犬の噛み癖はしつけ教室で治る?噛み癖の原因や種類、なぜ噛み癖を治す必要があるのかを解説

犬の噛み癖はしつけ教室で治る?噛み癖の原因や種類、なぜ噛み癖を治す必要があるのかを解説

愛犬の噛み癖は、散歩やドッグランでほかのペットや人間に危害を加えてトラブルになる恐れがあります。子犬のうちは、甘噛みとして見過ごされがちですが、家族として迎え入れたときからトレーニングすることで噛み癖を解消できるでしょう。自宅トレーニングがむずかしい場合は、しつけ教室に通ってみてもよいでしょう。

こちらの記事では、犬の噛み癖でよくある原因と治すべき理由をお伝えしたうえで、しつけ教室でのトレーニング内容などについて解説します。愛犬の噛み癖に悩んでいる飼い主さんは、参考にして改善を目指してみてください。

犬の噛み癖の原因

犬の噛み癖の原因

犬の噛み癖の原因は、その子の性格や育てられた環境などさまざまな要因が関わってきます。飼い主さんとして「何が原因で噛むのか」を特定することで、改善するためのトレーニングメニューを組みやすくなるでしょう。

ここでは、犬の噛み癖がつくよくある原因を3つ解説します。

生活環境

犬の性格は、幼少期の生活環境や飼い主さんとの関係性(後天的な要素)により形成されるといわれています。子犬ほど生活環境の影響が強く、成長するとともに生活環境や飼い主さんとの関係性が強く影響します。警戒心が強かったり怒りっぽかったりする犬は、飼い主さんとの信頼関係が構築できても、知らない人やほかの犬には防衛本能による攻撃性がでてしまうこともあるでしょう。

間違ったしつけ

犬の噛み癖が治らない原因として、一貫性のないしつけの仕方が影響するといわれています。子犬の頃は噛み癖があっても甘噛み程度の力だとかわいいからといって放置したり撫でたりしてしまう飼い主さんがいます。このようなコミュニケーションをとっていると「噛む=構ってもらえる」と学習してしまうため要注意です。

高い声は「褒められている」「愛されている」と認識してしまうケースがあるため、コマンド(犬に特定の行動を要求するための言葉や合図)をするときは目をみて声のトーンを下げ、ゆっくりと伝えるように意識してみてください。このとき、声を荒げたり手を出したりしてしまうと、愛犬が飼い主さんに対して不信感・恐怖心を抱くことがあります。そのため、コマンドを出す際には冷静さを保ちましょう。

社会化や馴化の経験がない

早い時期から親や兄弟と離され、子犬の頃から社会化や馴化(じゅんか)の経験が不足してると、成長後の噛み癖につながりやすいです。

犬の社会化とは、飼い主さん以外の人間やほかの動物と触れ合う機会をつくることです。好奇心旺盛な子犬の頃から知らない人間や動物ともコミュニケーションをとることで不安感・恐怖心を抱きにくくなります。特に生後1〜3ヶ月を「社会化期」といい、最も大事な時期といわれています。

犬の馴化とは、ある特定の刺激に対して慣れるためのトレーニングです。トレーニングの具体例としては、騒音、新しい場所、首輪などが挙げられます。はじめのうちは首輪を嫌がるような子でも、毎日散歩に連れて行くことで徐々になれて嫌がらなくなれば、馴化の成果といえるでしょう。社会化や馴化による経験を積むと、防衛本能からでる攻撃性を抑制したり、愛犬自身がストレスを感じることなく日常生活を送れるようになります。

犬の噛み癖は3種類

犬の噛み癖は3種類

噛み癖のある犬は、必ずしも攻撃性を持っているわけではありません。飼い主さんやほかの動物に好意を持っているゆえに噛みついてしまう犬もいます。噛み癖の種類によって、異なる背景があるので、それを特定することで愛犬への理解が深まるでしょう。

ここでは、よくある犬の噛み癖を3つ解説します。

愛情表現の甘噛み

犬の甘噛みは、子犬が飼い主さんとコミュニケーションをとる際にでやすい行動で、攻撃的な意図はありません。歯の生え変わり時期に歯茎がムズムズしていたり、遊びの延長線上で噛むことで飼い主さんを楽しませたい・驚かせたいといった気持ちがでたりすることもあります。

子犬のうちは噛む力も弱いので、かわいいからとの理由で注意せずに見逃してしまう飼い主さんもいます。しかし「噛む=悪いことではない」と認識したまま成長すると、顎の力が強くなるため本気噛みにつながるリスクがあります。今まで許されていた行動が突然制限されると愛犬も困惑してしまい、飼い主さんとペットの信頼関係にも悪影響です。

