犬の肝臓がん|ステージ分類や症状、治療法、早期発見のポイントを解説!

犬の肝臓がん|ステージ分類や症状、治療法、早期発見のポイントを解説!

犬の肝臓がんは初期症状が目立ちにくく、気付いたときには進行している場合もある病気です。普段と違う様子がみられても、年齢による変化と考えて見過ごされるケースも少なくありません。

肝臓は代謝や解毒など体に重要な働きを担う臓器です。異常が起こると全身の状態に影響する可能性があります。

この記事では、犬の肝臓がんの病態や症状、ステージ分類、治療法、早期発見のポイントを解説します。

犬の肝臓がんの病態と原因

診察を受ける犬

犬の肝臓がんの原因は完全には解明されていませんが、加齢や慢性的な肝臓の炎症などが関係する可能性があると考えられています。

犬の肝臓がんの病態生理

肝臓は栄養の代謝や胆汁の生成、解毒などの働きを担う臓器です。血流が多く、体のさまざまな機能に関わっています。犬の肝臓がんは、肝臓の細胞が異常に増殖することで発生する病気です。

肝臓は栄養の処理や老廃物の分解、胆汁の分泌など多くの役割を担っているため、機能が低下すると全身の状態に影響が出る可能性があります。肝臓は再生能力が高い臓器ですが、腫瘍が広がると正常な機能を維持しにくくなる場合があります。

腫瘍の大きさや広がり方によっては血流に影響が出たり、周囲の組織に負担がかかったりすることも特徴です。そのため、肝臓の腫瘍が疑われる場合には、画像検査などを用いて状態を詳しく確認することが大切です。

さらに、必要に応じて細胞を採取して詳しく調べる検査が行われることもあります。これにより腫瘍の性質を把握しやすくなり、より具体的な治療方針の判断が可能です。

原発性と転移性の違い

肝臓

犬の肝臓がんは、原発性と転移性に分けられます。原発性腫瘍は肝臓の細胞から発生するがんで、肝細胞や胆管の細胞が腫瘍化することで発生します。肝臓の細胞が変化して腫瘍となり、肝臓内に形成される点が特徴です。

代表的なものとして、肝細胞がんや胆管がんなどが知られています。これらは肝臓の細胞が異常に増殖することで腫瘍を形成すると考えられています。一方、転移性腫瘍は体の別の部位にできたがんが血液やリンパの流れによって肝臓に広がったものです。

肝臓は血流が多い臓器のため、ほかの臓器のがんが転移することがあります。例えば脾臓や消化器、肺などに発生した腫瘍が肝臓に広がるケースもあります。さらに、遺伝的要因や環境要因も関与すると考えられている病気です。

肝臓の腫瘍が見つかった場合は、腫瘍が肝臓から発生したものなのか、ほかの臓器から転移したものなのかを確認することが重要です。

原発性か転移性かの判断は、画像検査だけでは難しい場合もあります。そのため、全身の検査を行いながら総合的に判断されるのが一般的です。必要に応じて複数の検査を組み合わせて確認することが重要です。

犬の肝臓がんの原因

犬の肝臓がんの原因は、現在のところ完全には解明されていません。ただし、発症に関係する可能性がある要因はいくつか指摘されています。

加齢はその一つで、多くの腫瘍と同様に高齢の犬でみられる傾向があります。年齢を重ねることで細胞の修復機能が低下し、細胞の変化が起こりやすいようです。また、慢性的な肝臓疾患や炎症が長く続くことで、細胞の異常増殖が起こる可能性もあります。

肝臓に長期間炎症が起こると、組織が傷ついたり再生を繰り返したりする過程で細胞に変化が生じます。さらに、遺伝的要因や環境要因も関係する可能性がある病気です。これらの要因が単独で原因となるとは限らず、複数の要因が重なって発症します。

犬の肝臓がんの初期症状やサイン

ぐったりした犬

犬の肝臓がんは初期には目立った症状が現れにくい場合がありますが、体調の変化としてサインがみられることがあります。日常の様子に違和感がある場合は注意が必要です。

活気や食欲の低下

肝臓がんの進行により、元気がなくなり活動量が減る、散歩を嫌がるといった変化がみられることがあります。また、食事を残すことやこれまで食べていたフードに興味を示さなくなることもあります。体重減少や嘔吐、腹部の膨らみなどがみられることもあり、こうした症状が続く場合は注意が必要です。

