トリミングにおけるマイクロバブルとは?効果や通常のトリミングとの違い、向いている犬を解説

犬のトリミングでは、シャンプーやカットだけでなく、マイクロバブルを利用した温浴を取り入れている施設もあります。

細かな泡を含んだお湯に犬を浸ける方法ですが、「普通のシャンプーと何が違うのか」「どのような犬に向いているのか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

マイクロバブルは、一般的なお湯とは異なり、とても小さな気泡を含んでいる点が特徴です。犬を温浴させることで、被毛や皮膚に付着した汚れを落としやすくしたり、温浴による心地よさを感じたりすることが期待されています。

一方で、すべての犬に適しているとは限らず、呼吸器や皮膚の状態によっては注意が必要です。

この記事では、トリミングにおけるマイクロバブルの仕組みや通常のトリミングとの違い、利用するメリット、向いている犬、注意が必要なケースについて解説します。

トリミングにおけるマイクロバブルとは

トリミングにおけるマイクロバブルとは

マイクロバブルとは、とても細かな気泡を含んだお湯のことです。一般的な泡風呂で見られる大きな泡とは異なり、目で確認しにくいほど小さな気泡が水中に分散しています。

犬のトリミングでは、マイクロバブルを発生させる装置を使ってお湯に細かな気泡を含ませ、犬を温浴させる方法があります。

シャンプー剤を使って洗う工程そのものを置き換えるというより、通常のシャンプーやすすぎに加えて取り入れられるケアの一つと考えるとわかりやすいでしょう。

マイクロバブルの特徴の一つは、細かな気泡が被毛や皮膚の表面に触れることです。汚れの種類や皮膚の状態、使用する機器などによって得られる作用は異なるため、「マイクロバブルならどのような汚れでも落とせる」と考えるのは適切ではありません。

また、マイクロバブルを使った温浴については、犬を対象とした研究も行われています。健常なビーグル6頭を対象にした研究では、マイクロバブルによる温浴とお湯による温浴を比較したところ、皮膚のバリア機能を示す指標には明らかな差がみられませんでした。

一方、マイクロバブルを用いた場合は、温浴後の皮膚表面温度が高く保たれる傾向が示されています。

通常のトリミングとマイクロバブルの違いとは

通常のトリミングとマイクロバブルの違いとは

通常のトリミングでは、シャンプー剤などを使って被毛や皮膚を洗浄し、すすぎや乾燥、カットなどを行います。

マイクロバブルを利用する場合は、その工程に細かな気泡を含んだ温浴を組み合わせる点が大きな違いです。

通常のお湯にも温浴による温熱作用がありますが、マイクロバブルでは水中に細かな気泡が含まれていることが大きな違いです。そのため、同じ温度のお湯であっても、泡の大きさや濃度、湯の流れなどによって皮膚に与える作用が変わる可能性があります。

人を対象とした研究では、マイクロバブル浴によって皮膚温度や皮膚血流などに変化がみられた報告があります。ただし、人と犬では身体の構造や皮膚の状態が異なるため、人を対象とした結果をそのまま犬に当てはめることはできません。

犬を対象とした研究では、マイクロバブル温浴によって皮膚表面温度が高く維持される傾向が示されていますが、血行への作用については、研究結果から直接断定するのではなく、考えられる要因の一つとしてとらえる必要があります。

そのため、通常のトリミングとマイクロバブルの違いを「マイクロバブルのほうが優れている」と単純に比較するのではなく、通常の洗浄に加えて温浴という選択肢を取り入れられる点に注目するとよいでしょう。

トリミングでマイクロバブルを利用するメリット

トリミングでマイクロバブルを利用するメリット

以前からトリミングをよく利用されている方は「なぜ、わざわざトリミングにもマイクロバブルを?」と疑問に思う方もいるのでがないでしょうか。

そこで、ここからはトリミングにマイクロバブルを利用するメリットについてもみていきましょう。

細かな泡によって汚れを落としやすい

マイクロバブルの細かな気泡は、被毛や皮膚の表面に触れながら洗浄を補助します。特に、皮脂や汚れが気になる犬では、通常のシャンプーに温浴を組み合わせることで、洗浄を行いやすくなる可能性があります。

マイクロバブル浴について人を対象にした研究では、皮膚の汚れや皮脂の洗浄について調べた報告がありますが、犬の被毛や皮膚は人とは異なるため、同じ結果が得られるとは限りません。

また、汚れの種類によって適した洗い方は異なります。皮脂汚れが多い場合でも、洗浄力を高めればよいとは限らず、皮膚の状態に合わせてシャンプー剤の種類や洗い方を調整することが大切です。

