猫白血病について知っていますか?猫白血病の原因と予防方法について解説!

猫白血病

猫白血病は、猫の生命に関わる感染性の病気ですが、過度に怖がるのではなく、正しい知識を持って猫と暮らしていけると良いですよね。

本記事では猫白血病について以下の点を中心にご紹介します。

  • 猫白血病とは
  • 猫白血病ウイルス(FeLV)感染症の予防について
  • 猫白血病ウイルス(FeLV)感染症の治療について

猫白血病について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

猫白血病について

猫白血病とはどのような病気ですか?
猫白血病は、猫白血病ウイルス(FeLV)によって引き起こされる感染症で、猫の健康に深刻な影響を及ぼすことが知られています。正式には猫白血病ウイルス(FeLV)感染症と呼ばれます。このウイルスは、猫の免疫システムを弱体化させ、リンパ腫や他の血液関連の疾患を引き起こす原因となります。
感染した猫は、寿命が短くなる傾向にあり、多くの場合、診断後2〜4年以内に免疫不全や貧血、リンパ腫などを発症するとされています。これらの病気は「FeLV関連疾患」と呼ばれ、一度発症すると治療が困難なため、感染症により数ヶ月から数年で死に至ることが多いとされています。
ただし、すべての感染した猫が病状を発症するわけではありません。免疫機能が健全な猫は、感染初期にウイルスを排除できる場合もあります。しかし、ウイルスが骨髄内で増殖し続ける「持続感染」の状態になると、多くの猫が免疫不全やリンパ腫などの病状を発症します。また、「潜伏感染」の状態では、ストレスや免疫抑制剤の投与などにより免疫が低下し、ウイルスが再活性化するリスクがあります。
猫白血病の原因はなんですか?
猫白血病は、猫白血病ウイルス(FeLV)の感染によって引き起こされる病気です。このウイルスは猫間での接触、特に唾液を介した接触によって広がります。感染猫との毛づくろい、食器や水入れの共有、そして咬傷が主な感染経路です。また、感染した母猫から子猫への垂直感染や、胎盤や母乳を通じてウイルスが伝わる場合もあります。猫白血病ウイルスはネコ科動物にのみ感染し、人間には感染しません。
猫白血病の症状について教えてください。
猫白血病では、発熱・猫の元気がなくなる・食欲不振・体重の減少・リンパ節の腫れ・繰り返す下痢・歯茎の色が薄く猫が疲れやすいなどの貧血症状・口臭や口内炎などが見られる場合があります。ただし、初期段階では特定の症状が現れにくいといわれています。
ウイルスの増殖を抑制できる猫は、生涯症状が出ないまま健康に過ごすこともありますが、一方で、ウイルスが体内で排除されない場合、猫はリンパ腫や白血病などの重篤な疾患を発症するリスクが高まります。また、免疫力の低下により、日和見感染を起こしたり、病気がなかなか回復しなかったりします。妊娠中の猫が感染すると、流産や死産のリスクも高まります。

