犬がリードを引っ張る癖はしつけ教室で直せる?放置するリスクや指導内容、対処法も解説

犬がリードを引っ張る癖はしつけ教室で直せる?放置するリスクや指導内容、対処法も解説

犬が散歩中にリードを引っ張ることがありますが、最近リードを引っ張るようになったのか、引っ張る行為は癖なのか?と、悩んでいる飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

また、飼い主さんによってはしつけのつもりでリードを引っ張るとき、こんなに強く引っ張っても大丈夫なのかと心配した経験があるはずです。

犬の散歩をもっと快適に行うには、引っ張り癖を改善する必要があります。しつけトレーニングを自分で行ったり、しつけ教室に通ったりと、改善方法はさまざまです。

本記事では犬がリードを引っ張る癖の理由から飼い主さんの対処方法、しつけ教室での指導方法まで紹介します。悩み解決のお手伝いになれば幸いです。

犬がリードを強く引っ張る理由

散歩中の犬

犬にとって散歩は大切な時間です。しかし、飼い主さんにとってはリードを強く引っ張られてストレスを感じることも少なくありません。

今までしなかったのに、突然引っ張るようになったなど、飼い主さんも戸惑うはずです。

犬にとって、リードでつながれて飼い主さんと同じ速度で歩くことは、本来自然な行動ではありません。

オオカミの子孫である犬は、人間よりもはるかに速い速度で移動する動物であることを認識しておきましょう。

引っ張る行為が癖になっている犬もいますが、犬がリードを強く引っ張ってしまうのには、いくつかの理由があります。犬なりの感情や本能が関係しているので、理由を解説していきます。

楽しさや好奇心で興奮している

散歩は犬にとって、楽しくて仕方がないと興奮状態を引き起こす行為です。犬本来の狩猟本能が掻き立てられ、さらに大好きな飼い主さんと行く散歩はうれしくて仕方がありません。

また、外の世界は犬にとっては刺激的で、好奇心を掻き立てられる物がたくさんあります。大好きな飼い主さんと一緒に遊べることから、犬にとっては常に興奮状態です。

犬は興味あるものに本能的に反応して近づこうとするため、リードを引っ張ってしまいます。

距離感がつかめていない

犬は散歩中は、飼い主さんとの距離を気にしながら歩いています。

長めのリードを使っていると、犬は飼い主さんとの距離がどのくらい離れているのか、距離感をつかむことが難しいようです。そのため、飼い主さんは意識しておく必要があります。

リードのなかには、伸びたり縮んだりする伸縮リードとよばれるタイプもあり、よく使っている飼い主さんもいるのではないでしょうか。

しかし、ふだんの散歩で頻繁に使うのはおすすめできません。なぜなら、好奇心旺盛な犬をコントロールするのが大変で、自由に動き回るようになるからです。

また、事故やペット同士のトラブルを引き起こす可能性もあります。

散歩のときに自由に動き回ってよいと犬が理解してしまうと癖として残り、ほかのリードに変えた際に、引っ張る癖を直すのに苦労することになります。

ストレスや不安を感じている

匂いを嗅ぐ犬

機嫌よく散歩に出かけ、突然リードを引っ張る行為があった場合は、犬が急なストレスや不安を感じているかもしれません。

犬が散歩中にいつもと違う道や見慣れない景色、人や物に出会うと、不安になって逃げ出そうとする行動がみられることがあります。

特に神経質な犬は急変する天気や突然初めて耳にする音など、意外と些細なことにも敏感に反応し、必死で引っ張ってしまうことがあります。

飼い主さんも何にストレスを感じているのかしっかりと見極め、引っ張っている場所から早く離れ、可能なら少しずつ慣らしていく練習をしましょう。

危険を感じている

嗅覚の鋭い犬は散歩中も常に匂いに敏感です。ストレスや不安と同様に飼い主さんにはわからない危険を感じています。

ここから早く離れたい、逃げたいという感情から、通常の散歩中に急な行動をとります。ほかの犬から威嚇されているなど、飼い主さんが気付きにくい危険もあるでしょう。

そのような危険のある場所をいつも散歩している場合は、犬が毎回同じような行動をとることがあります。そうした犬の行動を、飼い主さんがしっかりと把握しておくことが大切です。

