犬に多くみられる悪性腫瘍であるリンパ腫の種類や症状について徹底解説!

犬 悪性リンパ腫

犬の悪性リンパ腫をご存じですか?本記事では、犬の悪性リンパ腫について以下の点を中心にご紹介します!

  • 犬の悪性リンパ腫の種類
  • 犬の悪性リンパ腫の症状
  • 犬の悪性リンパ腫の検査と治療

犬の悪性リンパ腫について理解するためにもご参考いただけると幸いです。ぜひ最後までお読みください。

犬の悪性リンパ腫とは?

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犬の悪性リンパ腫とは、白血球の一種であるリンパ球ががん化する病気です。リンパ球は、免疫系の働きを担っており、体中に分布しています。そのため、悪性リンパ腫は、リンパ節だけでなく、臓器や皮膚など、さまざまな部位に発生する可能性があります。悪性リンパ腫は、犬のがんの中でも最も多い種類の1つで、犬の死因の約10%を占めています。悪性リンパ腫の原因は、遺伝的な要因や環境的な要因などが考えられますが、はっきりとは分かっていません。悪性リンパ腫にかかりやすい犬種としては、ボクサーやゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバーなどが挙げられます。

犬の悪性リンパ腫の種類

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犬の悪性リンパ腫には様々な種類があることをご存知ですか?以下に詳しく解説します。

多中心型

最も一般的な悪性リンパ腫の種類で、全身のリンパ節が腫れます。リンパ節の腫れは、首や脇の下、足の付け根などに触れられます。多中心型の悪性リンパ腫は、化学療法によく反応することが多いです。

消化器型

消化器系の臓器に発生する悪性リンパ腫の種類で、胃や腸、肝臓、膵臓などが侵されます。消化器型の悪性リンパ腫の症状は、嘔吐や下痢、便秘、血便、食欲不振、体重減少などです。消化器型の悪性リンパ腫は、化学療法にあまり反応しないことが多いです。

胸腺型

胸腺に発生する悪性リンパ腫の種類で、胸腺は胸の中にあるリンパ組織の1つです。胸腺型の悪性リンパ腫の症状は、呼吸困難や咳、鼻血、喘鳴などです。胸腺型の悪性リンパ腫は、化学療法によく反応することが多いです。

皮膚型

皮膚に発生する悪性リンパ腫の種類で、皮膚の表面や深部にできるしこりや発疹が特徴です。皮膚型の悪性リンパ腫の症状は、かゆみや痛み、毛の抜けや色の変化などです。皮膚型の悪性リンパ腫は、化学療法や放射線療法によく反応することが多いです。

節外型

リンパ節以外の部位に発生する悪性リンパ腫の種類で、目や鼻、口腔、骨、脳、腎臓などが侵されます。節外型の悪性リンパ腫の症状は、部位によって異なりますが、目の充血や白濁、鼻水や鼻血、口臭や歯肉の腫れ、骨折や歩行困難、けいれんや意識障害、飲水量の増加や多尿などがあります。節外型の悪性リンパ腫は、化学療法にあまり反応しないことが多いです。

犬の悪性リンパ腫のステージ

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犬の悪性リンパ腫のステージについては以下の通りです。

ステージ1

1つのリンパ節にのみがん細胞が存在する状態です。このステージでは、症状はほとんど見られませんが、触診でリンパ節の腫れを感じられます。このステージでは、化学療法によって高い治癒率が期待できます。

ステージ2

同じ体の側にある複数のリンパ節にがん細胞が存在する状態です。このステージでは、リンパ節の腫れが目立つようになりますが、全身症状はまだ出ません。このステージでは、化学療法によって中程度の治癒率が期待できます。

ステージ3

体の両側にある複数のリンパ節にがん細胞が存在する状態です。このステージでは、リンパ節の腫れが全身に広がりますが、他の臓器にはまだ広がりません。このステージでは、化学療法によって低い治癒率が期待できます。

ステージ4

リンパ節以外の臓器にもがん細胞が存在する状態です。このステージでは、消化器系や呼吸器系などの臓器にがんが広がり、食欲不振や体重減少、嘔吐や下痢、呼吸困難や咳などの全身症状が出ます。このステージでは、化学療法によってほとんど治癒率が期待できません。

ステージ5

骨髄にもがん細胞が存在する状態です。このステージでは、骨髄の機能が低下し、貧血や出血傾向、感染症などの重篤な症状が出ます。このステージでは、化学療法によって治癒率はほぼゼロです。

犬の悪性リンパ腫の症状

犬の悪性リンパ腫の症状について、進行度別に解説します。

初期症状

多中心型リンパ腫の場合、悪性リンパ腫の初期症状は、リンパ節の腫れです。リンパ節は、首や脇の下、足の付け根などにあります。リンパ節が硬く腫れると、触診で分かります。この時点では、犬は元気で食欲もあります。多中心型リンパ腫の場合は、特徴的な症状が起こらない場合もあります。消化器型の場合は、通常の治療に対する反応が乏しい慢性的な嘔吐下痢、皮膚型リンパ腫の場合は、膿皮症に似た症状が起こりますが、抗生剤などに対する反応が低いことが特徴的です。通常治療に反応しない症状がある場合は、詳しい検査に進んだ方が良いでしょう。しかし、リンパ節の腫れは、がん細胞が増殖していることを示しています。早期に発見し、治療を開始することが重要です。