猫白血病の診断と予防方法

猫白血病の診断方法について教えてください。
猫白血病ウイルス(FeLV)感染症の診断には、主に血液を用いた検査が用いられます。一般的な方法としては、ELISAキットを使用した迅速検査があり、動物病院でウイルスの有無を確認できます。ただし、この方法では感染後初期の4〜6週間はウイルスの検出が難しいため、新たに保護した猫を室内で飼う場合は、少なくとも4〜6週間経過してから検査することが推奨されます。
また、ELISA検査はウイルスが細胞外に存在する場合にのみ有効とされており、ウイルスが細胞内に隠れている場合は検出できません。このような状況では、PCR法を用いて血液中の白血球からFeLVの遺伝子を直接検出できます。また、成猫で他の猫との接触がなく、2ヶ月以上室内で飼育されている場合は、一度の検査で感染の有無を判断できます。
しかし、新しく迎え入れた猫や生後6ヶ月未満の子猫では、感染してから約1ヶ月が経過するまで検査結果に反映されないことがあるため、検査のタイミングには注意が必要です。感染していても検査結果が陰性と出る可能性があるため、状況に応じて期間を空けて複数回の検査が必要になる場合もあります。
猫白血病の予防方法はありますか?
猫白血病ウイルス(FeLV)感染症を予防するには、FeLVを持つ猫との接触を避けることが重要です。ウイルスは猫同士のグルーミングや喧嘩、さらには共有された食器やトイレを通じても伝播する可能性があるため、感染猫とは生活空間を分け、食器やトイレも別々にしましょう。また、FeLVのワクチン接種はあくまでも感染を抑制し、発症を遅らせるものです。
さらに、ワクチン接種は猫白血病ウイルスに既に感染している猫には無効であり、稀に接種部位に悪性腫瘍が発生するリスクもあるため、接種頻度は慎重に考慮されるべきです。現在のガイドラインでは、3年に1回の接種とされています。
ワクチン接種を検討する際には、事前に猫がFeLVに感染していないことを確認するための検査が不可欠です。先住猫がいるお家に新しく猫を迎える時、感染の有無が分からない場合は、ウイルス検査で陰性が確認されるまで、他の猫との接触を避けるために隔離することが望ましいです。

猫が白血病になってしまったら

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猫が白血病に感染してしまった時の対処法はありますか?
猫白血病ウイルス(FeLV)感染が確認された場合、以下の点に注意してください。

感染猫室内飼い:
感染猫は、免疫力が低下しているため他の感染症にかかりやすい状態のため、室内飼いが推奨されます。また、室内飼いにすることで、他の猫への感染も防げます。

他の猫との隔離:
感染が確認された猫と他の猫との部屋を分け隔離することが重要です。また、隔離された猫の食器、ベッド、トイレなどは他の猫と共有せず、専用のものを使用します。感染猫が使用したものは、70%エタノールや塩素系漂白剤、洗剤を用いて定期的に消毒しましょう。FeLVはこれらの消毒薬に対して抵抗性が低いため、ウイルスを除去し拡散を防げます。

ストレスの少ない環境作り:
ストレスの少ない環境を整えてあげることで進行をできるだけ遅らせることが大切です。また、遊びやスキンシップを通じて健康状態を観察する機会を持ちましょう。他にも定期的な健康診断を受けることも大切です。
猫白血病にはどのような治療がありますか?
猫白血病ウイルス(FeLV)に対する特定の治療法は存在しないため、感染した猫の症状や健康状態に応じた治療が行われます。また、ウイルス自体の排除はできないため、主に症状の管理と猫の生活の質向上に焦点を当てています。

症状に応じた治療:
感染してもすぐに症状が出ない場合がありますが、発症した際には様々な症状に対応する必要があります。例えば、白血病やリンパ腫が発症した場合は抗がん剤による治療が行われ、貧血が見られる場合は輸血が必要になります。

免疫系のサポート:
ウイルスの増殖を抑制し、免疫系をサポートするためにインターフェロン治療が用いられます。これにより、ウイルスに対する体の抵抗力を高められます。

対症療法:
発熱や口内炎などの症状がある場合は、抗生物質や消炎剤などの対症療法が行われます。

編集部まとめ

猫の喘息

ここまで猫白血病についてお伝えしてきました。
猫白血病の要点をまとめると以下の通りです。

  • 猫白血病とは、猫白血病ウイルス(FeLV)によって引き起こされる感染症で、免疫システムを弱体化させ、リンパ腫や他の血液関連の疾患を引き起こす原因となる
  • 猫白血病ウイルス(FeLV)感染症の予防には、猫を外に出さず室内飼にすることやFeLVを持つ猫との接触を避けること
  • 猫白血病ウイルス(FeLV)に対する特定の治療法は存在せず、感染した猫の症状や健康状態に応じた治療が行われる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献