これらの変化は一時的な体調不良でもみられることがありますが、長く続く場合には病気が関係している可能性もあります。水を飲む量が増える、以前よりも疲れやすくなるなど、日常生活のなかで小さな変化として現れることもあります。そのため、飼い主さんが日常生活の変化に気付くことが重要です。

寝ている時間が増える、遊びに対する興味が薄れるなど普段の行動に変化がみられることもあるため、普段と違う様子が続くときは注意が必要です。肝臓は体内のさまざまな働きに関わる臓器のため、機能が低下すると全身の状態に影響が出る場合があります。

犬は体調の不調を言葉で伝えることができないため、飼い主さんが普段の様子をよく観察しておくことが大切です。日頃から食事量や活動量、体重などを確認しておくことで、小さな変化にも気付きやすくなります。

定期検診での検査結果の指摘

検査結果

定期検診で発見されるケースもあります。血液検査で肝酵素の上昇が確認され、精密検査につながる場合がある所見です。

超音波検査などの画像検査で肝臓の腫瘤が見つかることもあります。検査によって異常が見つかることもあるため、定期的な検査が重要です。

高齢の犬では定期的に健康診断を受けることで、病気の早期発見につながる可能性があります。また、過去の検査結果と比較することで、数値の変化に早く気付ける場合もあります。肝機能の数値の変化は目に見える症状として現れにくいこともあるため、検査による確認が大切です。

必要に応じて画像検査による詳しい確認が行われることで、肝臓の状態や腫瘍の有無をより詳しく調べることができます。定期的に検査を受けることで、体調の変化に早く気付くきっかけになることもあります。

犬の肝臓がんのステージ分類と症状

注射と犬

犬の肝臓がんでは、腫瘍の広がり方や状態によって分類され、それぞれでみられる症状や治療の方針が異なります。一般的には、腫瘍が限局している段階から、肝臓全体に広がる段階までいくつかのタイプに分けて考えられます。

孤立型

孤立型は、肝臓の一部に単独の腫瘍ができるタイプで、大きな腫瘍として見つかることがあります。1か所に限局している場合があり、状況によっては外科的に切除できる可能性があるタイプです。

腫瘍が大きくなると腹部の膨らみがみられる場合があります。また、初期の段階では健康診断や画像検査で偶然見つかるケースもあります。腫瘍の大きさや位置、血管との関係などを確認したうえで、治療方法の検討が必要です。

予後が良好な場合、長期生存が見込まれるケースもあります。

結節型

結節型は肝臓のなかに複数の腫瘍が形成されるタイプです。腫瘍が複数存在するため、肝臓の広い範囲に影響が及ぶ可能性があります。

肝臓の機能に影響が出ることで、元気がなくなる、体重が減少するなどの症状がみられるタイプの腫瘍です。腫瘍の数や大きさ、肝臓全体への影響の程度によって治療方針が検討されます。

びまん型

びまん型は肝臓全体に腫瘍細胞が広がるタイプです。肝臓の広い範囲に影響が及ぶため、肝機能が低下しやすいとされています。

肝臓全体に広がるため、外科的に切除することが難しいケースが多く、内科的な管理が中心となる場合があります。検査結果や犬の体調を確認しながら、適切な治療やケアの検討が必要です。

びまん型は予後不良なケースが多い点も特徴です。

犬の肝臓がんの治療法

注射器

犬の肝臓がんの治療法は、腫瘍の大きさや広がり、犬の全身状態によって異なります。無理に治療を行うのではなく、犬の負担や日常生活への影響を考慮しながら、適切な治療方法を選択することが大切です。

腫瘍が限局している場合は手術による切除が検討されることがあり、進行している場合には内科的治療が行われることもあります。飼い主さんと相談しながら方針を決めていくことが一般的です。

外科的治療

犬の肝臓がんでは、腫瘍の状態や広がり方によって外科的治療が検討される場合があります。腫瘍が局所に限局している場合は、手術によって腫瘍を切除する治療が行われることがあります。

肝臓は再生能力が高い臓器です。腫瘍が一部にとどまっている場合には肝臓の一部を切除する手術が選択されることがあります。腫瘍を切除することで、腫瘍による症状の改善や進行の抑制が期待される治療です。

肝臓は血流が多い臓器のため、手術の難易度が高くなります。腫瘍の大きさや位置、血管との関係によっては手術が難しいケースもあります。手術の適応を判断するために、事前に血液検査や画像検査などを行い、全身状態を確認することが一般的です。犬の年齢や体力、ほかの病気の有無なども考慮したうえで治療方針が決定されます。