甘噛みをはじめた頃から「人間や動物には噛んだらダメ」としつけをすることで、噛み癖予防に効果的です。噛んでもよいおもちゃを用意してあげると、噛むことが好きな子でも、ストレスなく日常生活を送れるようになります。

相手の反応を見る試し噛み

犬の試し噛みは、相手がどれくらいの強さまで許してくれるのか観察する際にでやすい行動で、相手の反応を見て噛む強さを調整します。新しく家族に迎え入れられた子やしつけのルールが曖昧で飼い主さんとのコミュニケーションに困惑している子がやりがちです。

甘噛みは許されていたのに噛む力が強くなった途端に怒られてしまうと愛犬は困惑します。また、注意するのではなく怖がったり構ったりする反応も逆効果で、噛み癖がエスカレートする原因になりやすいです。試し噛みをしはじめた時点で、適切なしつけをしてやめさせることで、飼い主さんとの信頼関係を維持しながら改善できます。

防衛としての本気噛み

犬の本気噛みは、性格のほかにも過去のトラウマや恐怖心、過度なストレスを感じた際にでやすい行動で、相手を傷つけるリスクがあります。犬の持つ顎の力は、小型犬で100kg、大型犬になると200kgを超えることもあります。小型犬が本気で噛めば、人間の骨は粉砕されてしまうほどの力です。

本気噛みは癖ではなく、自己防衛による本能的な行動の可能性が高いです。人間との信頼関係が崩壊していたり虐待を受けたりした犬は、人間が撫でようと手を伸ばしただけでも噛みつこうとします。このレベルであれば、忍耐強く向き合わなければなりません。同時に、家庭内で対処するのはむずかしいため、専門的なしつけ教室やトレーニングが必要です。トラウマの原因を特定して、それに適したしつけを行うと、心の傷が癒えて改善できる可能性があります。

なぜ犬の噛み癖を治す必要があるのか

なぜ犬の噛み癖を治す必要があるのか

犬の噛み癖を治すべき理由は、ほかの人間や動物に危害を加えないため、そして愛犬自身を守るための2つあります。犬には狩猟本能が残っているため、噛みつこうとする行動は、犬にとって自然な反応です。しかし、人間とともに暮らす犬は狩猟本能をコントロールできるようにならなければなりません。

愛犬にとっては戯れているつもりでも、散歩中に重大な咬傷事故を起こしてしまう可能性があります。相手が怪我をすれば飼い主さんが責任を取ることはもちろん、愛犬と一緒に暮らせなくなることも想定されます。愛犬が誰かを傷つけないため、そして飼い主さんと愛犬がいつまでも家族として一緒に暮らしていくために、噛み癖を治すしつけを徹底しましょう。

しつけ教室で行う噛み癖改善のトレーニング

しつけ教室で行う噛み癖改善のトレーニング

しつけ教室に通わせると、噛み癖の原因を特定して、原因に対して専門性の高いトレーニングを実施してもらえます。ただ愛犬を預けるだけではなく、飼い主さんと一緒に信頼関係を築くためのトレーニングもあるので、一緒に成長できるでしょう。

ここでは、しつけ教室で行う噛み癖改善のトレーニングを4つ解説します。

基本的なしつけを学び直す

しつけ教室では「人間と暮らすために犬が学ぶべきこと」を基礎から教えてもらえます。しつけの基礎となる部分がコマンドトレーニングです。「おて」「おすわり」「まて」「よし」など飼い主さんとのコミュニケーションを円滑化するために必要な合図を習得することで、信頼関係の構築を目指します。

コマンドトレーニングは噛み癖を治すためにも欠かせない要素です。言葉を話さない愛犬に対して「やっていいこと」と「やったらいけないこと」を教えるとき、コマンドを理解できればスムーズに学習できます。一方でコマンドが習得できていなければ、何に対して怒っているのかがわからず、不安感・恐怖感を抱くきっかけにもなります。

人間の生活に慣れさせるトレーニングを行う

犬の噛み癖がつく原因の一つには外的要因が絡んでいる場合があります。初めての場所に不安を感じたり、過去のトラウマから人間に対して敵意を持っていたりすると防衛本能から噛む行動にでてしまいます。そこで、まずは飼い主さんとの生活に安心感を持てるように環境に慣れるためのトレーニングを行います。これを馴化トレーニングと呼びます。

