猫が泡吹く理由とは?考えられる原因と病気について解説

猫泡吹く

猫が泡を吹く時には一時的なものから継続的なものまで様々あります。

中には泡を吹く症状の裏に危険な病気が潜んでいることがあるため、注意が必要です。

今回の記事では、猫が泡を吹く理由・原因・潜む病気について解説します。

この記事を猫の症状に照らし合わせて参考にしてください。

猫が泡吹く理由とは?

猫が泡を吹く理由とは

猫が吹く泡の成分は多くの場合胃液です。

お腹がすきすぎたり、誤飲をしたりする時泡を吹くことがあります。

ご飯を食べて泡を吹かなくなれば問題はありませんが、食べても泡を吹いている場合には誤飲や病気の可能性があります。

そのため、ご飯を食べない場合・ご飯を食べても治まらないようであれば、病院でみてもらうようにしましょう。

考えられる原因

泡を吹く原因とは

猫が泡を吹く原因として考えられるのは主に空腹・誤飲・苦いものを口にしたという3つです。

お腹がすきすぎると胃液を吐いたり、誤飲をすると飲み込んだものを吐き出そうとします。

理由によって問題の有無が変わりますので、注意が必要です。

それでは、猫が泡を吹く原因について詳しく解説します。

空腹

お腹の空きすぎも良くない

猫は空腹な時に泡を吹くことがあります。

お腹がすきすぎると、胃の運動が低下して胃液が逆流するからです。

この場合はご飯を食べれば症状は治まります。

もし、ご飯を食べない・ご飯を食べても治らない場合には他の原因を疑いましょう。

誤飲

猫は誤飲をした場合に泡を吹くことがあります。

胃の中に消化できないものがあり、これを吐き出そうとするからです。

異物が体内にあるというのは猫の体にとって負担となり、また物によっては命の危険にも関わります。

そのため、この場合が考えられる場合には早急に病院で見てもらうようにしてください。

苦いものを口にした

猫は苦いものを口にした時に泡を吹くことがあります。

この泡は胃液ではなく、唾液です。

苦いものを口にした時、大量の唾液によってこれを外に出そうとします。

これに関しては心配はありません。

しかし、原因の判断を正確にすることは難しいので、万が一のことを考えて病院で見てもらう事をおすすめします。

猫が泡吹く病気

エリザベスカラーの猫

猫が泡を吹く原因は問題のない場合もありますが、病気が隠れている場合もあります。

主な病気は胃炎・胃潰瘍・食道炎・てんかんです。

そのため、繰り返し泡を吹く場合・別の症状が見られる場合には病院で見てもらうようにしてください。

猫が泡を吹く際に考えられる病気について詳しく解説します。

胃炎

猫の胃炎には発症から数日以内の急性・発症から2週間以上経過の慢性があります。

胃炎の泡を吹く以外の症状は、反復性嘔吐・血を含んだ嘔吐・よだれを垂らす・脱水症状などです。

原因として考えられるのは異物(毛玉)の飲み込み・寄生虫・感染症・薬剤です。

寄生虫(フィサロプテラ)が胃にいたり、ヘリコバクター菌などに感染していたりすると胃炎を引き起こします。

寄生虫に感染している場合は嘔吐物に3~5cmほどの虫が混ざっていることが特徴です。

この寄生虫は糞食昆虫・昆虫食動物に寄生していることが多く、これらを猫が食べることによって感染します。

そのため、この症状は家の中だけでなく、外に出る猫がなりやすい症状です。

ヘリコバクター菌は急性胃炎・慢性胃炎の原因と考えられています。

猫がヘリコバクター菌に感染していると胃炎を引き起こすことがあります。

このヘリコバクター菌は猫だけでなく、人間にも感染する可能性があるため注意が必要です。

また、嘔吐により食道が傷つき、二次的に逆流性食道炎を引き起こす可能性もあります。

胃潰瘍

猫の胃潰瘍は、胃の粘膜が傷ついて凹んだ状態になった症状のことです。

軽症の場合はびらん(粘膜のみの損傷)といい、重症の場合は潰瘍(粘膜の下の下層まで損傷)といいます。

胃潰瘍の症状は泡を吹く以外で嘔吐・吐血・血便・腹痛などです。

茶色の嘔吐物が出た場合、血が混ざっているため注意が必要になります。

胃潰瘍の原因は基礎疾患(慢性胃炎)・寄生虫・薬剤・身体ストレス(熱中症など)・精神的ストレスなどです。

基礎疾患では胃の病気である慢性胃炎・肥満細胞腫、胃以外の病気であるアジソン病・慢性腎不全などが挙げられます。

寄生虫ではフィサロプテラなどが炎症を起こし、薬剤では非ステロイド抗炎症薬などが胃潰瘍の原因です。

この寄生虫は外にいる虫に生息していることが多く、外に出る猫が感染しやすいといえます。

身体ストレスでは、敗血症・低血圧・熱中症・火傷などが主な原因です。

胃潰瘍の主な治療方法は、基礎疾患の治療・対症療法・入院治療などです。

