愛犬がじゃれつくつもりの甘噛みではなく、本気で噛みついてきて困っていませんか?「しつけ教室に通えば、この本気噛みは治るのだろうか…」と不安に感じている飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
本記事では犬の本気噛みとしつけ教室について以下の点を中心にご紹介します。
- 犬の本気噛みとは
- 犬の本気噛みの原因
- 犬の本気噛みをしつけ教室で治す方法
犬の本気噛みとしつけ教室について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
本気噛みとは?

本気噛みとは、犬が明確な意図をもって強く噛みつく行動を指します。単なる遊びや甘噛みとは異なり、「身を守りたい」「大切なものを奪われたくない」「相手を制御したい」といった本能的な動機が背景にあるのが特徴です。
なかでも、若くてエネルギーのある犬に多く見られ、噛む行動は犬にとって深刻な意思表示の一つとなっています。このような本気噛みを放置すると、行動がエスカレートする可能性があるため、早期の対応が欠かせません。
したがって、噛むことが望ましくない行動であることを、根気強く伝え続けることが大切です。
本気噛みの原因

犬はどうして本気噛みをしてしまうのでしょうか。以下でいくつかの原因を解説します。
痛みや不安感がある
犬が本気で噛んでしまう原因の1つ目に、痛みや不安感があることが挙げられます。
犬が突然本気で噛みついてきた場合、体のどこかに痛みや違和感を感じている可能性があります。
例えば、抱き方が悪くて関節に負担がかかったり、触れられたくない部位に触れられたりすると、痛みを回避しようと攻撃的になることがあります。これを疼痛性攻撃行動と呼びます。
また、神経系や感覚異常、認知症、てんかんなどの病気が関係している場合もあります。老犬は感覚(視覚や聴覚)の低下による不安から攻撃的になっている可能性もあります。
興奮して力加減ができない
犬が本気で噛んでしまう原因の2つ目に、興奮して力加減ができないことが挙げられます。じゃれ合いの最中にテンションが上がりすぎて、遊びの延長で強く噛んでしまうケースも少なくありません。
なかでも、若くてエネルギッシュな犬に多く見られ、過剰なスキンシップや放任状態が興奮を助長し、本気噛みにつながるリスクを高めます。また、社会化不足や愛情不足も背景にあることがあり、感情をうまく処理できずに噛んでしまうこともあります。
このような場合は、興奮を抑える習慣を身につけさせるとともに、飼い主さんも落ち着いて接することが大切です。
犬にとって嫌なことをされている
犬が本気で噛んでしまう原因の3つ目に、犬にとって嫌なことをされていることが挙げられます。
犬が「やめて!」という意思を示すために噛むこともあります。例えば、食事中に手を出したときや、苦手な部位を無理に触ったとき、お手入れや抱っこなどを強引に行ったときに、本気で噛みつくことがあります。
これは、犬が嫌なことから逃れるための防衛反応であり、「嫌なことをすれば攻撃して避けられる」と学習してしまうと、行動が固定化するおそれがあります。
また、気分が悪いときや、機嫌を損ねるようなできごとが重なった場合にも起こることがあるため、犬の気持ちや状態を察して無理強いしないことが大切です。
縄張りの気持ちが強い
犬が本気で噛んでしまう原因の4つ目に、縄張りの気持ちが強いことが挙げられます。
犬には本能的に、自身のテリトリーを守ろうとする性質があります。例えば、寝床やお気に入りの場所に人間が近づくと、「ここは自身の場所だ」と感じ、相手を排除しようとして強く噛んでしまうことがあります。
なかでも、リラックスしているときや休憩中に、不用意に近づいたり触れたりすると、防衛反応から本気噛みにつながることがあります。このような縄張り性の攻撃行動は、「安心できるスペースを侵された」と感じることによって起こると考えられています。
そのため、犬が安心できる環境を保ちながら、少しずつ人間が近づくことに慣れさせていくトレーニングが大切です。近づくときは急に手を出さず、まず優しく声をかけてから犬の様子を確認し、無理のない距離感で接しましょう。
ストレスを感じている
犬が本気で噛んでしまう原因の5つ目に、ストレスを感じていることが挙げられます。
運動不足や構ってもらえない寂しさ、トイレ環境の不快感、音や光などの刺激が日々積み重なると、精神的に追い詰められ、突発的に噛んでしまうなどの攻撃的な行動に出ることがあります。
また、噛むたびに状況が改善されるという経験を繰り返すことで、その行動が定着してしまう点にも注意が必要です。本気噛みを根本から改善するには、まずはストレスの原因を見つけて取り除くことが大切です。
生活環境を見直し、犬が安心して過ごせる空間を整えましょう。加えて、十分な遊びやスキンシップを日常に取り入れ、リラックスできる時間を意識的に増やしていくことが重要です。
甘噛みと本気噛みの違い

