犬の耳が臭い原因は?治療法や受診の目安も併せて解説!

犬の耳が臭い原因は?治療法や受診の目安も併せて解説!

犬の耳から嫌な臭いがすると、「何かの病気では?」と心配になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。耳の臭いは、日常のケア不足や体質だけでなく、外耳炎などの病気が原因で起こっている可能性もあります。

本記事では、犬の耳の臭いについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 犬の耳が臭う原因やなりやすい犬種
  • 耳の臭いに対する治療法や予防法
  • 動物病院を受診する目安や注意すべき症状

犬の耳の異常やケア方法について理解するために参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

犬の耳の臭いについて

犬の耳垢は臭いですか?
犬の耳垢にはある程度のにおいがあることもありますが、通常であれば強く不快なにおいはしません。健康な耳垢は、少量で薄い茶色や黄色っぽい色をしており、少し湿っている程度なら問題はありません。

ただし、酸っぱいにおいや腐ったようなにおい、カビ臭などがする場合は注意が必要です。そうした場合には、耳の中で細菌などが繁殖し、炎症を起こしている可能性があります。

さらに、耳垢の色が黒ずんでいたり、ドロッとした膿のようなものが出てきたり、耳の中が赤く腫れているような状態であれば、外耳炎などの病気の兆候の可能性があります。

犬がしきりに頭を振ったり、後ろ足で耳をかくしぐさを頻繁に見せる場合も、違和感を感じているサインです。においの有無とともに行動の変化にも注意し、異常を感じたら早めに獣医師に相談しましょう。
犬の耳が臭い原因は何ですか?
犬の耳が臭くなる主な原因は外耳炎であり、その多くは耳の中で細菌などが繁殖して炎症を起こすことによって発生します。

特に梅雨や夏場のように湿度が高くなる季節には、耳の中が蒸れて細菌が繁殖しやすくなり、においの強さも増す傾向にあります。耳掃除を怠って耳垢がたまりすぎることも原因の一つです。逆に頻繁すぎる耳掃除や誤った方法での耳掃除は、耳の中を傷つけてしまい、炎症を引き起こすケースもあります。

また、耳ダニの寄生による刺激や、トリミングやシャンプー時に耳に水が入ったまま放置された場合にも、異常な臭いが発生することがあります。

さらに、アレルギーやホルモンの乱れが耳の皮膚環境に影響を与えることもあり、根本的な体質に原因がある場合もあります。慢性化すると治療が長引きやすくなるため、においや状態の変化に早めに気付くことが大切です。
耳が臭くなりやすい犬種を教えてください
犬種によって耳の構造や皮膚の性質が異なり、それにより耳が臭くなりやすい傾向が見られます。

特に、アメリカン・コッカー・スパニエルやゴールデン・レトリバー、ビーグルなどの垂れ耳の犬種は、耳の中が蒸れやすく通気性が悪いため、細菌などが繁殖しやすい環境です。
また、トイ・プードルやマルチーズ、シーズーなどのように耳の中に毛が密集している犬種も、耳垢や湿気がこもりやすく、においの原因となる菌の繁殖を招きやすくなります。

さらに、皮脂分泌が活発な犬やアレルギー体質の犬も耳のトラブルを起こしやすい傾向があります。
こうした犬種は、耳の構造や体質によって慢性的に外耳炎になりやすく、悪化すると強い臭いや耳だれ、炎症などを引き起こします。

犬の耳が臭いときの治療法と予防法

犬の耳が臭いときの治療法を教えてください
犬の耳が臭うときの治療は、まず動物病院での診察から始まります。

原因が外耳炎であれば、耳の洗浄処置が必要となることもあり、場合によっては炎症を抑えるための点耳薬や内服薬などが処方されることもあります。

耳ダニが原因の場合には、駆虫薬を用いた治療が行われます。細菌などの感染、異物混入による炎症など、原因によって対処法は異なるため、自己判断せずに獣医師の指示に従いましょう。
治療中は耳をかきむしらないように、場合によってはエリザベスカラーを装着したり、点耳薬を与したりと、家庭でのケアも欠かせません。

また、症状が一時的に落ち着いても根本的な治療が完了していない場合は再発の可能性があるため、定期的な通院で耳の状態を確認することが再発防止につながります。
犬の耳が臭くならないように予防できますか?
犬の耳の臭いを予防するためには、耳の中を清潔に保ち、菌の繁殖を防ぐことが重要です。月に1〜2回程度の耳掃除を習慣にすることで、耳垢や湿気の蓄積を防ぎ、においの発生を抑えます。

