犬の皮膚の黒い粒は病気??原因や受診のサイン、治療法などを詳しくを解説

犬の皮膚の黒い粒は病気??原因や受診のサイン、治療法などを詳しくを解説

飼い主さんが愛犬の皮膚に小さな黒い粒を見つけたら、「これって何だろう?」と不安になるのではないでしょうか。黒い粒が病気のサインなのか、それとも汚れなのか悩んでしまいますよね。本記事では、犬の皮膚に黒い粒を見つけたときに考えられる原因や対処法、動物病院での診察内容、治療法や日常ケアのポイントについて解説します。

犬の皮膚の黒い粒は病気?

犬の皮膚に黒い粒を見つけたら、どのように対処すればよいですか?
まずは愛犬の皮膚や毛を優しく観察してみましょう。黒い粒がポロポロ取れる場合は、土埃やフケなど汚れの可能性もあります。一度、指先やブラシで軽く払ったり、濡らしたティッシュで拭いてみて、取れるかどうか確認してください。もし黒い粒が簡単に取れず皮膚に付着しているようなら、無理に掻き取ったりせずに様子を見ます。
黒い粒を洗ったり取ったりしても大丈夫ですか?
黒い粒の正体によって対処法は異なります。単なる汚れであれば、優しくシャンプーして落としてあげることで皮膚を清潔にできます。ただし、正体がわからない段階でゴシゴシ洗ったり指で無理に取り除こうとするのは注意が必要です。例えば、皮膚に食いついているマダニだった場合、無理に引っ張ると一部が皮膚に残って炎症の原因になります。汚れがなかなか落ちない場合は獣医師に相談しながら安全にケアしましょう。
犬の皮膚に黒い粒がある場合に考えられる病気を教えてください。
黒い粒の正体として、次のような原因が考えられます。

・ノミ、マダニ寄生
・皮膚の汚れ・角栓
・皮膚の感染症
・色素沈着
・腫瘍
色素沈着やアレルギーで皮膚が黒く見えることがありますか?
はい、あります。犬の皮膚も人間と同じようにメラニン色素を持っており、日光に当たると日焼けして黒ずむことがあります。また、アレルギー性皮膚炎などで慢性的に皮膚に炎症が起きると、防御反応でメラニン色素が沈着しやすくなり、患部が黒ずんで見えることがあります。
犬の皮膚に黒い粒がある場合の受診の目安を教えてください。
次のような場合は動物病院での受診を検討しましょう。まず、黒い粒がノミやマダニかもしれない場合はできるだけ早めに受診してください。特に、マダニは重大な病気を媒介する恐れがあるため、見つけたら早急に獣医師に処置してもらうことをおすすめします。次に、黒い粒に犬自身が痒がったり痛がったりしている場合も受診のサインです。かゆみを伴う皮膚トラブルは早めの治療で悪化を防げます。さらに、黒い粒がほくろやイボのように皮膚に張り付いている場合も要注意です。良性・悪性の判断を含め専門医に診てもらいましょう。黒い粒=必ず病気ではないですが、飼い主さんだけで判断するのは難しいため、不安なときは早めに獣医師の診断を仰ぐことが大切です。

動物病院での診断方法と検査の流れ

黒い粒がなかなか取れない場合は動物病院を受診することになります。そこではどのように診断し、検査を行うのでしょうか。本章では黒い粒の診断と検査の流れを解説します。

動物病院ではどのような診察や検査が行われますか?
まず獣医師が問診と視診を行います。いつ頃から黒い粒に気付いたか、痒みや痛みの有無、ノミ・ダニ予防薬を投与しているか、生活環境などを詳しく聞かれるでしょう。その後、実際に皮膚や被毛の状態をチェックします。黒い粒が皮膚に付着していればルーペで拡大観察し、マダニなどの寄生虫でないか確認します。寄生虫以外の皮膚病が疑われる場合は、必要に応じて以下のような検査が行われます。

【皮膚の掻爬検査(スクレーピング)】
皮膚を軽くこすり取り、顕微鏡でダニの有無を調べます。

【被毛や分泌物の検査】
抜け毛や皮膚の表面をテープで採取して、細菌や真菌、マラセチアなどの有無を調べます。

【細胞診・生検】
黒い粒が腫瘤である場合、細胞診といって細い針を刺して内部の細胞を採取し、腫瘍細胞の有無を調べることがあります。

【血液検査・アレルギー検査】
皮膚の黒ずみから内分泌疾患(ホルモン異常)やアレルギーが疑われる場合、ホルモン値を調べる血液検査や、アレルゲンを調べる検査などが行われます。

