昔から犬と並んでペットとしての人気を博しているのが猫です。2022年の調査では犬よりも猫を飼っている世帯数の方が多いという結果も出ています。
犬に比べて活発で活動範囲も広く自由な生き物という印象が強い猫ですが、その分飼い主さんが気を付けてあげないと思わぬ事故を招きかねない動物です。
そこでこちらの記事では猫が食べてはいけないもの・万が一食べてしまった場合の対処法について解説していきます。ぜひ参考にしてください。
猫が食べてはいけないもの一覧
人間の家族の一員として生活を共にしている猫ですが、猫が欲しがる人間の食べ物でも実は猫は食べてはいけないというものがたくさんあります。
なかにはその食べ物を食べることで猫の命が危険にさらされてしまうことさえもあるのです。
猫を飼うということはそういった猫にまつわる知識をしっかりと知っておく必要があるのです。
ここでは猫が食べてはいけないものを野菜・果物・魚介類・菓子類・肉類とカテゴリー別に解説していきます。ぜひ参考にしてください。
食べてはいけない野菜
まず猫がたべてはいけないものとして玉ねぎ・長ネギ・にら・ニンニク・わけぎ・ラッキョウ・あさつきなどがあげられます。
これらはネギ類に分解され、アリルプロピルジストファイドという溶血物質を含んでいることが理由です。
猫がアリルプロピルジストファイドを摂取した場合、赤血球が溶けてしまい急性の貧血を起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。
誤ってネギ類を与えてしまった時には尿が変色しますのですぐに病院に連れていくことが必要です。
またアリルプロピルジスルファイドは熱で消える成分ではないので過熱しているから大丈夫などということはありません。
その他にも嘔吐・黄疸・下痢・心不全・肝不全などの症状を起こすこともありますので注意が必要です。
触るだけでも皮膚にかぶれを起こすことがありますので、猫がいるお家ではネギ類に猫が簡単に触れられるところに置かないのが良いでしょう。
他に猫が食べてはいけない野菜としてアスパラガスの葉・ほうれん草・わらび・アボカドなどがあげられます。
アスパラガスは茎を加熱して食べさせる分には良いのですが、生で与えた場合には消化不良を起こす可能性があるので注意が必要です。
また、葉の部分には中毒性があり嘔吐・痙攣・震えなどの症状を引き起こす可能性があります。これはアルカロイドという成分が微量に含まれていることが原因です。
わざわざ食べさせなくても問題のない食材ですので、避けておいた方が無難でしょう。
続いてほうれん草も避けたほうが良い野菜の一つです。ほうれん草にはシュウ酸という成分が入っており、結石を引き起こす原因になります。
シュウ酸は人間でも多量に摂取すれば尿結石のリスクがある成分ですので体の小さい猫には与えない方が良いでしょう。
山菜として有名なわらびも猫がたべないほうが良い野菜の一つです。生のわらびは人間でも中毒を引き起こす可能性がある食べ物で、しっかりとした処理をしないと中毒になります。
わらびに含まれるプタキロサイドという成分が原因で骨髄機能の障害を起こしますし、血尿・結石などの症状を引き起こしてしまうのです。
またビタミンB1を破壊し、チアミンを欠乏させ運動失調・痙攣などの症状を引き起こすこともあります。
アボカドも猫が食べてはいけない野菜の一つで、その理由としてアボカドにはペルジンという毒素が含まれているからです。
このペルジンの影響により、嘔吐・下痢・胃腸の炎症を引き起こし最悪の場合は死の危険性もあります。
他にも与えない方が良い野菜は多数存在しますが、そもそも猫は完全肉食動物ですので野菜を食べさせなくても猫の健康上悪影響はありません。
食べてはいけない果物
猫が食べてはいけない果物としてすもも・イチジク・ブドウがあげられます。 まず、すもも・プラム類の果物は猫にとっては有害なアミグダリンが含まれているのです。
これは猫の体内で代謝をしていく過程で青酸という有害な物質に変化し、中毒症状として嘔吐・痙攣を引き起こします。
次にイチジクも猫が食べてはいけない果物です。イチジクに含まれるフロクマリンという成分は触れた後に触った部分が日光に当たると炎症が起こることが理由で、猫が食べてしまった場合口の中・口の周りで炎症を引き起こすことになるのです。
最後にブドウは猫にとってはとても危険な食べ物で、急性腎不全を引き起こす可能性があります。
何の成分が作用しているのかは現段階の獣医学では判明しておりませんが嘔吐・下痢などの症状を引き起こしたのちに腎不全を起こすのです。 ブドウ同様にレーズンなどのブドウ加工品も与えてはいけない果物だと考えられています。
食べてはいけない魚介類
魚介好きなイメージのある猫ですが、食べてはいけない魚介類があります。
エビ・いか・たこ・貝類・青魚・淡水魚などがそれにあたります。 生のエビ・いか・たこ・貝類を摂取することで、ビタミンB1欠乏症を引き起こすことがあるのです。
これらの食材にはビタミンB1分解酵素が含まれているからです。そのほかにも消化不良を引き起こしたり、食欲不振・嘔吐・運動失調・痙攣といった症状を引き起こしたりする場合があります。
青魚も食べることで黄色脂肪症という病気を引き起こす原因にもなるので与えない方が良いです。
淡水魚は食べても良いですが、内臓を食べることで食欲低下・嘔吐・痙攣・ふらつきなどの神経障害を引き起こすことがあります。
猫が魚介類を食べる場合は生食と内臓部分を避けた状態であれば与えても良い場合もありますが、ここに上がっているものは避けたほうが良いでしょう。
