犬の尿路結石とは?原因から治療法まで解説します!

犬 尿路結石

犬の尿路結石は、尿路内に結石ができる疾患で、痛みや尿路閉塞を引き起こす可能性があり、犬の健康に深刻な影響を与えることがあります。
原因はさまざまですが、食事、遺伝、水分摂取不足などが挙げられます。
治療法は石の種類や大きさによって異なりますが、適切な食事管理や薬物療法、外科手術が一般的です。
本記事では、犬の尿路結石について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 犬の尿路結石とは
  • 犬の尿路結石の原因
  • 犬の尿路結石の治療法

犬の尿路結石について理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

犬の尿路結石とは

犬の尿路結石は、腎臓や尿管、膀胱、尿道など尿の流れる経路に結石が形成される病気で、痛みや排尿障害を引き起こします。犬の結石には、ストルバイトやシュウ酸カルシウム、尿酸アンモニウムなど複数の種類があり、それぞれに異なる原因が存在します。
尿路結石は一度発症すると再発しやすく、長期的な食事管理が必要になります。また、病気の根本的な原因を理解し改善しないと、犬の寿命に影響を及ぼすこともあるため、獣医師と相談しながら適切な治療方針を立てることが大切です。

犬の尿路結石の原因

犬の尿路結石は、体内のミネラル成分が過剰に排泄されることで起こり、食事や排泄環境、体質が大きく関与します。以下でさらに詳しく解説します。

細菌感染

犬の尿路結石の一因として細菌感染があります。膀胱内で細菌が尿素をアンモニアに変換し、結果としてpH値がアルカリ性に傾くことでストルバイト結石の形成を促します。特に雌犬は外陰部が肛門のすぐ下に開口されており、細菌が侵入しやすいため膀胱炎に陥りやすく、尿石症を引き起こすリスクが高まります。したがって、犬の尿路健康を保つためには、定期的な健康チェックと適切な衛生管理が不可欠です。

食事の影響

犬の尿路結石の形成には食事が大きく影響します。
ミネラル分の高い水や食品、タンパク質が豊富な食事は、尿石の形成につながります。加えて、鰹節などのおやつの過剰摂取も尿石形成のリスクを高める要因となり得ます。

しかし、全ての犬が同じ食生活で尿石症になるわけではなく、体質による個体差が影響しています。これは、一部の犬が食事から摂取されるミネラルを体内で処理する能力に差があることを意味し、尿石症のリスクを左右します。
したがって、適切な食事管理と個々の犬の体質を考慮することが、尿石症を予防するために大切です。

トイレの回数が少ない

トイレの回数が少ないと、犬の尿路結石形成のリスクが高まります。尿が膀胱内に長時間留まると、尿中のミネラル濃度が上昇し、結石が形成されやすくなるためです。
さらに、冬場になると、犬の飲水量が減少することで、尿量の低下を引き起こし、尿中のミネラルが濃縮され、尿石形成の危険性が増大します。
適切な水分摂取と定期的な排尿は、尿路結石の予防に不可欠です。

好発犬種

尿路結石は、犬種によって発生しやすい結石の種類が異なっています。
以下は、それぞれの結石に対して好発する犬種の例ですが、必ずしも発症するわけではありません。

ストルバイト結石に好発する犬種

  • ミニチュア・シュナイザー
  • シー・ズー
  • ビション・フリーゼ
  • ミニチュア・プードル
  • コッカー・スパニエル
  • ラサ・アプソ

シュウ酸カルシウム結石に好発する犬種

  • ミニチュア・シュナイザー
  • シー・ズー
  • ビション・フリーゼ
  • ミニチュア・プードル
  • ヨークシャー・テリア
  • ラサ・アプソ

尿酸塩結石に好発する犬種

  • ダルメシアン
  • ヨークシャー・テリア

シスチン結石に好発する犬種

  • チワワ
  • ダックスフント

これらの犬種は、尿路結石の形成に注意が必要です。定期的な健康チェックと適切な食事、水分摂取を心がけることが、予防に繋がります。

犬の尿路結石の症状

犬の尿路結石症は、膀胱や尿道の粘膜を傷つけられることで炎症を起こし、頻尿や血尿などの症状が現れます。症状は初期から重度に至るまで幅広く、早期発見と治療が重要です。

