犬の鼻が乾いていると、「体調が悪いのでは?」と不安になる方もおられるかもしれません。たしかに、寝起きや空調の風が当たったときなど、一時的に乾くのはよくあることです。ただし、発熱や脱水、皮膚疾患などが関係しているケースもあります。この記事では、犬の鼻の乾燥に隠れたサインや注意したい症状、自宅でのケアと受診の目安について整理していきます。
犬の鼻が乾いてる原因

一時的な乾燥か、病気が関係しているのかを見分けるために、起こりやすい場面や受診の目安を整理していきます。
- 犬の鼻が乾いてるのはどのような原因が考えられますか?
- 寝起きや日なた、空調の風、運動後の興奮、短頭種の体質、加齢による分泌減少などで、一時的に鼻が乾くことがあります。いっぽうで、脱水や発熱、アレルギー、日光皮膚炎、鼻の角化症、外傷や炎症、自己免疫疾患(皮膚に影響する天疱瘡やエリテマトーデス)などが関係する場合もあります。強いひび割れや出血、色や厚みの変化、食欲や元気の低下、鼻水や目やに、くしゃみを伴うときは受診を検討してください。乾燥が目立つ季節は、保湿ケアも有効です。
- 健康な犬でも鼻が乾くことはありますか?
- はい。健康な犬でも、寝起きや日なた、空調の風、運動や興奮の直後、季節の乾燥、短頭種や高齢犬の体質などで一時的に鼻が乾くことがあります。睡眠中は分泌が減り、舐め癖や暖房の直風でも乾きやすくなります。数時間以内にしっとりした状態に戻り、元気や食欲、水分・排泄の様子が普段どおりなら経過観察で問題ありません。ひび割れや出血、色や厚みの急な変化、発熱や活力の低下がある場合は、早めの受診を検討します。保湿用ワセリンを少量塗るケアも有効ですが、舐め過ぎに注意してください。
- 年齢や犬種によって鼻の乾燥しやすさに違いはありますか?
- はい。年齢や犬種によって鼻が乾きやすい傾向は異なります。短頭種は鼻孔が狭く口呼吸になりやすいため、乾燥しやすく、舐めずらさも影響します。シニア犬は分泌量が減り、皮膚の角化によってざらつくことがあります。ラブラドール・レトリーバーやアメリカン・コッカー・スパニエルでは鼻の角化症と呼ばれる症状が見られる場合もあります。乾燥が気になる季節は、加湿や直風の回避、水分補給、保湿ケアを取り入れます。ひび割れ・出血・色や厚みの急な変化、赤みやかさぶたの増加があれば受診を検討します。
鼻が乾いてるときに考えられる病気
鼻の乾燥がサインになる皮膚や全身の病気を見ていきます。受診の目安や注意点も一緒に確認しましょう。
- 犬の鼻が乾いてる場合にどのような病気が疑われますか?
- 鼻の乾きには、脱水や発熱、アレルギー、接触性皮膚炎、日光皮膚炎・角化症、鼻の角化症、外傷やただれ、細菌・真菌感染、自己免疫性疾患(落葉状天疱瘡・円板状エリテマトーデス)、内分泌疾患(甲状腺機能低下症・クッシング症候群)、腫瘍などが関わることがあります。ひび割れや出血、潰瘍、色や厚みの急な変化、発熱や食欲低下を伴う場合は受診を考えます。保湿剤の使用は獣医師の指示に従いましょう。
- 発熱や脱水症状と鼻の乾燥の関係を教えてください
- 発熱や脱水では鼻の分泌が減り、乾いて温かく感じられることがあります。元気がない様子、呼吸の早さ、口の中の粘つき、歯茎の乾燥、皮膚の戻りが遅い、尿量の減少は脱水のサインです。室内を加湿して涼しく保ち、少量ずつの水を頻回に与えてください。鼻の乾燥だけでは判断できないため、食欲や排泄の変化も併せて観察します。嘔吐や下痢が続く、飲めない、意識がぼんやりしている場合は早めに受診しましょう。
- 鼻の乾燥以外にどのような症状があれば病気を疑うべきか教えてください
- 鼻の乾燥に加えて、発熱、ぐったり、食欲低下、飲水減少や多飲、くしゃみ・鼻水(膿性)、鼻血、色や厚みの急変、ひび割れや潰瘍、強いかゆみ、顔をこする仕草、目やに増加、咳や呼吸が荒い、体重減少、皮膚の脱毛やフケがあれば病気を疑います。半日以上改善しない、痛みで触られるのを嫌がる、悪臭がする、意識がぼんやりしている、ふらつきやけいれん、激しい下痢や嘔吐、飲めない状態がある場合も受診を検討してください。気付いた時刻や症状の写真をメモに残して受診時に伝えると診療が進みやすくなります。
犬の鼻が乾いてるときの対処法

室内環境と保湿、飲水と食事の整え方を確認し、触れ方や散歩の工夫、受診判断の目安も共有します。
- 犬の鼻が乾いてるときに自宅でできる対処法を教えてください
- 室内は湿度40〜60%を目安に加湿し、暖房やエアコンの直風・直射日光は避けます。水はいつでも飲めるよう複数箇所に置き、器は陶器やステンレスで清潔に保ちます。鼻の縁にはペット用保湿バームやワセリンを薄く塗り、舐め過ぎる子は少量から様子を見ます。散歩は乾燥・強風を避け、帰宅後は濡れタオルでやさしく拭いて保湿します。ひび割れ・出血、色や厚みの急変、発熱や元気がない様子を伴うときは、自宅ケアに固執せず早めに相談してください。
- 保湿剤や軟膏を使用してもよいですか?
