犬が咳をしている原因は?考えられる病気や対処法について解説

犬が咳をしている原因は?考えられる病気や対処法について解説

愛犬の咳が止まらなくなると心配で、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。咳が止まらない原因は病気なのか、それとも日常的に犬は咳をするものなのか。原因や治療方法がわからないと、さらに不安は募ります。どのくらいまで様子をみるべきか、それともすぐに病院に連れて行ったほうがいいのか、心配な病気とは何か。考えられる病気や動物病院に行く判断の参考となる症状などを手軽に調べられるようにまとめています。愛犬の咳が気になった方は参考にしてみてください。

犬の咳とは

本来なら体に害のないものに対して過剰に免疫反応が働いてしまい、さまざまな症状を起こしてしまうことを「アレルギー」と言います。犬が発症するアレルギーにはいくつか代表的な疾患が見られます。ここでは特に発症傾向が高い「アトピー性皮膚炎」「食物アレルギー」「ノミアレルギー性皮膚炎」のアレルギーがどのようなものか、またそれらの疾患が完治するのかについて解説します。

犬の咳はどういったものですか?
犬の咳には、生理的な咳と病的な咳があります。リードを引っ張った時や、水を飲んだ時に「カッカッ」という軽く乾いた咳が出る場合は、生理的な咳の可能性があります。この場合、長く続くなどでなければ、そこまで心配する必要はないでしょう。

一方、咳が続いて苦しそうにしている、呼吸が早くて元気がない、食欲もなく、チアノーゼ(口の粘膜や舌の色が白いか青紫になっている状態)があり、さらには失神などの症状がみられる場合には病的な咳を疑います。
犬が咳をする原因を教えてください。
生理的な咳から病気によって出る咳まで、その原因は異なります。前述の通り、リードを引っ張った時や興奮した時、水を飲んだ時の軽い乾いた咳は生理現象です。

気管に異物が刺さっている場合やプラスチックなどの消化できないものを食べてしまったという異物の誤飲や誤食からの違和感で咳をすることもあります。誤飲しているものが大きい場合は、気道閉塞や腸閉塞を引き起こすことがあるため、至急動物病院を受診しましょう。

そのほか、さまざまな病気やアレルギーで咳をすることもあります。

犬の咳から疑われる病気

犬の咳から疑われる病気

どうみても生理現象や誤飲や誤食ではないのに咳が続く場合には、病気による咳の疑いがあります。犬の咳から疑われる病気はいくつもあり、病気によって症状や対処方法も異なります。ここでは、咳から疑われる主な病気について説明します。

犬の咳が止まらない場合、どんな病気が考えられますか?
病的な咳が続く場合には、ケンネルコフ、気管虚脱、心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)、肺炎、喘息、アレルギー、フィラリア症などの病気が疑われます。
ケンネルコフはどんな病気ですか?
免疫力が不十分な若齢の子犬や高齢犬などに多くみられる疾患です。ウイルスや細菌などによって起こる感染症で、軽度であれば犬自身の免疫力で治ります。しかし、悪化すると肺炎を引き起こし、体力低下から死に至る危険性もあることを覚えておきましょう。咳が止まらずひどい場合は、動物病院を早めに受診してください。また、完全な予防にはなりませんが予防接種もあるので、免疫力をつける意味で接種するのも有効です。
気管虚脱はどんな病気ですか?
気管虚脱は、気管がつぶれてしまう病気です。ポメラニアン、トイ・プードル、チワワなどの小型犬がよくかかります。詰まったような咳や、水を飲んだ時にむせるような咳が出ます。また、「ガーガー」とガチョウの鳴き声のような呼吸音がすることもあります。さらに病気が進行すると、呼吸困難やチアノーゼを起こして突然倒れてしまう場合もあり、初期症状の段階で気づいて治療を始められるようにしておきたいです。この病気の原因ははっきりとわかっておらず、遺伝や環境要因、肥満などが挙げられています。
犬の心臓病はどんな病気ですか?
人間の場合は、心臓病といえば心筋梗塞や狭心症、不整脈が一般的ですが、犬の場合は「僧帽弁閉鎖不全症」が最も多く、チワワなどの小型犬によく起こります。心臓の肥大による気管の圧迫や循環不全によって肺に水が溜まってしまった結果、咳が出るケースが多いといわれています。心臓病の診断は、聴診によって心雑音の有無を確認でき、レントゲン、エコー、心電図による精密検査でも行なわれます。治療が遅れると死に至るケースもあるため、早めの発見が重要です。心臓病の治療にあたっては投薬治療や外科的な治療方法もありますので、獣医師と相談してください。
犬の肺炎はどんな病気ですか?
肺炎は、咳の原因として非常に多い疾患といえます。肺炎になった犬は、痰(たん)が絡んだような咳をします。重症化すると命を落とすこともあるので、注意が必要です。肺炎の症状は咳以外にも食欲不振や発熱などがみられます。治療には酸素室での点滴治療や抗生剤投与が必要となるため、動物病院での入院治療を行います。特に誤嚥(ごえん)しやすく感染に弱い老犬は、肺炎が重症化しやすくなります。愛犬が痰の絡んだ咳を続けている場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
犬の喘息・アレルギーはどんな病気ですか?
犬の喘息は、空気中のアレルゲンに反応したりストレスや運動不足などのさまざまな原因によって慢性的に気道内で炎症が起こります。症状は軽い咳から呼吸困難に至るまで、さまざまです。「ヒューヒュー」「ゼェーゼェー」という咳をして、呼吸困難から酸素不足で発作を起こす場合もあります。放置すると手遅れになる危険性の高い病気です。日ごろの投薬治療や、喘息が起こった時の応急処置法を把握する必要があります。

