トリミングを受けるにはワクチン接種が必須である理由と未接種の場合のリスクを解説

トリミングを受けるにはワクチン接種が必須である理由と未接種の場合のリスクを解説

トリミングのためにペットをサロンに預ける場合、ワクチン接種が必須です。初めて訪れるサロンでワクチンの接種証明を提示するように求められたことがある方も多いでしょう。

なぜ、トリミングを受けるためにはワクチン接種が必要なのでしょうか。また、ワクチンの種類は複数ありますが、どれを接種する必要があるのでしょうか。ペットを初めてトリミングサロンに連れて行く方が知っておきたいワクチン事情について解説します。

トリミング前にワクチン接種が求められる理由

トリミング前にワクチン接種が求められる理由

ワクチン接種証明書を提示できない場合、ペットのトリミングをお断りしているサロンも珍しくありません。なぜ、ここまで厳しくワクチン接種の有無を確認するのでしょうか。トリミング前にワクチン接種を求められる理由を2つ解説します。

トリミングの安全性を確保するため

まず最初の理由として、ワクチン接種はトリマーさんの安全性を確保するために重要です。

犬から人間に感染するウイルスといえば、狂犬病が挙げられます。狂犬病は、噛まれたら危ないと認識している人がほとんどですが、実際には傷口や目や口など粘膜を舐められたり、引っかかれたりしただけでも発病リスクがあります。

トリミングでは、シャンプー、爪切り、耳掃除、肛門絞りなどペットと触れる作業が多いです。トリミングに慣れていないペットは、突然暴れてトリマーさんに噛み付いてしまうこともあるでしょう。

トリマーさんの命に関わる問題にもつながるため、ワクチン接種は必ず行いましょう。

犬同士の感染症リスクを下げるため

二つ目の理由として、ワクチン接種は犬同士の感染症リスクを予防するために重要です。

狂犬病を発病するのは人間だけではなく犬も同じです。そして、狂犬病に対する有効な治療法は見つかっておらず、一度発病してしまうと治癒することはありません。また、一度に複数の犬を預かるトリミングサロンもあるため、ウイルス感染のリスクは避けられません。

狂犬病のほかにも、発熱、食欲不振、呼吸器不全などの症状を引き起こすウイルスがあります。特に免疫力や抵抗力が弱い子犬や老犬は、ウイルス感染で重症化しやすいです。よって、トリミングサロンに来る犬を感染症から守るためには、ワクチン接種が欠かせません。

ワクチン未接種の場合に考えられること

ワクチン未接種の場合に考えられること

犬の狂犬病ワクチン接種は、日本の法律で定められています。狂犬病ワクチンを打たないことは法律を無視する事になりますし、その他任意のワクチンを打たなかったとしてもリスクが発生します。その事について解説していきます。

トリミングサロンで受け入れを断られる可能性

ワクチン未接種の場合、ウイルス感染のリスクを懸念してトリミングサロンでの受け入れを断られる可能性があります。

トリミングサロンでは、家族以外の人から体を触られたり、ほかの動物の匂いが充満していたりするため、警戒心が強くなる犬も多いです。普段はおとなしくても、トリミング中に興奮してトリマーさんを引っ掻いたり噛みついたりするトラブルは珍しくありません。トラブルが起きてもトリマーさんが病気のリスクにさらされないためにも、ワクチン接種を必須にしているところがほとんどです。

また、徹底したワクチン接種確認を行っていると、安全性の高いトリミングサロンとして信頼につながります。こういった理由から、ワクチン接種証明書の提示を必須にしている場合があります。

ほかの犬への感染リスクを高めてしまう可能性

ワクチン未接種の場合、トリミングサロンのほか、散歩に行くだけでもほかの犬への感染リスクを高めてしまう可能性があります。

噛んだり舐めたりする直接的な接触がなくても、排泄物や毛、洋服などに付着したウイルスが感染源になるケースもあります。「ほかの犬との交流を避ければ、ワクチンを打たなくても大丈夫だろう」と考える人もいるかもしれません。しかし、ほかの動物との交流を避けて散歩中の排泄物をきれいに処理したとしても、ウイルスが残っていたら感染源になりえます。

日本では、ワクチン接種の義務化により狂犬病の発生率がゼロになりました。このように動物を飼う人たちが責任を持つことで、人間だけではなく、ほかの動物たちの健康につながることを理解しておきましょう。

