猫の膿皮症の原因や症状とは?治療法や対策、膿皮症にかかりやすい時期も解説します

猫の膿皮症の原因や症状とは?治療法や対策、膿皮症にかかりやすい時期も解説します

猫の体調異変にはさまざまなサインがあります。猫の飼い主さんはこれらのサインに気付いてあげなければなりません。

猫は体毛に覆われているため、皮膚病のサインについてはわかりにくいこともあります。猫が頻繁に身体を掻いていたり、皮膚にかさぶたができたりした場合はどう対処すべきでしょうか。

猫の皮膚病の一つに膿皮症があります。膿皮症の症状・原因・予防法について詳しく解説します。

猫の膿皮症とは?

警戒する猫

膿皮症は猫の皮膚が細菌に感染し化膿する疾患です。腫れ・かさぶた・脱毛などを伴うこともあります。皮膚がべたべたになることもあります。

膿皮症は患部の拡大や二次感染を起こす可能性がある疾患です。慢性化すると治療が長引くこともあります。そのため、早期治療が重要です。

猫の膿皮症には、皮膚の表面近くで発生する表在性(浅在性)膿皮症と奥で発生する深在性膿皮症があります。

表在性膿皮症の症状としては、赤み・痒み・膿疱・かさぶた・色素沈着が挙げられます。深在性膿皮症ではむくみ・しこり・発熱が起こり、症状が重症化するでしょう。

猫が膿皮症にかかりやすい時期

猫を触る獣医の手元

猫の膿皮症は、皮膚の免疫機能が低下しているときに発症しやすくなります。皮膚の免疫機能の低下が顕著なのは、子猫と老猫です。

猫の膿皮症が発症しやすい季節は梅雨から夏にかけてです。猫の膿皮症がこれらの年齢や季節に発生しやすい理由を詳しく解説しましょう。

年齢

産まれたばかりの子猫は、母猫の乳を飲んで育ちます。母親の乳は、子猫の免疫を補う役目を持っています。授乳によって、生後間もない猫は免疫を獲得するのです。

その後、猫の身体には病気から自らを守る免疫力が備わっていきます。その免疫力は徐々に発達します。

そのため、母乳の免疫力が弱まり、自身の免疫力が未発達の時期が生じるのです。生後4~12週がその時期にあたります。この時期は特に、膿皮症の発症に気を配る必要があるでしょう。

また、老猫においても免疫機能の低下が見られます。老猫の免疫機能が低下する原因としては、筋肉の衰えが挙げられるでしょう。

筋肉の衰えにより体温が低下し、免疫機能も低下するのです。したがって、老猫の膿皮症にも注意が必要です。

季節

猫は湿気が苦手な動物であり、体毛で覆われているため、湿度が上がると蒸れやすくなります。

皮膚がひだ状になっている箇所はとりわけ蒸れが起きやすいので、夏場の膿皮症が起きやすい箇所といえるでしょう。

膿皮症の原因の一つであるノミ・ダニの活動が活発化するのも夏です。

また猫は自分の身体をなめグルーミングを行うことがありますが、唾液の細菌が膿皮症の原因となる場合があります。

こういった症状も、湿度が高い夏に多くなる傾向があります。

猫が膿皮症になる原因

寝顔が可愛い白茶猫

猫が膿皮症になる原因として、まずは常在菌が挙げられます。常在菌のなかでも膿皮症の主な原因となるものがブドウ球菌です。

ブドウ球菌は、顕微鏡で見た形がブドウの房に似ていることから名付けられました。ダニ・ノミも、猫の膿皮症の代表的な原因です。

猫の身体に寄生するダニはヒゼンダニを始め数種類います。

ヒゼンダニは身体が触れただけで簡単に拡散するので、ほかの猫や人にも広まることがあるでしょう。

暑さや湿気も猫の膿皮症の原因となります。特に夏場は室内の環境に気を配らなければなりません。猫の膿皮症の原因となるこれらの原因について詳しく解説します。

常在菌によるもの

ブドウ球菌は健康な猫の皮膚にもいる常在菌です。

しかし猫の身体の免疫機能が低下したり、皮膚感染症を患っていたりすると膿皮症の原因となります。

また、傷跡からブドウ球菌が侵入して起こる膿皮症もあります。猫の傷跡の多くは、猫同士の喧嘩によるものといえるでしょう。

喧嘩のための傷は、手足や背中に多く見られます。去勢されていないオス猫に多く見られることも特徴です。

ダニ・ノミによるもの

ワイルドな茶トラネコ

ヒゼンダニのなかで、耳に寄生するのがミミヒゼンダニです。ミミヒゼンダニは耳疥癬を起こすダニとしても知られています。

ネコツメダニは小さなフケのように見えるダニです。マダニはSFTS・バベシア症・ライム病といった病気の原因ともなります。

猫に寄生する代表的なノミはネコノミです。ネコノミは野原や公園に生息するので、ノラネコの多くはネコノミに寄生されています。人の衣服や靴に付着して室内に持ち込まれ、飼い猫もネコノミに感染するケースがあります。

