猫のよだれが多いのは病気のサインかも!原因と対処法を解説

猫のよだれが多いのは病気のサインかも!原因と対処法を解説

猫のよだれが多くなったと感じたことはありませんか?猫のよだれは、何らかの問題や病気のサインかもしれません。
本記事では猫のよだれが多いのは病気のサインなのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 猫はよだれを垂らすことがあるのか?
  • 猫のよだれが多くなる原因とは?
  • 猫のよだれに関するトラブルを予防するには?

猫のよだれが多いのは病気のサインなのかを理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

猫のよだれについて

普段、猫はよだれを垂らしますか?
通常、猫がよだれを垂らしている姿を目にすることは少ないでしょう。猫は犬とは異なり、よだれを垂らすことはあまりありません。そのため、頻繁によだれを垂らしていたり、よだれの量が多い場合は注意が必要です。もし、猫がよだれを垂らすようになった場合は、その原因をしっかりと見極め、必要に応じて対処しましょう。
猫がよだれを垂らし始めたら病気のサインですか?
猫が急によだれを垂らし始めた場合、それは極度のストレスや病気のサインの可能性があります。
よだれが多くなり、口臭の増強、食欲不振や体重減少、呼吸の変化といったほかの症状が見られる場合、何らかの病気が疑われます。このような場合には、すぐに獣医師に相談することが重要です。病院に連れて行く際には、猫ができるだけパニックにならないように、ケージに通気性のよい毛布をかける、急な動きを避けるなどの工夫をしましょう。
猫のよだれが多い原因はどのような病気が考えられますか?
猫がよだれを垂らす原因として、いくつかの病気や健康問題が考えられます。主な病気は、以下のとおりです。

口腔内の問題:歯周病や口内炎、腫瘍、外傷などの口腔内の問題によって、舌や歯肉の炎症や強い痛み、異物感を引き起こし、よだれが多くなることがあります。免疫力が低下した高齢の猫や、猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスの感染症を持つ猫は、口腔内の問題を悪化させることがあります。

熱中症:暑い部屋や車内で長時間過ごすと、熱中症になる可能性があります。熱中症が進行すると、脱水症状やぐったりした状態になり、よだれを垂らすことがあります。

神経系の問題:てんかん発作や脳腫瘍、脳の障害などが挙げられ、全身のけいれんや手足のバタバタとともに、よだれを垂らすことがあります。

腎不全:高齢の猫に多く見られ、腎機能の低下により尿毒症を引き起こします。気持ち悪さや口臭が生じ、よだれが増えることがあります。

食道炎:頻繁な嘔吐や逆流によって引き起こされ、食道粘膜の刺激によりよだれが多くなります。

これらの原因が考えられるため、速やかに獣医師に相談しましょう。
猫が誤飲や誤食した場合、よだれが多くなりますか?
猫が誤飲や誤食をした場合、よだれが多くなることはよくあります。
固形物を喉や食道に詰まらせてしまうと、粘膜が刺激され、過剰な唾液分泌が引き起こされます。また、お口がうまく閉じられない場合もよだれが垂れることもあります。

また、チョコレートなどを誤食した場合、カカオに含まれるテオブロミンなどの成分により、よだれや痙攣、場合によっては致命的な症状が現れることがあります。さらに、農薬や殺虫剤に含まれる有機リン剤などの化学物質を誤飲した場合、副交感神経毒により過剰なよだれ、痙攣、呼吸困難などの症状が現れます。猫に有害な植物(例:キクやユリ)や家庭用洗剤などを誤飲した場合も、場合によっては命に関わることもあるため、ふるえや失禁、呼吸の乱れといった神経症状がある場合は、夜間であっても速やかに獣医師に相談する必要があります。

【原因別】猫のよだれの治療法

猫 口内出血
口腔内疾患が原因で猫のよだれが出ているケースの治療法を教えてください。
軽度の歯周病や口内炎であれば、抗生剤やステロイド剤の使用で症状の改善が期待できます。しかし、重症例や歯石が多く付着している場合は、全身麻酔下でのスケーリングや抜歯が必要となることがあります。早期に全抜歯を行った場合でも、5〜10%の症例で症状の改善が見られないケースもあります。
また、猫の状態や年齢によっては、全抜歯などの長時間の外科処置が難しい場合もあります。このような場合、短時間の麻酔での歯石除去や部分的な抜歯が選択肢となります。

抗生物質やステロイド薬、免疫抑制剤などの内科的治療は、一時的な症状改善にはなりますが、完治にはつながらないため、外科的治療の補助として使用されます。

近年では近赤外線療法を採用している動物病院があり、麻酔を必要とせず、猫への負担が少ない治療が行えるケースもあります。疼痛緩和や炎症を抑制し、鎮痛剤や抗炎症剤の使用量の減少を図ります。
熱中症が原因で猫のよだれが出ているケースの治療法を教えてください。
猫の熱中症は重篤な状態に陥ると致死率が高く、神経症状が出ると回復が困難になるため、迅速な対応が必要です。
まず、猫の体温を下げることが優先です。冷たいタオルや冷水で体を冷やします。急激な体温の低下には注意してください。体温を徐々に下げるために、保冷剤をタオルやガーゼで包み、脇や首、足の間に挟むのもよい方法です。

