愛猫との旅行や外出時、留守番させるかペットホテルを利用するか悩む飼い主さんは多いのではないでしょうか。猫は留守番が得意と言われますが、長時間になるとさまざまなトラブルも起こりえます。
一方、ペットホテルは安心感があるものの、猫にとっては環境の変化がストレスになることもあります。
本記事では猫の留守番とペットホテルについて以下の点を中心にご紹介します。
- 猫の留守番について
- 猫の留守番で考えられること
- 猫をペットホテルに預ける場合
猫の留守番とペットホテルについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
猫の留守番について

そもそも猫を留守番させてもよいのでしょうか。以下で解説します。
猫に留守番はさせていい?
猫に留守番をさせることについては、さまざまな意見があります。環境が変わるとストレスになるため自宅で留守番をさせる飼い主もいれば、家族や友人に預けたり、ペットホテルやシッターを利用したりするケースもあります。
基本的に猫は単独行動を好む動物で、自宅で過ごす方が安心と感じる傾向があります。そのため、1泊2日程度の短期間であれば、留守番が可能な猫も少なくありません。ただし、寂しがりやな性格の猫もいるため、一概に“留守番が向いている”とはいい切れません。
大切なのは、愛猫の性格や日頃の様子をよく観察することです。
子猫はいつから留守番できる?
子猫のお留守番は、生後8週(約2ヶ月)を過ぎてからがひとつの目安です。ただし、いきなり長時間の留守番をさせるのは避け、最初は1〜3時間程度から少しずつ慣れさせることが大切です。
子猫は成猫と違い、1日数回に分けて食事をとる必要があり、体調も不安定なことが多いため、できる限りそばにいて様子を見守るのがおすすめです。生後3〜4ヶ月頃になると、食事の回数も減り始め、半日程度の留守番が可能になる子も出てきます。
ただし、持病がある場合や離乳期の猫は特に注意が必要で、短時間でも留守番を避けるべきケースもあります。不在時には見守りカメラの設置やペットシッターの利用など、安心できる対策を講じましょう。
猫は何日まで留守番できる?
成猫であれば、1泊2日程度の留守番は問題なく過ごせる場合が多いとされています。猫は一日の大半を眠って過ごす動物で、自宅という慣れた環境にいること自体が安心材料となるからです。ただし、留守番に慣れていない猫や、飼い主への依存度が高い猫の場合は、短時間の留守番から少しずつ慣らす必要があります。
一方、子猫は食事回数が多く、体調管理も難しいため、長時間の留守番には向きません。離乳が進み、朝晩の食事で済むようになってからでも、半日程度が限度と考えるべきです。2泊以上家を空ける場合は、猫の性格や健康状態を考慮し、ペットシッターやペットホテルの利用を検討するのが安心です。
猫の留守番で考えられるトラブル

猫は留守番ができる動物ですが、その際に起こる可能性のあるトラブルは何でしょうか。以下で紹介します。
トイレの粗相
猫の留守番中に起こりがちなトラブルのひとつがトイレの粗相です。普段きちんとトイレを使っている猫でも、急に飼い主が不在になることで不安や寂しさを感じ、寝具や衣類などに排泄してしまうことがあります。なかでも、飼い主のにおいが染みついた布団や服の上にされるケースが多く、猫なりの“抗議”ともとれます。
また、用意していたトイレが汚れていたため、使うのを嫌がって別の場所で排泄してしまうこともあります。留守中はトイレを2つ以上設置する、シッターにトイレ掃除をお願いするなどの対策を講じましょう。寂しがりな性格の猫であれば、留守番そのものを見直す必要もあるかもしれません。
破壊行動
飼い主の不在時に起こる猫の破壊行動も要注意です。ストレスや退屈が引き金となり、植木鉢を倒したり、棚の上のものを落として割ったりすることがあります。なかには、猫同士で共謀して米袋を破ってしまうというエピソードもあるようで、留守中はいつもと違うテンションになりやすく、普段は興味を示さない物にも手を出すことがあるため注意が必要です。
外出前には、倒れやすいものや割れ物、高価なアイテムをあらかじめ安全な場所に移動しておきましょう。また、猫が登れない棚の工夫や、いたずら防止グッズの活用も効果が期待できます。
ゴミあさり
猫は驚くほど器用で、閉めたはずの棚を開けてなかの物をあさってしまうことがあります。なかにはフードの保管場所をしっかり覚えていて、少しの隙間さえあれば手を差し込んでこじ開けてしまう子もいるそうです。ほかにも、キッチンに置いていた果物や、普段食べないパンまでかじっていたという例もあります。
また、冷蔵庫を開けてなかの食材を食べたうえ、扉が閉まらず冷蔵庫が壊れたというケースもあります。そのため、猫がゴミや食べ物をあさらないように、棚にはロックをかけたり、ゴミ箱はフタ付きか重いタイプにしたりするなどの工夫をしましょう。人間の食べ物には猫にとって有害なものもあるため、対策は必須です。
盗み食い
留守番中の猫による盗み食いもよくあるトラブルのひとつです。戸棚に入れていたフードがバラまかれたり、バナナやパンなど、人間用の食べ物までかじられたりする可能性もあります。猫はにおいで食べ物のありかを察知し、少しのすき間があれば器用に扉を開けてしまいます。
なかには冷蔵庫のドアを開け、魚を食べてしまっただけでなく、扉を開けっ放しにしたせいで冷蔵庫が壊れてしまったという例もあるそうです。盗み食いは健康面でも心配が残るため、留守番前にはフードや食材をしっかり管理しましょう。
脱走
猫の留守番中に心配なのが脱走です。ちょっとした窓の隙間や、網戸を押し開けて外に出てしまうケースも多く、外は交通事故や感染症などの危険に満ちています。「おかえり」と玄関を開けた隙に飛び出してしまったり、ベランダから隣家に移ってしまったりということもあります。
脱走を防ぐには、窓や扉の施錠はもちろん、スライドロックやノブロックなどの補助器具を使うのがおすすめです。ほんのわずかな油断が大きな事故につながる可能性があるため、徹底した対策が求められます。
猫に留守番させる際の準備や注意点