進行中にみられる症状

悪性リンパ腫が進行すると、リンパ節の腫れが全身に広がります。また、他の臓器にもがん細胞が広がります。この時点で、犬は全身症状を示し始めます。食欲不振や体重減少、嘔吐や下痢、呼吸困難や咳、飲水量の増加や多尿などが見られます。これらの症状は、がんが侵した臓器によって異なります。犬の体調は急激に悪化します。

末期症状

悪性リンパ腫が末期になると、骨髄にもがん細胞が広がります。骨髄は、赤血球や白血球などの血液細胞を作る場所です。骨髄が侵されると、血液細胞の数が減ります。この時点では、犬は重篤な症状を示します。貧血や出血傾向、感染症などが見られます。犬の生命は危機にさらされます。

犬の悪性リンパ腫の検査と治療

犬の悪性リンパ腫はどのように検査をして治療するのでしょうか。詳しく解説します。

検査方法

悪性リンパ腫の検査方法には、以下のようなものがあります。

  • 細胞診:リンパ節や臓器から細胞を採取し、顕微鏡で観察する方法です。がん細胞の形や数を確認できます。細胞診は、簡便で安価な方法ですが、正確さに欠ける場合があります。
  • 生検:リンパ節や臓器から組織を採取し、顕微鏡で観察する方法です。がん細胞の種類や分化度を確認できます。生検は、高精度な方法ですが、費用やリスクがかかる場合があります。
  • 血液検査:血液を採取し、血液細胞の数や機能を調べる方法です。貧血や白血球の増減、肝臓や腎臓の機能などを確認できます。血液検査は、全身状態や合併症の有無を把握するのに役立ちます。
  • 画像診断:X線や超音波、CTやMRIなどの機器を使って、内部の状態を撮影する方法です。がんの大きさや位置、広がりや転移などを確認できます。画像診断は、がんの進行度や治療の影響の判定に役立ちます。

治療方法

悪性リンパ腫の治療方法には、以下のようなものがあります。

  • 化学療法:抗がん剤と呼ばれる薬を使って、がん細胞を殺す方法です。化学療法は、悪性リンパ腫の主要な治療法で、よく用いられる方法です。しかし、化学療法には、副作用や費用、再発の可能性などの問題もあります。
  • 放射線療法:放射線と呼ばれる高エネルギーの光線を使って、がん細胞を殺す方法です。放射線療法は、化学療法と併用することで、改善が見込めます。しかし、放射線療法には、副作用や費用、治療対象の限定などの問題もあります。
  • 免疫療法:免疫系を活性化させて、がん細胞と戦わせる方法です。免疫療法は、化学療法や放射線療法と併用することで、改善が見込めます。しかし、免疫療法には、副作用や費用、影響力の個体差などの問題もあります。

犬の悪性リンパ腫は早期発見が重要

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悪性リンパ腫は、早期に発見し、治療を開始することで、治癒率や生存期間が大きく向上することが知られています。逆に、発見が遅れると、がんが進行し、治療の影響力が低下することがあります。また、発見が遅れると、犬は全身症状を示し、苦痛や不快感を感じることがあります。早期発見は、犬の健康と幸せのためにも重要です。

日頃からこまめなボディチェックをかかさない

悪性リンパ腫の早期発見のためには、日頃から犬のボディチェックをすることが必要です。ボディチェックでは、犬の全身を触って、リンパ節や皮膚のしこりや発疹、臓器の腫れや硬さなどを確認します。また、犬の食欲や体重、嘔吐や下痢、呼吸困難や咳、飲水量や多尿などの変化にも注意します。ボディチェックは、犬とのスキンシップの機会にもなります。ボディチェックで異常を発見した場合や、犬の様子がおかしいと感じた場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。獣医師とよく話し合って、犬の病状に合った治療法を選択しましょう。

定期的に健康診断を受ける

悪性リンパ腫の予防のためには、年に1度以上の健康診断を受けることが望ましいです。特に、悪性リンパ腫にかかりやすい犬種や高齢の犬は、半年に1度の健康診断を受けることがおすすめです。健康診断を受ける際には、犬の病歴や生活環境、食事や運動などについて獣医師に伝えましょう。また、犬の様子や変化に気づいたことがあれば、獣医師に相談しましょう。

まとめ

ここまで犬の悪性リンパ腫についてお伝えしてきました。犬の悪性リンパ腫の要点をまとめると以下の通りです。

  • 犬の悪性リンパ腫には多中心型、消化器型、胸腺、皮膚型、節外型など様々な種類があり、種類によって症状や治療法が異なる。
  • 犬の悪性リンパ腫は、初期はリンパ節の腫れが見られ、進行すると食欲不振や体重減少、嘔吐や下痢、呼吸困難や咳、飲水量の増加や多尿などが見られる。
  • 犬の悪性リンパ腫の検査では細胞診、生検、血液検査、画像診断などが用いられ、治療は化学療法や放射線療法、免疫療法が行われることが多い。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献