基礎疾患が胃潰瘍の原因である場合には、根源を対処することによって胃潰瘍の症状を治していきます。

対症療法は病気の原因に直接アプローチできない・軽症の場合に、症状の軽減をするために行うものです。

胃潰瘍の場合は胃酸の分泌を抑えるために、制酸薬などを使用します。

入院治療が行われる時は出血・過剰嘔吐など重症の時です。

入院中は輸液・輸血を行い、経過観察をします。

食道炎

検査してもらっている猫

食道炎とは食道が何かしらの要因によって傷つき、炎症が起きる症状のことをいいます。

食道炎の主な症状は泡を吹く以外で食欲不振・吐き気・よだれなどです。

食道炎になるとご飯を食べる時に食道に負荷がかかります。

そのため、上手く食べられず食欲不振になったり、酷くなると唾液を飲み込むことも辛くなりよだれが出るようになったりするということです。

また、食道炎が長引くと慢性化したり、二次的に食道狭窄を発症する可能性があるため、早期の治療が大切になります。

食道炎の原因は誤飲による物理的な傷・嘔吐・他の病気からの合併症による傷が主です。

誤飲では魚の骨など、また誤飲ではなくおやつなどが長時間食道で停滞しているなども原因になることがあります。

嘔吐によるものの場合は、吐いた際に嘔吐物が食道を傷つけることが原因です。

慢性胃炎・胃潰瘍など他の病気で嘔吐など食道を傷つける事がある場合、合併症として引き起こされることがあります。

食道炎の治療は原因を取り除くという目的で行います。

例えば、食道に異物(魚の骨など)があることによって引き起こされているのであれば、異物を取り除くということです。

嘔吐によって食道炎が引き起こされているのであれば、嘔吐の原因である病気の治療をします。

長引くと合併症を引き起こしますし、逆に合併症故に食道炎が起きている可能性があるため、異変を感じたら早期に病院へ相談しましょう。

てんかん

てんかんとは脳の構造には問題はないものの、脳の機能に問題が起きる病気です。

大きく全般発作・部分発作(焦点発作)に分かれます。

全般発作の主な症状は意識を失う・硬直・泡を吹く・排便・排尿などです。

全般発作は1~3分程続くため、気づきやすく早期に対処がしやすいという性質があります。

部分発作の主な症状は顔の痙攣・唸り声・よだれ・異常な姿勢などです。

部分発作に関しては発作の時間・程度が一定ではないため、気づくことが難しく早期に対処しにくいという特徴があります。

てんかん発作の頻度は猫によって異なり、起こる頻度・症状の時間が一定の場合もあれば、ランダムの場合もあるところが難しい点です。

原因は脳の神経に発生する電気信号が急激に発生することにより、脳機能が乱れて正常な脳の情報伝達ができなくなることが、理由として考えられています。

治療法はてんかん発作の原因によって異なります。

原因が腫瘍であれば手術で取り除き、中毒であればその対象を排除することによって治すというものです。

しかし、ほとんどの明確な原因は分かっておらず完治させることは難しいため、薬物療法で症状を緩和させる事が一般的な治療法となっています。

この治療は血液検査を定期的に行い、血中の薬の濃度を見ながら薬の量を決め、生涯飲むというものです。

薬を飲むのを途中でやめてしまうと症状が悪化してしまうため、休薬をしたい場合には獣医師に相談することが必須となります。

また、あまりにも発作の頻度が多い場合(1日の間で複数回)には、脳に対する大きな負荷がかかることが懸念点です。

この場合、死んでしまう可能性があるため自宅療養ではなく、入院して治療を行う場合があります。

受診が必要な目安

受診目安となる症状

泡を吹いた時に受診を要するのは失禁を伴う場合・泡に血が混じっている場合・猫がぐったりしている場合などです。

これらの症状には他の病気があることが考えられます。

中には早期に治療をしなければ、さらに二次的に別の病気を発症することが考えられるため、注意が必要です。

これらの症状を詳しく解説します。

失禁を伴う場合

泡を吹くことに加えて失禁を伴う場合は、先述したてんかんが考えられます。

脳の機能に問題が生じる病気で、突然痙攣したり排尿したりするのが特徴です。

この場合、脳に腫瘍がある場合が考えられるため、早期の受診が必要になります。

またてんかんは大抵の場合、明確な原因が分かっておらず、生涯にわたって治療していくのが一般的です。

特に1日に何度もてんかんが起きるほど頻繁な場合は、脳に大きなダメージがかかって最悪死に至ってしまうことがあります。

これを防ぐためにも、悪化する前に早めに獣医師に相談するようにしましょう。

泡の中に血が混じっている場合

