猫をペットホテルに預ける際、一般的なペットホテルとの違いがわからなかったり、数多くのペットホテルからどうやって選べばいいのか迷ったり、料金相場を知りたいという飼い主さんは多いのではないでしょうか。
本記事では、猫専用ペットホテルとはどのような施設なのかを解説し、メリットや選び方のポイント、相場や注意事項なども紹介します。
猫を猫専用ペットホテルに預けることを考えている飼い主さんは、ぜひ最後までお読みください。
猫専用のペットホテルとは
本章では、猫専用のペットホテルについて理解を深めるために、施設やサービス内容を詳しく解説します。
猫専用ペットホテルの施設
猫専用ペットホテルは、猫のためだけに設計されたペットホテルで、猫以外の動物がいないことが特徴です。犬猫混合の一般的なペットホテルと比較すると、下記のような点に違いがあります。
- 猫にとって大きなストレス源である犬の声や臭いがしない
- 完全個室なうえ、個室同士も十分なスペースを取って、ほかの猫の気配を感じずに過ごせる
- 多頭飼いに対応できる大部屋のあるホテルもある
- 脱走しやすい猫の特性に配慮し、二重扉や鍵付きの部屋であることが多い
- 空調や空気清浄機などの設備で、猫が快適に過ごせる環境が保たれている
- キャットウォークやキャットタワーなど高所の設置や、上下運動が可能なステップがある部屋を選べることも多い
- 猫が落ち着ける隠れ家や、目隠しつきの部屋で、ひとりになりたいという猫の習性に配慮がある施設が多い
- 猫のことをよく知り、扱いに慣れたスタッフがいて、その猫にあった対応ができる
- 24時間対応での見守りがあるホテルが多い
- 動物病院と提携をしているなど、健康への配慮がされている
猫専用ペットホテルで受けられるサービス
猫専用ペットホテルでは、室内やトイレの清掃、給餌といった一般的なお世話のほかに、オプションで健康診断を受診できる施設もあります。また、シャンプーやグルーミング、爪切りなどのケアを依頼できるものもあります。
動物病院と提携している獣医師が常駐している施設は、体調に問題が出た場合に迅速な対応が可能です。
飼い主さんが安心できるよう、部屋に24時間閲覧可能なカメラがついていたり、日々の様子や食べたご飯の量、飲水量などの記録を動画や写真で連絡してくれたりといったサービスもあります。
送り迎えに関しても、送迎サービスのあるホテルや、早朝や夜間での受付が可能なオプションを選べるホテルもあります。
猫専用ペットホテルのメリット
猫は、知らない動物や場所、音、においなどにストレスを感じやすい動物です。特に犬の鳴き声などは大きなストレス源となることが知られています。特発性膀胱炎に代表されるように、ストレスが関与する猫の病気も少なくありません。
猫専用ペットホテルの特に大きなメリットは、猫のストレスを抑え、猫の心身の健康を維持できることです。
また、猫は群れをつくらず単独生活を送る動物なので、猫が安心するためには、隠れ場所、高所、静かな環境が必要です。
猫専用ペットホテルはこうした設備を用意することで、滞在中に猫が快適に過ごせる工夫がなされていることも大きなメリットです。
猫専用ペットホテルを選ぶ5つのポイント
いざ猫専用ペットホテルを選ぼうと考えると、多くの施設があり迷ってしまうという飼い主さんも多いのではないでしょうか。本章では、猫専用のペットホテルを選ぶ際、特に重要だといえるポイントを5つに絞り、それぞれ詳しく解説します。
サービス内容
猫専用ホテルには、そのホテルごとに、送迎サービスがついていたり、宿泊中の様子を写真や動画で報告してくれたり、爪切りやグルーミングを受けられたり、食事記録をつけてくれたり、投薬をしてくれるなどさまざまなプランが用意されています。
サービス内容によっても費用が変わるため、受けたいサービスと予算を考慮したうえでホテルを選ぶとよいでしょう。
猫を預ける環境
ホテルを選ぶ際、室内環境が猫にとって適切かどうかも重要です。可能なら、預ける前に一度実際にホテルを訪れて、部屋を見せてもらうと安心です。
確認の際は、室内が清潔か、ほかの猫との距離が近すぎないか、スタッフなど人の生活音が大きすぎないか、温度湿度は猫にあっているか、夜間の照明が明るすぎないか、換気がしっかりとなされているか、においがこもっていないかなどの点をチェックしましょう。