また、練り物・天ぷらも塩分が多いため避けたほうが良い食べ物です。
食べてはいけない菓子類
人間がおいしそうに食べていると猫が欲しがるという場面もしばしばあるでしょうが、菓子類も与えてはいけないものが多いです。
せんべい・ポテトチップスなどは猫にとっては塩分過多ですから心臓に負担をかけたり、高血圧になったりすることを助長してしまいます。
逆に飴・ケーキ・アイスクリーム・和菓子などのスイーツ系お菓子については糖質が高いため肥満・糖尿病を助長することになるのです。
どちらも人間の嗜好品であるため猫にとっては負担になってしまいます。 また、猫にあげるのを特に避けたほうが良いのがキシリトールです。
ガムなどに含まれるこの成分ですが猫が摂取することで血糖値の低下・嘔吐・歩行困難・内出血・肝不全といった症状を引き起こします。
ポケットから落ちてしまったり、ボトルガムを猫が倒してしまった時に蓋が開いてしまったりということで、偶然猫が食べてしまったなどということがないように注意が必要です。
果物の項目でもふれたようにレーズンは嘔吐・下痢・腎不全を引き起こすため食べることができません。
油分・塩分により肥満・糖尿病・腎臓病・結石を引きおこすという理由でピーナッツは食べてはいけないですし、マカダミアナッツは嘔吐・発熱・筋硬直・震え・心拍の増加を引きおこすため食べてはダメなものです。
また、テオブロミン・カフェインが含まれることが原因で嘔吐・下痢・高体温・運動失調・震え・興奮・血尿・血便を引き起こすことを理由にチョコレートも与えてはいけません。
食べてはいけない肉類
完全肉食の猫ですが、その中でも食べられるものと食べられないものがあります。
まずは、ハム・ソーセージは塩分が多いため食べない方が良い食品で高血圧・心臓への負担をかけるリスクを孕んでいます。
鶏肉・豚肉は与えても大丈夫ですが寄生虫がいるためしっかりと過熱することが必要です。
また鶏肉は骨でケガをする場合があるため、予めほぐして与えると良いでしょう。
また、レバーはビタミンが豊富で過剰に摂取すると、関節炎を引き起こすことがあるので与える量には注意が必要です。
危険な食品を食べてしまった場合の対処法は?
どのように気をつけていても予想外のことをするのが猫です。
食べさせるつもりでなくても勝手に食卓に上っておかずをつまみ食いしていたり、花瓶の花を食べていたりということも起こりうるのです。
人間であれば救急車を呼んだり、かかりつけの病院へ行ったりできますし、深夜であっても緊急外来のある病院を見つけることができます。
しかし猫が食べてはいけない食品を誤飲した場合、どうすれば良いかわからないというという方のために、その対応の仕方について詳しく紹介していきます。
是非参考にしてください。
動物病院で診てもらう
中毒を起こすものを食べてしまった時はすぐに動物病院に行くことが必要です。平日日中であればかかりつけの病院に行くことが良いですし何より安心です。
しかし、休日・深夜に猫が食べてはいけないものを食べてしまった場合は夜間救急動物病院というものがあります。
この病院はかかりつけの動物病院がお休みの時にペットの治療をしてくれる病院です。
ケガ・急病のペットの診察・検査をしてくれる病院ですので、かかりつけの動物病院が開いていないときに緊急処置としてみてもらうことに適しているのです。
ただ、救急処置専門の動物病院ですので継続治療はできません。一応の処置を夜間救急動物病院でしてもらい、かかりつけの動物病院が空いたら引き続きの治療をそちらでしてもらうのが良いでしょう。
かかりつけの動物病院へは手紙を書いてくれたりと先生が引継ぎをしてくれたりしますので、その点も安心です。
もちろん、猫が食べてはいけないものを食べてしまった時には飼い主さんが動揺している場合も多いですので事前に電話番号・住所を調べておくと安心です。
猫が食べてはいけないものを食べてかかり付けの動物病院が閉まっているときは救急動物病院へまずは電話をして相談しましょう。
何を・いつ・どのくらい食べたかを獣医師に伝えるのがベター
ペットが誤飲をした場合、気をつけないといけないポイントが3つあります。
一つ目は飲み込んだもの自体の中毒性に対する注意です。 猫の場合ですとネギ類・チョコレートなど中毒性のあるものを飲み込んでいないかを知っておくことで素早い対処のための指示を獣医師から受けることができます。
二つ目は食べ物の通過を妨げる異物を飲み込んだことによる食べものの通過障害です。
ワインのコルク・トウモロコシの芯など飲み込んでしまったけれども消化されないものであるかどうかを獣医師が知っておくことで必要な指示を受けられることがあります。
三つ目は消化器を傷つける可能性のある鋭利なものを飲み込んでいるかどうかです。
やきとりの竹串・つまようじ・ 針などを飲み込んでしまった場合に消化器官を傷つけてしまう可能性があるため予め獣医師に伝えておいた方が良いでしょう。
いずれにせよ何を・いつ・ どのくらいの量を飲み込んだかということはできるだけ正確に伝えておくことでより早い適切な処置を施すことができます。
まとめ
猫が食べてしまうと危険なものは、私たちが 想像している以上にたくさんあります。
またそれを食べて良いかどうかという判断が猫自身にはできないため、猫が安全に生活できるようにするためには飼い主である人間側が充分な知識をつけ、先回りして防いであげるという配慮が必要です。
愛猫が安心して暮らせる環境についてしっかりと知識を身につけて、末永く安全なペットライフを過ごしていただけると幸いです。
参考文献