初期症状には以下のような兆候があります。

頻尿や少量排尿:尿石による刺激で、犬が何度もトイレに行く行動が見られます。

排尿の不快感: 痛みや不快感により、普段と違う場所での排尿や排尿の際にしぶる様子があります。

血尿:尿に血が混じることがありますが、これは肉眼では確認が難しいこともあります。

下腹部が敏感になる:膀胱周辺が痛み、触れられることを嫌がる場合があります。

また、症状が悪化した場合、より深刻な兆候が現れます。

尿道閉塞:特に雄犬で見られる症状で、尿道が結石で詰まり、尿が出なくなる危険な状態です。

急性腎不全: 尿が排出されず、毒素が体内に蓄積し、腎臓に重大なダメージを与える可能性があります。

だるそうな様子や吐き気:尿閉や腎不全の進行により、体調が悪化し、活力がなくなります。

犬が排尿するときの異変、尿が出にくい、または全く出ない状態、吐き気や全身の元気がない状態などは、尿路結石が悪化している可能性が高いため、速やかに獣医師の診察を受ける必要があります。尿路結石症は、腎臓や膀胱、尿道の健康に深刻な影響を及ぼすため、初期症状を見逃さず、定期的に健康チェックをしましょう。

犬の尿路結石の検査方法

犬の尿路結石の診断には、尿検査、血液検査、X線検査・エコー検査など複数の方法が用いられます。ここからは検査方法について詳しく見ていきましょう。

尿検査

尿検査は犬の尿路結石診断において重要です。
まず、尿のサンプルを採取します。これは、犬が自然に排尿することを待つか、獣医師が直接膀胱から尿を採取することによって行われます。採取した尿サンプルは、化学的分析(尿の比重、pH、血尿など)のために使用されます。

次に、尿のサンプルは顕微鏡下でさらに分析されます。この段階では、細菌、血液、結晶、およびほかの異物を検出します。結晶や結石の微細な粒子は、その形状や組成に基づいて特定され、結石の種類を推定するのに役立ちます。

さらに、尿中の細菌の有無を確認することで、尿路感染症が結石の形成に寄与しているかどうかを確認します。必要に応じて、獣医師は抗生物質の感受性診断を行うこともあります。
したがって、尿検査は、適切な治療法を計画するためには不可欠です。

X線検査・エコー検査

犬に尿路結石の症状が現れた際、X線検査とエコー検査の両方が推奨されます。これらの検査は、結石の有無、種類、および位置を特定するために不可欠です。

まず、X線検査から始めます。この検査は、犬の腹部を通してX線を照射し、内部構造の画像を取得します。カルシウムを多く含む結石はこの検査で識別できますが、小さい結石やX線で映りにくい成分の結石は見逃されることがあります。また、腹部の骨構造と結石が重なると、骨盤内の結石の検出が難しくなります。

次に、エコー検査(超音波検査)が行われます。この検査では、超音波を体内に送信し、内部の構造から反射してくるエコーを画像化します。エコー検査は、X線検査では見つけにくい結石や、小さい結石、さまざまな成分の結石も検出できます。腎臓や膀胱内の結石の検出に適しており、結石のサイズや位置を正確に把握できます。

これらの検査により、獣医師は結石の有無だけでなく、その種類や位置を特定し、治療計画を立てるための重要な情報を得られます。例えば、結石が小さく自然排出の可能性がある場合、経過観察を選択するかもしれません。しかし、結石が大きく尿路を塞いでいる場合は、外科手術が必要になることもあります。

犬の健康と快適な生活を守るために、尿路結石の疑いがある場合は迅速にこれらの検査を受けることが推奨されます。

血液検査

血液検査は、犬が尿管閉塞や尿路閉塞を起こしている際に腎機能の状態を確認し、慢性腎臓病や急性腎不全のリスクを確認するために重要です。この検査により、腎臓にダメージがあるかどうか、またその程度を確認できます。

検査では主に、クレアチニン、尿素窒素(BUN)、そして電解質レベル(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)が確認されます。クレアチニンとBUNは、腎臓が体内の代謝産物をどの程度排出しているかを示す指標です。これらの数値が高い場合、腎臓が十分に機能していない可能性があります。

電解質のバランスも重要で、腎臓疾患や尿路結石が電解質の異常を引き起こすことがあります。これらの異常は、犬の全体的な健康状態に影響を及ぼす可能性があります。

血液検査の結果は、獣医師が尿路結石の影響を受けている犬の腎機能の状態を正確に診断するのに役立ちます。検査結果が示す数値をもとに、獣医師は犬に適切な治療法を提案し、腎機能をサポートするための措置を講じます。