- ペット用または獣医師推奨の保湿バームを少量、鼻の縁に薄く塗ります。ワセリンは舐めても問題ありませんが、厚塗りや頻回は避け、塗布前に清潔を保ちます。傷・潰瘍・出血・膿がある、痛がる、色や厚みが急に変わる場合は使用せず受診します。人用のメントール・カンフル・サリチル酸・ステロイドなどの配合品は避けます。塗布後は舐め過ぎに注意し、短時間の見守りやエリザベスカラーで保護します。頻度は1日1〜2回が目安です。初回は目立ちにくい部位で少量試し、赤みやかゆみが出たら中止します。
- 水分補給や環境調整で改善できることはありますか?
- 水分は複数箇所に置き、器は清潔に保ちます。常温の水に加え、ぬるま湯やウェットフードで摂取量を底上げします。器は陶器やステンレスを用い、毎日洗浄します。室内は湿度40〜60%・直風なしを目安にし、加湿器はこまめに洗浄します。寝床は乾燥しにくい布素材に替え、日なたや強風の散歩を避けます。塩分や電解質製品の使用は自己判断で行わず、必要時は獣医師に相談します。ひび割れ・出血や発熱を伴う場合は受診を検討します。
動物病院を受診すべき目安と治療の流れ
鼻の乾燥が一時的な変化なのか、病気のサインなのか迷う場面もあると思います。ここでは、受診の目安となる症状やタイミング、動物病院で実際に行われる検査や治療の流れを整理します。
- 犬の鼻が乾いてる場合、どのような状態なら動物病院を受診すべきですか?
- 鼻のひび割れや出血、潰瘍、色や厚みの急な変化があるときは受診を検討します。発熱、元気や食欲の低下、飲水量の減少や多飲、脱水のサイン(歯茎の乾燥・皮膚の戻りが遅いなど)、呼吸の荒さ、膿のような鼻水、強いくしゃみ、目やにの増加、触れられるのを嫌がる反応が見られる場合も注意が必要です。半日以上改善しないときや、子犬・高齢犬・持病がある場合、誤食の心あたりがある場合も早めの受診をおすすめします。診察時には症状の記録や写真、保険証、連絡先を持参し、体温も測っておきましょう。
- 動物病院ではどのような検査が行われますか?
- まず問診と身体検査で、体温、脱水の有無、口や鼻の状態を確認し、鼻の先端や表面をライトで照らして、ひび割れや潰瘍、色や厚みの変化を観察します。必要に応じて、皮膚の細胞診、真菌や細菌の培養検査、寄生虫の確認、甲状腺や副腎のホルモンに関する血液検査も実施されます。鼻炎が疑われるときは、レントゲンやCT、内視鏡で内部を評価します。自己免疫性疾患が考えられる場合は、確定診断のために皮膚の一部を採取して病理検査を行います。アレルギーの可能性があるときは、環境や食事内容の確認、除去食試験なども併用します。
- 鼻の乾燥に対する治療方法を教えてください
- 治療は原因に応じて異なります。軽度で一時的な乾燥には、室内の加湿、空調の直風を避ける環境調整、飲水量の確保、ペット用保湿バームやワセリンを薄く塗るといったケアが基本です。細菌や真菌の感染、皮膚炎がある場合は、洗浄と外用薬(抗菌・抗真菌・抗炎症)で対応します。自己免疫性疾患が背景にある場合は、初期には免疫抑制用量という高用量から始め、症状を見ながら減量していきます。内分泌や全身性の疾患が原因であれば、原疾患の治療が優先されます。人用クリームの使用は避け、日光で悪化する症例では紫外線対策も必要です。舐めたりこすったりする場合は、エリザベスカラーの活用も検討します。
編集部まとめ
犬の鼻が乾いているからといって、必ずしも病気とは限りませんが、体調のサインが隠れていることもあります。まずは室内環境や年齢・犬種の特性を踏まえて観察し、必要に応じて保湿や飲水の工夫を取り入れてみましょう。ひび割れや出血、全身症状を伴う場合は自己判断せず、早めの受診が有効です。日頃から鼻の状態をチェックする習慣を持つことで、病気の早期発見にもつながります。