これらのダニ・ノミは吸血して痒みを引き起こすほか、膿皮症の原因ともなるのです。 ダニ・ノミの多くは梅雨から夏にかけて活発になりますが、マダニが活発になるのは4~11月です。

環境によるもの

猫は湿度が苦手な動物のため、特に梅雨から夏にかけての湿気は皮膚の蒸れの原因となります。湿度計で湿度を確認し、適度な湿度を保つとよいでしょう。

熱がこもる部屋やエアコンをかけていない部屋は、猫の膿皮症を誘発するでしょう。

ノミは暗い場所通気の悪い場所を好みます。こういった部屋では、膿皮症を誘発するノミが発生することがあります。

免疫低下によるもの

猫の免疫機能が低下していると、膿皮症にかかりやすくなります。年齢の問題以外にも、猫の免疫機能が低下する理由は複数あります。

まずはウイルス感染です。特に猫白血病ウイルス・猫免疫不全ウイルスの感染は、免疫機能の低下を起こしやすくなります。

生まれつきの体質やホルモンの異常で免疫力が弱い猫もいるでしょう。猫は本来広い場所に生息する動物なので、狭い環境が与えるストレスが免疫を低下させる場合もあります。

栄養のバランスや餌の材料によって免疫が低下する猫もいます。肥満によって猫の免疫力が落ちることもあるでしょう。

糖尿病は猫もかかる疾患で、これも免疫機能の低下を招きます。

猫の膿皮症の症状

岩場のノラ猫兄弟

猫の症状は、飼い主さんが猫の体調の異変に気付くためのサインとなります。赤みや痒みが現れるのは、猫の膿皮症の典型的な症状です。

膿疱・かさぶた・脱毛も猫の膿皮症でよく見られる症状です。ただし、猫は季節によって体毛が生え変わる時期があります。

そのため、脱毛が生理的な現象なのか、あるいは疾患によるものなのか見極める必要があるでしょう。猫の膿皮症の際に現れるこれらの症状について解説します。

赤み・痒み

表在性(浅在性)膿皮症では、皮膚に赤い湿疹が点状に現れます。一方、深在性膿皮症では、皮膚が赤紫色に腫れることが特徴です。

痛みを伴うこともあります。膿皮症による猫の痒みを疑うべきサインとしては以下のようなものが挙げられます。

  • 猫が頻繁に身体を掻く
  • ほかのペットも同様に掻いている
  • 飼い主も痒みを感じる
  • 皮膚に掻き傷や出血がある
  • 皮膚の状態が異常である
  • 食事や飲水の量がいつもと違う
  • 部屋でダニ・ノミが確認された

思い当たる症状があれば、獣医師に相談するとよいでしょう。

膿疱・かさぶた

見つめる猫

猫が皮膚を掻いたり舐めたりするとかさぶたができます。猫が皮膚を掻く原因としてはアレルギー・皮膚炎・ノミ・ダニ・ストレスなどが挙げられるでしょう。

傷跡が膿疱になったり、皮膚が薄くめくれたりすることもあります。猫が身体を擦りつけている場合、身体の痒みが原因かどうか判断するのは難しいです。

このような動作が見られた場合、その箇所の皮膚を確認するとよいでしょう。膿疱やかさぶたが見つかることがあります。

脱毛

猫の生理的な脱毛の時期は春と秋です。また、春の脱毛では冬の厚い体毛が生え変わるので、秋の脱毛より脱毛の量が多くなることもあります。

ただしエアコンの普及や室内環境の変化により、それ以外の時期でも生理的な脱毛は見られるようになりました。

身体の異常による脱毛の原因には、膿皮症のほかにホルモン異常・アレルギー・日光過敏症・線状肉芽腫・クッシング症候群などがあります。

ストレスが原因と判断されることもあります。脱毛のある箇所を確認し、膿皮症かどうか確認するとよいでしょう。

猫の膿皮症における治療法

獣医に抱かれる猫

猫の膿皮症が疑われたら、早めに獣医師に相談しましょう。適切な治療を受けることが重要です。猫の膿皮症の治療で始めに行うのが患部の洗浄です。

洗浄はシャンプーを使って行われます。この際に使われるのは猫用の薬用シャンプーです。

膿皮症と診断されると抗菌薬を塗布します。その後、必要であれば薬による治療が始まるでしょう。猫の膿皮症の治療法について解説します。

内服薬と外用薬の使用

膿皮症は軽傷であれば外用薬のみで改善することもありますが、重症化すると抗生物質の投与が必要になります。

症状によっては、皮膚の切開や膿の排出が必要になることもあるでしょう。

症状に改善が見られない場合、全身の検査が行われることもあるでしょう。

抗生物質を使用しても良くならない場合は、感受性試験なども必要になります。耐性菌ができると治療が難航するため、獣医師の指示にしたがって投薬を続け、自己判断での休薬は絶対に控えなければなりません。