本来の毛質や毛並みを引き出しやすい

本来の毛質や毛並みを引き出しやすい

被毛に皮脂や汚れが付着していると、毛がまとまったり、べたついたりすることが少なくありません。洗浄によって余分な汚れを落とすことで、被毛本来の状態を確認しやすくなる場合があります。

マイクロバブルは細かな気泡を利用して温浴するため、被毛を洗う工程の補助として活用可能です。トリミング後の仕上がりは、毛質だけでなく、シャンプー剤、すすぎ、乾燥、ブラッシングなど複数の要素によって変わります。

そのため、「マイクロバブルを使えば毛質が変わる」というわけではなく、被毛に付着した汚れを洗い流すことで、毛並みを整えやすくする方法の一つととらえることが大切です。

温浴でリラックスしやすい

犬にとって、温かいお湯に浸かること自体が心地よい時間になる場合があります。マイクロバブルを使った温浴では、細かな気泡を含んだお湯に浸かることで、通常の入浴とは異なる感覚が得られる可能性があります。

人を対象にした研究では、マイクロバブル浴による温熱作用や入浴後の感覚について検討されていますが、犬が人と同じようにリラックスするとは限りません。

犬によって水や温浴への反応は異なるため、落ち着いて入浴できているかを観察する必要があります。トリミングそのものに緊張する犬もいるため、無理に長時間浸けるのではなく、犬の様子を確認しながら進めることが重要です。

温浴によって血行が促される

温浴によって血行が促される

温浴では、温かいお湯に体が触れることで皮膚表面の温度が変化します。犬を対象とした研究では、マイクロバブル温浴後の皮膚表面温度が、お湯だけの場合より高く維持される傾向が報告されています。

この研究では、マイクロバブルの刺激によるマッサージ作用が血行促進に関係した可能性も考察されていますが、対象となった犬は健常なビーグル6頭であり、すべての犬に同じ作用が起こるとまではいえません。

また、心臓や呼吸器などに持病がある犬については、温浴を行ってよいか事前に動物病院へ相談するとよいでしょう。

デリケートな皮膚の健康維持にもつながる

デリケートな皮膚の健康維持にもつながる

皮膚がデリケートな犬では、洗い方やシャンプー剤を選ぶ際に配慮が必要です。強くこすったり、必要以上に洗浄したりすると、皮膚への刺激につながる可能性があります。

マイクロバブルを使った温浴は、細かな気泡を含んだお湯を利用して洗浄を補助する方法です。

犬を対象とした研究では、マイクロバブル温浴と通常のお湯による温浴を比較したところ、皮膚のバリア機能を示す経表皮水分蒸散量に明らかな差はみられませんでした。

この結果から、少なくとも研究条件の範囲では、マイクロバブル温浴が皮膚のバリア機能に影響を与えたとは確認されていません。

皮膚の状態を維持する目的で取り入れる場合も、マイクロバブルだけに頼るのではなく、適切な洗浄や保湿、皮膚疾患がある場合の治療などを組み合わせることが重要です。

マイクロバブルを使ったトリミングが向いている犬

マイクロバブルを使ったトリミングが向いている犬

マイクロバブルを使ったトリミングは、細かな気泡を含んだお湯を使って、通常のシャンプーやすすぎを補助する方法です。

皮脂や汚れが気になる犬だけでなく、皮膚への刺激に配慮したい犬や、温浴を取り入れたいシニア犬などにも利用されることがあります。

ただし、すべての犬に同じような効果が期待できるわけではありません。犬の皮膚や被毛の状態、年齢、健康状態などを考慮し、愛犬に適した方法かどうかを判断することが大切です。

ここでは、マイクロバブルを使ったトリミングが向いている犬の特徴を紹介します。

体臭や匂いが気になる犬

被毛や皮膚に皮脂や汚れが付着すると、においが気になることがあるでしょう。マイクロバブルによる温浴は、通常の洗浄を補助する方法として利用できるため、体臭が気になる犬のケアに取り入れられる場合があります。

ただし、においの原因は皮脂汚れだけとは限りません。皮膚炎や感染症などの病気が関係している場合もあるため、急ににおいが強くなった、皮膚が赤くなっている、かゆがるなどの変化がある場合は注意が必要です。

皮脂が多く汚れや抜け毛が気になる犬

皮脂が多い犬は、被毛がべたついたり汚れが付着しやすくなったりすることがあります。マイクロバブルは洗浄工程を補助できるため、皮脂や汚れが気になる犬のトリミングで利用されることがあります。

また、抜け毛が多い犬では、シャンプーやすすぎによって抜けた被毛を洗い流しやすくなる効果も期待できるでしょう。

ただし、抜け毛の量には換毛期や犬種、年齢、健康状態なども関係します。抜け毛が急に増えた場合は、単なる毛の生え替わりと決めつけず、皮膚や体の状態を確認することが大切です。