複数のホテルで迷ったときは、できるだけ普段過ごしている自宅の環境により近いホテルを選ぶと猫にとってストレスが少ないといえます。
どこが運営しているか
企業や動物病院、個人などの組織がペットホテルを運営しています。運営する組織それぞれによってホテルにも特徴が出るため、運営元を知ることもホテル選びのひとつの視点となるでしょう。
ペットホテルを運営する企業には、ペット用品ショップ、トリミングサロン、動物病院などと併せてホテルサービスを提供する企業があります。こうした企業が運営するホテルでは、オプションで爪切りやシャンプーをしてもらえたり、滞在中に健康診断を受けられたりなど、幅広いサービスがあるというメリットがあります。
動物病院が運営するホテルは、獣医師が常駐しているなど健康面で不安のある猫も預けられるメリットがあります。衛生管理も徹底しており、感染症対策に力をいれているホテルも多いため、免疫の低い子猫やシニア猫でも不安が少ないでしょう。
個人が運営しているホテルは、運営者と直接やりとりできることも多く、柔軟な対応をしてもらえるなどの利点があります。運営者の人柄を知ることもできるため、安心感も大きいです。
自宅からの移動距離
猫専用ホテルを選ぶ際、自宅からの距離も考慮しなくてはなりません。どれほどによさそうなホテルでも、移動に何時間もかかるようなケースでは再検討が必要です。
なぜなら、猫は移動が苦手な動物で、移動そのものによる環境変化だけでなく、キャリーケースに入れられることにもストレスを感じます。ホテルに到着するまで、できる限りストレスを抑えるために可能な限り自宅周辺のホテルを探すとよいでしょう。
自宅から遠いホテルを利用する際は、預ける前から、移動の練習を行っておくことをおす
すめします。キャリーケースに入れる段階から、徐々に車などの交通機関に慣らしておくと当日の移動ストレスを軽減できます。
利用者の評価
ホテル選びの際には、実際にホテルを利用した飼い主さんの評価も大切です。神経質な傾向があるなど、性格の近い猫の飼い主さんの声を参考にするとよいでしょう。
利用者の評価を確認する際は、その猫がどのような性格なのか、どの点がよかったのかなど具体的な評価を参考にしましょう。
また、スタッフの対応についても、実際の利用者の評価が参考になります。「電話の対応がぶっきらぼうだった」などの声が多い施設は注意が必要です。
猫専用ペットホテルの相場
猫専用ペットホテルを利用する際、料金も気になる点のひとつですね。本章では、ペットホテルの料金相場についてご紹介します。ただし、受けるサービスによって、オプションとして別料金が設定されていることも多いため、詳細はホテルに直接問い合わせてください。
全国の猫専用ペットホテルの相場
全国的にみると、猫専用ペットホテルの相場は、個室タイプで一泊あたり4,500円~6,000円程度です。部屋の広さやサービスによって、これよりも高額な場合もあります。また、ほとんどのホテルにおいて、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆などの繁忙期は割増料金が設定されています。利用したい期間が決まってから、料金を問い合わせるとよいでしょう。
関東エリアの猫専用ペットホテルの相場
関東エリアの猫専用ペットホテルの相場は、全国での相場と大きく異なりません。個室タイプで一泊あたり4,500円~6,000円程度です。ただし、東京都心部は、料金設定がこれよりやや高めになることもあります。
関西エリアの猫専用ペットホテルの相場
関西エリアの猫専用ペットホテルの相場は、個室タイプで一泊あたり5,000円~7,000円程度です。関西エリアでも、大阪市や神戸市などの都市部ではこれよりもやや高めになることもあります。
猫専用ペットホテルを利用するときに気を付けること
猫専用ペットホテルの利用に際しては、ワクチン接種が済んでいることなど事前にいくつか注意しなくてはならないことがあります。本章では、猫専用ペットホテルを利用するときに気を付けることを解説します。
ワクチン接種が済んでいるか確認する
