愛犬の無駄吠えが止められず、ご近所トラブルに発展しないかと悩んでいる飼い主さんもいるでしょう。吠える原因がわかれば対処方法が見つかり、無駄吠えが改善できる可能性があります。
しかし、愛犬がなぜ吠えているのかご自身で原因を突き止めるのは難しいでしょう。犬の習性に詳しいドッグトレーナーなら、原因を突き止め改善に近付けることが可能です。
この記事では、しつけ教室の選び方や料金、犬が吠える原因などを解説します。愛犬のしつけ教室選びの参考になれば幸いです。
犬が吠える主な原因
犬が吠える原因を知ることは、無駄吠え改善のトレーニングを行うためにも必要なことです。吠える主な原因は次のとおりです。
- 要求
- 警戒
- 恐怖心や不安
- 退屈
- 興奮
ご自身の愛犬が吠える理由もこのどれかに当てはまります。それぞれの原因を具体的に見ていきましょう。
要求
周囲の人間に何かを要求して吠えるケースはよくあります。飼い主さんがご飯を食べていると欲しがって要求吠えをしたり、遊んで欲しくて要求吠えをしたりと、日常のなかで頻繁に起こり得ます。
要求が通るまで執拗に吠え続け、根負けして愛犬の要求に応じてしまう飼い主さんもいるでしょう。要求に応じないつもりでいても、大きな声で吠え続ける状況には耐えられないものです。
我慢できずに要求に応じてしまうと、要求吠えはますますエスカレートします。吠えることで要求が通る経験を繰り返すうちに、犬は吠えれば望みが叶うと学習してしまいます。
要求吠えを覚えた犬の無駄吠えをやめさせるのは容易ではありません。
警戒
犬は危険を感じたり何かを警戒したりするときにも吠えます。得体の知れないものから自分や飼い主さんを守ろうとするためです。
警戒の対象となるのは、知らない人間・聞きなれない音・見慣れない物などです。威嚇して相手が近付かないようにしたり、危険が近付いていることを飼い主さんに知らせたりする意味もあります。
子犬の頃には警戒心による吠えはあまり見られませんが、生後7ヶ月を過ぎると警戒して吠えるようになります。犬の本能で吠えているため、ご自身でやめさせるのは難しいでしょう。
恐怖心や不安
臆病な性格の犬だと、恐怖心や不安が無駄吠えの原因となっていることがあります。
子犬の頃に室内で過ごすことが多く、たくさんの人や動物に触れ合う機会が少なかった犬は、臆病になりやすい傾向にあります。
臆病な犬にとっては、飼い主以外の人や動物・外の世界などさまざまなものが恐怖の対象です。怖いと感じる相手や周囲の物に対して、これ以上自分に近付かないよう警告するために吠えています。
また、飼い主さんが出かけようとすると不安になって吠える犬もいます。子犬の頃から常に家族がそばにいて一人になることに慣れていない犬は、留守番に不安を感じやすいものです。
飼い主さんがベランダや庭に出ただけでも、不安で部屋に戻るまで吠え続けることがあります。生まれつきの臆病な性格や子犬の頃からの生活環境により、恐怖心や不安が芽生えて吠える原因となります。
退屈
体力が余っていると犬が退屈して吠えやすくなります。若くて体力のある犬は遊び足りないとストレスが溜まり、少しの刺激でも吠えるきっかけになります。
人間には聞き取れないような小さな物音にも反応して吠えるため、何に吠えているのかが飼い主さんにはわかりません。退屈なときは抑揚のない単調なリズムで吠え続けるのが特徴です。
吠える以外にも自分の体毛をむしり取ったり、物を壊したりする行動が見られるときは、退屈でストレスが溜まっている可能性があります。退屈が原因で吠えているなら、散歩や遊びを増やすことで改善が期待できます。
ストレスが発散できればわずかな物音や変化に反応して吠えることは減るでしょう。
興奮
犬はうれしいことや楽しいことがあると興奮して吠えます。興奮して吠えるときは尻尾を振ったり、落ち着きなく飛び跳ねたりするのが特徴です。
