猫も鼻炎になるの? さまざまな症状に対する治療法について解説!

猫 鼻炎

「猫も鼻炎になるの?」と驚くかもしれませんが、実は猫も人間と同じように鼻炎になることがあります。
本記事では、猫の鼻炎について以下の点を中心にご紹介します!

  • 猫の鼻炎とは
  •  猫の鼻炎の治療法
  • 猫の鼻炎の予防法

猫の鼻炎について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

猫の鼻炎とは

猫の鼻炎は、どんな病気ですか?
猫の鼻炎は、猫の鼻の粘膜が炎症を起こしている状態であり、主な症状には鼻汁、くしゃみ、鼻詰まりなどが挙げられます。また、このような呼吸器の症状だけでなく、口内炎や結膜炎といった諸症状が現れる場合もあります。
猫の鼻炎は、猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスなどのウイルス感染が原因となることが多いとされていますが、他にも細菌性副鼻腔炎や蓄膿症、クリプトコッカスなどの真菌、口腔内疾患、腫瘍などが引き金となることがあります。これらの病原体は、野良猫が保有していることが多い傾向にあります。猫の鼻炎の原因については、後述で詳しく解説します。

そして、特にペルシャ猫のような短頭種の猫では、慢性鼻炎がよく見られます。鼻は猫にとって重要な感覚器官であり、においの感知や病原体からの防御に関わっています。したがって、鼻炎が進行するとにおいへの感度が低下し、食欲不振などの問題が生じることもあります。
猫が鼻炎になった場合の症状を教えてください
猫が鼻炎になった場合、以下のような症状が現れます。

鼻づまりやくしゃみ:鼻呼吸がうまくできずに口で呼吸をしていたり、呼吸が困難になることで苦しそうにしていたりすることもあります
流涙やめやに:目と鼻は鼻涙管でつながっており、その管が炎症することで症状が現れます
鼻汁の増加:鼻水の性状もさまざまで、透明なものから膿や血が混じったりドロッとしたものまであります。
食欲の低下:鼻づまりがひどくなると、フードの匂いを嗅げなくなり、食欲が低下することもあります
副鼻腔炎:鼻炎が進行すると、副鼻腔炎を引き起こすこともあり、顔の腫れや痛みが生じることがあります

これらの諸症状が悪化すると、1日中元気なく過ごすようになり、肺炎になってしまうこともあります。
猫が鼻炎になる原因は何ですか?
先に述べたように、猫が鼻炎になる原因は、通常は上気道への感染症が主な要因です。猫風邪と呼ばれる上部呼吸器感染症がその典型であり、猫ヘルペスウイルス感染症や猫カリシウイルス感染症などが挙げられます。他にも、細菌や真菌(カビ)の感染、植物の種などの異物吸引による刺激や嘔吐物逆流、鼻腔内の腫瘍やポリープ、歯の疾患(歯根膿瘍)なども鼻炎の原因となり得ます。

特に、猫ヘルペスウイルス感染症は、ストレスや免疫力の低下によって再活性化しやすく、慢性化する場合もあります。また保護猫をお迎えした場合は、猫エイズや猫白血病といったウィルス疾患に罹患している事があり、環境変化などで免疫が低下した際に風邪のような症状を発症することがあります。また保護猫をお迎えした場合は、猫エイズや猫白血病といったウィルス疾患に罹患している事があり、環境変化などで免疫が低下した際に風邪のような症状を発症することがあります。

その他、特発性鼻炎や特発性副鼻腔炎といった原因不明のケースもあります。何らかのアレルギー物質が関与していると考えられています。
このように、猫の鼻炎はさまざまな要因が関わることから、症状が慢性化し内科治療の効果が減弱する前に、獣医師による詳細な検査と診断が必要です。

猫の鼻炎の治療法

感染症が原因だった場合の治療法を教えてください
猫の鼻炎が感染症が原因である場合、治療法は原因となる感染症の種類によります。ウイルス感染が原因の場合、抗生物質や、炎症を抑えるステロイドの点鼻薬などが投与されます。真菌感染が原因の場合は抗真菌薬が使用されます。

