ペットのしつけ教室とアジリティーの違い|アジリティーのメリットや効果、注意点も解説

ペットのしつけ教室とアジリティーの違い|アジリティーのメリットや効果、注意点も解説

以前よりもマンションなどの集合住宅でペットを飼育する人が増え、周囲と共存するためにはしつけの重要性が高まっています。そこで、アジリティーについて耳にし、興味を持っている方もいらっしゃると思います。この記事では、ペットのしつけ教室とアジリティーの違いについてわかりやすくまとめました。ぜひご一読いただき、参考にしてみてください。

ペットしつけ教室とアジリティーの違い

 ペットしつけ教室とアジリティーの両方を行う場所もあれば、片方だけを行う場所もあります。愛犬をどちらに通わせたらよいか悩んでいる方のために、まずはアジリティーの概要と、それぞれの違いをご説明いたします。

ペットしつけ教室とアジリティーの違い
アジリティーとは何ですか?
英語でAgility、機敏性を指す言葉ですが、一言でいえば犬の障害物競争です。トンネルやハードルが設置されたコースを走り切るまでのタイムを競いますが、飼い主さんはハンドラーと呼ばれ、犬に指示を与えながらコースを並走します。

障害物は主に5種類です。
①ハードル:高さ調節のできるプラスチック製や木製のバーを跳びます。
②タイヤ:宙に浮いているタイヤの中心をくぐり抜けます。
③スラローム:ポールが一定の間隔に配置されており、縫うように進みます。
④ウォール:ハードルとは異なり、着地地点が見えない程高い壁を跳び越える、上級者向けの障害物です。
⑤チューブトンネル:直線やカーブでできた暗く狭いところを通り抜けます。

犬種を問わず楽しめますが、成績を競うのであれば向き不向きはあります。パグやブルドッグのような鼻の低い犬には呼吸器の負担が大きく、ダックスフントのような胴長の犬にはケガの危険性が高いので、あまりおすすめではありません。
アジリティーとペットしつけ教室ではどのような点が異なるのか教えてください
まず内容面では飼い主さんと犬のコミュニケーションを向上させるという点は共通していますが、アジリティーは運動を通じて、できるようになったことをほめることが中心に行われるのに対し、しつけ教室はトイレトレーニングなど、日常生活にしてはいけないことを理解させるため、必要に応じて叱る機会も出てくる点が異なります。

次に費用や設備ですが、アジリティーには一定の広さと設備が必要です。アジリティーレッスンを専門にしている場所もありますが、しつけ教室と併設されておりコースが選択できる場合もあります。費用については立地やさまざまな要因でかなり幅があります。

アジリティーについて

せっかく時間や費用をかけてアジリティーに挑戦するのであれば、飼い主さんとしてはアジリティーだからこそ得られる具体的なメリットをお知りになりたいのではないかと思います。以下によくあるご質問にいくつかお答えします。

アジリティーについて
アジリティーが犬に与える効果やメリットを教えてください
運動を通じて筋肉や持久力が強化といった機能改善はもちろんですが、アジリティーの課題をクリアすることで、犬も達成感を感じることができるため、精神的な成長につながります。日常生活では得られない刺激があるため、ストレス解消にもつながります。

体力があり余っていくら外遊びをしてもなかなか寝付いてくれない子どものように、毎日何時間も散歩に連れて行っても元気があり余っている犬に悩んでアジリティーを始める飼い主さんもいると聞きます。身体だけでなく頭も使うことで疲れるだけでなく充実感も得られますし、できることが増えてスキルが上がっていくと犬にも自信が芽生えることにつながります。

競技会でなければタイムや正確性を競う必要性はなく、それぞれの犬のペースで行うことができます。ストレスよりも飼い主さんの指示にしたがって障害物を乗り越え課題をクリアしていくことで集中力が増したり、思考力が高まったりというメリットもあります。
飼い主さんと犬の関係性にも影響を与えますか?
飼い主さんと犬のコミュニケーションが大変重要となるため、アジリティーを通じて信頼関係が高まると考えます。先に挙げたようにアジリティーでは叱るのではなくほめることがコミュニケーションの中心となります。