大好きなボール遊びをしながら、楽しくて吠えている犬もいるでしょう。散歩が好きな犬なら支度を始めるとうれしくて吠えることもあります。
ただし、遊びや散歩の支度時には「早くボールを投げて欲しい」「早く散歩に行きたい」といった要求吠えが混ざっていることがあります。興奮して吠えているのか要求して吠えているのかは少し見極めが難しいでしょう。
いずれにしても、犬は自分にうれしいことや楽しいことが起きると興奮して吠えることがあります。
無駄吠えが起こりやすいシーン
日常生活のなかで犬が吠えやすいのは以下のシーンです。
- 散歩中
- 来客時
- 留守番中
- 飼い主の帰宅時
ご自身の愛犬がどのような場面で吠えるのかを把握しましょう。しつけ教室を検討しているなら、愛犬が吠えやすい場面をドッグトレーナーに伝える必要があります。
散歩中
散歩中の無駄吠えは興奮・警戒・恐怖・要求など複数の要因が混在していることがあります。
外に出た直後はうれしい気持ちから興奮して吠えることがありますが、少し経つと興奮が冷めておとなしくなることがほとんどです。
人間や犬が好きな愛犬なら、散歩中に出会った人や犬と遊びたくて要求吠えをすることがあります。逆に、臆病で知らない人や犬が苦手な愛犬なら、警戒心や恐怖心から吠えることがあるでしょう。要求と警戒、どちらのケースも吠える対象の人や犬が過ぎ去るまで吠え続けます。
愛犬よりも先に人や犬が来るのを飼い主さんが見つけて、吠える前に距離を取りましょう。おすわりやふせの指示を出して待たせ、おやつで気をそらすことでほかの人や犬に意識を向けないようにしましょう。
来客時
来客があるとうれしくて興奮して吠えたり、警戒して吠えたりします。インターホンの音が鳴ると人が来ると学習している犬が多く、インターホンの音と同時に吠え始めます。
インターホンが鳴っても吠えさせないしつけが必要です。インターホンの音が聞こえたらクレートやケージに入るように教え、入ったらご褒美におやつを与えます。
宅配業者のように短い時間で帰る訪問客であれば、対応中はクレートのなかでおやつを食べながら待たせ、吠えさせないように対処します。吠えずにクレートに入ればご褒美がもらえると学習させましょう。
留守番中
留守番で飼い主さんと離れると不安で吠え続ける犬がいます。一人で過ごすことに慣れていないと、飼い主さんの帰りを安心して待つことができません。
留守番の間ずっと吠え続けるようなら、分離不安症の可能性があります。分離不安症は放置すると悪化することもあるので、早めに獣医師やドッグトレーナーへの相談が必要です。
飼い主さんが出かけて数分で吠えるのをやめるようなら、分離不安症の可能性は低いでしょう。外出時に毎回おやつをあげていけば、留守番が嫌なものではなくよいものとしてイメージが定着します。
飼い主の帰宅時
飼い主さんが帰宅すると、うれしくて興奮して吠える犬は多いでしょう。愛犬にとってうれしい瞬間ですが、無駄吠えはやめさせたいものです。
無駄吠えをしているときに飼い主さんが近付いてかまってあげるのは、避けなければなりません。目をあわせずに無視して、手洗いや着替えなどを行います。
おすわりやふせなどの指示を出しておとなしくなるようなら、吠えるのをやめた瞬間に褒めて撫でてあげましょう。吠え始めたら再び目をそらして、その場を離れます。
吠えなければかまってもらえるという経験を繰り返すうちに、帰宅時に興奮して吠えるのをやめるようになります。
無駄吠えが原因で起こりやすいトラブル
無駄吠えが頻繁に起こると、近隣とのトラブルにつながる可能性があります。飼い主さん自身が無駄吠えをうるさく感じるなら、近隣住民も同様に感じている可能性があります。
現時点で苦情がなくても今は我慢しているだけで、いずれ苦情が出ることもあるでしょう。閑静な住宅街ほど無駄吠えの音が響きやすく、苦情につながりやすい傾向があります。
しつけ教室で愛犬の無駄吠えを改善できる?
