猫も肺炎になるの?原因や症状とは?治療についても併せて解説!

猫 肺炎

猫は、微生物や誤嚥などの原因により、肺炎になることがあります。猫の肺炎は、薬物療法や酸素吸入などの治療によって改善が見込めるため、疑わしい症状を呈する場合は、速やかに動物病院を受診することが重要です。愛猫の健康を守るために、肺炎の知識を深め、早期発見と治療につなげましょう。
本記事では、猫の肺炎について以下の点を中心にご紹介します!

  • 猫の肺炎の原因
  • 猫の肺炎の症状
  • 猫の肺炎の治療方法

猫の肺炎について理解するためにもご参考いただけると幸いです。ぜひ最後までお読みください。

そもそも猫の肺炎とは?

猫の肺炎とは、肺の炎症によって引き起こされる病気です。肺は、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する重要な役割を果たしています。肺が炎症を起こすと、呼吸が困難になり、重篤な健康問題や死に至ることもあります。

猫の肺炎の原因は、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など、さまざまです。また、猫は食べ物や嘔吐物を吸い込んでも肺炎になることがあります。猫の肺炎の症状は、後述で詳しく解説しますが、呼吸困難、咳などがあります。猫の肺炎を疑う症状を示す場合は、すぐに動物病院を受診してください。猫の肺炎は、早期発見・早期治療が重要です。適切な治療を受ければ、ほとんどの猫は回復が期待できます。

猫の肺炎の原因とは?

猫の肺炎の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。以下に詳しく解説します。

病原体の感染

猫の肺炎の原因は、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など、さまざまです。その中でも、主な原因とされているのは、細菌感染といわれています。

細菌性肺炎は、猫のウイルス性上気道感染症(鼻炎や気管支炎など)に続発して起こることが多く、二次感染と呼ばれます。ウイルス性上気道感染症によって、猫の肺の粘膜が弱くなり、細菌が侵入しやすくなります。

また、真菌性肺炎は、猫の肺に真菌が感染することで起こります。真菌性肺炎を引き起こす主な真菌は、クリプトコッカスやアスペルギルスなどです。これらの真菌は、猫の体内に侵入すると、肺の炎症を引き起こし、呼吸困難、咳、発熱などの症状を引き起こします。

誤嚥

猫の肺炎の原因の1つは、誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎とは、食べ物や嘔吐物を誤って吸い込んで肺に炎症を起こす病気です。

誤嚥性肺炎は、嘔吐、食道の機能障害などによって引き起こされます。誤嚥性肺炎の症状は、については後述で解説します。

原因不明の特発性

猫の肺炎の原因の1つは、特発性肺炎です。特発性肺炎とは、原因不明の肺炎です。
特発性肺炎は、猫の肺の間質(肺胞の周囲の組織)に炎症を起こす病気です。間質は、肺胞を支える役割を果たしています。特発性肺炎によって間質が炎症を起こすと、肺胞が正常に機能できなくなり、呼吸困難などの症状を引き起こします。

特発性肺炎の原因は、現在のところ不明です。人間では、ほこり、煙、アレルゲン、薬剤などの曝露によって特発性肺炎が起こることがあります。しかし、猫ではこれらの原因が関係しているかどうかは分かっていません。

猫の肺炎の症状

猫が肺炎になると、どのような症状を呈するのでしょうか。呼吸器の症状と発熱に分けて解説します。

呼吸器の症状

猫の肺炎の症状には、呼吸器の症状がよく見られます。具体的には、以下の症状がみられることがあります。

  • 呼吸困難:猫が呼吸をするのが苦しそうにしたり、口を開けて呼吸したりしている場合は、肺炎の可能性があります。
  • 咳:咳は、猫が肺の粘液や分泌物を排出しようとしているときに起こります。咳は、乾いた咳や湿った咳のいずれかの可能性があります。
  • くしゃみ:猫の肺炎の症状としてはあまり一般的ではありませんが、起こることがあります。くしゃみは、猫が鼻の粘液や分泌物を排出しようとしているときに起こります。
  • 鼻水:猫の肺炎の症状としてはあまり一般的ではありませんが、起こることがあります。鼻水は、猫が鼻の粘液や分泌物を排出しようとしているときに起こります。
  • 呼吸音の変化(雑音や笛のような音):呼吸音の変化は、猫の肺に炎症や液体があることを示している可能性があります。

