猫のチェリーアイはどのような病気?原因や症状・治療法を解説

猫のチェリーアイはどのような病気?原因や症状・治療法を解説

猫にとって、目の病気はとても身近なものです。飼い主も猫の目のトラブルには頭を悩ませている方も多いでしょう。

その中で、チェリーアイと呼ばれる目の疾患を聞いたことはありませんか?チェリーアイは猫や犬に見られる、目が赤くなる症状です。

本記事では、猫の目の疾患であるチェリーアイについて、原因や症状・治療法を解説します。

また、予防のポイントや日頃のケア方法についても詳しくご紹介しますので、大切な愛猫の健康管理にお役立てください。

猫のチェリーアイについて

ベンガル猫

猫のチェリーアイはどのような病気ですか?
チェリーアイは、正確には第三眼瞼腺逸脱といいます。猫のまぶたは上と下の二つだけでなく、人間にはない三つ目の第三眼瞼(瞬膜)が存在しています。この第三眼瞼が外に飛び出した状態がチェリーアイ(第三眼瞼逸脱)です。飛び出ている状態が赤く、さくらんぼのように見えることからチェリーアイと呼ばれるようになりました。犬に多く発症する病気ですが、猫もかかる病気です。
チェリーアイと間違いやすい病気や症状はありますか?
角膜炎や結膜炎、白内障などが挙げられます。角膜炎は、角膜に傷ができたり角膜の組織が破壊されている場合を潰瘍性角膜炎といいます。猫が目を細めていたり涙の分泌が多くなったり、目を擦る仕草が増えるほか、目の白濁が見られる場合が多いです。それとは別に、目の表面に傷がない場合を非潰瘍性角膜炎といいます。ウイルス感染や緑内障、ドライアイなどの原因によって炎症が起こっている状態です。結膜炎は、まぶたの裏側にある結膜が炎症を起こす目の病気で、両眼とも結膜炎を起こす場合が多いです。主に猫ウイルス鼻気管炎(猫ヘルペスウイルス感染症)や猫カリシウイルス感染症などのウイルス感染が引き金となって発症します。また、結膜炎にかかると、結膜が赤く腫れ、涙がでたり目やにが出たりなどの症状が出ることも多いです。白内障は、先天性のものと加齢や糖尿病などの疾患から併発する後天性のものがあります。白内障を発症すると、涙や目やにが多くなり眼を気にする仕草が増えることが特徴です。進行すると水晶体が白濁し、視力の低下がみられます。これらの病気は、涙や目やにが増えるといった初期症状が多く見られることが特徴です。猫がいつもより眼を気にしている仕草を見受けられたら、病気の早期発見のためにも早めの受診をしましょう。

猫のチェリーアイの原因と症状

顔を隠す猫

猫のチェリーアイの原因を教えてください。
チェリーアイの多くは先天的な原因によって引きおこることが多いです。第三眼瞼腺(瞬膜)を固定している結合組織が先天的に欠損している場合や、結合組織が弱い場合に、その部分が切れて発症するとされています。先天的の場合は発症が早く、1歳以下の年齢で症状が現れます。後天的なチェリーアイは、高齢の猫や外傷、感染症が原因です。室内から外へ出たことがある猫や、感染症の猫と接触した可能性のある猫は注意が必要です。
チェリーアイにかかりやすい猫の品種を教えてください。
遺伝の問題で、バーミーズやペルシャの品種はほかの猫種に比べてチェリーアイにかかりやすいといわれています。理由としては、生まれつき第三眼瞼腺と骨の付着が弱いためです。1歳以下の年齢での発症が多いです。後天的なチェリーアイはどの猫種、年齢でもかかることがあります。
猫のチェリーアイの症状にはどのようなものがありますか?
チェリーアイの症状には瞬膜の逸脱のほか、以下の症状がみられることがあります。
  • 眼の充血
  • 目やに
  • 粘膜の出血
  • 眼を擦る

異物感があるため、しきりに眼を擦ったり壁に擦り付けたりなどの行為がみられます。繰り返し目に触れることで、充血がみられたり瞬膜や角膜に傷がつくことで、重症化の危険もあります。チェリーアイは瞬膜が目から飛び出しているため、乾燥しやすい状態です。そのため、瞬きの回数が多くなる場合も考えられます。

