愛猫の爪が黒く見えると、「どうしたんだろう」「病気かな?」と心配になりますよね。実際には、ちょっとした汚れや体質による色の違いであることも多く、必ずしも深刻な病気とは限りません。しかし一方で、腫瘍や感染症など、注意が必要な病気のサインである場合もあります。本記事では、猫の爪が黒くなる原因や考えられる病気、治療の流れ、そして日常生活でできるチェックポイントまでを、飼い主さんにわかりやすく解説します。大切な愛猫を守るために、ぜひ学んでおきましょう。
猫の爪が黒くなる原因

猫の爪が黒く見えると、「病気ではないか」と心配になる飼い主さんも多いでしょう。実際には、病気が関係するケースもあれば、汚れや体質によるものなど心配のいらない場合もあります。ここでは、考えられる原因を整理して解説します。
- 猫の爪が黒くなるのはなぜですか?
- 猫の爪が黒くなる原因はいくつかあります。代表的なのは病気による変化で、扁平上皮がんや皮膚糸状菌症などが知られています。
ただし必ずしも病気とは限らず、単に汚れ(垢)が付着しているだけということもあります。汚れの場合は拭き取ればもとに戻りますが、病気では色が持続しやすいため見分けのヒントになります。
- 病気以外で爪が黒くなる原因を教えてください
- 病気以外の理由で爪が黒っぽく見えることも多いです。例えば、猫が耳や体を後ろ足でかいたときに、耳垢や皮脂汚れが爪に付着することがあります。
また、毛色や遺伝による色素沈着で爪そのものが黒く見えるケースもあります。特に黒猫や毛の色が濃い猫では、肉球と同じように爪の色が濃くなることがあり、この場合は病気ではなく体質によるものなので心配はいりません。
- 急に爪の色が変わった場合は何が考えられますか?
- 急に爪が黒く変色した場合、まずは垢や汚れが付いただけというケースがあります。
しかし、それだけでなく病気のサインである可能性もあります。特に、変色に加えて爪の付け根が赤く腫れている、猫が爪を気にして舐め続けているなどの様子が見られたら、早めに獣医師に相談することが大切です。
- 爪が黒くなる病気にはどのようなものがありますか?
- 代表的な病気には扁平上皮がんと皮膚糸状菌症があります。
・扁平上皮がん
扁平上皮がんは主に皮膚、鼻、口、咽頭、肺などに発生し、指に発生する場合は原発の場合もありますが、肺腫瘍の転移によるものが多いです。爪付近の腫瘍により、爪の変色や根元の腫れや出血、跛行などが見られることがあります。発見が遅れると治療が難しくなるため、早期の診断が重要です。
・皮膚糸状菌症
人にも感染する可能性のある真菌(カビ)の一種による皮膚病です。感染すると皮膚や毛だけでなく爪にも症状が出ることがあり、赤みや腫れ、爪の黒色化や脱落を引き起こすことがあります。
猫にかゆみや違和感を伴うことも多く、ほかの動物や人への感染を防ぐ意味でも早めの治療が欠かせません。
- 悪性腫瘍とそうでない場合の見分け方を教えてください
- 飼い主さん自身で正確に見分けるのは難しいため、異常を感じたら動物病院で診察を受けることが一番です。以下のようなサインがある場合は、特に注意が必要です。
・猫が爪をしきりに気にして舐め続けている
・爪の根元が赤く腫れている
・爪が黒いまま変化し、治らない
・元気がなく、食欲も落ちている
こうした症状があるときは、自己判断せずに早めに受診することをおすすめします。気になる変化を動画や写真で記録しておくと、診察時に役立つこともあります。
猫の爪が黒い場合の治療方法
爪が黒くなる原因によって、治療法や検査方法もさまざまです。以下に代表的な検査・治療法を紹介します。
- 爪が黒い場合、どのような治療や検査を行いますか?
- 最初に行われるのは視診や触診で、爪や付け根の腫れ、出血、痛みの有無を確認します。異常が疑われる場合は、細胞診や組織検査を行って腫瘍かどうかを調べることになります。
さらに、レントゲンやCTなどの画像検査によって、骨や周囲の組織への広がりや転移の有無を確認することもあります。
- 治療方法の選択肢を教えてください
- 原因が真菌感染であれば抗真菌薬の塗布や内服で治療するのが一般的です。
色素沈着や遺伝による黒ずみなら治療は不要で、経過観察にとどまります。
腫瘍が原因の場合は外科手術が基本で、爪だけの切除で済むこともあれば、指ごとの断趾手術が必要になることもあります。状況によっては放射線治療や抗がん剤治療を組み合わせる場合もあり、治療の選択は病変の大きさや猫の体調によって決まります。
- 手術が必要になるケースとその判断基準を教えてください
- 悪性腫瘍で浸潤性が強い場合や、爪床にまで広がっている場合には手術が必要です。特に骨への浸潤が確認されたときは、断趾手術が選ばれることが多いです。
ただし、高齢や持病がある猫では手術によるリスクも考慮し、緩和治療が優先されることもあります。その場合は鎮痛剤や放射線を使って痛みを和らげ、少しでも快適に過ごせるようにします。
早期発見のためのチェックポイント

愛猫の爪の変化を早めに見つけるためには、日々のちょっとした観察が大切です。ここでは、普段の生活のなかでできるチェックポイントをご紹介します。
- 日頃から爪の健康状態をチェックする際の注意点を教えてください
- 爪の状態をチェックするときは、毎日ではなくても 週に1回ほど、明るいところで注意深く観察することが効果的です。爪の色や形、硬さに違和感がないか確認しましょう。
例えば、普段は薄い色をしていたのに急に黒ずんできたり、ひび割れや変形がないかがポイントです。また、猫がその爪を気にして舐める回数が増えたり、爪の先を触るとイヤがるなどの行動の変化にも気付くことができます。
こうした小さなサインを見逃さずにチェックしておくと、早期発見につながります。
- 定期的な爪切り以外で異常を発見する方法はありますか?
- はい、爪切りのとき以外にも、爪の周りや行動を観察することで異常に気付くことができます。
例えば、普段と比べて爪が厚くなっていたり、爪を伸ばしすぎて肉球に当たっていないか、爪床(爪の根元の皮膚)が赤くなってないかなどを確認してみてください。
また、爪とぎの回数が急に増えたり、逆に減ったりするのは、痛みや違和感のサインかもしれません。こうした普段と違う様子にも注意を向けることが重要です。
- 複数の爪に同時に変化が現れた場合の対応を教えてください
- もし複数の爪に同時に黒ずみや腫れ、変形などが見られたら、それはとても重要なサインです。 爪が複数一度に変化するということは、局所的なケガではなく、真菌感染や全身的な病気の可能性が高くなります。
そのような場合は、まず無理に掻き取ったり自分で処置しようとせず、早めに動物病院へ相談しましょう。特に、痛がる、歩き方がおかしいなどの様子が見られる場合は、すぐに受診することが大切です。
編集部まとめ
猫の爪が黒いと、不安に感じるのは自然なことです。ただし必ずしも病気とは限らず、毛色や体質による違い、ちょっとした汚れであることも多いのです。
とはいえ、色の変化が急だったり、爪の付け根が赤く腫れている、猫が痛がって歩き方がおかしいなどの症状を伴う場合には、病気の可能性を考える必要があります。
日頃から爪や足元を観察し、小さな変化にも気付けるようにしましょう。少しでも異常が見られたら、迷わず動物病院へ相談することが、愛猫の健康を守る第一歩となります。