猫の皮膚病には多くの原因があるため、ほかの要因も考慮する必要があります。ほかの原因としてはアレルギー・環境によるもの・栄養の偏り・腫瘍などが挙げられます。

またダニ・ノミによる膿皮症の場合、ダニ・ノミの駆除をしなければ症状は回復しないでしょう。薬用シャンプーにダニ・ノミを駆除する効果は期待できません。

まずは飼い主さんが症状の原因を探してみなければなりません。猫の膿皮症は飼い主さんと獣医師が情報共有して治療する必要があります。

シャンプーの使用

岩場で寝そべる茶トラ猫

シャンプーによる洗浄は、症状を改善し再発を防ぐために有効です。獣医師が行ってくれる場合もありますが、飼い主さんが自分で行う場合もあります。飼い主さんがシャンプーを行う場合、以下のことを獣医師に確認しましょう。

  • 使用するシャンプーの種類
  • シャンプーの頻度
  • シャンプー時の注意点

猫の体質によってはシャンプーが合わない可能性もあります。シャンプー後に皮膚の異常が出たら、獣医師の確認が必要です。過度のシャンプー洗浄は猫の免疫機能を低下させ、逆効果となってしまうこともあります。

シャンプーの頻度は獣医師の指導を受けなければなりません。シャンプー後の生乾きは膿皮症を悪化させてしまうことがあります。ブラシを使う場合も、使い方は獣医師に確認しましょう。

アドバイス:膿皮症と診断されるとまず患部を清潔にして抗菌薬を塗布します。軽傷であれば外用薬のみで改善することもありますが、重症化すると抗生物質の投与が必要になります。

猫の膿皮症への対策法

岩場に佇む白いノラの仔猫

猫の膿皮症を防ぐためには、日頃のケアが重要です。猫の膿皮症対策として、原因の一つであるダニ・ノミの駆除は必須でしょう。

ノミ・ダニ予防薬は用途に応じて複数のタイプがあります。猫の膿皮症を予防するためには、清潔な住環境を維持することが重要です。

特に気を配るべき条件は部屋の温度・湿度です。また、猫のブラシがけは毛並みを清潔に保てるので、膿皮症の予防によいでしょう。猫の膿皮症の予防法について解説します。

予防薬を使用する

ノミ・ダニ予防薬には、皮膚に垂らすタイプがあります。皮膚に垂らすタイプのノミ・ダニ予防薬は、薬が乾くまで接触を避けなければいけない場合があります。投薬後すぐにシャンプーをすると効果が薄れてしまうので注意しましょう。

食べるタイプのノミ・ダニ予防薬にはフィラリア・犬回虫の予防もできるものがあります。食べるタイプを選ぶ場合は、猫の好みの味を探すとよいでしょう。スプレー・タイプのノミ・ダニ予防薬は、ペットの寝床のノミ・ダニ駆除を兼用している商品もあります。

住環境を清潔にする

梅雨から夏にかけては部屋の温度が上がります。エアコンをかけて、快適な温度を保ちましょう。

湿度はダニ・ノミの発生をうながし、膿皮症の原因となります。部屋の適度な換気が必要となるでしょう。不衛生な環境はダニ・ノミの発生を助長します。

食べカス・フケ・垢・皮膚などはダニ・ノミの好物です。カーペット・畳・ベッド・猫の寝床などはダニ・ノミが好む場所です。

これらの場所にダニ・ノミの餌となるものが残らないよう、こまめに清掃をしましょう。粘着カーペットクリーナーやハンディ掃除機を使うことをおすすめします。ダニ・ノミは高温と日光が苦手です。

布団やクッションは高温のお湯で洗濯し、屋外で干すとダニ・ノミ予防に効果的です。

ダニ・ノミ駆除用の薬剤を使って屋内を消毒するのもよいでしょう。ただし猫に悪影響をおよぼさないように、消毒後の換気は念入りに行わなければなりません。

定期的なブラシがけを行う

猫のブラシがけの際に、飼い主さんが猫の毛並みをチェックすることでノミ・ダニの発見ができることもあります。

ブラシは、短毛用・コームタイプ・電動・毛玉取り専用など、さまざまな種類があります。猫の毛並みや身体の部位によって使用すべきブラシは異なります。製品の解説書や獣医師の指導を参考にしましょう。

まとめ

診察を受ける猫

猫の膿皮症は室内の清潔さや環境が影響して起こる症状です。猫の飼い主さんは室内の環境に気を配り、膿皮症を予防していかなければなりません。

またダニ・ノミによる猫の膿皮症は、飼い主さんの家族にも影響を与える可能性があります。正しいダニ・ノミ駆除を行い、膿皮症の発生を防がなければなりません。

この記事が猫の飼い主さんの参考になれば幸いです。

参考文献

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