ペットホテルに預ける際の“お泊まり練習”は、本当に必要なのでしょうか?初めての環境に戸惑いやストレスを感じやすいペットにとって、事前に慣れておくことは、ペットに安心感を与えられるでしょう。
本記事ではペットホテルのお泊まり練習はした方がいいのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- ペットホテルとは
- お泊まり練習の目的
- ペットホテルのお泊まり練習をする際のポイント
ペットホテルのお泊まり練習はした方がいいのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
ペットホテルとは

ペットホテルとは、飼い主さんが旅行や出張などで家を留守にする際に、ペットを預けて宿泊したり日中のケアを受けたりする施設のことを指します。単独のドッグホテルとして運営される場合もありますが、動物病院やトリミングサロン、犬や猫の幼稚園などが付帯サービスとして提供されています。
預かり時間や料金体系は施設ごとに異なり、1時間単位や1日(24時間)単位で課金されることが多いようです。ペットはケージ内や広めの専用スペース、またはほかのペットと自由に過ごせるフリースペースで預かってもらえます。
散歩やフリータイムの有無など、サービス内容も施設によってさまざまなので、利用前にしっかり確認しましょう。犬や猫が対象であることが多いといわれますが、小動物を預かる施設も増えているようです。
お泊まり練習とは

お泊まり練習とは、ペットがペットホテルでの滞在にスムーズに慣れるための事前準備のことを指します。特に生後6ヶ月までの子犬や子猫は、この時期の過ごし方がその後の性格形成に大きく影響するため、お泊まり練習を通じて社会性や正しい習慣を身につけることが重要です。
成犬の場合も、問題行動の改善を目的に専門トレーナーの指導を受けながら短期間でしっかりとしたトレーニングを行うことも可能とされています。お泊まり練習では、いきなり長時間預けるのではなく、まずは日中だけの短時間預かりから始め、徐々に慣らしていきます。
飼い主さんと離れても安心できる環境であることを理解させ、スタッフとの交流やおやつなどを通じてポジティブな体験を積ませるのがポイントです。
流れとしては、予約後にカウンセリングを行い、日中のみの練習や一泊の練習を複数回繰り返してから本番の預かりに臨みます。段階をしっかり踏むことで、愛犬や愛猫のストレスを軽減し、安心して預けられる状態ができるでしょう。
お泊まり練習の目的

この“社会化”が不十分だと、見知らぬ人やほかのペットに対して恐怖や警戒心を抱きやすく、吠えや噛みつきといった問題行動を引き起こすことがあります。こうした行動は、ペット自身のストレスとなるだけでなく、飼い主さんにとっても日常生活の負担となりかねません。
社会化が不足していると、来客時のトラブルやドッグラン、カフェの利用が難しくなったり、トリミングやペットホテルの利用を断られたり、さらには動物病院での処置にも支障をきたすことがあります。ペットの暮らしをより豊かで快適なものにするためにも、積極的に社会化を促し、さまざまなコミュニケーションを経験させることが重要です。
アイコンタクトを取れるようにする
アイコンタクトとは、ペットが飼い主さんの目を見て集中することです。まずはペットの名前を呼んだときに、自然とこちらを向くようにトレーニングを始めましょう。
もしペットの名前に反応しづらい場合は、おやつを使って“名前を呼んだら目を見る”ことを楽しく教えることが大事です。こうした練習を繰り返すことで、ペットの聞く姿勢が高まり、ほかのコマンドの理解もスムーズになります。
「おいで」の指示で反応できるようにする
「おいで」の指示に素早く反応して飼い主さんの元へ戻ることは、特に愛犬の安全を守るためにとても大切なトレーニングです。散歩中に予期せぬ車道への飛び出しやリードの外れなどの緊急事態が起きた際、呼び戻しができれば事故を未然に防げます。
また、ドッグランやドッグカフェでの脱走や迷子のリスクも軽減され、飼い主さんが安心して愛犬を見守ることができます。さらに、ノーリードで遊べる場所では、ほかの犬や人とのトラブルを防ぐために、すぐに呼び戻せることがマナーの基本となります。
ペットホテルのお泊まり練習をする際のポイント