敏感肌など皮膚がデリケートなトラブルがある犬

敏感肌など皮膚がデリケートなトラブルがある犬

皮膚がデリケートな犬では、洗浄による刺激をできるだけ抑えることが重要です。マイクロバブルは、強くこすって洗う方法ではなく、細かな気泡を含んだお湯を使うため、洗浄工程の選択肢の一つといえます。

一方で、皮膚トラブルがある犬すべてに適しているわけではありません。赤み、発疹、かゆみ、脱毛、フケなどがみられる場合、原因によって必要な対応は異なります。

動物病院で診察を受けている犬は、トリミングでマイクロバブルを利用してよいか確認しておくといいでしょう。

シニア犬

シニア犬は、若い犬と比べて体の状態に個体差が出やすくなります。温浴を気持ちよく感じる犬がいる一方で、長時間の入浴や温度変化が負担になる場合もあります。

犬を対象にした研究では、マイクロバブル温浴後の皮膚表面温度が高く維持される傾向が示されました。研究では、幼犬や老犬への影響についても考察されていますが、シニア犬すべてに同じ作用があると判断することはできません。

シニア犬のトリミングでは、温浴だけでなく、立っている時間や乾燥時の負担などにも配慮する必要があります。持病がある場合や体調に変化がある場合は、事前に動物病院へ相談しましょう。

マイクロバブルを使ったトリミングに注意が必要なケース

マイクロバブルを使ったトリミングに注意が必要なケース

マイクロバブルを使ったトリミングは、犬の皮膚や被毛の状態などに合わせて取り入れることが大切です。

特に、持病がある犬や皮膚にトラブルがみられる犬は、一般的なケアと同じように考えず、体への負担や現在の症状を踏まえて判断する必要があります。

また、トリミングでは温浴だけでなく、シャンプーやすすぎ、ドライヤーなど複数の工程があります。愛犬の状態によっては、マイクロバブルの利用そのものだけでなく、トリミング全体の負担を考えることも重要です。

ここでは、利用前に特に注意したいケースを紹介します。

呼吸器が弱い場合

呼吸器に持病がある犬や、呼吸状態に不安がある犬は、マイクロバブルを利用する前に動物病院へ相談をすることがおすすめです。

温浴では体が温まるため、犬によっては負担になる可能性があります。また、トリミング中は浴槽に入るだけでなく、移動や乾燥など複数の工程があります。

呼吸器の状態によっては、温浴以外の工程も含めて負担を考えることが重要です。

咳が続いている、呼吸が苦しそう、運動するとすぐに息があがるなどの症状がある場合は、トリミングを優先せず、まず動物病院で相談することが大切です。

乾燥肌など皮膚がよりデリケートな場合

乾燥肌など皮膚がよりデリケートな場合

乾燥肌など皮膚がデリケートな犬は、洗浄や温浴によって状態が変化することがあります。

マイクロバブルだから皮膚への負担が少ないと一律に考えるのではなく、その犬の皮膚状態に合わせて判断する必要があります。

犬を対象とした研究では、マイクロバブル温浴とお湯による温浴で皮膚バリア機能に明らかな差は確認されませんでした。

そのため、マイクロバブルを利用すれば皮膚トラブルを防げる、あるいは改善できると断定することはできません。

乾燥、赤み、かゆみ、フケなどが続いている場合は、トリミングだけで対応しようとせず、動物病院で原因を確認しましょう。

皮膚の状態によっては、シャンプーの頻度や種類、保湿方法などを見直す必要があります。

まとめ

まとめ

マイクロバブルは、細かな気泡を含んだお湯を使って犬を温浴させる方法です。通常のトリミングに取り入れることで、被毛や皮膚の洗浄を補助したり、温浴による温熱作用を得たりすることが期待されています。

犬を対象にした研究では、マイクロバブル温浴によって皮膚表面温度が高く維持される傾向が示されています。

一方で、皮膚のバリア機能について通常のお湯との明らかな差は確認されておらず、すべての犬に同じ作用があるとは限りません。

体臭や皮脂汚れ、抜け毛などが気になる犬のほか、温浴を落ち着いて受けられる犬では、トリミングの選択肢として検討できます。ただし、皮膚トラブルや呼吸器の持病がある犬、シニア犬などは、体の状態を確認したうえで利用することが大切です。

マイクロバブルは、通常のトリミングに代わるものではなく、犬の状態に合わせて取り入れるケアの一つです。

利用を検討する場合は、トリミング施設で犬の様子を確認してもらい、持病や皮膚の症状がある場合は動物病院にも相談するとよいでしょう。

参考文献