犬がうんちしない!原因や考えられるリスクなどを治療法とともに解説

犬がうんちしない!原因や考えられるリスクなどを治療法とともに解説

「愛犬が便秘かもしれない」と不安になったことはありませんか?いつもよりうんちの回数が少なかったりコロコロしたうんちばかりだったりしたら、それは便秘の症状かもしれません。本記事では、犬が便秘になる原因やその対処法、治療法、予防法などについて解説しています。

犬がうんちをしない原因

人に便秘があるように、犬も便秘を起こすことがあります。明確な定義はありませんが、通常通り食べているのに3日以上便が出なければ便秘だと考えてもよいでしょう。愛犬が毎日どれくらいの量のうんちをするのか把握しておき、排便量や排便回数の変化に敏感になっておくことが大切です。

犬がうんちをしない主な原因は何ですか?
さまざまな原因が考えられますが、代表的なものとしては運動不足が挙げられます。大腸は常にうんちを押し出す運動をしているのですが、運動不足が原因で腸内にうんちがたまると、うんちの水分がどんどん失われて便が硬くなり、さらに出にくくなることで便秘になってしまうのです。フードが合わない、水分不足、食物繊維の過剰摂取など、食事が影響している場合もあります。また、加齢による筋力不足や排便を我慢した場合も便秘になりやすいと言われています。便秘を我慢するきっかけとしては、トイレを失敗して飼い主に怒られたりトイレが気に入らなかったりすることです。さらに、うんちが消化管内にたまりきって詰まりきると、腸の蠕動運動が起こらなくなってしまい便を押し出せなくなります。また、異物やポリープなどがあり物理的に閉塞することも便秘になる原因になります。
ストレスが犬の便秘に影響しますか?
 もちろん影響します。通常、排便は副交感神経が働くことでスムーズに行われますが、引っ越しや同居犬が増えるといった何らかの原因がストレスになると、交感神経とのバランスが乱れて大腸が緊張し便秘となってしまいます。
高齢の犬は便秘になりやすいですか?
高齢の犬は便秘になりやすいです。その理由は、加齢によって筋力が衰え、いきむ力が低下するからです。また、年齢を重ねると基礎代謝や運動量が低下するため必要なカロリーも自然と減り、食事の量が少なくなります。食事量が少なくなるとうんちの量自体が減り、便秘になりやすくなるのです。さらに、運動をする機会や水分をとる回数も減っていくため、うんちが硬くなったり腸が活発に働かなかったりして便秘となります。

犬がうんちしない時の健康上のリスク

犬がうんちをしないと、どのような健康上のリスクがあるのでしょうか。一緒に見ていきましょう。

うんちが出ないことでどんな健康問題が起こる可能性がありますか?
たまったうんちによって腸が伸びきった状態になり、それが続くと巨大結腸症を引き起こします。巨大結腸症になると、腸がうんちを外に押し出す運動ができなくなってしまいます。軽度であれば下剤などで緩和が目指せますが、自力でうんちを出すことができなくなってしまった場合は開腹手術をしなければならないこともあります。
便秘が続くとどのような症状が見られますか?
便秘は2つのタイプに大別されます。1つは、うんちの通過障害が起きる「器質性便秘」というタイプです。便意は催すのに出てこないため、いきみや激しい腹痛、震え、嘔吐、しぶり、残便感などがあるようです。原因によっては血便やゼリー状のうんちが出ることもあります。もう1つは、腸の働きそのものに異常が起きていてうんちが出せない「機能性便秘」です。このタイプは排便回数が減る、うんちの量が減る、いきみ、しぶり、残便感といった症状があるのが基本ですが、腸の働きが弱まっている部位によって現れる症状も異なります。また、前述した巨大結腸症では、体重の減少や脱水、食欲不振といった症状が見られます。
便秘は犬の行動にどのような変化をもたらしますか?
うんちをしないのはもちろんのこと、排便姿勢をとっているのに便が出ない、排便時に鳴く、食欲が低下するといった行動の変化が見られるようになります。便秘の状況がひどくなると、嘔吐してしまうこともあります。