馴化トレーニングをするためには、愛犬が何に恐怖・不安・攻撃的な姿勢をみせているのか観察することから始めましょう。初めての場所、掃除機の音、玄関のチャイム、子どもなど、ストレスを感じる要因を特定して、苦手を克服するためにゆっくりと慣れさせます。最初は強い拒絶反応を見せたとしても愛犬のペースで繰り返しトレーニングをすることで、苦手を克服して、ストレスのない生活を送れるようになるでしょう。

ストレスケアを行う

突然噛み癖がでるようになった場合、ストレスが溜まっている可能性があります。引っ越し、飼い主さんのライフスタイルの変化、運動不足など愛犬によっては、孤独感やストレスを蓄積させて噛みつく行動に発展します。

しつけ教室ではトレーニングだけではなく、愛犬のストレスケアも行います。忙しい飼い主さんの代わりに広場に連れて行って満足するまで遊ばせてあげたり、ほかの犬たちと交流させてあげることで噛む以外の行動で慢性的なストレスを解消できるでしょう。

ストレスによって噛み癖がでてしまう子は、しつけ教室で改善できても、根本原因が解消されていないと再発する可能性があります。よって、愛犬がストレスを溜めてしまう原因を特定できたら、生活環境の改善が必要です。

普段の飼い主さんとの接し方を見直す

飼い主さんのしつけが適切でなければ、愛犬の噛み癖は治りません。そのため、しつけ教室によっては飼い主さんと愛犬が一緒に噛み癖を治すためのトレーニングを行います。どんなに愛犬を思ってのしつけだとしても甘やかしすぎ・厳しすぎるコミュニケーションは、愛犬との信頼関係を構築するうえで弊害となります。

犬にはそれぞれ異なる性格があるので、まずは自分の愛犬と向き合い適切な距離感を学ぶことからはじめなければなりません。そして、その子にあった方法で、社会的なルールを身につけてもらうことで、飼い主さんが指導権を持ちよいパートナーになれるでしょう。

しつけ教室に通う前に確認したいこと

しつけ教室に通う前に確認したいこと

しつけ教室には、さまざまなタイプがあり、すべてのしつけ教室で噛み癖改善トレーニングを実施しているわけではありません。通いやすさは大事ですが、それと同時に愛犬との相性や継続しやすさなどを総合的に判断して選ぶことが重要です。

ここで、しつけ教室に通う前に確認するべき3つのポイントを解説します。

噛み癖改善に対応しているトレーナーか

すべてのしつけ教室が噛み癖を治すためのトレーニングを実施しているわけではないので、トレーナーの専門分野や実績を確認してください。噛み癖のある子は、臆病だったり気性が荒かったりするので、トレーナーとの相性が合わない可能性があります。トレーナーの得意分野は、ホームページのプロフィールやSNSなどからも確認可能です。さらに、実際の利用者から寄せられている口コミや評価を参考にすると、経験豊富なしつけ教室を見つけやすくなるでしょう。

ペットに適したしつけ教室となっているか

噛み癖を改善するためには継続的なトレーニングが欠かせません。愛犬がしつけ教室の雰囲気やトレーナーに対して相性が悪いと感じていると徐々にストレスが溜まります。不安や緊張が蓄積されると、トレーニングに対するモチベーション低下や問題行動の悪化につながる恐れがあるので要注意です。

飼い主さんに対して不信感を募らせると、家での問題行動も深刻化する原因になるからこそ、最初のうちは愛犬の反応をよく観察することが大切です。もしも、しつけ教室との相性が悪そうだと感じたら、トレーナーに相談したりほかのしつけ教室を探しましょう。

どのような費用形態か

しつけ教室の費用形態はさまざまあり、噛み癖の度合いによってもトレーニング内容が変わるので適正価格を判断するのがむずかしいです。低価格でのトレーニングを売りにしているように見せかけて、オプション費用を請求してくる悪質ビジネスを展開しているしつけ教室もあるので要注意です。

出張オプションやハンドリングオプション、レクチャーレッスン料など何に対する費用なのか不透明なオプションについては、契約する前に確認しましょう。しつけ教室は1回で効果がでるわけではないので、金銭面でも継続して通い続けられるかどうかの確認が重要です。

まとめ

まとめ

愛犬の噛み癖を治すためには「なぜ噛みついてしまうのか」の原因を特定して、適切なトレーニングを行うことが重要です。ご自宅でのセルフトレーニングには限界があるため、愛犬の噛み癖が治らない際には、しつけ教室に頼る選択もあります。専門家からアドバイスや指導を受けて、飼い主さんと愛犬が安心・安全に生活できる日々を目指しましょう。

参考文献