病気の症状が出たり重症化しやすくなる可能性

ワクチン未接種の場合、ウイルス感染した際に重症化しやすくなる可能性があります。

例えば、食欲不振、嘔吐、血の混ざった下痢などの症状から死亡リスクまである犬パルボウイルスは、混合ワクチンを打つだけで発病、重症化を予防できます。犬同士での感染も少なくないため、公園やドッグランなどは感染源になりやすいです。

また、子犬や老犬、基礎疾患のある犬は、免疫力や抵抗力が低下しやすいため、ワクチン接種が健康における重要な役割を持ちます。ワクチンはさまざまな病気に対する抗体をつけてくれるため、適切なタイミングで接種しましょう。

トリミング前に接種しておきたいワクチンの種類

トリミング前に接種しておきたいワクチンの種類

トリミング前に接種しておきたいワクチンには、混合ワクチン狂犬病ワクチンの2種類があります。それぞれの特徴について解説します。

混合ワクチン(5種・7種・9種など)

混合ワクチンは、複数の病気を予防するためのワクチンです。接種は義務化されていませんが、ウイルス感染のリスクがあるため、トリミングサロンに行くためには接種が必要です。

世界小動物獣医師会(WSAVA)の犬と猫のワクチネーションガイドラインでは、ワクチンの種類をコアワクチンノンコアワクチンに分類しています。

接種を推奨する対象ワクチンの種類
コアワクチンすべての犬ジステンパーウイルス犬パルボウイルス、犬伝染性肝炎犬アデノウイルス2型狂犬病
ノンコアワクチン地域やライフスタイルによってリスクのある犬のみ犬パラインフルエンザウイルス犬レプトスピラ症犬コロナウイルス(非推奨)

コアワクチンは、世界中で感染が報告されているかつ致死率の高い感染症から動物を守る抗体が含まれます。一方でノンコアワクチンの一部は、科学的なエビデンスが得られていない非推奨の抗体も含まれます。よって混合ワクチンは種類の多いものを接種する程安全というわけではありません。

基本的に5種以上の混合ワクチンを接種したら、一般的な感染症に対する予防効果が期待できます。さらに、山や川など野生動物が多く生息しているエリアに頻繁に出向くのであれば、レプトスピラ(ノンコアワクチン)を含むワクチン接種を検討してもよいでしょう。

トリミングサロンの多くは、コアワクチンを網羅する5種以上の接種証明書を提示できればペットを受け入れてくれます。もしも、混合ワクチンの種類に関する疑問があれば、各トリミングサロンに確認しましょう。

狂犬病ワクチン

狂犬病ワクチンは、名前のとおり狂犬病を予防するためのワクチンです。狂犬病に対する有効な治療方法は見つかっておらず、人間も犬も発病の後の致死率は100%といわれています。

とても危険な病気のため、日本国内ではすべての飼い犬に年1回のワクチン接種が義務付けられました。なお、狂犬病ワクチンの接種を怠ると20万円以下の罰金が科せられます。

現在、日本では狂犬病の発生率はゼロになっていますが、これはワクチン接種を義務化して徹底した対策のおかげです。しかし、いつ海外から狂犬病ウイルスの侵入があるかわからないからこそ、万が一の蔓延に備えた継続的なワクチン接種が重要です。

狂犬病は命に関わる病気だからこそ、トリミングサロンでもワクチン接種の確認を徹底しています。最後に接種してから1年以上経っていると、トリミングを断られることもあるため、1年に1回のワクチン接種を遵守しましょう。

ワクチン接種後に気をつけたいこと

ワクチン接種後に気をつけたいこと

年1回のワクチン接種は犬と人間の健康を守るために重要ですが、まれに副作用が起こる場合があります。また、ワクチン接種をしてからすぐに抗体がつくわけではなく、体に馴染むまでに一定期間が必要です。ワクチン接種から抗体がつくまでに気をつけるべきことについて解説します。

ワクチン接種直後は体調を観察する

ワクチン接種では、弱体化したウィルス、もしくは死滅させたウィルスを体内に注入します。基本的には安全性が高いとされていますが、個体によってはアレルギー反応が出る場合があります。そのため、ワクチン接種直後は、できるだけペットのそばで体調を観察してあげましょう。

確率としては低いものの、ワクチン接種から数分〜30分以内はアナフィラキシーショックの可能性があります。少しでも様子がおかしいと思ったら、すぐに動物病院に連れていきましょう。