うんちを促すための対処法や治療法

うんちを促すための対処法や治療法

ここからは便秘を改善するための対処法や病院で受けられる治療についてご紹介します。

犬がうんちをしない時に自宅でできることはありますか?
第一にとるべき対処法は食事を見直すことです。特に、便秘改善には食物繊維が有効的ですので、食物繊維が10%ほど含まれている食事を与えたり、サツマイモやカボチャ、リンゴといった食物繊維を摂取できる野菜やサプリメントをトッピングしてみたりするのがおすすめです。水分量の多いドッグフードを与えたり乾燥しているドッグフードを水でふやかしてから与えたりして、いつもより水分を多めに摂取させることも大切です。さらに、腸で消化しやすい牛肉や油が含まれているもの、良質なタンパク質を含む食事にするといったことを意識してみてください。腸の動きを活発にさせるためのマッサージもおすすめです。犬のおへそを中心に時計回りでやさしくなでてあげてください。この時、おなかからお尻にかけて便通を意識しながら行うのがポイントです。また、いきむために必要な筋肉を鍛えるために散歩に連れ出したりボールで遊んであげたりしましょう。
病院ではどのような治療が行われますか?
食事の見直しや運動を行っても便秘が改善されなかった場合は病院での治療を受けられます。例えば、異物が腸管に詰まっていて便秘を起こしている場合は開腹手術による異物除去を行います。「吐かせたり内視鏡でとったりすれば良いのでは?」を考える方もいらっしゃいますが、吐かせる場合は摂取後2時間以内で胃の中にまだあり吐かせても大丈夫なものの場合です。また、内視鏡は腸管内のどこまでも届くわけではありません。届く範囲が決まっていますし、便が詰まっている状態では使用できないことがほとんどです。また、そのようなやり方は、腸管を傷つける可能性があるため開腹手術が採用されるケースが多いです。また、去勢をしていないオスの犬によく見られるのが、直腸周囲の筋肉が薄くなって直腸が脱出する会陰ヘルニアと、肥大した前立腺が直腸を圧迫するケースの便秘です。これらの疾患が原因の場合は、まず浣腸や下剤で便秘を解消します。その後に疾患そのものの治療に進みます。なお、会陰ヘルニアに対しては、ヘルニアの整復手術と同時に去勢手術を行います。
いつ獣医師の診察を受けるべきですか?
「愛犬が2~3日うんちをしていない」「排便体勢をとっているのにうんちが出ていない」「便秘かもしれない」と思ったら、放置せず早めに診察を受けるようにしましょう。

便秘を予防する方法

愛犬が便秘で苦しんでいるのを見るのはつらいですよね。そうなる前にできる限りの予防をしておきましょう。ここからは、愛犬の便秘予防として飼い主がしてあげられることをいくつかご紹介します。

 便秘を予防するために飼い主ができることは?
まずは十分な水分補給を心がけましょう。暑い季節だけではなく、冬場もきちんと水分が摂取できているかがポイントです。水は1日に2回は取り換えてください。きれいでおいしい水が飲めると、犬も積極的に水分補給をするようになります。また、適度な運動をさせてあげてください。運動は便秘対策だけでなく、健康を維持するためにも必要不可欠です。散歩やドッグランなどがおすすめです。日頃から、食物繊維を多く含む野菜やドッグフードを与えることも大切です。ゆでたキャベツやサツマイモなどを食事に取り入れることを意識してみてください。そのほかに、トイレはいつもきれいな状態にしておく、環境の変化があった際はいつも以上にやさしく寄り添う、小さなおもちゃや消化しにくい食べ物などの誤飲防止に気を付けるなどが有効な予防方法となります。
食事で特に注意すべき点はありますか?
食事で注意すべき点は食物繊維をはじめとする繊維類をしっかりとることです。食物繊維には水溶性と不溶性があります。不溶性のものを摂りすぎるとかえって便秘になる恐れがありますので注意が必要です。柔らかいものばかり食べると便量が減り便秘になりやすいので缶詰ばかり与えるのはお勧めできません。

編集部まとめ

いかがでしたでしょうか?犬が便秘になる原因はさまざまで、便秘の状態を長い間放っておくのは病気の進行を促してしまう可能性もあります。愛犬との楽しい時間を少しでも長く過ごせるよう、異変を感じたら早めに獣医師に相談してみてください。便秘はこじれてから治療するのは想像以上に大変です。便を柔らかくする薬などもありますので、早めに獣医師に相談しましょう。

参考文献