犬の引っ張り癖を放置するリスク

リードを引っ張る

犬が散歩中にリードを引っ張る原因はさまざまですが、飼い主としては楽しくリラックスした気持ちで散歩がしたいと考える人も少なくありません。

引っ張り癖を放置することは、飼い主さんだけでなく犬にとっても、大きなリスクになります。

放置するリスクは犬がけがをしたり、事故に巻き込まれたりする危険があり、健康に害を与えます。

また、飼い主さんとの主従関係がうまく築けない可能性もあるため、犬と飼い主さん双方にとってさまざまなリスクが生じるでしょう。

信頼関係が構築されない

犬は本来、群れで生活する動物のため本能としてリーダーが存在し、リーダーの指示に従うことで安心感を得ます。

家庭で飼育されている犬も同様に、飼い主さんがリーダーシップを発揮することで、犬と信頼関係が築かれていくでしょう。

主従関係をしっかりと築くには、飼い主さんが一貫したルールを守り、毅然とした態度で接することが大切です。

褒めたりご褒美をあげたりすることで、犬も信頼感をもって従うようになります。

散歩中も同様に飼い主さんがリーダーとして犬と適切な主従関係を築かれていないと、犬はストレスを感じ、問題行動を引き起こす可能性も高まります。そのため、犬との主従関係はとても大切です。

犬が事故にあうリスクが高まる

犬がリードを引っ張ることによって引き起こされる事故があります。犬だけではなく飼い主さんも事故にあう可能性が高いようです。

リードを引っ張ることは、犬が前にいる状態なので曲がり角や交差点で飼い主さんが安全確認ができず人や自転車、車と接触する事故が起こるリスクがあります。

犬がリードを引っ張ることにより飼い主さんが思わずリードを離してしまい、突発的に飛び出し、交通事故にあうケースも少なくありません。

たとえ小型犬でも、不意に引っ張られると転倒したり、リードを手放したりすることがあります。犬をしっかりとコントロールできる大人がリードを持つようにしましょう。

犬の首に負担がかかる

リードは首輪につながれるケースが少なくありませんが、実は犬の首は生理学的にみて人間の首とよく似ています。

解剖学的にも人の首と犬の首は気管、食道、甲状腺、リンパ、頸静脈と頸椎がある位置がたいへん酷似しています。

首についたリードを引っ張る行為は、犬の首の損傷リスクが高いようです。たった一度のハプニングで首や喉に重度の損傷を引き起こすことも否めません。

健康そうにみえて、実は喉や背中を痛めていたことも珍しくはありません。犬は人間と違い痛みや苦痛の感じ方が、大きく異なります。

首輪で強く圧がかかっても、自分の興味のある方へ引っ張り続けます。したがって、飼い主さんの適切な対応が重要です。

引っ張る癖のある犬への対処法

散歩中の飼い主と犬

引っ張る癖を持つ犬との散歩でおすすめできない行動として、犬がリードを引っ張っている最中に「駄目」や「No」と強く言いながら犬を引き寄せる行為です。

犬に気付いてほしいからと、犬の首にあえて圧をかける飼い主さんも少なくないでしょう。この方法では、引っ張り癖は直りません。

威圧的に声を出すことは、一時しのぎとして犬は理解するので、気を付ける必要があります。

すぐにできる対処方法を3点紹介するので、まずは始めてみましょう。

犬が引っ張る理由を明確にする

犬がリードを引っ張る理由を前述で紹介しましたが、飼い主さんそれぞれの環境が異なるので、犬を観察して明確な理由を導き出しましょう。

犬種によっても個性があり、理由も違うはずなので、まずは自身が飼っている犬種の特徴を知る必要があります。

社交的な犬は好奇心旺盛なので、日常生活でよくみる人や物に慣れることが必要です。また、犬同士の社会性も無理のない範囲で少しずつ慣らしましょう。

繊細な犬はストレスや不安に敏感なため、飼い主さんは犬がどのようなものや状況にストレスを感じるのかを見極めて、散歩する必要があります。

使用しているリードを見直す

現在使っているリードをあらためて見直してみましょう。短すぎると犬が自由に動けないためストレスを感じやすいです。

反対に、長すぎると自由に動き回る犬をコントロールするのが難しくなるため事故やトラブルの原因になります。

理想的なリードは1〜2mほどで犬種によっても異なり、飼い主さんが手を下ろしたときに、犬の首の位置から少しリードが弛む程度の長さです。

伸縮リードを使っている飼い主さんは、安定した散歩が可能になるまでは、普通のリードを使いましょう。

犬用リードには強度の差があり、ロープ部分やナスカンが破損することもあります。個体差がある犬の引っ張る力は必ずしも体重に比例しないことがわかっています。

毎回の散歩の前に事故防止のためにも、リードの点検をしましょう。

犬が引っ張っている間は動かない

犬がリードを引っ張っている間は、飼い主さんは立ち止まったり、進んだりしないようにしましょう。また、リードを持つ手は伸ばさず、最初の位置から変わらないことが大切です。

リードがピンと張られた状態では絶対に動かず、優しく「おいで」と声をかけ、犬が隣に来るまで待ちましょう。犬の位置とリードのたるみがしっかりと確認できたら、ふたたび歩き出します。

しかし、リードの引っ張りをやめない場合は、方向を変えて引き返すことも有効的です。これらの繰り返しが引っ張り癖の改善の第一歩になります。

しつけ教室で犬の引っ張り癖は直せる?

