旅行や出張など、家を数日間空けなければならない場合、「うちの子が寂しがらないか」「安心して過ごせるかな」のように悩む方は少なくありません。
そう思う飼い主さんの心強い味方となってくれるのが、ペットホテルです。
しかし、料金体系は施設によってさまざまで、いったい何にいくらかかるのか、わかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ペットホテルの料金が決まる仕組みから、犬・猫・小動物など種類別の宿泊費用相場、そして料金が変動するケースまで詳しく解説します。
ペットホテルの一般的な料金システム

ペットホテルの料金は、主に基本料金・追加料金・オプション料金の3つの組み合わせで決まります。
広告やまとめサイトで目にする料金は基本料金のみを指している場合がほとんどです。
ペットに合わせてサービスを選択すると、大抵は基本料金以上の金額になります。
以下では、それぞれの料金システムを解説します。
基本料金
多くのペットホテルでは、基本料金に以下のようなサービスが含まれています。
- 宿泊スペースの提供
- スタッフによる定期的な見守り
- 新鮮な飲み水の提供
- ケージや部屋の清掃など
食事はホテルが用意する場合もあります。
ただし、環境の変化によるペットのストレスを考慮し、普段から食べ慣れているフードの持ち込みを推奨している施設や、持ち込みが必須の施設がほとんどです。
予約時に基本料金に含まれるサービスをしっかり確認しておくと、後々の誤解を防ぎやすくなります。
フードやトリミングや散歩などのオプション料金
ペットホテルの追加オプションには、ペットの快適性を高めるさまざまなサービスがあります。
- 散歩:特に犬にとって重要で、施設により基本料金に含まれるか別途料金がかかるかは異なります
- トリミング:シャンプーやカット、爪切りなど、宿泊とセットで割引になる場合もあります
- 遊び・運動:スタッフと個別に遊んだり、ドッグランを利用したりできます
- 投薬:持病などで薬が必要なペットに対応してもらえます
- 特別食・手作り食:アレルギーや好みに合わせた食事の提供、または普段の食事を持ち込めるペットホテルもあります。
- 送迎サービス:自宅や指定場所への送迎があり、料金は1,100円からの例があります
宿泊中にシャンプーや爪切りなどトリミングの依頼も可能です。
また、持病の投薬や自宅への送迎サービスなど、必要なケアを追加で選べる施設もあります。
部屋のグレードによる追加料金
ペットが過ごす部屋の環境は、料金を左右する大きな要素です。一般的なのは、一部屋に複数のケージが設置される標準的なスタイルです。
ほかのペットが苦手な子や、より静かな環境を求める場合は、プライベート空間が保たれた個室タイプが適しています。
さらに、広々とした空間にWebカメラまで備えたスイートルームを用意している施設もあり、1泊13,200円で利用できるペットホテルもあります。
予算とペットの性格に合わせて適切なグレードを選びましょう。
ペットホテルは1日いくらかかる?ペット別の料金相場

