診察してくれることがあります。直接電話で問い合わせて、対応可能かどうか確認しましょう。
また、亀を購入したペットショップに相談するのもおすすめです。ショップのスタッフが亀の扱いに慣れている場合もあり、診察できる病院を紹介してくれることがあります。また、飼育のアドバイスや応急処置の方法を教えてもらえることもあります。
それでも診察できる病院が見つからない場合、爬虫類専門のオンライン相談サービスを利用するのも選択肢の一つです。
遠方の専門病院に問い合わせて、電話やメールでアドバイスを受けることで、適切な対応ができる可能性があります。
編集部まとめ

ここまで動物病院で亀を診てもらう場合についてお伝えしてきました。動物病院で亀を診てもらう場合の要点をまとめると以下のとおりです。
- 亀は世界中の熱帯・温帯地域に生息している爬虫類の一種で、ペットとしては、ミシシッピニオイガメやニホンイシガメなどがよく飼育されている
- 亀はくる病、水カビ病、口内炎、メスの卵塞、甲羅の損傷や骨折、内部寄生虫やダニなどの病気に気を付ける必要がある
- 動物病院で亀を診てもらう場合は、食欲の低下や動きの鈍化、呼吸が荒くなる、変な鳴き声を発するなどの症状を受診の目安とし、移動時は水を入れない暴れにくいサイズのタッパーのような容器を使用する
亀の生態の理解を深め、動物病院を受診する際は、事前の確認を怠らないようにしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。