犬の目やにの原因は?目やにの出やすい犬種やケア方法について解説します

犬の目やにの原因は?目やにの出やすい犬種やケア方法について解説します

犬の目やには、正常の範囲であれば特に不安になることはありません。しかし、場合によっては病気によって目やにが発生しているケースもあります。犬の目やにの原因とはどのようなものがあるのでしょうか。また、目やにのケア方法や、動物病院を受診する際に気を付けておきたいポイントもご紹介します。正しい知識を身につけて、愛犬の目やに対策に役立てて下さい。

犬の目やにの原因と病気

犬の目やにの主な原因を教えてください。
生理的なもののほかに、犬の目やにの原因となるのは食べ物、刺激などが挙げられます。
食物アレルギーを持つ犬の場合、食べ物の中に含まれる特定のタンパク質に免疫が過剰に反応し、炎症を引き起こす可能性もあるでしょう。

目やにのほかに、軟便や下痢、排便回数が1日3回以上ある、顔や目の周りの腫れ、目の充血、皮膚のかゆみがある場合は、食べ物を原因とした目やにの可能性があります。

急に目やにの量が増えたり、色が変わったりした場合は刺激が原因かもしれません。目に異物が混入した場合や、まつ毛が目に入っている場合に加え、花粉やハウスダストも原因になります。刺激による目やには、多くの場合は動物病院で処方される点眼薬で改善します。
病気が原因で目やにが出る可能性はありますか?
目やにの原因となる主な病気としては、角膜炎、結膜炎、鼻炎、鼻涙管閉塞などが挙げられます。このほかにも、アレルギーやドライアイなども目やにの原因となる病気です。病気が原因の場合、放置すると目やに以外の症状が現れたり、重症化したりする場合もあります。異変に気付いたら、早めに動物病院の診療を受けましょう。

・角膜炎
角膜炎とは、黒目の部分を覆っている粘膜である角膜が傷ついたり、細菌やウイルスに感染したりすることで起こる目の病気です。角膜炎に罹ると、目やにや涙が増加するほか、黄緑色っぽい目やにが出る、目が白く濁って見える、目をしょぼしょぼさせるなどの症状が見られます。放置してしまうと傷が深くなったり、炎症が広がったりしてしまうため、早めに治療してあげましょう。

・結膜炎
まぶたの内側と白目の部分を覆っている粘膜である結膜が、目の傷、異物の刺激、細菌やウイルスの感染、アレルギー、ドライアイなどを原因として炎症を起こしてしまうのが結膜炎です。結膜炎の場合は、目やにや涙の増加、黄緑色っぽい目やに、目の充血、目をこするなどの症状が見られます。

・鼻炎
鼻炎は、鼻の粘膜が炎症を起こしている状態です。細菌やウイルス感染、アレルギー、異物の吸引、歯周病、鼻腔内腫瘍などによって起こります。鼻と目は鼻涙管という管でつながっているため、鼻の炎症が広がることで目やにや涙が増える症状が現れます。

・鼻涙管閉塞
鼻涙管とは目と鼻をつなぐ涙の通り道のことで、鼻涙管が狭くなったり閉塞してしまったりする状態が鼻涙管閉塞です。生まれつき鼻涙管が狭い場合もありますし、炎症などが起きて鼻涙管が閉塞してしまう場合もあります。鼻涙管を通れなかった涙が目からあふれてしまうことで、目やにが増える、目頭の毛が茶色く変色する涙やけなどが主な症状です。
目やにがでやすい犬種を教えてください。
小型の短頭種であるパグ、ペキニーズ、シーズーなどや、ヨークシャーテリア、ミニチュア・シュナウザーといった犬種は、眼球が大きいため角膜炎やドライアイに罹りやすいと言われています。フレンチブルドック、コーギー、ゴールデンレトリーバーは、難治性の角膜疾患(再生性上皮びらん)の発症リスクが高い犬種です。柴犬は緑内障、トイプードル、チワワ、シーズーは、鼻涙管閉塞を起こしやすい犬種だと言われています。

また、犬種に限らず高齢犬は、体の中の老廃物がうまく排出できず目やにが出てきやすくなる傾向にあります。高齢になったら、目やにや眼球の変化などを日頃から注意深くチェックしてあげましょう。犬種によってなりやすい傾向の病気はありますが、これに関わらず、異常が認められた場合は動物病院を受診してください。

