ペットを飼われている方が旅行などで外泊する際に便利なのがペットホテルです。ペットホテルにペットを預けることで、飼い主さんは心配することなく、外泊を楽しむことができるでしょう。
初めてペットホテルを利用する場合、気になるのがワクチン接種の有無です。ペットホテルを利用する際のワクチン接種は必須なのでしょうか?
今回は、ペットホテルを利用する際のマナーや感染症リスクについて詳しく解説します。ペットホテルを利用する際の参考にしていただけると幸いです。
ペットホテル利用時のワクチン接種
- ペットホテル利用時にワクチン接種は必須ですか?
- 一般的に、ペットホテルにペットを預ける場合には、1年以内の狂犬病ワクチン及び混合ワクチンの接種証明書の提示が求められます。
そのため、ワクチンの接種は必須といってよいでしょう。ペットが接種する代表的なワクチンとして挙げられるのが、狂犬病ワクチンと混合ワクチンです。
犬用の混合ワクチンは6種・8種・10種など複数の種類があり、ジステンパーを代表とする複数の感染症の予防になります。
猫用の混合ワクチンは3種と5種など複数の種類があり、猫汎白血球減少症を代表とする複数の感染症の予防となります。
混合ワクチンの接種は法律による義務とはされていませんが、病気を予防するために有効です。
狂犬病ワクチンは1年に1回接種することが定められていますので、必ず接種しなくてはいけません。
ペットホテルでは、狂犬病ワクチンだけでなく混合ワクチンの接種も条件としているのが一般的なので、預ける予定のある方は事前に接種を済ませておきましょう。
- ペットホテルがワクチン接種を必須にしている理由は何ですか?
- ペットホテルが狂犬病ワクチン及び混合ワクチンの接種を必須としているのは、ほかに預かっているペットたちに感染症をうつさないようにするためです。
ペットホテルでは、複数のペットたちが同じ空間に滞在します。一匹でも感染症にかかっているペットがいると、ほかのペットたちにもうつってしまい、集団感染を招いてしまうかもしれません。
感染症が広がることを防ぐために、ペットホテルでは狂犬病ワクチンだけではなく、混合ワクチンの接種も必須としているのです。混合ワクチンの接種を受けていない動物をペットホテルに預けたい場合、混合ワクチンの接種も行っているペットホテルを選ぶとよいでしょう。
動物病院が経営しているペットホテルでは、混合ワクチンの接種を行ってもらえる場合があります。すべてのペットホテルが当日の混合ワクチン接種を行っているわけではないので事前のチェックが必要です。
- ワクチン接種なしで利用できるペットホテルはありますか?
- 混合ワクチンの接種は法律上の義務ではありません。そのため、混合ワクチンの接種をしていない動物を受け入れているペットホテルもあります。小規模のペットホテルや獣医師が常駐しているペットホテルでは、混合ワクチンの接種を受けていない動物を受け入れていることがあります。
- ワクチン接種なしOKのペットホテルのメリット・デメリットは何ですか?
- 混合ワクチン接種なしOKのペットホテルを利用するメリットとして、まずは突然の予定に対応できることが挙げられるでしょう。
混合ワクチンの接種を受けていないペットの飼い主さんにとっては、混合ワクチン接種なしOKのペットホテルを利用することで、急なスケジュールにも対応可能になります。
またペットのストレスを避けられることもメリットです。定期的な注射はペットにとってストレスになります。ほかの動物と接する機会が少ない場合、混合ワクチン接種をしたくない飼い主さんもいるでしょう。
デメリットとしては、感染症のリスクが挙げられます。ペットホテルでは、複数のペットたちが同じ空間で過ごすことが少なくありません。混合ワクチン接種なしのペットは、ほかのペットたちからの感染症にかかる可能性が高くなります。
ペットホテル利用時に必要な持ち物や事前準備
- ペットホテル利用時に必要な持ち物や事前準備を教えてください。
- ペットホテルに持参するものは、登録に必要なものとペットのために必要なものに分類されます。登録に必要なものとしては次のようなものが挙げられるでしょう。
- 飼い主さんの身分証明書
- 狂犬病ワクチン接種済確認票
- 混合ワクチン接種証明書
- 保険証や動物病院診察券
- 印鑑
ペットホテルによっては必要ないものが異なるため、事前の確認が必要です。ペットのために必要なものとしては次のようなものが挙げられます。
- お気に入りの食事
- ハーネスやリード
- お気に入りのマットや敷物
- 常用している薬
- マナーベルトやマナーパンツ
ペットにとってお気に入りのものがあれば持参するとよいでしょう。マナーベルトやマナーパンツは排泄やマーキングをするペットのためのグッズです。
私物の持参を禁止しているペットホテルもあるので事前に確認するようにしましょう。
- 予防接種証明書をなくした場合はどうすればよいですか?