犬が咳をしている時の対処法

犬が咳をしている時の対処法

犬が咳をしている時には、何をしてあげればいいのでしょうか。正しい知識を知らないと、愛犬が咳き込んでいても何もできずオロオロしてしまうこともあるかと思います。まずやらなければいけない対処方法や、動物病院を受診するか判断をする目安などを説明します。

犬が咳をしていたら、どうすればいいですか?
まずは、犬の咳の状態をよく観察します。動物病院では、咳の状態を確認されます。いつから、どんな時に、咳以外の症状は? などをスムーズに伝えられるよう、メモにとり、できれば動画も撮影しておくようにしましょう。
また、経過を観察して、生理的な咳の疑いがあれば、その事由を取り除いてあげます。例えばリードを引いた時に咳が出てしまうのであれば、首輪を胴輪に変えてあげましょう。また、水を飲む時に咳が出た場合は、水飲みの器の高さを調節するなどして対策を行ってください。これらの対策で咳がおさまるようであれば、生理的な咳の可能性が考えられます。
動物病院を受診する目安はありますか?
生理的な咳への対策をしてもなお続く場合や、呼吸困難になっている時はすぐに動物病院へ連絡してください。異物が食道に引っかかっている場合も、すぐに動物病院で処置を受けるようにします。呼吸困難にならずとも毎日のように咳が出る場合には、動物病院の受診を検討してください。特に子犬の場合はケンネルコフが疑われますので、悪化する前に診断を受けるようにしましょう。
また、果物や犬用のガムを飲み込み、食道に引っかかってしまうケースも多くみられます。「グゥグゥ」と普段と違う喉のあたりから聞こえる咳や、多い唾液などの症状が現れた場合は要注意です。
長い時間咳が止まらない場合はどうすればいいですか?
呼吸困難時には夜間や休日であっても即動物病院にかかってください。また、咳が止まらない、繰り返し咳き込む、咳以外の症状を伴う場合も病気が疑われますので、すぐに受診するようにしましょう。

また、病院への移動時に気をつけたいのが、呼吸困難となっている犬の体勢です。抱っこではなく、ハードタイプのキャリーに入れて運ぶようにしてください。やむを得ず抱っこをする場合も自分の両腕で包みこむように持ち上げ、犬の体勢は変えずに、犬の胸を押さえずに抱きかかえます。気をつけなければいけないのは、絶対に仰向けに抱っこしてはいけないということです。愛犬が呼吸困難になって動揺してしまいがちですが、なるべく落ち着いて対処してください。

編集部まとめ

病的な咳なのか、生理的なものなのか、誤飲や誤食も含めて愛犬の咳を見分けるのはむずかしい部分もあります。生理現象としての咳の大半は問題ないものの、太ってくると喉が圧迫されて出る咳もありますので、苦しそうならダイエットも考えましょう。

また、人と比べて犬は咳が出ること自体が少ないため、もし咳が気になったらすぐに動物病院を受診してください。大事なのは普段から愛犬の様子をよく観察することで、普段の状態の観察をしていると、病院受診の際にも的確に状態を伝えられて治療に役立ちます。ぜひ参考にしていただければと思います。

参考文献