また、半日〜24時間経ってから腫れ、赤み、かゆみ、嘔吐などのアレルギー反応が出る場合があります。こういった症状が出た際にも動物病院に連れていき、異常の有無を診断してもらうべきです。

ワクチン接種後のアナフィラキシーショックやアレルギー反応に対応できるよう、自宅から近い動物病院を選んだり、救急病院の場所を調べたりすると安心です。

激しい運動は避ける

ワクチン接種から2〜3日は、弱体化したウイルスが体内に潜伏することで一時的に免疫力が低下するので、激しい運動は避けましょう。

「ワクチンを打ったらほかの犬と遊ばせても大丈夫だろう」と考える飼い主さんも少なくないですが、実際には抗体がつくまで2週間程かかります。そのため、ワクチン接種から2週間はワクチン未接種と同じ状態であるという認識を持っておきましょう。

子犬の場合、免疫力や抵抗力が弱くてウイルス感染すると重症化しやすいので、ワクチン接種から2、3週間経つまで散歩は避けた方がよいといわれています。できる限り、ほかの犬や野生動物との接触のない環境で過ごしましょう。

成犬の場合、ワクチン接種をした日は、トイレのために軽い散歩をして、翌日以降は徐々にいつもの活動量に戻していくと安心です。接種当日は、疲れやすかったりアレルギー反応が出たりする可能性があるので、外部との接触はできる限り避けましょう。ドッグランや広い公園に行くと遊びたくて興奮してしまう犬もいるので、散歩コースにも気を配ることもおすすめします。

ただし、外で運動できないとストレスを抱えてしまう犬もいるため、代わりにたくさんスキンシップをしてあげるとリラックスしておうち時間を過ごしてくれやすいです。

シャンプーは行わない

ワクチン接種から2〜3日は、弱体化したウイルスが体内に潜伏することで一時的に免疫力が低下するので、シャンプーは避けましょう。

シャンプーやカットなどトリミングで行われることは、犬にとってストレスになりやすく、体力を消耗します。そのため、ワクチン接種をして免疫力が落ちている状態でトリミングに行くと、さらにペットに負荷がかかります。

ストレスによる体調不良やアレルギー反応などの懸念もあるため、3日〜1週間程は様子を見ましょう。なお、接種後2週間程シャンプーを避けるようにアドバイスする動物病院もあるため、個体差で気になることがあれば、担当医に相談してみてください。

また、ワクチン接種をする直前のシャンプーを含むトリミングも避けるべきです。トリミングを受けた後は疲労やストレスが溜まっている状態のため、連続してワクチン接種を受けるには、負担が大きくなるからです。

ワクチン接種前後に汚れや匂いが気になる場合、シャンプーやカットの代わりに市販のシャンプータオルやデオドラントスプレーなどを使うと衛生的です。

ワクチン摂取後の副反応の症状と対処法

ワクチン接種を受けた犬10,000頭のうち約30頭がアレルギー反応を示したとのデータがあります。このデータからわかるとおり、ほとんどの犬は問題ありませんが、万が一に備えた対策が必要です。

まず、ワクチン接種から数分〜30分以内に起こりうる副反応としてアナフィラキシーショックがあります。アナフィラキシーショックでは、以下のような症状がみられます。

  • グッタリとして反応が薄い
  • 舌が紫に変色する
  • 粘膜が白に変色する
  • 呼吸困難
  • 嘔吐

これらの症状がでたときには、症状に応じて酸素吸入、投薬(アドレナリン、ステロイド材、抗ヒスタミン薬)などが必要になるため、動物病院を受診してください。

アナフィラキシーショックとは別に、皮膚症状(腫れ、かゆみ、赤みなど)や消化器症状(嘔吐、下痢など)のアレルギー反応がでる場合があります。

このような場合、ワクチンが原因であれば、遅くとも24時間以内に症状がでるため動物病院での対症治療が必要です。

まとめ

まとめ

トリミングサロンでは、トリマーさんやほかの犬の健康を守るためにワクチン接種を必須にしている場合がほとんどです。ワクチン接種をすれば、ほかの犬や人間に病気をうつすリスクが軽減されるだけではなく、病気の発病や重症化を予防する効果もあります。

大切なペットと長く一緒に過ごすためにも、継続的なワクチン接種が重要です。また、ワクチン接種証明書が必要なトリミングサロンも多いので、1年以内に接種した証明書を持参しましょう。

参考文献

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