受診の目安を教えてください。
普段よりもしきりに目を気にしていたり、目やにが多くなっていたりなど少しでも気になることがある場合は早めに受診をしましょう。目のトラブルは、見た目にも出やすいので普段から気にかけることが大切です。チェリーアイは長期間放置すると、重症化の危険があります。炎症が酷くなり、結膜炎や角膜障害などが併発するおそれがあります。また、見えない症状もある可能性も否定はできないので、動物病院での定期的な検診もおすすめします。

猫のチェリーアイの治療法とケア

獣医に処置してもらう猫

猫のチェリーアイの治療法を教えてください。
猫のチェリーアイの治療法には、内科的治療と外科的治療があります。軽度の場合は内科的治療を受けることが多いです。チェリーアイになってすぐであれば、ピンセットや手で瞬膜を押し込み元に戻した後、炎症を抑える薬を使用することで改善する可能性があります。ただし、内科的治療の場合は再発のリスクが高いため注意が必要です。繰り返しチェリーアイになる、内科的治療で改善しない場合は外科的治療(手術)に入ります。外科的治療には以下の2つ手法が主に用いられます。
  • 本来の元の位置に戻す手術(リーポジション法、アンカー法)
  • 逸脱した瞬膜腺の一部を切開し埋め込む手術(ポケット法、埋没法)

アンカー法は、再発の可能性が低い術式といわれています。ポケット法は、再発を繰り返している猫や高齢の猫に対して行うことの多い術式です。いずれの治療法も、獣医師の説明をよく聞き、納得した上で手術を受けることが大切です。

瞬膜のトラブルに気付くにはどこに注意すればよいですか?
瞬膜が出たまま元に戻らなかったり、瞬膜が赤く腫れていたりした場合はすぐに動物病院を受診しましょう。黒目が小さくなっていたり、まぶたが垂れていたり、瞬膜が内側に出てきてしまったりする場合は、チェリーアイ以外にもホルネル症候群の可能性も考えられます。猫が眠い時や寝ている時に瞬膜が出ている場合は、生理的なものなので、特に問題はありません。
治療後のケアについて教えてください。
治療後は患部が敏感になっているため、猫に目を触らないよう対策をすることが重要です。前脚や擦り付けなどで患部を痛めないよう首にエリザベスカラーをする場合もあります。ケアとして目薬や抗生剤、痛みどめなどの処置を1週間程度実施しましょう。治療後は、涙の分泌が少なくなり、ドライアイ(乾性角結膜炎)を引き起こす可能性もあるため注意を払いましょう。過度に興奮をさせることはせず、安静に過ごさせることがとても大切です。急変の可能性もあるので、しばらくはいつでも病院へいける準備と環境を整えておくと安心です。術後に通院した際、獣医師に猫の体調を確認したのちエリザベスカラーや点眼などの処置を終了しましょう。個人の判断で処置をやめることは危険です。
猫のチェリーアイの予防法を教えてください。
猫のチェリーアイは、先天的なものが発病に関わっているため、具体的な予防方法は少ないです。しかし、定期的な眼科検診や普段の猫の様子などから早めの受診を行うことで、病気の早期発見が可能です。また、後天的な発病を避けるため、猫の室内外を徹底し感染症や外傷を防ぐほか、予防接種を受けることでチェリーアイのみならずほかの病気からも予防することが期待できます。

編集部まとめ

猫と飼い主

チェリーアイは瞬膜が外に飛び出した状態で、その見た目が赤く、さくらんぼのように見えることからチェリーアイと呼ばれるようになりました。

猫のチェリーアイは先天的なものがほとんどで、バーミーズやペルシャといった猫種が、1歳以下の場合に発症しやすいといわれています。まれに老化や外傷などで後天性発病のチェリーアイもあります。

猫の健康を守れるのは飼い主だけです。チェリーアイだけでなく目の病気は早めの対応が大切です。

猫が普段よりも眼を気にしていたり充血や目やにが多かったりした場合には、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

また、ほかの病気の早期発見のためにも、定期的な動物病院の受診をおすすめします。

参考文献

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