このように、血液検査は犬の尿路結石とそれに伴う腎機能障害を早期に発見し、適切な治療計画を立てるために重要です。

犬の尿路結石の治療法

犬の尿路結石の治療は、結石の種類や症状の重さによって異なります。ここでは、代表的な結石の治療法としてストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石、そのほかの結石の治療について解説します。

ストルバイト結石の治療

食事療法で、ストルバイト結石を溶解させます。この療法では尿のp Hを弱酸性に保ち、マグネシウム、リン、カルシウムなどのミネラル成分を調整する療法食を使用します。結石の溶解と予防のためには、獣医師の指導のもとで療法食を継続することが重要です。

シュウ酸カルシウム結石の治療

シュウ酸カルシウム結石は食事療法では溶解できません。このため、小さな結石は自然排出を待ち、大きな結石や尿路閉塞を起こしている場合は外科手術が必要となります。手術後は、再発防止のためにミネラルとpHを調節する療法食による管理が推奨されます。

そのほかの結石の治療

シスチンや尿酸結石などの珍しい結石は、特定の犬種で遺伝的要因により発生しやすいことがあります。これらの結石は食事療法や薬物療法で溶解が難しいため、多くの場合、外科的な摘出が必要です。

内科療法と外科療法

内科療法は、結石を溶解できる場合や予防目的で行われ、主に食事療法が中心となります。一方、外科療法は尿路閉塞がある場合や溶解不可能な結石に対して適用され、手術により結石を除去します。

治療法を選択する際は、石の種類の確定が重要であり、獣医師と相談したうえで適切な治療計画を立てることが大切です。結石による症状が改善しても、再発予防のための食事管理や定期的な健康チェックが推奨されます。

犬の尿路結石の予防法

犬の尿路結石予防には、日常生活の中で実践できる方法があります。ここでは、予防策について詳しく解説します。

水分摂取の促進

犬が十分な水分を摂取することは、尿路結石予防の基本となります。水分摂取を促すためには、飲み水を家の複数の場所に設置する、水を少し温める、または流れる水を好む犬のためにファウンテンを使用することがおすすめです。水分摂取を無理強いする必要はありませんが、愛犬が喜んで水を飲む環境を整えることが大切です。

定期的な排尿の促進

長時間の尿の貯留は、尿路結石のリスクを高めます。そのため、犬が定期的に排尿することが重要です。トイレトレーニングを行い、犬がリラックスしてトイレを利用できる環境を作ること、また散歩の回数を増やして外での排尿機会を定期的にもうけましょう。

適切な食事管理

尿路結石の形成に影響を与える食事成分を管理することは、予防において重要です。獣医師の指導のもと、犬種や健康状態に応じた適切な食事を選びましょう。
療法食は、尿石症の繰り返しを防ぐために設計されていますが、健康な犬には適さない場合がありますので、使用前には必ず獣医師に相談しましょう。

十分な運動

定期的な運動は、犬の健康全般に良い影響を与えるだけでなく、適切な尿量の維持にも役立ちます。適切な体重を維持することで、尿路結石だけでなくほかの健康問題のリスクも低減されます。

定期的な健康チェック

定期的な獣医師による健康チェックは、尿路結石を含む多くの病気の早期発見に役立ちます。なかでも、尿検査を受けることで、尿路結石の早期発見や予防につながります。
尿路結石の予防は、これらの日常的な管理と環境の調整によって大きく改善されます。愛犬の健康と快適な生活を支えるために、これらの予防策を実践しましょう。

まとめ

ここまで、犬の尿路結石についてお伝えしてきました。
犬の尿路結石の要点をまとめると、以下の通りです。

  • 犬の尿路結石は、腎臓や尿管、膀胱、尿道など尿の流れる経路に結石が形成される病気で、痛みや排尿障害を引き起こすとされている
  • 犬の尿路結石は、細菌感染や食事、排尿回数、犬種などが影響する。犬種によって結石の種類や発生しやすさが異なり、例えばシュナイザーやシー・ズーなどはストルバイト結石に、ダルメシアンは尿酸塩結石に注意が必要
  • 犬の尿路結石の治療は、結石の種類に応じて異なるが、ストルバイト結石は食事療法、シュウ酸カルシウム結石は手術が必要な場合もある。珍しい結石は外科的摘出が一般的で、治療法は獣医師と相談して選択することが重要

この情報が、みなさんの持つ愛犬への疑問や心配事を解消する手助けになれば幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございました。

参考文献