このように、獣医師は視診・触診と必要な検査を組み合わせて総合的に原因を突き止めていきます。
検査には痛みがありますか?
多くの検査は大きな痛みを伴いませんのでご安心ください。ノミやマダニのチェック、視診・触診といった基本的な診察は痛みはありません。皮膚の掻爬検査では皮膚の表面を器具で軽くこする程度で、多少くすぐったかったり一瞬チクッとする場合もありますが、深い傷をつけることはなく通常は大人しく受けてくれる犬がほとんどです。細胞診のため針を刺す処置も、ワクチン注射や採血と同程度で一瞬チクっとする程度です。皮膚の一部を切り取る生検が必要な場合でも、局所麻酔や鎮静処置を行ってから実施しますので、犬に大きな痛みや負担がかからないよう配慮されています。
検査結果はその場でわかりますか?
検査の種類によります。ノミ・マダニであればその場ですぐに寄生の有無が確認できますし、皮膚を顕微鏡で調べる検査も、来院中に結果をお伝えできる場合がほとんどです。ただし、培養検査や病理検査など外部の検査機関に依頼する必要があるものは結果が出るまでに数日~1週間程度かかります。検査内容によって即日わかることとお時間をいただくことがありますので、詳しくは担当の獣医師に確認されるとよいでしょう。

犬の皮膚の黒い粒の治療法と予防

黒い粒がノミやダニだった場合、どのように駆除しますか?
ノミやダニであった場合、適切な駆除と予防が必要です。ノミの場合、まずは寄生している成虫のノミを駆除します。動物病院で処方されるノミ駆除薬は、短時間で犬の身体にいるノミを駆除でき効果が持続します。市販のノミ取りシャンプーで洗う、ノミ取りコームで丹念にブラッシングしてノミやその糞を取り除くといったケアも有効ですが、卵や幼虫まで一度に退治するのは難しいため、動物病院で入手できる駆除薬の使用がおすすめです。

ダニ(マダニ)の場合、犬に食いついたマダニはできれば動物病院で除去してもらうのが安心です。マダニは口を皮膚に差し込みセメントのような物質でしっかり固定しています。無理に引き剥がそうとすると、マダニの頭部(口器)だけが皮膚内にちぎれて残り、そこで炎症や化膿を起こしてしまうことがあります。また、一匹マダニが付いていたらほかにも寄生している可能性が高いので、動物病院でマダニ駆除薬を処方してもらい、身体に残っているかもしれないダニを駆除すると安心です。
皮膚病や腫瘍などの病気が見つかった場合の治療法を教えてください
原因となる病気によって治療法はさまざまです。細菌による皮膚炎の場合は抗菌薬の内服や抗菌剤配合のシャンプーで治療します。

アレルギー性皮膚炎が背景にある場合は、原因アレルゲンの除去や、抗アレルギー薬・ステロイド薬の投与、スキンケアによる症状緩和を図ります。

腫瘍が見つかった場合は、良性・悪性に関わらず基本的には外科的に切除するのが一般的です。良性の小さなできものでは経過観察になることもありますが、悪性が疑われる場合は早期に手術で取り除きます。

治療方針は愛犬の状態や年齢を考慮し、飼い主さんと相談しながら決めていきますので、不明点や不安な点は遠慮せず獣医師に質問してください。
黒い粒を放置すると悪化することもありますか?
放置すると症状が悪化する可能性があります。例えば、皮膚の感染症であれば適切に治療しないとどんどん広範囲に症状が広がり、被毛が抜け落ちたり悪臭を放つほどになってしまうかもしれません。「おかしいな」と思った時点で早めに対処することが愛犬の負担を減らし、結果的に治療期間の短縮にもつながります。些細なことでも放置せず、まずは獣医師に相談してみましょう。
日常生活でできる皮膚チェックの方法や注意すべき点を教えてください。
日頃からのスキンシップのなかで、ぜひ皮膚の状態をチェックする習慣をつけましょう。撫でたりブラッシングをする際に、被毛をかき分けて地肌まで観察します。また、日常的にブラッシングやシャンプーをして身体を清潔に保つことは、皮膚病の予防になるだけでなく皮膚トラブルの早期発見にもつながります。毎日でなくても定期的にチェックすることで、ちょっとした異変にも気付きやすくなります。

編集部まとめ

愛犬の皮膚に黒い粒を見つけたときは驚くかもしれませんが、慌てずに観察し原因を見極めることが大切です。黒い粒の正体はノミの糞やマダニなどの寄生虫から、皮脂汚れ、皮膚病の痂皮、色素沈着、さらには腫瘍までさまざまです。自己判断が難しい場合は早めに動物病院で診察を受け、適切な検査・治療を行いましょう。早期発見・早期治療によって愛犬の負担を最小限に抑えることができます。日頃からスキンシップを通じて皮膚の状態をチェックし、気になる変化があればすぐに対処するよう心がけましょう。

参考文献