ペットホテルの1日あたりの料金は、預けるペットの種類や大きさによって変わるのが特徴です。
犬や猫はもちろん、最近では鳥類や爬虫類など、さまざまな動物に対応した施設が増えています。
以下では、ペットの種類別に1日あたりの宿泊費用の目安を見ていきましょう。
犬|1日あたりの宿泊費用相場
犬の宿泊料金は、サイズによって細かく料金設定されている施設がほとんどです。
一般的な相場は1泊あたり3,000円〜7,000円ですが、都心部の高級ホテルや特別なケアが必要な場合は相場を超える場合もあります。
また、以下のように犬のサイズごとに料金が異なる場合が多いようです。
- 小型犬:3,000円~4,000円
- 中型犬:3,500円~4,000円
- 大型犬:5,000円~7,000円
- 超大型犬:6,000円~7,000円
ただし、サイズ区分の基準はペットホテルにより異なります。
予約の際は、愛犬がどのサイズ区分に該当するのかを正確に確認しましょう。
猫|1日あたりの宿泊費用相場
猫の宿泊料金の目安は、1泊あたり3,000円~6,000円程度です。
猫は環境の変化にとても敏感なため、犬とは別の静かで落ち着いた空間が用意されているかがホテル選びの重要なポイントになります。
上下運動ができるキャットタワーの有無なども確認するとよいでしょう。
猫専門ホテルは料金がやや高めですが、高い分きめ細やかな配慮が期待できます。
鳥類|1日あたりの宿泊費用相場
鳥類の宿泊料金の目安は、1泊あたり1,000円~5,000円と幅広い料金体系です。
多くの場合、普段から使い慣れている鳥かごごと預けるスタイルとなり、かごのサイズや預ける羽数によって料金が変動します。
鳥類に対応したペットホテルはサイズが小さいほど安く、大型のフクロウのように大きいほど1日あたりの料金が高くなるのが特徴です。
フクロウなどの猛禽類は特殊なケアが必要なため、1泊4,500円程度と高めの設定になる場合もあります。
その他の小動物|1日あたりの宿泊費用相場
うさぎやハムスターのような、小動物を預かるペットホテルも増えています。
うさぎの料金目安は1泊1,000円~4,000円、ハムスターは1,000円~2,500円程度で、ケージのサイズや預ける数によって料金が変わります。
施設によっては、爪切りやグルーミングなどのオプションも追加可能です。
爬虫類|1日あたりの宿泊費用相場
爬虫類の宿泊料金は1泊1,000円~5,000円と価格帯が広めです。
種類や大きさはもちろん、保温のためのバスキングライトやUVライト、適切な湿度管理など、個々に合わせた特殊なケアが必要になるため、同じ爬虫類でも料金が異なります。
多くの爬虫類専門のペットホテルでは、以下のように種類や必要な設備に応じて細かく料金が設定されています。
- ヒョウモントカゲモドキのような小型種:1,000円台
- 大型種:3,000円以上
ペットホテルの1日あたりの費用が割高になりやすいケース

ペットホテルの利用料金はペットの状態や利用する時期、サービス内容によって、通常より高くなる場合があります。
どのような場合に費用が割高になるのか、代表的なケースを見ていきましょう。
持病がある
持病を持っているペットは、専門的な知識を持つスタッフによる手厚いケアが欠かせません。投薬のような獣医療ケアを希望する場合は、対応出来る資格者の獣医師や愛玩動物看護師がスタッフとして在籍するペットホテルを選びましょう。
例えば”東京ペットホーム”では軽度介護で1,100円、中度介護で2,200円のように介護の度合いによって追加料金が設定されています。
医療ケアが必要な場合、持病や料金が高くなりやすいです。例えば、介護度に応じて料金が変動する専門施設が存在します。
持病があるペットの預かりには投薬対応や細かい体調管理が求められるため、割増料金となるのは当然のコストです。
子ども、もしくは高齢である
幼すぎる、あるいは高齢すぎるペットは、体調管理に特別な配慮が必要です。
体調が安定しにくいため追加料金が発生したり、場合によっては預かり自体を断られたりする場合があります。
多くの施設では、生後数ヶ月未満の子犬や子猫、ワクチンプログラムが完了していないペットは感染症リスクの観点から受け入れていません。
また、8歳や10歳以上を”高齢”とし、健康状態によっては専門の介護施設を勧める場合もあります。
高齢ペットの預かりには、万が一の事態に備えた承諾書への署名が求められるのが一般的です。
宿泊日数が短い
意外に思うかもしれませんが、宿泊日数が短いと、1日あたりの料金が高くなることがよくあります。
多くのペットホテルでは連泊すると長期割引があるため、1泊や2泊などの短い滞在では割引が使えません。
例えば、7泊以上で料金が10%引きになるホテルでは、短期の利用では定価を払うことになります。
そのため、1泊あたりの料金で比べると、長く泊まる方がお得に預けられます。
基本サービスの内容が豊富
基本料金がほかの施設より高く設定されている場合、高い分サービス内容が充実しているペットホテルも増えてきています。
例えば、以下のようなサービスが基本料金に含まれている施設はサポートが充実している分、価格が高めです。
- 24時間スタッフが常駐している
- 獣医師と提携している
- 広々としたドッグランが自由に使える
サービスが一見割高に感じても、必要なサービスがすべて含まれているため、オプションを個別に追加するより安くなる可能性はあります。
複数のオプションを申し込んでいる
基本料金が安くても、愛犬・愛猫のためにとさまざまなオプションを追加していくと、最終的な総額は大きく膨らみます。
例えば、毎日の散歩、定期的なトリミング、個別のプレイルーム利用、投薬管理などをすべて申し込むと、オプション料金だけで基本料金を上回るケースも珍しくありません。
特に、年末年始やお盆などの繁忙期は、基本料金自体に500円~1,100円程度の割増料金が加算される場合が多いため、注意が必要です。
ペットホテルの1日あたりの費用が割安になるケース