お泊まり練習にはどのような目的があるのでしょうか。
以下でご紹介します。
家族以外とのコミュニケーションを学ぶ
家族以外の方やたくさんの犬や猫たちと触れ合うことは、ペットが社会に適応するための大切な学びの場となります。社会に適応するためには、ペットがほかの動物や人間、そしてさまざまな環境に慣れ、安心して過ごせる力を身につけることが大切です。
ペットホテルのお泊まり練習をする際はどのようなことに気をつければいいのでしょうか。
いくつかポイントをご紹介します。
お泊まりするペットホテルに慣れさせる
ペットをペットホテルに預ける際は、初めての長期滞在に備えて事前にホテルの環境に慣れさせることが大切です。多くのペットホテルでは、ショートステイや日帰り、一時預かりといった短時間の預かりサービスを提供しているため、これらを利用して少しずつ慣らしていくのがおすすめです。
慣れない場所にいきなり数日間預けるよりも、何度か訪れてスタッフや施設の雰囲気に触れることで、愛犬や愛猫の不安やストレスを軽減できます。予約がなくても、日常的に一時預かりを活用してホテルとの信頼関係を築いておくことで、いざという時も安心して預けられる環境が整います。
飼い主さんの匂いがついているものを用意する
ペットは飼い主さんの匂いに強い安心感を覚えるため、ペットホテルに預ける際には飼い主さんの匂いが付いた衣類やタオルなどを一緒に持参することがおすすめです。普段から飼い主さんの服や寝具の匂いを嗅いだり、くわえたりして落ち着く姿を見かけることも多いでしょう。
このような慣れ親しんだ匂いがケージ内にあることで、知らない環境でも精神的な不安が和らぎ、ストレスの軽減が期待できます。外出時や留守番の際にも、飼い主さんの匂いがついた物を置いておくことで、愛犬や愛猫が安心して過ごせる環境を整えてあげましょう。
ペットホテルでの過ごし方を事前に確認する
ペットホテルを利用する際は、事前に施設の運営方法や環境についてしっかりと調べておきましょう。ホテルによっては、散歩時間以外はほとんどの時間をケージやサークルで過ごすところもあれば、一日中自由に動けるケージレスの環境を提供している場合もあります。
ほかのペットと交流するのが好きな子には、自由に過ごせる環境がいい場合もあります。逆にほかの犬や猫が苦手な場合は、個別のケージで過ごせるホテルがおすすめです。愛犬や愛猫の性格や好みに合わせて、利用するペットホテルを選びましょう。
また、散歩の頻度や夜間の管理、冷暖房設備の有無などもあらかじめ確認しておくことをおすすめします。長期で預ける前には、一時預かりなど短時間の利用で慣らすことが望ましく、ケージに慣れていない場合は家庭内でのトレーニングも合わせて行うといいでしょう。
飼い主さんの不安そうな顔をペットに見せない
ペットをペットホテルに預ける際、飼い主さん自身が不安な気持ちを抱くことは自然なことです。しかし、その不安が愛犬や愛猫に伝わると、犬や猫も同じように心配やストレスを感じてしまいます。
預けるときは「すぐに戻るから安心してね」と明るく話しかけるなど、安心感を与える態度を心がけましょう。落ち着いた様子で見送ることで、愛犬や愛猫の分離不安を和らげることができます。
預けた後に迎えに行った際は、愛犬や愛猫が頑張って待っていたことをしっかりと認め、たくさんスキンシップや褒め言葉をかけてあげることが大切です。
ペットホテルのお泊まり練習をする場合の注意点