猫がこれらの症状を示す場合は、すぐに動物病院を受診してください。

なお、猫の肺炎の症状は、原因によって異なります。ウイルス性肺炎の場合は、発熱や食欲不振などの症状もみられることがあります。細菌性肺炎の場合は、発熱や食欲不振などの症状に加えて、発疹や関節炎などの症状もみられることがあります。真菌性肺炎の場合は、発熱や食欲不振などの症状に加えて、体重減少や脱毛などの症状もみられることがあります。

発熱

猫の肺炎の症状には、発熱がみられることがあります。発熱とは、体温が39度以上になることです。猫が発熱している場合は、すぐに動物病院を受診してください。発熱は、肺炎のほかにも、ほかの病気の可能性があります。なお、猫の肺炎の発熱は、通常、39度から40度程度です。発熱が41度以上になると、重篤な状態になる可能性があります。

猫が発熱しているときは体温計で測りますが、猫は体温計を嫌がることが多いため、測定が難しい場合があります。
体温計での測定が難しい場合、猫の発熱を判断する別の方法としては、耳たぶを触ってみることです。耳たぶは、皮膚が薄いため、体温が伝わりやすくなっています。耳たぶがいつもより熱く感じる場合は、発熱の可能性があります。

猫の肺炎の治療方法について

猫の肺炎の治療法について、以下に解説します。

薬物療法

薬物による治療は、猫の肺炎に対する主な治療方法です。
使用される薬物は、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬などで、原因や猫の状態に合わせて選択されます。

抗生物質は、細菌性肺炎の治療に使用されます。抗生物質は、細菌の増殖を抑制または殺菌することで、肺炎の症状を改善します。抗ウイルス薬は、ウイルス性肺炎の治療に使用されます。抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑制することで、肺炎の症状を改善します。抗真菌薬は、真菌性肺炎の治療に使用されます。抗真菌薬は、真菌の増殖を抑制または殺菌することで、肺炎の症状を改善します。

支持療法

支持療法とは、猫の体調を整え、回復を促すための治療です。支持療法は、猫の体調や症状によって、獣医師が適切に判断して行います。支持療法には、以下のようなものがあります。

  • 点滴:猫に必要な水分や栄養を補給するために行われます。猫が食欲不振や脱水症状を起こしている場合は、点滴が必要になることがあります。
  • 給餌:猫が自分で食べられない場合に、獣医師が行うことです。猫が食欲不振や衰弱している場合は、給餌が必要になることがあります。給餌には、口から与える給餌と、胃や腸に直接与える給餌があります。
  • 安静:猫は、肺炎の治療中は安静に過ごすことが大切です。猫が動き回ると、肺に負担がかかり、症状が悪化する可能性があります。
  • 温め:猫は、肺炎の治療中は体温を下げないようにすることが大切です。猫を温めるには、毛布やヒーターを活用しましょう。

猫の肺炎の治療には、薬物療法や後述の酸素吸入などの積極的な治療に加えて、支持療法も重要です。支持療法によって、猫の体調を整え、回復を促す可能性があります。

酸素吸入

酸素吸入とは、猫に酸素を直接供給することで、肺の酸素濃度を高める治療です。酸素療法は、呼吸困難の症状を改善するために使用されます。酸素療法は、以下の場合に必要になることがあります。

  • 呼吸困難がひどい場合
  • 呼吸音が異常な場合
  • 血液中の酸素濃度が低い場合

酸素療法は、病院で行う場合と、自宅で行う場合があります。病院で行う場合は、酸素マスクや酸素カニューレを使用して酸素を供給します。自宅で行う場合は、酸素ボンベや酸素吸入器を使用して酸素を供給します。

なお、酸素療法は、猫の体に負担をかける可能性もあります。酸素療法を行う場合は、獣医師の指示に従って、適切な方法で行うことが大切です。

猫の肺炎の治療費

猫の肺炎の治療費は、病気の重症度や使用する薬によって異なります。また、重症の場合は入院が必要になる場合があり、その場合、治療費が大幅に増加する可能性があります。猫の肺炎の治療費の目安は、以下のとおりです。