ペットホテルを利用する際、いくつかのポイントを押さえれば、1日あたりの費用を賢く節約できる場合があります。
大切なペットの快適性を損なわず、上手に費用を抑える方法を知っておきましょう。
宿泊日数が長い
多くのペットホテルでは、長期滞在者向けの割引制度を設けています。
一般的に5泊や7泊以上など長期で預ける場合、1泊あたりの料金が割引されたり、総額から一定割合が値引きされたりします。
出張や長期旅行などで家を空ける期間が決まっている場合は、まとめて予約すれば1日あたりのコストを抑えられます。
サービス内容がシンプル
費用をできるだけ抑えたい場合は、サービス内容がシンプルな施設を選ぶのも一つの方法です。
例えば、サービスが以下のようなペットホテルは、料金が安価に設定されている傾向があります。
- 散歩は短時間のみ
- 食事は飼い主がすべて持参
- ケージでの宿泊が基本など
ただし、料金の安さだけで選ぶのではなく、含まれるサービス内容で自分のペットがストレスなく快適に過ごせるかどうかで考えるのが重要です。
活発な犬には物足りないかもしれませんが、静かに過ごしたい猫や高齢のペットには適している場合もあります。
ペットホテルの1日あたりの相場を調べる方法
ペットホテルの料金は施設によってさまざまなので、複数の施設を比較検討したうえで選ぶ必要があります。
ただ最寄りで検索するだけでなく、複数のペットホテルを一括で検索・比較できるサイトを活用するのもおすすめです。
条件に合いそうな施設を見つけたら、各ペットホテルの公式サイトに掲載されている料金表をチェックしましょう。
より具体的に料金を知りたい場合は、ペットの種類や希望オプションなどを伝え、電話やメールで具体的な見積もりを依頼してみてください。
ペットホテルを選ぶ際に費用以外で気を付けたいポイント

料金はもちろん重要ですが、何よりも大切なのは信頼できる施設かどうかです。
日本で営利目的のペットホテルを運営するには、動物愛護管理法に基づき第一種動物取扱業の登録が義務付けられています。
施設を見学する際は、必ず動物取扱業登録証が掲示されているかを確認しましょう。
また、万が一の際の緊急連絡体制や、ワクチン接種証明書の要否など、安全管理に関する質問にも誠実に答えてくれるかどうかが、よいホテルを見極めるポイントです。
まとめ

ペットホテルに預ける際の1日あたりの料金は、ペットの種類や大きさ、部屋のグレード、そしてどのように風に過ごさせてあげたいかで決まります。
まずは、基本料金に何が含まれていて、必要とするサービスはオプションとして費用がかかるのかなどの把握から始めるのがおすすめです。
長期で預ければ1日あたりの料金は割安になる一方、短期滞在や特別なケアが必要な場合は割高になる傾向があります。
本記事を参考に、複数の施設をじっくり比較検討し、あなたと大切なペットにとって適切なペットホテルを見つけてみましょう。
納得のいくペットホテルが見つかれば、安心して旅行や出張の時間を過ごせるようになります。
参考文献