ペットホテルのお泊まり練習をする場合はどのようなことに注意すればいいのでしょうか。
以下で確認していきましょう。
ワクチンを接種する
ペットも人間と同様に感染症のリスクがあるため、ペットホテルではワクチン接種が重要です。多くの施設では、ペットを預ける際に混合ワクチンや狂犬病の予防接種証明書の提示を求められます。
これらの証明書は、接種から1年以内のものである必要があり、紛失すると再発行に時間がかかることもあるため、早めに準備しておくことが望ましいです。ワクチン未接種の状態での預け入れを認めるホテルもありますが、感染症の拡大防止やペットの安全を考慮すると、接種を済ませておくことが推奨されます。
事前にホテルの条件や料金、移動方法についても確認しましょう。なお、動物病院が併設されたペットホテルもあるため、健康管理の面でも安心して預けられるのではないでしょうか。
健康診断を受ける
ペットが普段は健康でも、環境の変化によって体調を崩すリスクは常にあります。そのため、ペットホテルに預ける前には動物病院で健康診断を受けておくことが重要です。健康診断を事前に受けることで、体調に異変があった場合にはホテルのスタッフに正しい情報を伝えられ、トラブルの防止につながります。
何も知らずにペットが「健康だ」と思い込んで預けてしまうと、予期せぬ問題が起こる可能性もあるため注意が必要です。また、ペットは環境の変化に敏感でストレスを感じやすいため、体調に不安がある場合は特に慎重な対応が求められます。健康診断の結果に問題があれば、ペットホテルの利用を控え、体調回復を優先しましょう。
ルールや雰囲気を確認する
ペットホテルは施設ごとに独自のルールや運営方針が異なるため、事前にしっかり確認しておくことが大切です。飼い主さんに対して細かくルールを説明できるホテルを選ぶことで、安心して愛犬や愛猫を預けられます。
また、ペットが普段の生活リズムに近い環境で過ごせるかどうかも確認しましょう。さらに、ホテルのスタッフが明るく親切に対応しているか、コミュニケーションが円滑かどうかも事前にチェックしておきましょう。
飼い主さんとしては、ペットを大切に預かってもらうためにも、施設のルールやマナーを理解し遵守することが不可欠です。あらかじめ疑問点を解消し、後悔のない選択を心がけることをおすすめします。
移動中の環境をチェックする
ペットをペットホテルに連れて行く際は、移動中の環境にも注意を払うことが大切です。特に夏場の車移動では、エアコンの冷気が前席に集中しがちで、後部座席やクレート内が予想以上に暑くなることがあります。
実際に後部座席に座ってみて、温度や車の揺れを確認し、ペットが快適に過ごせる環境かどうかを事前にチェックしましょう。
また、宿泊先周辺に散歩に合った場所やペット専用施設があるかも重要なポイントです。新しい散歩コースは特に愛犬にとっていい刺激となり、ドッグランが併設されていれば、わざわざ遠くへ移動せずとも好きなときに自由に遊ばせられるので、ストレスの軽減にもつながります。
迷子対策を行う
ペットが迷子になるリスクに備えて、迷子札やマイクロチップの装着は重要です。マイクロチップは動物病院などの専用リーダーで読み取るため、飼い主さんの特定に時間がかかる場合があります。そのため、迅速な対応ができるように、ペットと飼い主さんが一緒に写った写真を数枚用意しておくことをおすすめします。
全身や顔の特徴がわかる写真を印刷して持ち歩くと、多くの方に情報を伝えやすくなります。また、散歩中や予期せぬ事故で逃げ出してしまう可能性もあるため、首輪に連絡先を記載した迷子札や鑑札を付けることも忘れずに行いましょう。
身だしなみを整える
ペットホテルへの宿泊前には、ペットの身だしなみを整えることがマナーのひとつです。シャンプーやブラッシング、爪切りを事前に行い、清潔な状態で出かけることで、ペットホテルの衛生面を保ちつつ、ほかの利用者への配慮にもなります。
特に爪切りは床や家具を傷つけないためにも欠かせません。なお、シャンプーやトリミングで疲れてしまう犬や猫も多いとされるため、出発の2~3日前までに済ませておくと、体調管理にも安心です。また、ノミやダニなどの寄生虫予防も忘れずに行い、トラブルを防止しましょう。
クレート内で過ごすことに慣らす
飼い主さんが食事や外出でペットを一人で部屋に残す場合に備えて、日頃からクレート内で過ごすことに慣れさせておくことが大切です。クレートはペットにとって安心できる場所と感じさせることが目標で、特にケージよりも飛び越えられる心配が少ないです。
クレートトレーニングでは、食べ物を入れたおもちゃをクレート内だけで与えるなど、特別なご褒美の場として認識させる方法がおすすめです。
ただし、トレーニングの初期段階で嫌な場所だと感じさせないよう注意が必要で、孤独感を感じさせないよう飼い主さんがそばにいて安心させることが重要です。快適な環境を整え、ご褒美を頻繁に与えながら、クレートが安全で居心地のいいスペースになるようサポートしましょう。
まとめ

ここまでペットホテルのお泊まり練習はした方がいいのかについてお伝えしてきました。ペットホテルのお泊まり練習はした方がいいのかについての要点をまとめると以下のとおりです。
- ペットホテルとは、飼い主さんが旅行や出張などで家を留守にする際に、ペットを預けて宿泊したり日中のケアを受けたりする施設のこと
- お泊まり練習の目的は、家族以外とのコミュニケーションを学んだり、アイコンタクトを取れるようになったりすること
- ペットホテルのお泊まり練習をする際のポイントには、お泊まりするペットホテルに慣れさせたり、飼い主さんの匂いがついているものを用意したりすることが挙げられる
ペットホテルのお泊まり練習は、ペットが新しい環境にスムーズに適応するために大切です。ポイントや注意点を押さえて、愛犬や愛猫の負担を減らし、安心して預けられる準備を整えましょう。事前の練習が、楽しく安心できるお泊まりにつながります。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。