トリミングサロン利用前のダニ予防の重要性や対応方法をわかりやすく解説

トリミングサロン利用前のダニ予防の重要性や対応方法をわかりやすく解説

ペットや人に悪影響を及ぼすダニは大変厄介な存在です。とはいえ、吸血しているうちに大きくなり肉眼で見つけやすいが、付着した当初は体も小さく見逃しやすいこともあり、なぜペットにダニが付くのか、具体的にはどのようなリスクがあるのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。今回はダニの原因やリスクをまとめたうえで、トリミングサロンを利用するにあたっての予防の重要性や、トリミング中にダニが見付かったときの対応方法などについて、解説を加えました。ペットをダニの脅威から守るために、正しい意識を押さえましょう。

ペットにダニが付く原因とリスク

ペットにダニが付く原因とリスク

まずは、ペットにダニが付いてしまう原因と、ダニによって引き起こされる症状について説明します。ダニの脅威がどのようなものなのか具体的に押さえると、予防の重要性を理解しやすくなります。

なぜ犬や猫にダニが付いてしまうのですか?
犬や猫が日常的に足を運ぶ可能性がある散歩道や草むら、河川敷などの屋外環境は、ダニが潜みやすい場所となっています。背丈がある草などで待ち伏せているダニは、犬や猫の体温や振動を感知して飛び移り、自宅へ侵入するのです。ダニには高い吸着力があるため、動物の被毛だけでなく、人の衣類にも付着します。さらに、野良猫や鳥を経由してベランダから室内へ入り込むケースもあるなど、その感染経路は多岐にわたります。
ダニが付くとどのような病気や症状の可能性がありますか?
ダニは吸血する際、唾液とともにさまざまな病原体をペットや人の体内に送り込み、細菌感染症や原虫症、ウイルス感染症など、幅広い健康被害を引き起こします。ライム病や日本紅斑熱、犬バベシア症などもその例ですが、特にSFTS(重症熱性血小板減少症候群)には注意が必要です。この感染症は、ほかの感染症と違い犬から人に感染することがあり、高熱、嘔吐、下痢、出血といった深刻な症状を急速に引き起こします。特効薬やワクチンはなく、致死率が高いことから、予防の徹底が欠かせません。病原体がなくても、長時間の吸血により、失血性貧血や重度の皮膚炎が引き起こされる可能性もあります。
基本的なダニ対策や日常的なケア方法を教えてください
定期的な駆除薬の投与を徹底するとともに、早期発見に努めることはもちろんですが、自宅でできるダニ対策もあります。例えば、屋外活動後に衣類を洗濯したり、キャリーバッグや首輪をまめに洗濯するか、ペット用の除菌スプレーやシートで拭いたりすることは、ダニの予防に効果的です。体表を手で撫でて異物感がないか確認し、ブラッシングによって卵や幼虫を落とすことも心がけてください。短時間の外出であっても、油断はできません。

トリミングサロン利用前のダニやノミ予防の重要性

ここでは、トリミングサロンを利用する前にダニやノミを予防することの重要性について、わかりやすくまとめます。自身のペットはもちろん、ほかの動物たちを守るためにも、予防を徹底することは欠かせません。

トリミングサロンでダニやノミを移されることはありますか?
ダニやノミは繁殖力がとても高く、ほかのペットやトリマーに寄生したり、トリミングサロン内の設備に潜伏したりする恐れがあります。そのため、トリミングサロンの利用時に、ダニやノミを移されることはありえます。メスノミが一匹いるだけでも、1ヶ月で数千匹にまで増殖するケースがあるので、サロン内で卵が散乱すれば、ノミの大量発生にもつながるでしょう。また、ダニの寄生はペットのみならず、飼い主やサロンスタッフにまで影響を及ぼす可能性があります。
トリミングを受けるにあたり、ダニ予防は必須ですか?
前述のとおり、ダニの発生はトリミングサロンに重大なリスクをもたらします。それゆえ、多くのトリミングサロンは、施術前に予防薬の使用状況や投薬時期の確認を行っています。動物病院から処方された薬での対策が必須となるケースもあります。厳しく感じるかも知れませんが、ペットたちを守るうえで不可欠な対応と理解して、トリミング前にはダニ予防を済ませておきましょう。
トリミングにおいて、ダニ予防が重視される理由を教えてください
ダニは感染拡大のリスクが大きく、トリミングサロンで見付かれば施設全体の清掃が必要となることから、予防を徹底することが重視されています。
ダニやノミ予防に役立つ、トリミングサロン選びのポイントはありますか?
定期的なシャンプーやブラッシング自体がダニやノミの予防に役立ちますが、よりトリミングサロン選びにこだわりたい場合には、動物病院併設のサロンを探してみるとよいでしょう。万が一寄生が判明したときにも、すぐ獣医師に相談できるため、ペットだけでなく、飼い主の負担も軽減されます。

トリミング中にダニが見付かったときの対応

トリミング中にダニが見付かったときの対応

普段からダニの予防に努めていたとしても、感染のリスクを完全になくすことはできません。もし、トリミング中にダニが見付かってしまったら、どのような対応が取られるのでしょうか。予期せぬ事態に慌てないためにも、しっかりと確認しておきましょう。

トリミング中にダニが見付かったら、その場で駆除してもらえますか?
トリミング中にダニが見付かると、多くのトリミングサロンでは施術が中断されます。ほかのペットはもちろん、サロン内の道具や設備にまで広がるリスクがあるため、速やかに飼い主へ引き渡す対応が取られるでしょう。とはいえ、シャンプー中にダニが発見された場合には、泡を流してドライヤーで乾かした後の引き渡しとなるなど、ペットの負担を軽減するための措置は講じてもらえます。一部のサロンは薬用シャンプーによってノミを駆除するオプションも提供していますが、しっかりとした駆除は動物病院で行ってください。ペットがノミに寄生されたら、適切な治療を受けることも大切です。
ダニが見付かった場合、トリミング料金は変わりますか?
ダニが見付かった場合に、トリミング料金がどのように請求されるかについては、トリミングサロンによって対応が異なります。中断までの料金が請求される場合や、通常料金の50%が請求される場合などがありますが、一概にはいえません。施術料金だけでなく、サロン全体の清掃料金が請求されるケースも見られます。そうなってくると、かなり高額な支払いとなるため、トリミング前に十分な予防を行っておくことが、やはり重要です。万が一、ペットサロンへ行く前にダニが見付かったら、すぐにキャンセルの連絡を入れて、影響が出ないようにしましょう。
トリミング後、すぐに動物病院を受診すべきですか?
ダニの感染拡大を防ぐためには医療行為が必要であり、トリマーでは対応することができません。トリミング中にダニが見付かった場合には、速やかに動物病院を受診して、獣医師の判断を仰ぐようにしましょう。動物病院併設のペットサロンであれば、より迅速な対応が可能となるため、利用を検討してみるのも一案です。

編集部まとめ

ダニの感染経路は多岐にわたり、引き起こされる症状も大変深刻です。万が一感染してしまうと、ペットの命に関わるばかりか、ほかの動物や人にまで影響を及ぼすため、日頃の対策やケアを徹底してください。特に、トリミングサロンなどの施設を利用する場合には、周囲に迷惑をかけないためにも、あらかじめ予防を済ませておくことが欠かせません。必要に応じて、獣医師のサポートを受けることも大切です。飼い主が意識を高く持つようにして、ペットをダニから守りましょう。

【参考文献】