犬の目やにのケア方法と予防方法

犬の目やにのケア方法と予防方法
犬の目やにの正しい取り方やケア方法を教えてください。
目やには、気づいたら取るようにしてあげましょう。乾燥してしまうと毛に絡み、皮膚への炎症も引き起こし、かゆみや痛みが起こることもあります。乾いた目やにを無理に取ろうとすると皮膚ごと引っ張ってしまうことになり、皮膚炎の悪化、目の周りを触られることへのトラウマなども引き起こします。目の周りは特に敏感な部分でもありますので、優しく接してあげましょう。乾いた目ヤニは自宅で無理に取り除こうとせず、動物病院で受診することをお勧めします。

犬の目やに専用のローションや目やに取りシートなど、ペット用のアイケア商品が便利です。使用する際には成分をチェックして、体に優しい天然成分由来のものを選ぶといいでしょう。

目やにケアグッズには、ウェットティッシュ、コットン、綿棒、くし、目薬、ホウ酸水などのほか、清潔で柔らかいティッシュペーパーに水を含ませたものでも問題ありません。乾いた状態でこすると目や皮膚を傷める原因になりますので避けてください。
犬の目やにが出にくくするための予防方法はありますか?
目やにを出にくくするには、まずはブラッシングやトリミングが挙げられます。
ゴミやホコリが目に入ったり、逆まつげがあったりすると、目やにの原因になってしまいます。小まめなブラッシングやシャンプーで清潔に保つことがポイントです。特に目の周りの毛が長い犬は、毛が目に入って傷つけてしまう可能性がありますので、トリミングサロンや自宅で小まめにカットしてあげましょう。
ドッグランや散歩の際には、目の刺激になるものから守ってあげましょう。草や木の尖ったものが目に刺さってしまうことがあります。また、ドッグランでは他の犬と遊んでいるうちに目に傷がついてしまうケースもあるでしょう。散歩やドッグランで遊んだ後には変わった様子が無いかどうか注意して観察しておいてください。

犬の目やにで動物病院を受診するときのポイント

犬の目やにで動物病院を受診するときのポイント

目やにが出ても、どういった場合に動物病院を受診したら良いか悩んでしまうものです。動物病院を受診するときのタイミングや注意点をご紹介します。

目やにが出たら病院に連れて行くべきですか?
目やにがひどい、涙の量が多い、涙やけがひどい、目が充血している、目の表面に傷がある場合は、早めに動物病院に連れて行きましょう。また、目の表面に穴が開いている場合は、角膜潰瘍を起こしている可能性が非常に高いので、すぐに動物病院を受診してください。

目やにの色にも注意が必要です。特に黄緑色や灰色の目やにが見られた場合は、緊急度の高い病気が潜んでいる可能性があります。
動物病院を受診するときの注意点を教えてください。
目などの病気で炎症が起きている場合は、自宅で処置できることはありません。犬にいつもと違った様子が見られた場合は、動物病院を受診することをおすすめします。受診する際には、いつから、どのような症状が見られているか、心当たりがあることなどをメモしておくと良いでしょう。
目やに以外で注意したほうが良い目の症状を教えてください。
目やには正常の範囲でも、目や目の周りに異変があった場合は注意が必要です。例えば、目が見えていなさそうな場合は、網膜剥離や視神経炎などが考えられます。白目の部分が充血している場合は、結膜炎や強膜炎、緑内障などの可能性あり。目の中に黒いできものが出てきた場合は、腫瘍(悪性黒色腫)の可能性もあるので注意が必要です。小さな異変であっても、大きな病気が隠れている場合もあります。日頃から様子の変化をよく見ておいてあげることで、病気の早期発見につながります。

編集部まとめ

犬の目やには、正常な目やにのほかにも、食事や刺激、病気によって出るケースがあります。中には重大な病気が潜んでいる場合がありますので注意が必要です。目やにの色や様子のほか、充血やかゆみといった症状の有無もチェックポイントです。気になる点がある場合は動物病院を受診することをおすすめします。また、日頃から全身をチェックする習慣をつけておくことも大切です。普段の健康状態を知っておくと異常に気づきやすく、病気の早期発見にもつながるでしょう。

参考文献