猫に留守番させる際は、以下のような点に注意しましょう。
十分な水とフードを用意する
猫を留守番させる際には、水とフードの準備が重要です。水は複数の場所に置いておくと安心ですが、自動給水機を設置すれば、いつでも新鮮な水を確保できます。ごはんについても、自動給餌器を使えば決まった時間に適量のフードを与えられ、食べ過ぎの防止にもつながります。
カメラ付きや遠隔操作対応のモデルを選べば、外出先から猫の様子を確認することも可能です。ただし、機器が動かないなどの万一のトラブルに備え、予備のフードも置いておきましょう。
また、食事を遊びに変える知育トイとして、ペットボトルなどを利用したフード入りおもちゃもおすすめで、猫の狩猟本能を刺激し、退屈しのぎにも役立ちます。
部屋・トイレはきれいにしておく
猫が快適に留守番できるようにするには、部屋とトイレの清潔さが欠かせません。猫はとてもきれい好きな動物で、トイレが汚れていると排泄を我慢したり、ほかの場所でしてしまったりすることもあります。留守にする前には、トイレをしっかり掃除し、砂も多めに入れておきましょう。可能であれば、トイレは複数設置するのが理想です。
多頭飼いなら、頭数プラス1つが目安です。部屋のなかも整理整頓し、誤飲や事故の原因になるおもちゃやヒモ類、ティッシュ、電源コードなどは片付けておきましょう。コードを噛む癖がある猫にはカバーを装着するなどの対策も効果が期待できます。
室温管理に気を付ける
猫に快適な留守番環境を用意するうえで、室温管理は重要です。夏場は特に注意が必要で、締め切った室内は高温になりやすいです。エアコンの温度の管理には気をつけ、外出前に動作確認を忘れずに行いましょう。
冷房は冷やしすぎず、猫が避難できる涼しい場所も確保しましょう。お風呂場を開放しておくのもおすすめですが、浴槽に水は残さないよう注意が必要です。
冬は逆に寒さ対策を徹底し、日当たりのよい場所に寝床を移したり、暖房を利用したりしましょう。ただし、ストーブなど火を使う暖房器具は避け、風が直接当たらないように配慮が必要です。
すき間風を防ぐ工夫も大切で、エアコンの遠隔操作機能やタイマー設定を活用するのもおすすめです。出かける前には必ず温度設定と安全性を再確認しましょう。
ペットカメラを導入する
猫の留守番中、離れていても様子を見守りたいという飼い主には、ペットカメラの導入がよいでしょう。猫がよく過ごすエリアにカメラを設置しておけば、スマートフォンからリアルタイムで確認できるだけでなく、声かけ機能やおやつの遠隔投与機能がついた機種も増えています。猫にとって飼い主の声は安心感を与える存在なので、声かけは寂しさの軽減にもおすすめです。
また、動きを自動で追尾するタイプなら部屋内の移動も把握しやすくなります。ただし、インターネット経由で操作する機器はセキュリティ対策が必須です。設定ミスや不正アクセスを防ぐため、パスワード管理や新しいファームウェアへの更新を忘れずに行いましょう。カメラはあくまでも補助と考え、ほかの対策との併用が大切です。
しかし基本的に、猫のみのお留守番は様々な点からおすすめできません。ホテルの利用が無理ならば、ご自宅にてご飯・水・トイレの交換をしてくれる方にお願いするなどの手段も考えておくことをおすすめします。
ペットホテルを利用する場合