内科的治療

外科的治療が難しい場合や腫瘍が広がっている場合は、内科的治療が選択されることがあります。内科的治療には苦痛を緩和する治療や体の負担を軽減する治療があります。痛みや苦しさがみられる場合には、症状の改善を目的として薬剤を使用する治療です。

肝臓の働きをサポートする薬やサプリメントが用いられるケースもあります。これらの治療は腫瘍そのものを取り除くことを目的とするものではなく、体調を安定させたり日常生活の負担を軽減したりすることが目的です。

内科的治療では腫瘍そのものを消失させることは難しいとされており、症状の緩和や進行の抑制を目的として行われることが一般的です。犬の状態に応じて食事管理や生活環境の調整を行いながら、苦痛を取り除くことを重視した治療が進められる場合もあります。

犬の肝臓がんの進行速度と予後

抱っこされる犬

犬の肝臓がんは、腫瘍の種類や広がり方によって進行速度や予後が異なります。ゆっくり進行する場合もあれば、短期間で進行するケースもあります。予後は早期に発見され、適切な治療が行われるかどうかによって変わるため、定期的な健康診断や早期の対応が重要です。

進行速度

犬の肝臓がんの進行速度は、腫瘍の種類や広がり方や発見された段階によって大きく異なります。ゆっくり進行するケースもありますが、腫瘍の種類によっては短期間で大きくなることもあります。

特にびまん型は、肝機能の低下が進みやすく、早い段階で症状が現れることがあるタイプです。一方、孤立型の腫瘍は肝臓の一部に限局することが多く、症状が現れるまで時間がかかる場合があります。

予後

犬の肝臓がんの予後は、腫瘍のタイプや大きさ、転移の有無、治療が可能かどうかなどによって大きく変わります。余命についても個体差が大きく、年齢・体力も影響を受けるでしょう。

孤立型は外科的に切除できる場合、良好な経過が期待できるケースもあるといわれています。腫瘍を完全に切除できた場合には、その後の生活の質を維持できる可能性もあるタイプです。一方で、結節型やびまん型のように複数の腫瘍が存在する場合や肝臓全体に広がっている場合は、外科的治療が難しいケースもあります。

また、ほかの臓器への転移が確認された場合は、治療の目的が生活の質の維持に重点を置いたものとなることがあります。

犬の肝臓がんを早期発見するためのポイント

こちらを見る犬

早期発見には日常的な観察と定期的な健康診断が重要です。血液検査や画像検査を受けることで、早い段階で異常が見つかる場合もあります。普段と異なる様子が続く場合は、早めに動物病院で相談することが大切です。

定期健診を受ける

定期的な健康診断が早期発見につながる可能性があります。血液検査や画像検査によって肝臓の異常を早い段階で見つけられる場合があります。

特に高齢の犬では定期的な健康状態の確認が重要です。具体的には、半年~1年ごとの検査が理想です。健康診断では血液検査だけでなく、超音波検査などの画像検査が行われることもあり、肝臓の大きさや内部の状態を確認できる場合が多いとされています。愛犬の年齢や体調に応じて、動物病院で適切な検査頻度の相談することも大切です。

いつもと様子が違うと感じたら動物病院を受診する

ご飯と犬

犬は言葉で体調を伝えることができないため、飼い主さんが日常の様子を観察することが大切です。いつもと違うと感じた場合は動物病院に相談することが望ましいといえます。

これらの変化は一時的な体調不良でみられることもありますが、病気のサインとして現れる場合もあります。散歩を嫌がるようになったり、寝ている時間が増えたりするなど、普段と違う行動がみられる場合も注意が必要です。

日常生活のなかでは、食事量や体重の変化だけでなく、排泄の様子やお腹の張り具合なども確認しておくことが役立ちます。触れたときに違和感がある場合や、以前よりお腹が張っていると感じる場合も注意が必要です。

小さな変化でも早めに相談することで、病気の早期発見や早期治療につながる可能性があります。普段から食事量や活気を確認し、愛犬の健康状態を把握しておくことが大切です。

まとめ

走る犬

犬の肝臓がんは初期症状が目立ちにくい場合があり、気付いたときには進行しているケースもあります。治療方法は腫瘍の状態や犬の健康状態によって異なり、外科的治療や内科的治療が検討されます。

早期発見のためには定期的な健康診断を受けることや、日常生活の変化に気付くことが重要です。気になる場合は、早めに動物病院で相談することが望ましいでしょう。

参考文献