甘噛みと本気噛みの違いは、主に噛む目的と力の強さにあります。甘噛みは、犬が遊びやコミュニケーションの一環として行うもので、相手を傷つける意図はありません。力加減は軽く、歯を強く噛みしめることなく「あぐあぐ」と繰り返すような動きが見られます。
なお、成犬になると顎の力が増すため、甘噛みでも軽い傷ができてしまうことがあります。
一方で、本気噛みは恐怖や防衛本能に基づく、明確な攻撃行動です。自身を守ろうとしたり、大切なものを奪われまいとする際に、犬は強い力で相手に噛みつきます。歯を深く食い込ませたり、首を振るような動作を伴うこともあり、ダメージはより深刻です。
このように、本気噛みは精神的に追い詰められたときに起こることが多く、重大なケガにつながることもあるため注意が必要です。
しつけ教室で行われる本気噛みの改善の内容

しつけ教室では、犬が本気噛みをする原因を理解し、その行動を改善するためのトレーニングが行われています。
まず、犬に「人間を噛むと傷つける」ということを学ばせるため、遊びのなかで噛まれた際には飼い主さんが「痛い!」と大きな声で叫び、すぐに遊びを中断します。この対応を繰り返すことで、犬は「噛むと楽しい時間が終わる」と学び、噛む行動が好ましくないことを認識していきます。
さらに、犬が噛む前に見せるサイン(歯を見せる、お口を開けるなど)にも注意を向け、そうした兆候が現れた時点で遊びを止めるタイミングを早めていきます。そのようにすることで、噛みつき行動を未然に防ぐことが目指されます。
また、噛もうとした際には、無言でその場を離れたり、別の活動に切り替えることで、「噛んでも遊びは続かない」ということを学ばせます。ここで重要なのは、犬に対して過剰に騒いだり怒鳴ったりせず、冷静に無視を貫くことです。
これらのトレーニングを積み重ねることで、犬は徐々に噛む行動を控えるようになっていきます。
犬の本気噛みを改善する際にやってはいけないこと

犬の本気噛みを改善するにはトレーニングが必要ですが、ここでは注意すべき点を紹介します。
犬を放置する
犬の本気噛みを放置することは、問題の解決にはつながりません。むしろ、後々大きなトラブルを引き起こす原因となります。
噛み癖をそのままにしておくと、成犬になった際に噛む力が強くなり、思いがけない大怪我を引き起こす恐れがあります。特に大型犬では、飼い主や家族、ほかの犬に深刻な傷害を与えるリスクが高まります。
また、噛み癖が改善されていないと、日常的なケア(ブラッシングやシャンプー)が難しくなり、健康管理にも支障が出ます。さらに、動物病院での診察やトリミングサロンの利用も困難になり、ケアを受けさせることが難しくなる場合もあります。
このように、噛み癖は放置することでリスクが拡大するため、早期にしつけを行い、問題行動に向き合うことが重要です。
長時間しつけをする
犬の噛み癖を改善するために、長時間しつけを行うことは逆効果となります。犬の集中力には限界があるため、1回のしつけは10〜15分程度にとどめ、飽きてきた様子が見られたら早めに休憩を取ることが大切です。
無理に続けると、犬が疲れて集中できなくなり、かえってしつけの効果が薄れてしまいます。噛み癖の改善には根気が必要ですが、焦らず少しずつ積み重ねることが重要です。
毎日短時間ずつしつけを繰り返すことで、犬が噛む行動を抑えるための学習が定着しやすくなります。
暴力でしつけする
犬のしつけに暴力を使うことは、避けるべきです。暴力的な方法は犬との信頼関係を壊し、問題行動をかえって悪化させる原因となります。
暴力によって犬をしつけようとすると、犬は飼い主さんを恐れるようになり、しつけが進まないどころか、攻撃的な行動に出たり、心を閉ざしたりする可能性があります。さらに、繰り返される暴力により、犬が痛みに慣れてしまい、しつけそのものが効かなくなることもあります。
犬のしつけには、愛情と一貫性が不可欠です。暴力的な手段に頼るのではなく、優しさを持って根気強く教え、信頼関係を築きながら行動改善を目指すことが大切です。
犬のしつけは、暴力的な手段ではなく、正しい方法で根気強く行い、犬自身に行動を学習させることが大切です。犬の健康と心を守りながら、行動改善に取り組みましょう。
自宅でできる犬の本気噛みをしつける対策