- 予防接種証明書をなくしてしまった場合、接種を受けた動物病院に連絡しましょう。証明書の再発行をしてもらえる場合があります。また領収書や明細書により予防接種を受けたことが確認できれば、受け入れてもらえるペットホテルもあります。
- ペットホテルを利用するときのマナーがあったら教えてください。
- 混合ワクチン接種は法律上の義務ではありません。しかしほかに預けられているペットたちのことを考慮すると、混合ワクチン接種が必要ないペットホテルでも接種を受けておく方がよいでしょう。
ノミダニ予防を必須としているペットホテルもあります。必須でなかったとしても、ノミダニ予防をしておくことはマナーといえるかもしれません。
可能であればペットホテル利用前の検診を受けておくとよいでしょう。宿泊当日のペットの健康状態に気を配り、もし異変があればペットホテル側に伝えることが必要です。
マナーベルトやマナーパンツは必要であれば持参し、ほかのペットたちの迷惑にならないようにしましょう。
吠え癖や噛み癖があるペットは受け入れていないペットホテルもあります。受け入れている場合でも、ケージがあるペットホテルを選ぶことは飼い主さんのエチケットといえるかもしれません。
予約はなるべく早めに入れ、時間を厳守することもマナーだといえるでしょう。
ペットホテルでの感染症のリスク
- ペットホテルで感染症にかかることはありますか?
- ペットホテルに宿泊することによって、ペットが感染症にかかることはありえます。ほかのペットたちと密接に行動することや、スタッフの手の消毒が十分でないことが主な理由に挙げられるでしょう。
ペットホテルで感染症にかかることを防ぐためには、ペットホテルの下調べをすることが大切です。
ペットホテルの清潔さは重要なチェックポイントといえます。出入口・ケージ・共有スペース・スタッフの衛生状況などを確認しましょう。
できれば事前にペットホテルを訪れてみるとよいでしょう。スタッフの数もチェックすべき項目です。スタッフの数が足りないペットホテルや夜勤スタッフがいないペットホテルは、管理が行き届かない場合があります。
動物病院に併設されたペットホテルであればペットの体調の異変にすぐに対応してもらえるでしょう。
- ペットホテルでうつされやすい感染症は何ですか?
- 犬がうつされやすい感染症としては犬アデノウイルスや犬パラインフルエンザが挙げられます。犬アデノウイルスと犬パラインフルエンザは気道の上部の感染症です。伝染力が強いこともあり、肺炎を併発することがあります。
猫がうつされやすい感染症としてはヘルペスウイルスやカリシウイルスが挙げられるでしょう。ヘルペスウイルスは人間の風邪と似た症状が特徴で、猫風邪と呼ばれることもあります。カリシウイルスは食器の汚染により発症することが少なくありません。カリシウイルスは風邪の症状に加えて肺炎や潰瘍につながることがあります。
ジステンパーとパルボウイルスは子犬や子猫が罹りやすい感染症です。その他に皮膚病がうつるケースもあります。
- ペットホテルで命に関わる感染症をうつされるリスクはありますか?
- 犬猫ともに感染する可能性があるジステンパーとパルボウイルスは、命に関わることもある感染症です。これらの感染症は混合ワクチンを接種することによって予防できます。
編集部まとめ
ペットホテルを利用する際のワクチン接種の必要性について解説しました。狂犬病ワクチンの接種が義務化されている反面、混合ワクチンの接種は義務化されていません。
したがって混合ワクチン未接種でも利用できるペットホテルも存在します。
しかし混合ワクチン未接種でペットホテルを利用する場合、ほかのペットたちに感染症をうつしたり感染症をうつされたりする可能性があります。
ペットホテルを利用する際のエチケットとして、混合ワクチンはできる限り接種した方がよいでしょう。
この記事がペットホテル利用をする際の参考になれば幸いです。
参考文献