ただし綿棒などを使って奥まで掃除しようとすると、逆に耳垢を押し込んでしまったり、耳を傷つける恐れがあるため、市販のイヤークリーナーとコットンなどを使って優しく外側を拭き取る程度にとどめましょう。耳の中に毛が多い犬種の場合は、通気性をよくするためにトリミングの際に耳毛の処理も検討するとよいでしょう。

さらに、シャンプーや水遊びの後は耳に水分が残らないようタオルや綿球で軽く拭き取り、湿気のない状態を保つことも大切です。耳のにおいやかゆみなど、些細な変化に日頃から気を配ることで、耳のトラブルを未然に防ぐことができるとされています。

体質的に外耳炎を起こしやすい犬の場合には、定期的な耳のチェックと予防的な通院も重要です。
犬に点耳薬を入れる方法を教えてください
犬に点耳薬を入れる際には、まず落ち着いた環境を整えることが大切です。
犬が投薬中に動いてしまうと、薬液が正しく届かず効果が十分に得られないことがあります。
小型犬であれば膝の上にのせ、大型犬であれば後ろから抱きかかえるようにして安定した姿勢を保ちましょう。

次に、片手で耳を優しく持ち上げて耳の中が見えるようにし、もう一方の手で点耳薬を耳道の中に適量入れます。薬液が入ったら、耳の根元を軽く揉むようにして、薬を耳の奥までなじませます。このとき犬が頭を強く振らないよう、すぐに離さずしばらく落ち着かせておくとよいでしょう。投薬後に耳の周囲に薬液が垂れてきた場合は、ティッシュやガーゼで優しく拭き取って清潔を保ちましょう。

また、投薬の際には指示された用量や頻度を守ることがとても重要です。自己判断で中止したり、回数を減らしたりすると、症状が悪化したり再発する恐れがあります。

犬にとっても飼い主にとっても負担を減らすために、投薬に慣れるよう日頃から触れ合いを大切にすることもポイントです。

犬の耳のトラブルについて

動物病院を受診した方がよい犬の耳の症状を教えてください
以下のような症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診することが推奨されます。

●強いにおいがする:耳から酸っぱいにおいや腐敗臭のような強烈なにおいがする場合は、外耳炎や中耳炎の可能性があります

●耳だれや分泌物が多い:耳の中に膿のような液体や黒い耳垢が溜まっていると、細菌などの感染、あるいは耳ダニの寄生が疑われます

●耳をしきりにかく、頭を振る:耳に違和感やかゆみ、痛みがあると、犬は後ろ足で耳をかいたり、頭を激しく振ったりする行動を繰り返します

●耳を触られるのを嫌がる:耳に炎症が起きていると痛みが生じるため、触られた際に嫌がる・鳴く・逃げるなどの反応が見られます

●平衡感覚の異常がある:ふらつきや頭を傾けたまま戻らないなどの症状は、内耳に異常がある可能性があり、すぐに診察が必要です

これらの症状が複数見られる場合は、単なる耳垢ではなく病気が進行している可能性があるため、悪化や慢性化を防ぐためにも早期治療が重要です。
犬の外耳炎治療薬に副作用はありますか?
外耳炎の治療に使われる点耳薬には、抗生物質やステロイド剤などが含まれていることが多い傾向にあり、それぞれに副作用のリスクがあります。

例えば、抗生物質は細菌の繁殖を抑える効果が期待できる一方で、長期間使用すると耐性菌の出現や耳の中の常在菌のバランスが崩れる可能性があります。

また、ステロイド剤を含む薬は炎症を抑えてくれる反面、皮膚が薄くなる、免疫反応が鈍くなるなどの副作用があります。

そのため、処方された薬は獣医師の指示どおりに使い、異変を感じたらすぐに相談することが大切です。自己判断で中止したり別の薬を使ったりすることは、かえって症状を悪化させる原因になるため注意が必要です。

編集部まとめ

ここまで犬の耳のにおいに関する原因や対処法についてお伝えしてきました。記事の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 犬の耳が臭う原因には外耳炎や耳ダニ、体質などがあり、垂れ耳や耳毛の多い犬種は特に注意が必要である
  • 治療には洗浄や点耳薬が用いられ、予防には定期的な耳掃除や通気性の確保が大切
  • 強いにおいや耳だれ、頭を振るなどの異常が見られた場合は、早めに動物病院での診察を受けるべき

犬の耳のトラブルは悪化すると長引くこともありますが、早めに気付き適切な対応を取ることで、早期の改善につながります。
日頃の観察とケアを大切にし、少しでも異変を感じたときは、無理に様子を見ずに獣医師に相談してみてください。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献