エアコンの効いた部屋や、風通しのよい日陰、冷たい床の上など、猫を涼しい場所に移動させます。水分補給ができる場合は、少量ずつ舐めさせるようにしましょう。水を飲み過ぎると吐き戻す可能性があるため、与える量には注意が必要です。

応急処置を行った後は、速やかに動物病院に連れて行きましょう。事前に病院に連絡しておくと、到着後の処置がスムーズに行えます。病院では、体温の管理、輸液療法(血糖値や電解質の調整)、低血圧やDIC(播種性血管内凝固症候群)に対する治療、けいれんがある場合は抗けいれん薬が投与されます。治療後も腎臓や肝臓の機能を確認するための検査が必要です。
てんかんが原因で猫のよだれが出ているケースの治療法を教えてください。
猫のてんかんの治療は、主に抗てんかん薬の投与が行われます。また、てんかんの原因が明らかな場合、その原因に対する治療も併せて行います。
例えば、脳腫瘍が原因となっている場合は、外科的治療や放射線治療が考慮されます。薬の継続期間や投与量は、猫の発作の頻度や状態によって異なります。
腎不全が原因で猫のよだれが出ているケースの治療法を教えてください。
急性腎不全の場合は、即時の治療が必要です。点滴による体調の改善を行いながら、原因の除去を目指します。点滴療法により、体内の毒素を排出し、腎臓の機能回復を図ります。

慢性腎不全では、腎臓の負担を軽減するために、低タンパク質・低リン・低ナトリウムの療法食に切り替えます。ただし、猫は高タンパク質の食事を必要とするため、極端なタンパク質制限は避ける必要があります。また、脂肪酸の変更や抗酸化物質の添加も考慮されます。
さらに、猫が十分に水を飲めるよう、複数の飲水場所を用意し、水を絶やさないようにします。水分摂取が不足している場合は、食事に水を加えたり、ウエットタイプの食事に変更するとよいでしょう。たんぱく尿が認められる場合は、薬で改善を図ります。

猫のよだれが多いときの予防法について

猫のよだれは予防できますか?
はい。以下で紹介する対策で、猫のよだれに関するトラブルを予防しましょう。

口腔ケア:猫の口内炎や歯周病の原因となる歯垢や歯石の沈着を防ぐために、日頃から歯ブラシやガーゼを使った歯磨きを習慣づけましょう。

ワクチン接種:定期的にワクチンを接種し、ウイルス性疾患の予防や重症化を防ぎます。

生活環境の見直し:誤飲や刺激物の摂取、中毒を防ぐために、危険物や誤飲の可能性がある物は猫の手の届かない場所に保管し、食べ物やおやつの形状や大きさにも注意が必要です。
また、熱中症を防ぐために、室温や湿度を適切に保ち、風通しを良くすることが必要です。夏場は、涼しい場所と新鮮な飲み水を常に提供しましょう。

定期的な健康診断:早期に肝臓や腎臓の不調を発見することも重要です。猫は体調不良を隠す傾向があるため、定期的な血液検査や尿検査で健康状態をチェックしましょう。早期に腎不全を発見し、適切な治療を行うことで、進行を遅らせることが可能といわれています。
猫へのストレス対策は具体的に何をすればいいですか?
猫のストレス対策には、環境の見直しと飼い主の適切な対応が重要です。

・猫が遊んだり運動できるスペースを確保する(キャットタワーやキャットウォークなど高い場所を設ける)
・安心できる狭い場所や暗い場所を提供する(クレートなども猫の隠れ場所として利用できるようにしておく)
・適切な温度を管理する
・清潔な水をいつでも飲めるように複数の場所に設置
・トイレは常に清潔に保ちトイレの数や場所にも注意を払う
・飼い主とのコミュニケーションを大切にする
・留守番中でもストレス発散できるよう工夫する
・おいしいご飯やおやつを用意する

日常のケアと適切な環境作りで、猫のストレスを軽減し、健康で快適な生活をサポートしましょう。

編集部まとめ

猫の脱水症状の原因は?脱水症状の見分け方や対処法について解説

ここまで猫のよだれについてお伝えしてきました。猫のよだれが多いのは病気のサインなのかについての要点をまとめると以下のとおりです。

  • 猫はよだれを垂らすことはあまりなく、病気やトラブルのサインの可能性がある
  • 猫がよだれを垂らす原因として、口腔内の問題、熱中症、神経系の問題、腎不全、食道炎、誤飲や誤食などが考えられる
  • 猫のよだれに関するトラブル予防には、口腔ケア、ワクチン接種、生活環境の見直し、定期的な健康診断が大切

猫のよだれは、何らかのトラブルのサインの可能性があります。猫のよだれが多くなったと感じたら、速やかに動物病院へ受診し対応することが大切です。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

参考文献