また、症状が重い場合や呼吸困難を示している場合は、ネブライザーと呼ばれる吸入器を用いて、鼻やのどに薬剤を噴霧して炎症を抑える対症療法が行われることもあります。

軽微な症状であれば1〜2週間で症状が改善することもありますが、一旦症状が治ったように見えても季節の変わり目など免疫が低下しやすい時期などに再発するケースが多く見受けられます。
また単純な感染症の治療で改善しない場合は突発性鼻炎や慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎などが疑われ、更なる精査と、継続的な内服薬投与が必要となる場合があります。
どのような状態だと外科治療が必要になりますか?
猫の鼻炎に対する外科治療が必要になる状況はいくつかあります。
まず、鼻腔内に異物が混入した場合、その異物を取り除くための手術が必要になることがあります。
また、鼻炎が進行し、副鼻腔炎にまで進行してしまった場合も、膿を排出するための外科手術が必要になることがあります。
そして、歯の疾患が原因となっている場合は、抜歯などが行われることもあります。
さらに、鼻腔内に腫瘍が発生した場合、腫瘍の種類によっては、腫瘍を摘出する手術や放射線治療、抗がん剤治療などが行われることがあります。
慢性鼻炎では鼻腔洗浄を行うこともありますか?
鼻腔洗浄により猫の呼吸がしやすくなり、鼻炎の症状が軽減されることが多いため、重症の慢性鼻炎の治療として鼻腔洗浄を行うこともあります。
鼻腔洗浄は、鼻の中に溜まった鼻水や膿を取り除くための処置で、麻酔下で行われます。
しかし、鼻腔洗浄は必ず麻酔が必要であり、ややハードルが高いとも言えます。鼻炎によって長い間苦しんでいる猫に対しては、定期的に鼻腔洗浄を行うことが一つの有効な手段となる可能性もあります。

猫の鼻炎の予防法

ワクチンを接種すると鼻炎を発症したときの症状が軽減しますか?
ワクチン接種は猫の鼻炎の症状を軽減する可能性があります。主に、猫ヘルペスウイルスなどのウイルス感染が原因の鼻炎に対しては、3種混合ワクチンなどが効果的とされています。ただし、症状がひどい時にワクチン接種すると更に悪化を引き起こすことがあるので、まず症状が治ってから接種することが重要です。
しかし、ワクチン接種を受けていても感染する可能性はゼロではなく、なかでも、猫カリシウイルスに対するワクチンの効果は限定的であるとのデータもあります。それでも、ワクチン未接種の猫よりも重症化する確率が低いとされています。ワクチン接種の効果や適切な接種スケジュールについては、必ず獣医師に相談してください。
猫の鼻炎を予防するには、清潔な環境を保つ必要がありますか?
猫の鼻炎を予防するためには、清潔な環境を保つことが重要です。飼育環境を清潔に保つことで、ウイルスや細菌の繁殖を抑えられます。また、部屋の温度や湿度に気をつけることも大切です。乾燥はウイルスの活動を活発化させるため、適度な湿度を保つことが推奨されます。
そして、猫を多頭飼している場合は、感染している猫を別の空間に移動したり、食餌や水の器を分けたりするなどして、感染を広げないように対策をとりましょう。
これらの予防策を講じることで、猫の鼻炎のリスクを低減することが可能です。
鼻水が増えてきたときには動物病院を受診したほうがいいですか?
猫の鼻水が増えてきた場合は、動物病院を受診することをおすすめします。鼻水が増えるということは、何らかの異常が体内で起こっている可能性があります。
特に、鼻水が透明から黄色や緑色に変わったり、粘り気があるものに変わったりした場合は、感染症などの病気の可能性が高いです。また、鼻水と一緒にくしゃみや発熱、食欲不振などの症状が見られる場合も、早めに獣医師に相談することが重要です。
動物病院では、猫の全身の状態によって、血液検査やX線検査、細菌培養同定試験、薬剤感受性試験、、CT検査やMRI検査といった検査が症状に応じて行われます。
病気の早期発見と適切な治療が、猫の健康を保つための鍵となります。

編集部まとめ

ここまで猫の鼻炎についてお伝えしてきました。
猫の鼻炎の要点をまとめると以下の通りです。

  • 猫の鼻炎とは、猫の鼻の粘膜などが炎症を起こしている状態で、ウイルスや真菌などが主な原因とされているが、そのほかにもさまざまな要因が考えられる
  • 猫の鼻炎の治療法は、感染症が原因の場合、抗生物質、ステロイド点鼻薬などが投与され、重症の場合は鼻腔洗浄が行われることもある
  • 猫の鼻炎の予防法は、清潔な環境を保つことやと、定期的なワクチン接種で効果が期待でき、多頭飼の場合は症状のある猫を隔離することが感染を広めないためにできる対策になる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献