しつけ訓練中の犬

引っ張り癖を飼い主さん自ら改善する取り組みもできますが、根気強く、犬の様子をみながらしつける必要があります。

いつまでたっても改善がみられないと、犬ばかりではなく飼い主さんも散歩がストレスに感じるはずです。困ったとき頼れるのが、プロの力になります。

しつけ教室では、短期間で改善ができるケースもあります。ほとんどのしつけ教室では、引っ張り癖の原因を見極め、犬と飼い主さんが一緒にトレーニング可能です。

犬種によっても違いがあり、飼い主さんの性格も異なるため、しつけ教室ではそれぞれの原因を見極めて指導していきます。

しつけ教室での引っ張り癖に対する指導内容

散歩中のトイプードル

しつけ教室では、リードの扱い方からリーダーウォーク、アイコンタクトなどを中心に指導が行われます。犬の性格や特性に合わせて、指導方法はさまざまです。

しつけ用として使われる道具の一種であるハーフチョークやチョークチェーンを使用して、引っ張り癖の改善のトレーニングをしていきます。

アクセサリーとして使用する飼い主さんも増えていますが、チョークチェーンは正しい使い方をしないと、犬の喉を痛めてしまう可能性もあるのでしつけ教室でしっかりと学びましょう。

ハーフチョークやチョークチェーンで気づかせる

遠くを見る犬

引っ張り癖のある犬のしつけに使われるチョークチェーンは、犬が引っ張ると自動的にチェーンの輪の部分が締まり、テンションをかけなければ緩む構造になっています。

興奮状態や指示を聞かない犬に対して、首が締まることで犬に気付かせ、意識を飼い主さんに向かせるのが目的です。

種類もすべての構造がチェーンタイプのチョークチェーンと、喉元の部分だけがチェーンになっているハーフチョークがあり、小型犬にはハーフチョークがおすすめです。

また、しつけ教室でプロの指導のもと、実際に体感してテンションをかけるタイミングなどを学ぶことをおすすめします。

リーダーウォークをしつける

犬と一緒に外を歩く際に、飼い主さんが主導権を握りながら歩く方法がリーダーウォークです。リーダーウォークを身につけるステップは、リードは緩めにもち、飼い主さんが先頭を歩きます。

犬が引っ張ってきたらその場に立ち止まりリードを引き締めて犬に気付かせ、優しく呼びよせ、再び前に進みます。

この流れを繰り返し、少しずつリードの長さを調整し、飼い主さんのペースに合わせていくのが最終目標です。

リーダーウォークを身につけると、犬との信頼関係が深まり、ストレスの少ない散歩ができるようになります。

犬をしつけ教室に連れて行くのに適したタイミング

地面の匂いを嗅ぐ犬

犬の行動発達時期を6つの時期に分類できます。新生児期、移行期、社会化期、若年期、成熟期と老年期です。

成長過程の社会化期はとても感受性が高い生後2〜3ヶ月の月齢を指します。しつけ教室に連れていく適切な時期は社会化期です。

この時期の経験は犬にとって大変重要であると考えられ、基本的な主従関係の構築から教育まですることで、問題行動の予防へとつながります。

各時期の継続的な参加も、犬とのコミュニケーションをさらに深めるうえで、修正やおさらいになるのでおすすめです。

まとめ

しつけされた犬たち

犬がリードを引っ張る癖の理由から癖を放置するリスクと対処方法まで解説してきました。

飼い主さんはしっかりと犬の本能を理解し、癖なのか突発的に行っている行為なのかを見極めて対応する必要があります。

悪い癖は放置すると犬の健康面、しつけ全体に悪影響が出ることがあります。日頃のトレーニングやしつけ教室に通うことで改善を目指しましょう。

特に生後2〜3ヶ月の子犬の時期にしつけを始めるのが適切です。

犬とは常にスキンシップや声がけで愛情を示し、信頼関係をうまく築き、しっかりとした社会性を身につけて楽しい散歩をしましょう。

参考文献