  • 診察料:数千円
  • 検査料:数千円から数万円
  • 薬代:数千円から数万円
  • 入院費:数万円から数十万円

合計すると、数万円から数百万円の治療費がかかる可能性があります。
また、ペット保険に加入しておくと、治療費の負担を軽減できる可能性があります。

猫が肺炎にならないために

猫が肺炎にならないために、どのような対策ができるのでしょうか。

ワクチン接種

猫の肺炎の予防には、ワクチン接種が役立ちます。ワクチン接種は、猫が肺炎の原因となるウイルスや細菌に感染するのを防ぎます。
猫の肺炎の原因となるウイルスには、猫カリシウイルス、猫パルボウイルス、猫コロナウイルスなどがあります。これらのウイルスは、猫の呼吸器に感染して、肺炎を引き起こす可能性があります。

猫は、生後6〜12週齢で母親から抗体を獲得しますが、この抗体は、生後6〜12ヶ月齢頃に消失します。そのため、生後6〜12ヶ月齢頃に、肺炎の予防のためにワクチン接種を行うことが重要です。
猫の肺炎のワクチン接種は、1回接種するだけで免疫力が持続するわけではありません。定期的に接種を繰り返すことで、免疫を維持できます。

食事の管理

猫の肺炎の予防には、食事の管理も大切です。
猫は、食事中に誤嚥を起こしやすい動物です。誤嚥とは、食べ物や飲み物が気管や肺に入ってしまうことです。誤嚥を起こすと、肺炎を引き起こす可能性があります。

猫の肺炎の予防のためには、猫が落ち着いて食べられる環境を整え、ゆっくりと食べられるように、食事量を調整する。また、猫の口腔内を清潔に保つことが重要です。また、高齢の猫は、誤嚥を起こしやすくなります。高齢の猫を飼っている場合は、特に注意が必要です。

以下に、高齢の猫の肺炎の予防のための食事管理の例を示します。

  • 食器を高くする。
  • 食事を小さくして、頻繁に与える。
  • 食事を手で与え、猫が食べ物を飲み込んだことを確認する。
  • 食事を柔らかくする。
  • 口腔内を清潔に保つ。

環境を整える

猫の肺炎の予防には、飼育環境を整えることも大切です。猫は、空気中のほこりやダニなどのアレルギー物質を吸い込むことで、肺炎を発症する可能性があります。そのため、猫の飼育環境は、清潔に保つことが大切です。

具体的には、以下のことに気をつけましょう。

  • 猫の部屋は、毎日掃除して、ほこりやダニを除去する。
  • 猫のベッドやおもちゃは、定期的に洗濯する。
  • 空気清浄機を設置する。

また、猫を屋内飼いにするのも、肺炎の予防に役立ちます。屋外には、猫が肺炎の原因となるウイルスや細菌が存在する可能性があります。

猫に肺炎の症状が出たら早めの病院受診を

猫の肺炎は、猫の呼吸器に炎症が起こる病気です。猫の肺炎の症状は、咳、呼吸困難、呼吸が速い、くしゃみ、鼻水、発熱などがあります。猫の肺炎の症状は、必ずしもすべて現れるわけではありません。また、症状が軽い場合は、飼い主が気づかないこともあります。

猫に肺炎の症状が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。早期に治療を開始することで、猫の回復が早まります。肺炎が重症化すると、命にかかわることもあります。また、肺炎の原因によっては、ほかの猫や人に感染する可能性があるため、速やかに動物病院を受診しましょう。

動物病院では、獣医師が猫の症状を診察し、適切な治療を行います。治療には、抗生物質や抗炎症薬などの薬物療法が用いられます。また、猫の体調を整えるために、点滴や栄養補給を行うこともあります。

猫の健康を守るために、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

ここまで猫の肺炎についてお伝えしてきました。
猫の肺炎の要点をまとめると以下の通りです。

  • 猫の肺炎の原因は、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫などの微生物、誤嚥や原因不明の特発性などさまざま
  • 猫の肺炎の症状には、呼吸困難、咳、くしゃみ、鼻水、呼吸音の変化などがある
  • 猫の肺炎の治療方法には、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬などの薬物療法、支持療法、酸素吸入などがある

猫の肺炎を早期に発見するためには、日々、猫の観察をすることが重要です。肺炎を疑う症状がある場合は速やかに動物病院を受診してください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献