自宅で行える犬の本気噛みの改善方法について、以下で紹介します。
なるべく犬にストレスを与えない
犬が本気噛みをする原因の一つに、強いストレスがあります。不安を感じると、その感情が攻撃性となって現れることがあります。遊びの時間や散歩の頻度、食事内容、運動不足、環境の変化など、犬の生活にはストレスを引き起こす要因が多く潜んでいます。
まずは飼い主が犬のボディランゲージを理解し、何にストレスを感じているかを把握することが大切です。例えば、犬がお腹を見せる行動は降参のサインですが、無理に触れ続けるとさらなるストレスを与えることもあります。
愛犬がリラックスできる環境を整え、日常的にストレスをできるだけ抑えることが、本気噛みの予防につながります。安心して過ごせる空間づくりを意識し、犬の心に寄り添った対応を心がけましょう。
しっかりと叱った後一時的に無視をする
犬が本気で噛んだ場合は、まず冷静に「駄目だよ」と短く叱り、その後すぐに愛犬と一時的に距離を置きましょう。無視することで、犬は「噛んだら遊びが終わる」「相手にされない」という結果を学び、噛む行動を控えるようになります。
叱った後、犬が反抗的な態度を取ることもありますが、飼い主が動揺すると逆効果です。常に冷静な態度を保ち、毎回同じ対応を繰り返すことで、犬にルールを理解させることが重要です。
また、腕や足を噛まれた際に大きな声で叱ると、犬が遊びと勘違いする恐れがあります。叱るときはシンプルな言葉で短く、落ち着いて伝えるようにしましょう。
遊びのときに噛まれた場合も、すぐに遊びを中断し、無視して距離を取る対応を徹底することが、噛み癖改善への近道となります。
「おすわり」「まて」のしつけを繰り返す
犬が本気噛みをしそうなときや興奮しているときには、「おすわり」や「まて」の指示を使ったしつけがおすすめです。これらの基本動作を繰り返し教えることで、犬の興奮を抑え、攻撃的な行動を防ぐ助けとなります。
「おすわり」や「まて」は、犬を落ち着かせるだけでなく、飼い主さんとの主従関係を強化する効果も期待できます。ただし、この方法は一時的な対処にとどまることもあるため、根本的な改善には時間をかけて取り組む必要があります。
トレーニングでは、犬が指示に従ったときにしっかり報酬を与え、成功体験を積み重ねることが大切です。日々のしつけを習慣化することで、犬の興奮を抑え、本気噛みのリスクを減らせるでしょう。
生活環境を整える
犬が本気噛みをする場合、攻撃的な行動が出やすい環境を見直し、犬が安心してリラックスできるスペースを整えることが重要です。
例えば、リビングで自由に過ごしている犬が、家族が近づいたときに吠えたり噛みついたりするケースがあります。このような場合には、サークルやクレートを設置して犬専用の落ち着ける空間を確保することで、攻撃行動を防ぐ効果が期待できます。
また、屋外で係留中に攻撃的になる場合には、より安全性の高い場所に移動させることで、不要な刺激やストレスを減らせます。
このように、犬が自身だけの安心できるスペースを持つことで、攻撃的な行動が抑えられ、噛み癖の改善にもつながります。生活空間を分けることは、犬にとっても飼い主にとっても、ストレスを軽減する方法です。
まとめ

ここまで犬の本気噛みとしつけ教室についてお伝えしてきました。犬の本気噛みとしつけ教室の要点をまとめると以下のとおりです。
- 犬の本気噛みとは犬が明確な意図を持って強く噛みつく行動を指し、放置しておくとエスカレートする恐れがあるため、しつけが欠かせない
- 犬の本気噛みの原因には、痛みや不安感があったり、興奮して力加減ができなかったり、縄張り意識やストレスを感じていたりすることが挙げられる
- しつけ教室で行われる犬の本気噛みのトレーニング方法は、犬が本気噛みをする原因を理解し、噛まれた際や歯が当たった際は、「痛い!」と大きな声で叫んで遊びを即中断するなどの行動を繰り返し、学ばせていく
犬の本気噛みを改善するには根気強さが大切ですが、愛犬との健康的な日々を過ごすためにも、しつけ教室などを検討してみましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。