普段の生活ではどうしても吠え癖やリードの引っ張り癖など、問題行動ばかりが目についてしまう飼い主さんも、アジリティーでは犬とともに楽しむことも少なくありません。簡易的な障害物は自宅の室内や庭に置くこともできるので、レッスンのないときでも練習を兼ねた散歩以外のよい運動となるでしょう。
アジリティーで社会性が身につけられますか?
アジリティーでもしつけ教室でもグループレッスンがあります。アジリティーに取り組む準備段階としておすわり、まて、おいで、のような基本的な服役訓練(しつけ)ができていることでトレーニングを効果的に進められるため、ほかの犬といっしょに学んでいくこと、あるいはすでにできる犬を間近でみることは、普段の散歩とは違った刺激になります。

また、臆病で散歩が苦手な犬がアジリティーを通じて自信をつけ、進んで散歩に行くようになったという例もこれまでにはあります。

アジリティーを行う際の注意点

とはいえ、アジリティーにもよいことばかりではないと不安に思われるかもしれません。実際にレッスンを受ける際に飼い主さんが気になることをお尋ねするのはもちろんですが、まずレッスンに行く前段階で気をつけておきたい点を以下にいくつかお答えします。

アジリティーを始める前に確認すべきことは何ですか?
獣医師による健康面のチェックを受けることが重要です。ジャンプなどの激しい動きを伴うため、関節の成長途中である子犬や、筋力が衰え始めるシニア犬の場合は、より注意が必要です。飼い主さんと犬にとってメリットがあるというのはあくまで一般論ですので、無理をしてさせる必要はありません。体験したけれど向いていないように感じるなど、飼い主さんにしかわからない犬の変化もあると思いますのでご注意ください。
アジリティーの練習中に気を付けるべきポイントはありますか?
安全性を優先的に考えて練習するようにしましょう。コースや設備、用具などの環境面を確認するのはもちろん、適切な難易度のトレーニングを行うことも重要です。人間が行うスポーツと同じように考えればわかりやすいですが、コース全体を走る前に個々の障害物の練習をし、コースもはじめは単純なものから始めます。できなくてもほかの犬と比べずに、叱るような言葉は使わないように注意し、少しずつ難易度を上げていくことが飼い主さんと犬がともに楽しむポイントとなります。そして練習中はいつも以上に犬の様子に気を配り、十分な休憩や水分補給を行いましょう。不快感や普段見せないような疲労を示していれば、練習を中止し、必要に応じて獣医師に相談することも大切です。
アジリティー競技に参加する際の注意点を教えてください。
1978年にイギリスで始まったと言われており、日本では1990年代から始まり現在は競技会も開催されており、ドッグスポーツのなかでも広く行われているものの一つです。特に規模が大きい団体の一つにジャパンケネルクラブがあります。血統書については開催団体によっては必要ですが、誰にでも開かれており不要としている大会もあります。ただし、ケガや病気などの明らかな体調不良や妊娠中の犬は参加できませんし、参加後にドーピングが発覚すれば失格になります。

また、当日は犬自身がコース上で練習することはできませんが、飼い主さんは下見が可能です。この間に、どう走るかをシュミレーションし、犬へどのような指示を与えるかを考えることになります。当然ですが、基本的なマナーやエチケットにも注意をしてください。

競技会でしか味わえない魅力はありますが、レッスンや自宅での遊びでも十分にアジリティーを楽しむことはできます。競技に参加しなくてはいけないのではありません。犬が元々持っている性格があるので、歌うのが好きでも人前は嫌だという人もいるように、大人数の前ではパフォーマンスがうまくできない犬もいます。障害の前でためらったり順番を間違えたり飛ばしてしまったり、と減点の要素がさまざまです。出場するからには高得点を目指したいという気持ちになるのは避けられないものです。

編集部まとめ

しつけ教室とアジリティーの違いについて、アジリティーの説明を中心に解説いたしました。アジリティーは競技として知名度がありますが、競技として取り組まずともさまざまなメリットがあります。体力づくりはもちろんですが、目標を持って飼い主さんといっしょに取り組むことがペットの精神面にもよい影響を与えてくれます。自身のペットをしつけ教室とアジリティーのどちらに通わせればよいか悩んでいる人にとって、参考になれば幸いです。

参考文献