泡の中に血が混じっている場合は、食道炎・胃腸炎・胃潰瘍などの病気が考えられます。

食道炎は異物を飲み込んだり、嘔吐物によって食道が傷ついたりなどして発症するという病気です。

食道に異物がある場合、取り除かなければ悪化しますし、電池などを体に悪影響を及ぼすものを飲み込んでいる場合は迅速な治療が必要になります。

胃腸炎・胃潰瘍に関しては、寄生虫・感染症(ヘリコバクター菌など)などに感染している可能性があるため注意が必要です。

感染症は人間にも移る可能性があるため、猫のためにも飼い主のためにも早期の治療が必要になります。

また、食道炎・胃腸炎・胃潰瘍といった病気は悪化すると合併症を発症する可能性があるところが心配な点です。

悪化する前に早めの受診をおすすめします。

猫がぐったりしている場合

てんかんが疑われる猫

猫がぐったりしている場合はてんかんが疑われます。

てんかんの症状として、突然嘔吐したり、意識を失ったりというものがあるからです。

てんかんは脳の機能に問題が生じる病気で、突然脳の電気信号が急激に発生することによって起こります。

てんかんが完治する見込みのある原因は脳腫瘍・中毒などです。

これらは腫瘍を取り除いたり、中毒の対象を避けたりすることによって治すことができます。

しかし、ほとんどのてんかんの症状の原因は分かっておらず、一般的には完治ではなく緩和を目的とした治療です。

薬を生涯のみ続けるという治療法ですが、途中で中断すると悪化する可能性があるため注意が必要となります。

また、てんかんの頻度が多い場合には早期の治療が必要です。

てんかんの頻度が多いと、脳に大きな負担となり死んでしまう事があります。

そのため頻度が多い場合、また、悪化させないためには病院で診てもらい薬をもらうようにしましょう。

普段と明らかに違う吐き方をした場合

泡を吹くだけでなく、普段と明らかに違う嘔吐をした場合は、吐いた量・嘔吐物の様子を見てください。

吐いたものの量が多い場合には、腸閉塞を起こしている可能性があります。

この嘔吐物の水分が多い場合はさらに可能性が高いです。

吐しゃ物に色があり、赤黒・茶色の場合は血が混ざっています。

この場合は、食道炎・胃腸炎・胃潰瘍などの病気が考えられるため注意が必要です。

これらの病気はほうっておくと悪化する可能性があり、合併症を引き起こすこともあります。

異常な吐き方をした場合には、猫の様子をよく見て早めに病院へ受診するようにしてください。

猫が泡を吹いた時の対処方法

検査されている猫

ご飯を食べた後に泡を吹かなくなった場合は、心配はほとんどありません。

この場合は家で様子を見るようにしましょう。

しかし、普段とは違う異常な嘔吐・泡を吹く以外に別の症状がみられる場合には、早めに病院に受診することをおすすめします。

嘔吐物の色・混じっているもの・量・頻度によっては病気が潜んでいる可能性があります。

対処せず自己判断でほうっておくと悪化してしまったり、合併症を引き起こしてしまう事があるので要注意です。

早期発見・早期治療で軽度なうちに対処することができます。

そのため、猫の泡の吹き方が異常な場合には早めに獣医師に診てもらうようにしましょう。

猫への薬の飲ませ方

猫の処方箋

薬を飲ませようとしても吐き出してしまったり、なかなか飲んでくれないことがあるでしょう。

どのようにすれば猫に上手く薬を飲ませることができるのでしょうか。

錠剤・粉薬それぞれの飲み方を解説します。

錠剤の飲ませ方

猫の服薬方法錠剤編

薬に対して警戒心の強い猫には薬を見せず、リラックスして近づくようにします。

撫でるなど日常でのスキンシップをしながら、背後からやさしく抑えてください。

利き手と逆の手で上から猫の両顎を持って上を向かせます。

薬を持った利き手で口をそっと開け、喉の奥に薬を落としてください。

数秒間そのままの状態にし、喉を優しく撫でます。

ぜひ、試してみてください。

粉薬の飲ませ方

粉薬を最小限の水に溶かします。

この水を注射器の筒に入れてください。

顔を背けないように顔を横から抑え、脇から少量ずつ飲ませます。

ポイントは犬歯よりも後ろの位置で入れること・少しずつ飲ませることです。

ぜひ、試してみてください。

まとめ

猫 泡吹く まとめ

今回は猫が泡を吹く原因・病気・対処法について解説しました。

猫が泡を吹く時、様子見で大丈夫なものから病気が潜んでいるものまで様々です。

中にはほうっておいたことによって、症状が悪化してしまったり、合併症を引き起こしてしまったりします。

これらを防ぐためには、早期発見・早期治療が大切です。

心当たりのある症状があったら、早めに病院を受診するようにしましょう。

参考文献