ペットホテルに預けて猫を留守番させる場合、以下のようなポイントに着目してみましょう。
ペットホテルの選び方
ペットホテルを選ぶ際には、まず預ける環境がケージタイプか個室タイプかを確認しましょう。ケージタイプは料金も安価な傾向がありますが、個室タイプは広さやプライバシーが確保されており、落ち着いて過ごせるため、多頭飼いや繊細な性格の猫におすすめです。
また、食事は普段から食べ慣れたフードやトイレ砂を持ち込めるかどうかも大切なポイントです。施設内での運動や散歩の有無、散歩中の安全対策(リードの二重管理など)も確認しておきましょう。さらに、夜間にスタッフさんが常駐しているかどうかや、体調不良時の対応体制、近隣の動物病院との連携の有無も重要です。
必ず動物取扱業の登録を受けている施設を選び、可能であれば事前見学して環境や衛生面を確認することをおすすめします。
ペットホテルの料金相場
猫のペットホテルの料金は、1泊あたり2,000〜5,000円程度のところが多いようです。料金は施設の立地や設備、猫が過ごすスペースの広さなどにより異なります。高額なホテルでは個室やキャットタワー設置、感染症対策が整っているなど、安心のサービスが提供されています。
日帰りプランの場合は1,000円台から利用できるところもあり、引っ越しや急な外出時の一時預かりに便利です。また、年末年始やお盆、GWなどの繁忙期には料金が割高になる傾向があります。
さらに、追加料金で散歩やグルーミングなどのオプションが付けられることもあり、サービス内容に応じて総額が大きくなる場合もあります。利用予定がある場合は、早めの予約と詳細な料金確認を行いましょう。
ペットホテルを利用する場合に注意すること

ペットホテルに猫を預ける際は、以下の点に注意しましょう。
ペットホテル利用の際の注意点
ペットホテルを利用する際は、いくつか大切な注意点があります。まず、預ける当日は時間に余裕をもって出発し、スタッフとの十分なコミュニケーションを心がけましょう。普段の食事内容や排泄のリズム、性格の特徴など、日常の様子を具体的に伝えることで、異常の早期発見にもつながります。
また、感染症予防のために、事前にワクチン接種を済ませておき、証明書も忘れず持参しましょう。ノミやダニの対策も忘れずに行っておくことが重要です。
さらに、飼い主自身が不安げな様子を見せると、ペットにも伝わってしまうため、明るく落ち着いた態度で接し「ここでのお泊まりは楽しいもの」と伝えるよう意識するとよいでしょう。健康チェックや宿泊条件についても事前確認が安心です。
帰宅後は様子をよく観察する
ペットホテルから帰宅した猫は、環境の変化によるストレスで体調を崩すことがあります。まずは安心できる環境で静かに過ごさせ、徐々に普段の生活に戻してあげましょう。そのうえで、数日間は健康状態の変化に注意してください。食欲や水分摂取量、排泄の状態、活動量、毛並みの変化などの観察が大切です。
元気に見えても、帰宅後に嘔吐や下痢を起こすケースもあり、疲れや安心感から一気に体調が崩れることがあります。異変を感じた場合は早めに動物病院へ相談しましょう。特に子猫やシニア猫、持病がある子は影響が出やすいため、観察はより丁寧に行いましょう。
体調に変化がある場合は動物病院で診療を受ける
ペットホテル利用後、体調に変化が見られた場合は、早めの受診が大切です。ぐったりして動けない、何度も嘔吐を繰り返す、下痢や血便が続くといった症状が見られる場合、すぐにかかりつけの動物病院へ連絡を取りましょう。なかでも子猫や高齢猫、持病のある子は体力が落ちやすいため注意が必要です。
ペットホテル利用時には、緊急時に連絡がつく連絡先を必ず伝えておくことも重要です。旅行中などですぐに連絡がとれない場合は、国内の家族や信頼できる知人の情報をホテル側に伝えておくと、万一の際にも迅速な対応が可能となるようです。また、ペットホテル側と動物病院との連携体制についても、事前に確認しておくとより安心です。
まとめ

ここまで猫の留守番とペットホテルについてお伝えしてきました。猫の留守番とペットホテルについての要点をまとめると以下のとおりです。
- 猫の留守番について、猫は単独行動を好む動物で、自宅で過ごす方が安心と感じる傾向があるものの、1泊2日程度の短期間であれば留守番が可能な猫も少なくないため、基本的に人の管理のもとで生活させてあげることが推奨される
- 猫を留守番させた場合、トイレの粗相や破壊行動、棚を開けてなかの物をあさってしまうことや盗み食い、脱走などのトラブルが考えられる
- 猫をペットホテルに預ける場合は必ず動物取扱業の登録を受けている施設を選び、帰宅後は様子をよく観察するなど、猫のケアに努めることが重要
猫を留守番させる際は様子を細かくチェックし、ペットホテルに預ける場合も猫に注意を払うようにしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。