しつけ教室でトレーニングを行えば、愛犬の無駄吠えを止められる可能性があります。
ドッグトレーナーは犬がなぜ吠えているのかを見極め、原因にあった対処法を行います。飼い主さん自身での改善は難しくても、知識をもったトレーナーは改善が得意です。
無駄吠えの度合いや性格によっては、数ヶ月かけて何度も通わなければならないケースもあるでしょう。しかし、プロのトレーナーによるしつけを根気強く行うことで、無駄吠えの改善が望めます。
無駄吠えを改善するためのしつけ教室の選び方
無駄吠え改善のためにどのようなしつけ教室を選ぶかはとても重要です。しつけ教室を選ぶ際にチェックした方がよいポイントは、以下の4つです。
- 無駄吠え改善のトレーニングが可能か確認する
- トレーニングの方式を確認する
- トレーニングの経験が豊富か確認する
- トレーナーが資格を保持しているか確認する
それぞれのチェック項目を詳しく解説します。
無駄吠え改善のトレーニングが可能か確認する
無駄吠えの改善を目指すなら、それに特化したトレーニングができるしつけ教室を選びましょう。しつけ教室やトレーナーごとにそれぞれ得意分野があり、無駄吠え改善のトレーニングが得意な教室もあります。
通いやすさや料金ばかりに目を向けずに、悩みを解決することを第一に考えます。犬の性格や吠え癖の程度などを伝え、改善できる見込みがあるかを確認しましょう。
カウンセリングを受けると、しつけ教室ごとに少しずつ違った返答が返ってくるはずです。それぞれの返答を参考にしながら、無駄吠えの改善が期待できる教室を選びましょう。
トレーニングの方式を確認する
どのようなトレーニング方式で行うかも確認が必要です。トレーナーと犬との1対1で行うのが一般的ですが、なかにはグループトレーニングを採用しているところもあります。
さらに、トレーニングのたびに教室に通うスタイルと、数日から数ヶ月のホームステイで行うスタイルに分かれます。リモートや出張でのトレーニングに対応している教室もあり、トレーニング方式はさまざまです。
愛犬の性格や癖によってもどのスタイルがあうかは変わるため、トレーナーと相談しながら決めるとよいでしょう。
トレーニングの経験が豊富か確認する
知識だけでなく経験も豊富なトレーナーを選ぶのが理想です。さまざまな性格の犬と関わり、トレーニング経験を積むことでトレーナーのスキルも上がっていくからです。
経験の浅い新人にすべてを任せるのではなく、ベテランがしっかりと指導してくれる教室を選ぶと、不安なく任せられるでしょう。今までどのような性格の犬のトレーニングをしてきたか、無駄吠えの改善経験はどれくらいあるかなどを聞いてみましょう。
トレーナーが資格を保持しているか確認する
しつけを行う方が、ドッグトレーナーの資格をもっているかを確認しましょう。飼い主さんや愛犬との相性も大事ですが、トレーナーの質を重視することが重要です。
メジャーな資格はジャパンケンネルクラブや日本ドッグトレーナー教会の資格です。資格があるかはホームページ上で確認し、掲載されていない場合は直接聞いてみましょう。不安がある場合は資格証の提示を求めても問題ありません。
犬のしつけ教室の費用相場
しつけ教室の費用は単発か継続コースか、通いかホームステイかなどによって1回あたりの料金が異なります。出張サービスやリモートでの訓練を行っているところもあり、どれを選ぶかで料金はさまざまです。
費用相場の目安は以下のようになります。
- 単発:4,400~11,000円程(税込)
- 月5回コース:44,000円前後(税込)
- 月10回コース:88,000円前後(税込)
- 月15回コース:123,750円前後(税込)
- 1ヶ月ホームステイコース:63,000~242,000円程(税込)
- 初回カウンセリング:3,300円~6,600円程(税込)
- 入会費:22,000円前後(税込)
しつけ教室によって設定されているコースの回数は異なるため、6回コースや12回コースで行っているところもあります。小型犬・中型犬・大型犬と、犬の体格が大きくなる程料金が増すケースがほとんどです。
トレーニング料金が安いところは、初回のカウンセリングが有料になっているなど、オプション料がかかることもあります。オプション料の種類は、出張費・エアコン代・ドッグラン貸切料・体調不良時の受診代行料など、教室ごとにさまざまです。
初回のカウンセリング料や入会金がかかる場合もあるため、トレーニング以外の費用にも注意が必要です。
まとめ
この記事では、愛犬が無駄吠えをする原因やしつけ教室の選び方などを解説しました。
犬が無駄吠えをする原因は要求・警戒・不安・興奮などさまざまです。無駄吠えの改善が得意なしつけ教室を選べば、無駄吠えの悩みが解決する可能性があります。
今までご自身でしつけを試みたけどうまくいかなかった方も、プロのトレーナーに頼る方法があります。無駄吠えが収まれば近所から苦情がくる心配がなくなり、飼い主さん自身も快適に愛犬と暮らせるでしょう。
参考文献