ほとんどのホテルで、利用の際にワクチン接種の証明書の提出が求められます。犬の狂犬病ワクチンなどと異なり、猫のワクチン接種は義務化されていないため、ワクチンを受けさせていないという飼い主さんもいるかもしれません。
多くの猫が利用する猫専用ペットホテルでは、猫同士で病気が蔓延しないよう、ワクチン接種を済ませた猫しか受け入れることができないことが一般的です。ホテルを利用する前に、ワクチンを接種して証明書を出してもらいましょう。
また、ノミ・ダニ予防をしていることが条件の場合もあります。ホテルを利用する際は、ワクチンやノミ・ダニ予防もしておきましょう。
事前に見学する
ホテルを選ぶ際は、滞在するホテルの環境が猫にとって適切かどうかを事前に確認しておくことが大切です。広さや設計のほか、清潔さやにおい、またスタッフの人柄や対応なども確認しておくと安心です。
ストレス対策を考える
環境の変化によるストレスを少しでも軽減するため、普段使用しているフードや食器、トイレ、また、猫のにおいがついた猫砂やタオル、お気に入りのおもちゃなどを持ち込むとよいでしょう。
猫によって、できるだけそっとしておいて欲しいのか、甘えん坊でかまって欲しいのか、触られたくないのか、抱っこして欲しいのかなどの要望もさまざまです。ストレス軽減のために、猫の性質をスタッフに伝えて可能な範囲で対応してもらえるように頼みましょう。
普段の食事やトイレの習慣を伝える
ホテルの利用に際して、猫の生活習慣を伝えておくことは欠かせません。フードの回数やタイミングはもちろん、与え方も伝えておきましょう。猫によってはフードをふやかして与えたり、トッピングをして食べさせている場合もあるでしょう。
トイレについても、猫には個性があります。排泄の回数の目安を伝え、一度排泄したら猫砂を替えないと排泄をしない、などの癖があれば伝えておきましょう。普段から軟便気味だったり、ストレスでお腹を壊しやすいなどの特徴も知っておいてもらうとよいでしょう。
緊急時の対応を確認する
利用する猫専用ペットホテルでの、緊急時の対応を確認しておくことも大切です。体調不良の際や災害時などの緊急時に備えて、ホテル側がどのように備えているのかを聞いておくとよいでしょう。
飼い主さん側が準備しておくべきこととしては、飼い主さんやご家族の連絡先、かかりつけの動物病院の情報も伝えておくことです。持病を持っている猫の場合、詳細をメモにして渡すといざというときに安心です。
体調に急な変化があった場合に、必要に応じてすぐにかかりつけ動物病院に連れて行って欲しいなど、細かい要望も伝えておきましょう。
また、災害時のマニュアルが整備されているか、停電に備えて非常電源などが備えられているかなどにも注意しましょう。
まとめ
今回は、猫専用ペットホテルについて、特徴を解説し、メリットや選び方のポイント、料金相場などをお伝えしました。ホテルに預けるのが心配だと、猫だけでなく飼い主さんにも大きなストレスになりますね。一方で、安心して預けられるホテルがあれば、猫にとっても飼い主さんにとっても多くのメリットがあります。猫にぴったりな猫専用ホテルに出会えるよう、今回の記事も参考にリサーチしてみてください。
参考文献
- 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)
- 文献名
- 第一種動物取扱業者の規制
- Molecular effects of intermittent stress on primary feline uroepithelial cell culture as an in vitro model of feline idiopathic cystitis
- A review of the housing requirements of domestic cats (Felis silvestris catus) kept in the home
- Stress and Adaptation of Cats (Felis Silvestris Catus) Housed Singly, in Pairs and in Groups in Boarding Catteries